武蔵小杉病院へのランサムウェア攻撃 ―第2報から読み解くランサムウェア侵入経路と影響範囲―

Share
「武蔵小杉病院へのランサムウェア攻撃 ―第2報から読み解くランサムウェア侵入経路と影響範囲―」アイキャッチ画像

2026年2月、日本医科大学武蔵小杉病院は「院内の医療情報システムの一部がランサムウェア攻撃を受け、障害が発生した」こと、そしてそれに伴い患者の個人情報漏洩が確認されたことを公表しました*1。病院の発表は「第2報」という位置づけで、被害範囲、時系列、侵入経路、当面の診療体制、相談窓口までが具体的に示されています。まず強調したいのは、憶測で語られがちな“病院のサイバー攻撃”を、ここでは病院自身が明言した事実ベースで解説する点です。本記事では今回の公表内容(第2報)を中心に、医療機関サイバーセキュリティの観点で「何が起きたのか」「なぜ起きやすいのか」「利用者は何に気を付けるべきか」をわかりやすくまとめます。

侵入経路は“医療機器保守用VPN装置”

病院の第2報で明記された「攻撃を受けたシステム」は、ナースコールシステムのサーバー3台です。ナースコールは入院患者が看護師を呼ぶための仕組みとして広く知られていますが、その裏側では端末やサーバーが稼働し、運用上の都合から患者情報と結び付いているケースも珍しくありません。今回、病院は当該サーバーがランサムウェア攻撃を受けたことを認め、さらに調査の結果として「侵入経路は医療機器保守用VPN装置であった」ことが確認されたとしています。

ここでいうVPN装置は、医療機器メーカーなどが遠隔で保守作業を行う目的で用いられることが多い仕組みです。便利な一方で、通常のIT統制の枠外に置かれやすいのが現実です。たとえば、病院の標準的なIT統制から外れた管理になっていたり、資産管理やパッチ適用、アクセス制御、多要素認証などの基本対策が後回しになっていたりします。厚生労働省も注意喚起の中で、VPN装置を含むゲートウェイ機器の脆弱性対策、管理インターフェースのアクセス制限、認証強化などを重要ポイントとして挙げています。今回の発表内容は、まさにその“急所”が突かれ得ることを示す事例として受け止めるべきでしょう。

漏洩した個人情報

病院は、漏洩が確認された個人情報の項目として、氏名、性別、住所、電話番号、生年月日、患者IDを挙げています。また、漏洩が確認された人数は「約1万人」で、これは2026年2月14日11時時点の確認値だとされています。一方で、患者が特に気にすると考えられる医療内容そのものについて、病院は「カルテ情報」の漏洩は現時点で確認されていないと明記しています。さらに、クレジットカード情報、マイナンバーカード情報についても、現時点では漏洩確認がないとしています。ここは不安を抱く利用者にとって重要なポイントです。ただし、ここでの注意点は「現時点では確認されていない」という表現が示す通り、調査が進む過程で情報が更新される可能性がゼロではないことです。病院も、仮に漏洩拡大が判明した場合はホームページで速やかに報告するとしています。

いつ気づき、どう動いたのか

第2報には、攻撃を認識した日時と経緯が日付単位で整理されています。最初の兆候は2026年2月9日午前1時50分頃、病棟のナースコール端末が動作不良となり障害を把握したことでした。その後、ナースコールシステムのベンダー調査により、サーバーがランサムウェア攻撃を受けたことが判明したとされています。病院は当該システムと関連ネットワークを遮断し、同日に文部科学省、厚生労働省、所轄警察へ報告したと公表しています。

続く2月10日には、厚生労働省の初動対応チームの派遣要請を行い、外部接続ネットワークを遮断してサーバー保全を開始。2月11日には初動対応チームの調査により、当該サーバーが院外と不正通信を行い、患者の個人情報を窃取していたことを確認したとされています。さらに、電子カルテを含む他の医療情報システムへの影響調査、外部接続ネットワーク機器の脆弱性や設定の調査も開始した、と時系列で説明されています。2月12日に個人情報保護委員会へ報告し、2月13日には漏洩した患者へ郵送でのお詫び連絡を開始した、と続きます。

