企業のためのデジタルフォレンジック入門
第2回:デジタルフォレンジック調査の流れと費用とは?

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サイバー攻撃や情報漏えいなどのインシデント発生時には、重要な役割を果たすデジタルフォレンジック調査ですが、「実際にどのような手順で進むのか」「どのくらいの費用がかかるのか」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。

「企業のためのデジタルフォレンジック入門」シリーズ第2回目となる今回は、デジタルフォレンジック調査の一般的な進め方と費用の目安、そして調査を依頼する際に押さえておくべきポイントについて解説します。

デジタルフォレンジックの調査フロー

デジタルフォレンジック調査は以下のような流れで進められるのが一般的です。

初動対応(証拠保全と状況把握)

インシデント発生時、最初に行うべきなのは証拠の保全です。ログやデジタルデータは非常に消失・改ざんされやすいため、調査開始前に対象端末の隔離やデータのバックアップを速やかに実施します。誤ってシステムの再起動や操作を行うと、重要な証拠が失われるリスクがあるため注意が必要です。

調査準備(対象範囲の確認と調査計画の立案)

次に、調査の対象となるシステムや端末、ネットワーク環境を明確にし、どのような調査を行うかの計画を立てます。この段階で社内のIT部門との連携や、必要に応じた外部の専門業者への調査依頼を検討します。

技術調査(詳細なデータ解析)

具体的な調査段階では、ログ解析、端末解析、ネットワーク通信の分析、メール履歴の調査などを通じて、インシデントの発生時期、侵入経路、攻撃手法、被害範囲を特定します。調査結果は、法的手続きに耐えうる形で証拠として整理されます。

調査報告(結果の報告と被害状況の説明)

調査の結果をもとに、被害状況や攻撃経路、原因の詳細をまとめた報告書が作成されます。この報告書は、経営層への説明や取引先への対応、法的措置を講じる際の重要な資料となります。

改善提案(再発防止策の提示)

最後に、調査を通じて得られた知見をもとに、今後のセキュリティ強化策や体制の見直しに関する改善提案が行われます。再発防止のためのシステム設定の見直しや運用ルールの強化など、実行可能な具体策が提示されます。

この一連の流れを円滑に進めるためには、事前に社内で緊急対応体制を整えておくことが重要です。

サイバーインシデント緊急対応

サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
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デジタルフォレンジック調査の費用相場とその要素

デジタルフォレンジック調査の費用は、調査の規模や対象範囲、緊急性によって大きく変動します。一般的に、初動対応から最終的な報告書提出までに数十万円から数百万円規模の費用がかかるケースが多く、場合によっては1,000万円を超えることもあります。調査費用は、主に以下の項目で構成されます。

調査項目費用相場(目安)算定要素
初動対応・証拠保全10~30万円緊急度、作業時間、対象機器数
ログ解析30~100万円調査範囲、ログの量と保存状況
端末解析50~150万円対象端末数、データ量、調査内容
ネットワーク解析50~200万円通信量、解析対象ネットワーク範囲
メール調査30~100万円メール数、攻撃手法の特定難易度
報告書作成・改善提案20~50万円被害規模、報告書の詳細度

調査費用は対応スピードの要求度や調査範囲の広さによって大きく異なります。調査を依頼する前には、事前に必要な調査項目を整理し、見積もりの内訳をしっかり確認することが重要です。

企業が予算計画に組み込むべき事項

サイバー攻撃による被害は、いつ発生するかわかりません。万が一に備え、デジタルフォレンジック調査費用をあらかじめ予算計画に組み込んでおくことは、リスクマネジメントの観点から重要な取り組みです。

まずは、フォレンジック調査に必要となるリソースの把握が必要です。どのシステムやデータが事業の中核を担っているのかを洗い出し、万が一被害を受けた場合に調査が必要となる範囲を想定しておきましょう。特に、重要な顧客情報や機密情報を扱うシステムは、調査対象として優先度が高くなります。

次に、過去のインシデント事例や業界の平均的な調査費用を参考に、初動対応費用、技術調査費用、報告書作成費用などを項目ごとに見積もり、予算化しておくことが重要です。必要に応じて、外部の専門業者から概算費用の情報を収集し、自社の規模に応じた現実的な予算を策定します。また、平時からのログ管理や証拠保全体制の整備は、調査範囲の縮小や工数削減に直結し、結果的に調査費用の抑制につながります。このような準備に必要なリソースやコストも、予算計画の中に含めておくと良いでしょう。

不測の事態に備え、フォレンジック調査の費用を計画的に確保しておくことが、経営リスクを最小限に抑える有効な手段です。

「かかりつけ」のセキュリティ企業を持つ

平時の備えがインシデントを防止し、いざインシデントが起きたときの対応力を高めてくれます。さらにもう1つ有効な取り組みとしてお伝えしたいのが、頼りになるセキュリティ企業との関係構築です。あなたの会社の業務やシステムのことを知っている、かかりつけ医のようなセキュリティ企業は、何かあったときのための備えのひとつになります。

それまで取引が一度もなかったセキュリティ企業に、事故が発生した際に初めて調査や対応を依頼したとしたらどうでしょう。社内のネットワーク構成、稼働するサービス、重要情報がどこにどれだけあるのか、関係会社や取引先の情報などについて、わずかな時間も惜しまれるインシデント対応の現場で、いちから説明しなければならなくなります。

セキュリティ対策などの実施でセキュリティ企業に依頼を行う際は、信頼できる企業かどうか、いざというときにサポートしてくれるかどうか等、診断以外のサービス体制も幅広く調べたうえで、長期的な観点から利用を検討することをおすすめします。

まとめ:納得できる調査のために

サイバー攻撃などのインシデント発生時、企業は迅速かつ的確な対応を求められます。デジタルフォレンジック調査は、その過程で被害状況を正しく把握し、再発防止策を講じるために不可欠な手段です。しかし、調査は高額になりがちで、調査範囲や依頼内容を誤ると不要なコストが発生する恐れもあります。納得できる調査を実現するためには、事前に調査の流れを理解し、必要な費用感を把握したうえで、適切な調査計画を立てることが重要です。そして、もう一つ重要なのは「誰に調査を依頼するか」という視点です。

デジタルフォレンジック調査の結果は、調査を行う専門家の知識とスキルに大きく左右されます。調査の質を高めるためには、どのような専門家に依頼すべきか、その見極めが重要です。次回、第3回の記事では、信頼できる調査パートナーの選び方や、調査に必要とされる資格・スキルについて解説します。

―第3回「デジタルフォレンジックは誰に任せるべきか?」へ続く―

【連載一覧】

―第1回「デジタルフォレンジック調査とは?企業が知っておくべき基本情報」―
―第3回「デジタルフォレンジックは誰に任せるべきか?」―

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