SQAT® Security Report 2023-2024年秋冬号
BBSecの脆弱性診断
BBSecのシステム脆弱性診断は、独自開発ツールによる効率的な自動診断と、セキュリティエンジニアによる高精度の手動診断を組み合わせて実施しており、高い網羅性とセキュリティ情勢を反映した診断を実現するため、セキュリティエンジニアおよびセキュリティアナリストが高頻度で診断パターンを更新し、診断品質の維持・向上に努めている。検出された脆弱性に対するリスク評価のレベル付けは、右表のとおり。
脆弱性診断サービスの基本メニューである「Webアプリケーション脆弱性診断」・「ネットワーク脆弱性診断」の2023年上半期(1月~6月)実施結果より、セキュリティ対策の実情についてお伝えする。
2023年上半期診断結果
Webアプリ/NW診断実績数
2023年上半期、当社では12業種延べ553企業・団体、3,396システムに対して、脆弱性診断を行った(Webアプリケーション/ネットワーク診断のみの総数)。
9割のシステムに脆弱性
「Webアプリケーション診断結果」の棒グラフのとおり、Webアプリケーションに おいて、なんらかの脆弱性が存在するシステムは9割前後で推移を続けている。検出された脆弱性のうち危険度レベル「高」以上(緊急・重大・高)の割合は17.5%で、6件に1件近い割合で危険な脆弱性が検出されたことになる。
一方、ネットワーク診断では、なんらかの脆弱性があるとされたシステムは約半数だったが、そのうちの危険度「高」レベル以上の割合は23.8%で、5件に1件以上の割合であった。
以上のとおり、全体的な脆弱性検出率については、前期と比較して大きな変化はない。当サイトでは、「2023年上半期カテゴリ別脆弱性検出状況」とし、検出された脆弱性を各カテゴリに応じて分類しグラフ化している。
Webアプリケーション診断結果
高リスク以上の脆弱性ワースト10
リスクレベル高以上の脆弱性で検出数が多かったものを順に10項目挙げてみると、下表のような結果となった。
長年知られた脆弱性での攻撃
「Webアプリ編」について、1位、2位は前期同様「クロスサイトスクリプティング(以降:XSS)」と「HTMLタグインジェクション」となった。3位以下は、脆弱性項目は前期からあまり変化はないものの、「SQLインジェクション」が順位を上げた。
3位の「サポートが終了したバージョンのPHP使用の可能性」など、サポートが終了したバージョンのコンポーネント(プログラム言語、ライブラリ等)の使用がワースト10の4項目を占めている。サポート終了とはすなわち、新たに脆弱性が発見された場合でもコンポーネントの提供元は基本的に対処しないということであり、危殆化に対する利用者側での対策が困難となるため、継続利用は危険である。例えば、サポートが終了した製品についての脆弱性情報の公開が契機になり、攻撃コードが公開され、攻撃が活発化することも考えられる。最新バージョンへのアップデートを迅速に、定期的に実施すべきである。
ネットワーク診断結果
高リスク以上の脆弱性ワースト10
ネットワーク診断結果に関しても、リスクレベル高以上の脆弱性で検出数が多かったものを順に10項目挙げてみると、下表のような結果となった。
アクセス制御が不適切な認証機構の検出がランクイン
「ネットワーク編」のワースト10については、ワースト4までが前期と変わらず、5位、6位は順入れ替えという結果で、あまり大きな変動は見られなかったが、8位の「アクセス制御が不適切な認証機構の検出」が前期圏外からランクインした。「アクセス制御が不適切な認証機構」には、特権アカウントやデフォルトアカウント等を使用してログインできる脆弱性も含まれる。特権アカウントがデフォルトのまま、もしくは推測されやすい認証情報で設定されていた場合はさらに危険である。デフォルトアカウントやデフォルトパスワードを使用せず、推測されにくい複雑なパスワードを設定することや、ログイン画面に対するアクセスを強固に制御すること、特権アカウントは必要最小限のユーザにのみ付与することなどが推奨される。
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