この流れを見ると、ポイントは二つあります。ひとつは「障害として最初に見えた」こと、もうひとつは「通信ログ等の調査で情報窃取の事実確認に至った」ことです。ランサムウェアは“暗号化して身代金要求”のイメージが強い一方で、近年は暗号化だけでなく情報窃取を組み合わせ、二重三重の脅迫に発展するケースが問題視されてきました。今回の発表でも「不正通信」と「窃取」が明確に言及されており、病院がそこを重要事実として公表している点は見落とせません。

病院業務は止まったのか

医療機関へのサイバー攻撃で最も懸念されるのは、診療の停止や救急の受け入れ停止など、医療提供体制への影響です。今回、病院は2026年2月14日時点で、外来、入院、救急受け入れはいずれも通常通り実施していると説明しています。また「他の医療情報システムへの影響は現時点では確認されていない」とし、病院業務は通常通りと明記しています。

ここで大事なのは、“通常通り”という言葉の解釈を膨らませすぎないことです。病院が示したのは、その時点で確認できている範囲の診療体制であり、現場では臨時対応や負荷増が起きている可能性はあります。ただ、少なくとも公表文の事実としては、全面停止や救急停止を示す記述はなく、「止めずに継続している」という説明が中心です。

病院がとった封じ込めと復旧対応

第2報の中で、病院は「当該システム及び外部との通信を一切遮断し、専門家や電子カルテベンダーと共に、他のシステムへの影響について詳細な現況調査を継続して実施しております。」とし、原因となったランサムウェアの特定を完了し、「ウイルス対策ソフト会社より提供された最新のパターンファイルを用いて、現在、院内全域でのウイルス駆除作業を実施しております。」と説明しています。

サイバーインシデント対応として見ると、ここには典型的な優先順位が現れています。まず“広げない”ための遮断、次に“証拠を残す”ための保全、その上で“横展開の確認”として他システム影響調査、そして“回復”のための駆除作業です。特に医療機関では、電子カルテだけ守っても安全とは言い切れません。ナースコールのような周辺系、委託業者や医療機器ベンダーの保守経路、ネットワーク機器設定など、境界にある仕組みが狙われると、想定外の入口になります。私たちが特に注目すべきと考えるのは、医療機器保守用VPN装置が侵入経路として公表された点です。これは医療機関のセキュリティ対策が“例外管理”に弱いことを改めて突き付けています。

詐欺・なりすましへの警戒

今回漏洩が確認された情報には、氏名、住所、電話番号、生年月日が含まれます。これは、金融情報そのものではない一方で、なりすまし、勧誘、フィッシング、特殊詐欺の“材料”として悪用されやすい属性情報です。病院は、漏洩した患者に対して「直接連絡する」とし、実際に2月13日から郵送によるお詫び連絡を開始したと公表しています。したがって利用者側の現実的な対策は、まず「病院から届く郵送物や案内」を冷静に確認し、連絡先や手続きが公表内容と整合するかを見極めることです。そして電話やSMS、メールで“病院を名乗る連絡”が来た場合、いきなり個人情報を追加で伝えたり、リンクを開いて入力したりせず、病院が設置した問い合わせ窓口など、公式に案内された経路へ折り返し確認するのが安全です。病院は本件の相談・問い合わせ専用窓口(専用ダイヤルの複数回線やフリーダイヤル運用開始予定)を案内していますので、確認の際はそうした公式窓口を使うのが基本になります。

よくある疑問:電子カルテは大丈夫なのか、身代金は払ったのか

「電子カルテは大丈夫なのか」という疑問に対しては、病院の公表では、「他の医療情報システムへの影響は現時点では確認されていない」とされています。つまり、“影響なし”と断定しているというより、調査継続の前提で“少なくとも現時点の確認では影響が見つかっていない”という説明です。ここは言葉通りに受け止め、今後の更新を注視するのが適切です。

「身代金を払ったのか」という点については、第2報の本文からは読み取れません。少なくとも病院は、侵入経路、漏洩項目、診療状況、当局報告、遮断・調査・駆除といった事実を中心に説明しており、金銭要求や支払いに関する記載は確認できません。ここで外部の憶測を混ぜると正確性が落ちるため、本記事では触れません。

なぜ医療機関は狙われるのか:つながる医療機器

医療機関のサイバー攻撃を考えるとき、電子カルテだけを守ればよいという発想は危険です。病院には、医療機器、保守用回線、委託業者のネットワーク接続、建物設備、ナースコールのような周辺システムまで、多様な“つながる仕組み”があります。しかも医療の現場は24時間止められず、更新・停止・入れ替えが難しい機器も少なくありません。結果として、VPN装置のような境界機器が古い設定のまま残りやすかったり、管理者が限定されて全体の統制が効きにくかったりします。

