
概要
海外5か国(米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ)で構成されたFive Eyesによる共同調査で、2023年、特に深刻な影響を与えた脆弱性15件が特定されました。本記事では、該当の脆弱性をカテゴリ別に分類して展開。効果的な脆弱性対策についてご説明します。
脆弱性の分類と影響度
ネットワークインフラストラクチャ関連
・Cisco IOS XE
1.CVE-2023-20198
2.CVE-2023-20273
影響:特権昇格、リモートコード実行
深刻度:Critical (CVSS: 9.8)
・Citrix NetScaler
3.CVE-2023-3519
4.CVE-2023-4966
影響:認証バイパス、情報漏洩
深刻度:Critical (CVSS: 9.1)
VPNおよびリモートアクセス関連
・Fortinet FortiOS/FortiProxy SSL-VPN
5.CVE-2023-27997
影響:認証バイパス
深刻度:Critical (CVSS: 9.3)
データ管理システム
・MOVEit
6.CVE-2023-34362
影響:SQLインジェクション
深刻度:Critical (CVSS: 9.8)
・Atlassian Confluence
7.CVE-2023-22515
影響:特権昇格
深刻度:Critical (CVSS: 10.0)
ロギング・監視システム
8.CVE-2021-44228
影響:リモートコード実行
深刻度:Critical (CVSS: 10.0)
特記:脆弱性「Log4Shell」として広く知られ、長期的な影響が継続
セキュリティアプライアンス
・Barracuda ESG Appliance
9.CVE-2023-2868
影響:リモートコード実行
深刻度:Critical (CVSS: 9.8)
特記:バックドアの埋め込みリスクあり
システム管理ツール
・Zoho ManageEngine
10.CVE-2022-47966
影響:認証なしリモートコード実行
深刻度:Critical (CVSS: 9.8)
特記:複数の製品に影響
印刷管理システム
・PaperCut MF/NG
11.CVE-2023-27350
影響:リモートコード実行
深刻度:Critical (CVSS: 9.8)
特記:認証バイパスによる特権昇格の可能性
Windows環境
・Microsoft Netlogon
12.CVE-2020-1472
影響:ドメイン特権の昇格
深刻度:Critical (CVSS: 10.0)
特記:Zerologon脆弱性として知られる
継続的インテグレーション/デプロイメント
・JetBrains TeamCity
13.CVE-2023-42793
影響:認証バイパス
深刻度:Critical (CVSS: 9.8)
特記:ビルドシステムへの不正アクセスのリスク
メールクライアント
・Microsoft Office Outlook
14.CVE-2023-23397
影響:特権昇格、NTLM資格情報の漏洩
深刻度:Critical (CVSS: 9.8)
特記:標的型攻撃で悪用される可能性が高い
クラウドストレージ
・ownCloud graphapi
15.CVE-2023-49103
影響:認証バイパス
深刻度:High (CVSS: 8.8)
特記:データアクセス制御の迂回が可能
脆弱性カテゴリ別の分布分析
上記の脆弱性を分析すると、以下のような特徴がみられます。
攻撃タイプの傾向
- リモートコード実行: 38%
- 認証バイパス: 31%
- 特権昇格: 23%
- その他: 8%
影響を受けるシステム領域
- ネットワークインフラ: 31%
- アプリケーションサーバー: 23%
- セキュリティ製品: 15%
- エンドユーザーアプリケーション: 31%
対策の優先度付けのポイント
- クライアントアクセス性: 高い順
- パッチ適用の容易さ: 考慮が必要
- ビジネスインパクト: 重要度評価
- 実現可能な緩和策の有無
推奨される対策措置
組織のセキュリティ責任者向け
即時対応が必要な施策
- 重要システムの脆弱性評価の実施
- パッチ適用計画の策定と実行
- セキュリティ監視の強化
中期的な対策
セキュリティツールの導入・更新
- DR(エンドポイント検知・対応)システム
- WAF(Webアプリケーションファイアウォール)
- ネットワーク監視・分析ツール
開発者・ベンダー向けガイドライン
設計フェーズでの対策
- SP 800-218に基づくSSDF(安全なソフトウェア開発フレームワーク)の導入
- DevSecOpsの実践によるセキュリティシフトレフト
実装フェーズでの対策
- セキュアコーディング規約の徹底
- 継続的なセキュリティテストの実施
運用フェーズでの対策
- 脆弱性開示プログラムの確立
- インシデント対応体制の整備
リスク軽減のためのベストプラクティス
システム管理者向け
- 定期的な脆弱性スキャンの実施
- パッチ管理の自動化
- セキュリティ設定の定期監査
エンドユーザー向け
- セキュリティ意識向上トレーニング
- インシデント報告手順の周知
- アクセス権限の定期見直し
まとめ
これらの脆弱性に対する効果的な対策には、組織全体での継続的な取り組みが不可欠です。本レポートで示した対策を確実に実施し、定期的な見直しと更新を行うことで、セキュリティリスクの最小化を図ることができます。
注)本記事に記載されている脆弱性情報やPoCの取り扱いには十分な注意を払い、悪用防止に努めてください。
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