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企業のセキュリティチームに所属するシステム開発担当者や情報システム担当者の皆様、日々のCVEスキャンから大量に届く誤検知セキュリティアラートに疲弊していませんか?本記事では、セキュリティアラートのノイズを抑えつつ真のリスクを見極める4つの解消策をご紹介します。
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夜な夜な鳴りやまぬアラートの洪水 ―その深刻度とは
セキュリティチームのもとに届くアラートは、現代の組織にとってまさに“第二のメール地獄”です。OX Security「2025 Application Security Benchmark」によると、178社を対象に90日間で収集したアプリケーションセキュリティ検出は1億1,344万件。組織当たり平均56万9,354件のアラートが発生し、そのうち97.92%が情報提供レベルの”ノイズ”と判定されていました。しかしこのノイズを「完全無視」していいわけではありません。“98%ノイズ”の山が、まさに今日のセキュリティ担当者に襲いかかる「アラート疲れ」の正体です。
アラートノイズの裏側 ―過剰検知はなぜ起きるのか
自動化されたCVEスキャンは、不用意な誤検知を生む温床でもあります。たとえば、実際には運用環境でまったく使われていないライブラリに含まれるCVEが検出されるケースは後を絶ちません。パッケージ名の不一致や一時的なテスト用モジュールまでスキャン対象になることで、対応すべき脆弱性は雪だるま式に膨らみます。しかもその大半は、理論上は脆弱だが現実には悪用困難という状態であることも多いのです。
さらに、全警告のうち修正プログラムが提供されている緊急(Critical)または高(High)レベルの脆弱性でも、本番環境で実際にシステムに読み込まれているケースは15%にすぎないという調査結果もあります。これは「コードが稼働していない部分にまで対応コストをかける必要はない」というフィルタリングの重要性を裏付けています。
危機回避の“4つのロジック” ―全アラートを見逃さない仕組み
脅威の対応優先度付け(インテリジェント・トリアージシステム)
単にCVSSやCVEの有無で判断せず、実際に稼働中のパッケージか、修正プログラムが公開済みか、さらにCISA「Known Exploited Vulnerabilities Catalog」(KEVカタログ)に含まれるかを加味したスコアリングを実施します。これにより、“実際に悪用観測済みの脆弱性”を浮き彫りにします。また、その脆弱性が業務サービスに与える影響度やEPSS(Exploit Prediction Scoring System)スコアなども考慮することで、真のリスクを見極めることができます。
関連記事:
「CVEとは?共通脆弱性識別子の基本と管理方法を徹底解説」
継続的モニタリングとサンプリング検証
「低リスク」と判定された98%のノイズアラート群も完全に放置せず、週次または月次でランダムに抽出して再評価するプロセスを自動化します。依存関係の更新や新たなエクスプロイトコードの公開時など、環境変化を捉えて警戒レベルの見直しを行うことが重要です。
開発者担当者への具体的な修正内容の提示
抽象的なアラート表示ではなく、「どのファイル/行に、どういうコード修正を行うべきか」「修正後に再スキャンする手順まで」をワンストップで提示する仕組みを構築します。これにより、実装者の心理的負荷とやり取りコストを大幅に削減できます 。
ノイズ検証率のKPI化
リスクレベル低のアラートのうち、何%が再評価済みかをダッシュボード化し、未検証の放置時間がどれくらいかを把握しておきます。これは経営層への報告資料としても説得力を持ち、ただ脆弱性を放置しているわけではない、ということを定量的に示す指標になります。
“放置”ではなく“最適化” ―次世代アラート管理へ
Cybereasonが警鐘*2を鳴らすように、アラート疲れは「静かなる流行病」として組織の防御力をじわじわ蝕みます。しかし、適切なフィルタリングと分析を体系化し、継続的に検証する仕組みを整えれば、98%の“ノイズ”も真のリスクになる前に安全性を担保でき、残り2-5%のより緊急性の高いアラートへの対応を優先することができます。
今日からでも始められるのは、AI/ルールベースの自動トリアージツールの導入と、ノイズ検証サイクルの設計です。これこそが、セキュリティチームと開発チーム双方の疲弊を防ぎ、アプリケーションの安全性を確実に高める鍵となるでしょう。


【参考情報】
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