厚生労働省の注意喚起でも、VPN装置を含むゲートウェイ機器の脆弱性対策を迅速に行うこと、管理インターフェースのアクセス制限を行うこと、多要素認証などで認証を強化すること、資産(IoT機器を含む)の把握を行うことが示されています。武蔵小杉病院の件で侵入経路が医療機器保守用VPN装置である、と公表されたことは、これらが“机上の理想”ではなく、現実の被害と直結する論点であることを、改めて裏付ける材料になっています。

企業・組織側が学ぶべき教訓:VPNと保守経路の統制はセキュリティの“盲点”

今回の公表内容から読み取れる最大の教訓は、保守のための例外的な経路を放置しないことです。医療機関に限らず、製造業、ビル管理、自治体、教育機関などでも、ベンダー保守用VPNは現場の利便性を理由に残りやすく、監査や更新の網から漏れがちです。だからこそ、ネットワーク図に載っていない接続点、ベンダーしか触れない装置、管理台帳にない機器といった“影の資産”を可視化し、アクセス制御、ログ監視、脆弱性対応、認証強化、契約と運用ルールの整備まで含めて統制する必要があります。また、今回病院が行ったように、初動で外部接続を遮断し、当局に報告し、初動対応チームや専門家と連携しながら調査と封じ込めを進めることは、医療機関のインシデントレスポンスとして重要です。平時から、遮断判断の基準、連絡系統、証拠保全の手順、ベンダー連携の契約条項、代替運用を準備しておかなければ、同じ判断を迅速に実行するのは難しくなります。

まとめ

日本医科大学武蔵小杉病院の公表によれば、今回のサイバー攻撃はナースコールシステムがランサムウェア攻撃を受けたことに端を発し、医療機器保守用VPN装置が侵入経路として確認され、患者の個人情報が窃取されたとされています。漏洩は約1万人、項目は氏名や住所、電話番号、生年月日、患者IDであり、カルテ情報やクレジットカード情報、マイナンバーカード情報の漏洩は現時点で確認されていない、というのが病院の説明です。

“病院のサイバー攻撃”という言葉は刺激的ですが、重要なのは、どのシステムが攻撃され、どの経路が弱点になり、どんな情報が漏洩し、利用者と組織が何に備えるべきかを、事実に即して理解することです。今回の事例は、電子カルテ以外の周辺システムも含めた医療機関サイバーセキュリティの必要性、そしてVPN装置や保守経路を例外扱いしない統制の重要性を、強く示しています。今後も病院の続報で情報が更新される可能性があるため、一次情報の確認を前提に、過度な憶測ではなく、現実的な警戒と備えにつなげることが肝要です。

サイバーインシデント緊急対応

セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
SQAT緊急対応バナー

ウェビナー開催のお知らせ

  • 2026年3月4日(水)14:00~15:00
    脱PPAP対策、添付ファイル運用、本当に最適ですか? ―添付するだけで自動分離。運用を変えない選択肢―
  • 2026年3月18日(水)14:00~15:00
    2026年、企業が直面するサイバー脅威 ― IPA 『情報セキュリティ10大脅威 2026』から考える対応戦略 ―
  • 2026年4月15日(水)14:00~15:00
    AI時代のサイバー脅威最前線 ― IPA『情報セキュリティ10大脅威2026』から学ぶ防御戦略 ―
  • 最新情報はこちら

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか ―サプライチェーン攻撃を防ぐ実務判断―

    Share
    「委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか:サプライチェーン攻撃を防ぐ実務判断」アイキャッチ画像

    サプライチェーン攻撃のリスクを前に、「委託先のセキュリティはどこまで確認すべきなのか」と悩む担当者は少なくありません。すべてを完璧に把握することは現実的ではない一方、感覚的な判断だけではリスクを見逃します。本記事では、扱う情報や業務内容に応じて、委託先・外注先のセキュリティをどのような視点で確認すべきかを整理します。無理のない管理と判断の考え方を解説します。

    どれだけ事前に確認していても、サプライチェーン攻撃のリスクを完全にゼロにすることはできません。実際に情報漏えいが疑われた場合の初動対応については、次の記事で解説しています。
    委託先が原因の情報漏えい時に企業が取るべき初動対応とFAQ

