脆弱性診断は受けたけれど ― SSVCで考える「脆弱性管理」と優先順位付け

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~とある会社Aと脆弱性診断の結果を受け取った関係者とのやり取り~

脆弱性診断を受けたA社では入社3年目のセキュリティ担当・Bさんが結果に頭を抱えています。なぜなら、社内ネットワークに使っているスイッチにCVSSスコア9.8の脆弱性、リモートアクセスに使用しているVPNゲートウェイにCVSSスコア8.8、オンラインショップ用の受発注管理に利用しているデータベースにCVSSスコア7.5の脆弱性が見つかってしまったからです。リスクはどれも「高」レベルとして報告されたため、Bさんは上司に相談し、すべてに修正パッチを当てるようスイッチとVPNゲートウェイについてはインフラチームの担当者に、データベースについては開発部に連絡することにしました。

インフラチームのCさんとSlackでやり取りをしていたBさんはCさんからこんなことを伝えられます。

インフラチームCさん「修正パッチを適用するとなると、インフラチームは基本みんなリモートだから、誰かを土日のどこかで休日出勤させるか、急ぎだったら平日の夜間に勤務させて、パッチを当てることになるけど、どれぐらい急ぎなの?」

「あと、VPNとスイッチ、どっちを先に作業したほうがいいの?パッチの情報を調べてみたら、VPNのほうは一度途中のバージョンまで上げてから最新バージョンまで上げないといけないみたいで、作業時間がすごくかかりそうだから、別日で作業しないとだめかもしれないんだよね」

Bさんは答えに詰まってしまいました。リスクレベルは高だといわれているけれども、どれぐらい急ぐのかは誰も教えてくれないからです。

答えに詰まって「確認してから折り返し連絡します」と返したところ、「セキュリティ担当はいいなあ。土日とか夜間に作業しなくていいし、すぐに答えなくてもいいんだから」と嫌味までいわれてしまいました。

Bさんは脆弱性診断の結果が返ってきてから1週間後、開発部門のD部長にセキュリティ担当と開発部門の定例会議の際に報告事項としてパッチ適用の件を報告しました。するとD部長はこういいました。

開発部D部長「この件、1週間ほど報告に時間を要したようですが、脆弱性診断の結果以外に何か追加の情報はありますか?あと、この脆弱性診断の結果によるとリスクレベル高とありますが、社内の規定としてどの程度急ぐかといった判断はされましたか?」

開発部のほかの人にもこんなことをいわれてしまいます。

開発部担当者「パッチを適用する場合、ステージング環境で影響を調査したうえで必要であればコードや設定の修正などを行う必要がありますが、その時間や工数は考慮されていないですよね。通常の開発業務とどちらを優先すべきかといった判断はどうなっているんですか?」

Bさんはまたもや言葉に詰まってしまいます。セキュリティ担当は自分と上司の2人だけ、上司は別の業務との兼務でパッチの適用の優先順位付けまで考えている時間はありません。自分もEDRやファイアウォールの運用をしながら脆弱性診断の依頼や結果を受け取るだけで、とても他の部門の業務内容や環境のことまで把握しきる余裕がないのです。


ここまで、架空の会社A社と脆弱性診断の結果を受け取った関係者の反応を物語形式でお送りいたしました。現在、弊社の脆弱性診断サービスでは脆弱性単体のリスクの度合いの結果をご提供させていただくことはあっても、その脆弱性をどういった優先度で修正しなければならないかといった情報はご提供しておりません。なぜならば、パッチを適用するにあたって優先順位をつけるためにはお客様しか知りえない、以下の要素が必要になるためです。

パッチ適用の優先順位をつけるための3つの要素

  1. 脆弱性を持つアセットが置かれている環境
    ・インターネット上で公開された状態か、IPSやFWなどで制御されたネットワーク内か、もしくはローカル環境依存といった非常に限定的な環境かといった分類
    ・CVSSでいう環境スコア(CVSS-E)の攻撃区分(MAV)にあたる、実際の環境依存の要素
  2. アセットが攻撃を受けた場合に事業継続性に与える影響
  3. アセットが攻撃を受けた場合に社会や社内(運用保守・人材)に与える影響

