
近年、航空機のセキュリティはますます厳しくなってきています。しかし、私たちが安心して空の旅を楽しんでいる裏側で、実は深刻なセキュリティ問題が潜んでいることをご存知でしょうか?この度、イアン・キャロルとサム・カリーは、空港のセキュリティシステムに存在する重大な脆弱性を発見しました。この脆弱性を悪用すると、誰でも簡単に航空会社の乗組員になりすまし、セキュリティチェックなしで機内に乗り込むことが可能になります。さらには、コックピットへの不正侵入もできてしまうのです。
KCMシステムとは?
KCM(Known Crewmember)システムは、航空会社の乗務員がスムーズに空港のセキュリティチェックを通過できるようにするためのシステムです。乗務員は、特別なバーコードやIDを提示することで、通常のセキュリティ検査を免除されることができます。
脆弱性の発見
イアン・キャロルとサム・カリーが注目したのは、KCMシステムを運営しているベンダーの一つであるFlyCASSという会社でした。FlyCASSのシステムには、SQLインジェクションという脆弱性が存在しており、この脆弱性を利用することで、誰でもシステムに不正にアクセスし、乗組員の情報を自由に書き換えたり、新しい乗組員を追加したりすることが可能になっていました。
問題の深刻さ
この脆弱性がもたらす影響は計り知れません。
- セキュリティの崩壊: 航空機のセキュリティの根幹を揺るがすものであり、テロなどの悪質な行為に悪用される可能性も否定できません。
- 乗客の安全への脅威: 不正に機内に乗り込んだ人物が、機内で暴れたり、機体を操作したりする可能性も考えられます。
- 航空業界への信頼の失墜: このような重大なセキュリティ問題が発覚した場合、航空業界全体の信頼を失墜させ、人々の航空機に対する不安感を煽る可能性があります。
開示とその後
イアン・キャロルとサム・カリーは、この問題の深刻性を認識し、速やかに関係各機関に報告しました。しかし、残念ながら、問題の修正には時間がかかり、また、関係各機関からの対応も遅々として進まなかったという現状があります。
対策
この問題を解決するためには、以下の対策が急務です。
- 脆弱性の迅速な修正: FlyCASSをはじめとする関連企業は、脆弱性を早急に修正し、システムの安全性を確保する必要があります。
- セキュリティ意識の向上: 航空業界全体で、セキュリティに対する意識をより一層高め、定期的なセキュリティ監査を実施する必要があります。
- 法整備の強化: 航空機のセキュリティに関する法整備を強化し、このような事態が再び起こらないようにする必要があります。
まとめ
今回の発見は、航空業界のセキュリティシステムを信頼しきってはいけないことを示すものであり、私たちに大きな警鐘を鳴らしています。私たちは、この問題をきっかけに、より安全な航空業界の実現に向けて、社会全体で取り組んでいく必要があるでしょう。
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