冒頭のA社のケースでは以下のように整理できるでしょう。

アセットが置かれている環境

  • VPN:インターネット上で公開された状態
  • データベース:設定を間違っていなければIPSやFWなどで制御されたネットワーク配下だが、公開ネットワーク寄り
  • スイッチ:設置環境によって制御されたネットワーク内かローカル環境になる。

アセットが公開されている場合、攻撃者からよりアクセスしやすいことからより緊急度が高いといえるので、VPN=データベース>スイッチの順になると考えられるでしょう。

アセットが攻撃を受けた場合に事業継続性に与える影響

アセットが攻撃を受けた場合に自社の事業継続にどの程度影響が出るかといった要素です。
仮にランサムウェア攻撃によって影響を受けた場合、それぞれのアセットの停止でどの程度の影響が出るかを想定してください。A社の場合事業継続性への影響度順でいうと、データベース>VPN>スイッチの順になると考えられます。

今回の場合はデータベースが事業に直結しており、顧客情報を含むデータを持っているため、継続性への影響度が高いという想定です。アセットの利用目的や環境によってはこの順番が入れ替わることもあります。

アセットが攻撃を受けた場合に社会や社内に対して与える影響

A社がランサムウェア攻撃を受けた場合はオンラインショッピングサイトのデータベース関連で以下の影響が見込まれます。

  • 顧客情報の漏洩
  • 運用およびシステムの復旧にかかる費用と工数

このほかにVPNやスイッチもフォレンジック調査の対象となって業務が行えなくなる可能性が高いと考えられます。VPNに関しては利用できない期間、社員の出社が必須になるなどワークスタイルへの影響も出る可能性もあります。こういったことから、社会および社内に対して与える影響でA社の例を考えると影響度は、データベース>VPN=スイッチと考えられるでしょう。

SSVCとは

こうした情報があったうえで利用ができようになる優先順位付けの方法があります。それが「SSVC(Stakeholder-Specific Vulnerability Categorization)」です。SSVCは脆弱性管理プロセスに関与する利害関係者のニーズに基づいて脆弱性に優先順位を付けるための方法論とされており、経営・マネジメント層、システム開発者、システム運用者といったステークホルダーと一緒に脆弱性に対処していくための方法論といえます。SSVCは脆弱性そのものの技術的評価ではなく、脆弱性にどのように対処するかという観点での評価を行うフレームワークになります。

SSVCの3つのモデル

  1. ソフトウェアやハードウェアの供給者、すなわちパッチを開発する人が用いる「Supplier Decision Model
  2. ソフトウェアやハードウェアを利用する側、つまりパッチを適用する人が用いる「Deployer Decision Model
  3. CSIRTやPSIRT、セキュリティ研究者やBug Bounty Programなど、脆弱性に対して何らかの調整やコミュニケーションのハブとなりうる人、コーディネーターが用いる「Coordinator Decision Model

このうち、「Deployer Decision Model」と「Supplier Decision Model」ではプライオリティ(対応優先度)付けの結果を4つにわけています。

SSVCで得られるプライオリティ付けの結果

Deployer ModelSupplier Model
Immediateすべてのリソースを投入し、通常業務を止めてでもパッチの適用を直ちに行うべきである全社的にすべてのリソースを投入して修正パッチを開発し、リリース
Out-of-cycle定期的なメンテナンスウィンドウより前に、やむを得ない場合は残業を伴う形で緩和策または解消策を適用緩和策または解消策を他のプロジェクトからリソースを借りてでも開発し、完成次第セキュリティパッチとして修正パッチをリリース
Scheduled定期的なメンテナンスウィンドウで適用通常のリソース内で定期的な修正パッチのリリースタイミングでパッチをリリース
Defer現時点で特に行うことはない現時点で特に行うことはない

ここではDeployer Decision ModelをもとにA社がどのようにパッチを適用すべきか検討してみましょう。

まず、Bさんは上司に相談したうえで、前述した3つの要素、「脆弱性を持つアセットが置かれている環境」、「事業継続性への影響」、「社会や社内への影響度」を定義していく必要があります。また、この定義に当たっては実際の環境や利用用途、部門内のリソースなどをよく知っているインフラチームや開発部といった当事者、つまりステークホルダーの関与(少なくとも承認)が必要となってきます。このほかに優先順位付けの結果、”Immediate”や”Out-of-Cycle”が出た場合の対応プロセスも用意しておく必要があります。Bさん1人で何かできることはそれほど多くはなく、社内のステークホルダーへの聞き取りや経営層への説明、必要なプロセスの準備と合意形成など、上司や部門全体も含めて組織的に取り組まなければならないといえます。さらに、Bさんは脆弱性自体が持つ以下の要素を調べる必要があります。

脆弱性が持つ要素

自動化の可能性

攻撃者がツール化して脆弱性を悪用するかどうかを判定するものとなります。これは攻撃者がツール化した場合、攻撃者間でツールの売買が行われるなど汎用的に悪用される可能性があるため、把握が必要な要素となります。一部の脆弱性はCISA VulnrichmentやCVSS4.0のSupplement MetricsのAutomatableの値が参照できますが、情報の参照先がないものについてはPoCの有無やPoCの内容から自動化の可否を判断する必要があります。この点はSSVC利用の難点として挙げられることもあります。

悪用の状況

実際に攻撃されていることを示すActive、PoCのみを示すPoC、悪用されていないことを表すNoneの3つに分類されます。この情報は時間の経過とともに変化する可能性が最も高く、逐次状況を確認する必要があります。情報の参照先は、KEVカタログ、CISA VulnrichmentのExploitationの値、CVSS4.0のThreat MetricsやNVDのReferenceのPoCの有無といったものが利用できます。唯一難点があるとすれば、日本国内でシェアの高い国内メーカー機器の情報がKEVカタログやCISA Vulnrichmentなどにあまり反映されない点にあります。

まとめ ~CVSSとSSVCの活用~

これまではCVSSが高い値のものだけ対処していた、という組織も多いでしょう。CVSSは脆弱性の単体評価ができ、脆弱性が広く悪用された場合の深刻度を測るための評価システムです。ただし、その脆弱性が存在するアセットがどのように利用されているか、そのアセットが業務継続性や運用保守、ひいては社会全体に対してどのような影響を与えるかといった観点が欠けていることが長らく問題視されてきたのも事実です。

脆弱性管理は手間がかかる、登場人物が多い、意見がまとまらないといったこともあるでしょうし、「自動化の可能性とかわからないし、攻撃の状況をずっと見ているほどの時間の余裕はない!」といった様々なお声があるかと思います。しかし、今この瞬間どの企業がいつサイバー攻撃を受けるのか全く見当もつかない状況の中、少しでもリスクを回避したい、どこにリスクがあるのか手がかりをはっきりしておきたいという企業の皆さまもいらっしゃるかもしれません。本記事を通じて、こういった脆弱性管理手法があることを知っていただき、活用することでリスク回避ができるようになるための役立つ情報提供となれば幸いです。

参考情報:


公開日:2024年9月10日
更新日:2026年5月13日

編集責任:木下

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2026年1Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析

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2026年1Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析

米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)から公開されている「KEVカタログ(Known Exploited Vulnerabilities)」は、実際に攻撃に悪用された脆弱性の権威あるリストとして、組織のセキュリティ対策の優先順位付けに不可欠なツールとなっています。本記事では、KEVカタログに2026年1月1日~3月31日に登録・公開された脆弱性の傾向を整理・分析します。

本記事は2025年1Q:第1四半期~4Q:第4四半期の分析レポートに続く記事となります。過去記事もぜひあわせてご覧ください。
2025年1Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析

はじめに

2025年4Qを対象とした前回記事
では、KEVカタログへ追加された62件のCVEを分析し、「実際に悪用された脆弱性」をどのように運用へ落とし込むべきかを整理しました。本稿はその続編として、2026年1月〜3月にKEVへ追加された71件を主対象に分析します。さらに、4月中旬までに追加された11件については速報として別枠で扱います。

2026年1Qの統計データ概要

2026年1Qに新規登録された脆弱性は以下の通りです。

件数
1月 17
2月 28
3月 26

2026年1QにKEVへ追加された件数は71件でした。前回4Qの62件から増加しています。2〜3月にかけて増加傾向がみられ、2025年4Qでみられた「10月集中型」とは異なる波形を示しています。前回のような単月集中型ではなく、継続的に悪用済み脆弱性が追加された四半期だったと言えます。

主要ベンダー別の内訳

ベンダー 件数
Microsoft 12
Apple 7
Cisco 4
Synacor 3
SolarWinds 3
Google 3
SmarterTools 3

ベンダー別では、Microsoftが継続して最多となった一方、Apple関連脆弱性が大きく増加した点が今期の特徴です。また、SmarterMailやSolarWinds Web Help Deskなど、管理系・運用系製品の継続的な掲載も目立ちました。これは、攻撃者が単なるユーザー端末だけでなく、「管理面」や「運用基盤」そのものを重点的に狙っていることを示しています。

脆弱性タイプ(CWE)の分布

CWE 件数
CWE-94(コードインジェクション) 7
CWE-502(不適切なデータ逆シリアル化) 5
CWE-78(OSコマンドインジェクション) 4
CWE-288(認証回避) 4
CWE-918(サーバサイドリクエストフォージェリ(SSRF)) 4

今期は特に、「認証境界を越えて管理権限を奪う」タイプの脆弱性が増加しています。特にCWE-94やCWE-502は、外部公開された管理系製品と組み合わさることで、一気に侵害の起点になり得ます。

攻撃の自動化容易性(Automatable)

自動化攻撃が容易である「Yes」と分類された脆弱性は30件となっていました。つまり、多くの脆弱性が「自動化された攻撃」に利用されやすい状況にあると言えます。攻撃者側のスキャン・悪用速度が上がっている現在、公開管理面を持つ資産では特に短期間で侵害へ至るリスクがあります。

技術的影響範囲(Technical Impact)

「Total」(=脆弱性を突かれるとシステムを完全制御されてしまう深刻な影響を持つもの) が62件、partialは9件であり、大部分が侵害後に広範な影響を与えるタイプでした。

CVSSスコア分布

区分 件数
Critical 30
High 34
Medium 7

CVSS帯では、9.0以上の「Critical(緊急)」帯が30件、7.0~8.9の「High(高)」帯が34件と、高危険度が大半を占めました。

CISAはKEVカタログを、「実際に悪用された脆弱性の権威ある一覧」と位置づけています。つまり、KEVに掲載された時点で、すでに攻撃者による実利用が確認されているということです。そのため、CVSSだけではなく、インターネット露出、ランサムウェア悪用確認、対応期限(dueDate)、自動化容易性(Automatable)などを踏まえた実務的な優先度付けが求められます。

CVSSスコアの基本的な考え方と、企業の脆弱性対応判断にどう活かすべきか、以下の記事で整理しています。ぜひこちらもあわせてご覧ください。
CVSSスコアの正しい使い方 ―脆弱性対応の判断にどう活かすべきか―

実際にランサムウェア攻撃に悪用された脆弱性

実際にランサムウェアに悪用されたと判明しているのは前回3件から今回4件と増加しており、「公開後すぐに武器化される」傾向がさらに強まっています。

前回四半期との比較

指標 2025年4Q 2026年1Q
KEV追加件数 62 71
Critical 24 30
ランサムウェア悪用確認 3 4
2024年以前のCVE 継続多数 17

単純な件数増だけでなく、「古い脆弱性が今も悪用され続けている」ことが重要です。2024年以前のCVEが17件含まれており、未更新資産やレガシー運用が依然として攻撃対象であり続けている現実が見えてきます。

また、2025年4Qではメモリ破壊や権限管理不備が目立ったのに対し、2026年1Qでは境界突破型の脆弱性が増加しています。これは、攻撃者が単純な破壊活動やDoS攻撃ではなく、「運用基盤そのものを掌握する」方向へ重点を移していることを示唆しています。

注目の個別脆弱性ケーススタディ

Cisco ― CVE-2026-20131

CiscoのCVE-2026-20131は、今期を象徴する脆弱性の一つです。無認証・ネットワーク経由・root権限でのリモートコード実行が可能であり、ランサムウェア悪用も確認されました。さらに、KEV追加から対応期限までが極めて短く、緊急対応が必要なケースでした。*1

この事例が示しているのは、「インターネット公開された管理面は、最優先で閉じるべき」という点です。VPN、ファイアウォール、管理コンソールなどの境界機器は、一度侵害されると内部ネットワーク全体への踏み台になります。

BeyondTrust ― CVE-2026-1731

BeyondTrustのCVE-2026-1731は、特権アクセス管理やRemote Support(遠隔サポート)基盤が侵害された場合の危険性を示した事例です。セルフホストかつインターネット向けな構成では、侵害後に横展開が容易になり、被害範囲が急速に拡大します。*2

特に、管理者権限を扱う製品は「通常業務システムより優先して守るべき対象」です。業務停止だけでなく、認証情報窃取や内部侵入の起点になる可能性が高いためです。

SmarterMail

SmarterMail関連では、複数のCVEが短期間で継続的に追加されました。重要なのは、「一度アップデートしたから安全」という状況ではなかった点です。複数ビルドに対して連続的にcritical fixが提供されており、更新追随そのものが運用課題になっていました。

実際にSmarterTools自身も、未更新VMが侵害起点だったことを認めています。*3これは、「資産を把握していても、更新追随に失敗すると侵害される」という教訓を示しています。

Trivy

Trivyのケースは、開発者やSRE (Site Reliability Engineering)にとって重要です。この事例では、GitHub Actionsタグ改ざんやsetup-trivy置換を通じて、供給網経由の侵害が発生しました*4。つまり、防御ツールそのものが攻撃経路へ変化したということです。

このケースは、「脆弱性管理はOSやミドルウェアだけでは終わらない」ことを示しています。GitHub ActionsのSHA pinning、SBOM管理、シークレットローテーションなど、CI/CD全体の完全性確認が重要になります。

影響評価とリスク優先度付け

KEV対応では、「CVSSが高いから即P1」といった単純な判断は適切ではありません。実務では、実際に自社資産が存在するか、インターネットへ公開されているか、ランサムウェア悪用が確認されているか、対応期限が短いか、といった条件を重ねて優先度を決める必要があります。今回の記事では、実務運用を想定して、以下の4段階で整理します。

優先度 条件 対応目安
P1(変更管理より封じ込めを優先するレベル) インターネット公開 / ランサムウェア悪用確認 / 対応期限≤3日 即日〜72時間
P2(週内対応を前提) 自動化攻撃が容易 / 技術的影響範囲(Technical Impact)「Total」 1週間以内
P3(計画停止枠) 露出限定・代替統制あり 対応期限まで
P4(継続監視対象) 未利用・廃止済み 継続監視

KEV対応では、CVSSスコアだけでなく、実際の悪用状況やインターネット露出、業務影響を踏まえた優先順位付けが重要になります。こうした「何を先に直すべきか」を判断する考え方については、SSVCを用いた脆弱性管理と優先順位付けの解説記事でも詳しく紹介しています。
脆弱性診断は受けたけれど ― SSVCで考える「脆弱性管理」と優先順位付け

まとめ

2026年1QのKEV分析では、「件数増加」そのものよりも、「どの資産が継続的に狙われているか」が明確になりました。特に、境界機器、管理基盤、メール基盤、CI/CDといった“運用の中枢”が攻撃対象になっています。共通しているのは、「攻撃者は管理面を狙う」という点です。

KEVは、もはや単なる高CVSS一覧ではありません。「実際に悪用された脆弱性を、限られた時間でどう優先対応するか」を判断するための、実務上の最重要リストになっています。

【参考情報】


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