    「委託しているだけ」で安心してはいけない時代

    業務の効率化や専門性の確保のために、システム開発や運用、データ処理を外部に委託することは、今や多くの企業にとって当たり前になっています。しかし近年、こうした委託先や外注先を起点とした情報漏えい・不正アクセス、いわゆるサプライチェーン攻撃が国内でも相次いでいます。自社のシステムが直接攻撃されていなくても、委託先のセキュリティ対策が不十分であれば、自社の情報や顧客データが流出してしまう可能性があります。この現実を前に、「委託先のセキュリティはどこまで確認すべきなのか」という疑問を持つ担当者は少なくありません。

    委託先のセキュリティ確認が難しい理由

    委託先のセキュリティ対策を確認しようとしても、多くの企業が途中で手が止まります。その理由は、単純に「何を基準に見ればよいか分からない」からです。専門的なセキュリティ対策をすべて理解し、技術的な実装レベルまで確認するのは現実的ではありません。一方で、「大手だから大丈夫」「実績があるから安心」といった感覚的な判断だけでは、リスクを見逃してしまいます。重要なのは、完璧を求めることではなく、リスクを把握できる状態にすることです。

    委託先や外注先を狙ったサプライチェーン攻撃の全体像については、以下の記事で整理しています。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    まず確認すべきは「どんな情報を預けているか」

    委託先のセキュリティを考えるうえで、最初に整理すべきなのは「委託先がどの情報に触れられるのか」という点です。個人情報や顧客データ、認証情報、社内システムへのアクセス権限など、委託内容によってリスクの大きさは大きく変わります。扱う情報の重要度が高いにもかかわらず、委託先の管理体制を十分に把握していない場合、その委託はサプライチェーン攻撃の入口になりかねません。逆に言えば、情報の性質と範囲を明確にするだけでも、確認すべきポイントは自然と絞られてきます。

    セキュリティ対策は「実施しているか」より「管理しているか」

    委託先に対してセキュリティ対策の実施の有無を尋ねると、多くの場合「対策しています」という回答が返ってきます。しかし本当に重要なのは、個々の対策の有無ではなく、それらが継続的に管理・運用されているかどうかです。たとえば、アクセス権限が適切に管理されているか、退職者や不要になったアカウントが放置されていないか、インシデントが発生した際の対応ルールが決まっているか。こうした運用面の確認は、技術的な専門知識がなくても行うことができます。

    契約書に書かれていないリスクが最も危険

    多くの情報漏えい事故では、インシデント発生後に「契約上どうなっているのか」が問題になります。ところが実際には、委託契約の中でセキュリティに関する取り決めが曖昧なケースは少なくありません。事故が起きた際の報告義務や対応範囲、再委託の可否、責任分界点などが明確になっていなければ、被害対応が遅れ、結果として自社の信用を大きく損なうことになります。委託先のセキュリティ確認は、技術的な話だけでなく、契約と運用の問題でもあるという点を見落としてはいけません。

    すべてを監査するより「リスクを前提に備える」

    委託先すべてを同じレベルで詳細に監査するのは、現実的ではありません。だからこそ重要なのは、委託内容や扱う情報に応じてリスクを整理し、必要な確認と対応を段階的に行うことです。また、どれだけ確認をしていても、インシデントが起きる可能性をゼロにすることはできません。そのため、「起きない前提」ではなく、「起きたときにどう対応するか」を含めて考えることが、サプライチェーンリスク対策の本質と言えます。

    まとめ:委託先のセキュリティ確認は経営リスク管理の一部

    委託先や外注先のセキュリティ確認は、単なるチェック作業ではありません。それは、自社の情報資産や顧客からの信頼を守るための、重要なリスク管理の一環です。技術的な専門知識がなくても、「どんな情報を預けているのか」「誰が、どこまでアクセスできるのか」「問題が起きたとき、どう連絡が来るのか」といった視点を持つだけで、サプライチェーンリスクは大きく下げることができます。

    サプライチェーン攻撃は経営リスクでもあります。経営視点で整理した記事はこちら。
    サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―


    委託先の確認だけでは、サプライチェーン攻撃を完全に防ぐことはできません。どのような経路で攻撃が起き、なぜ発見が遅れるのかを理解しておくことも重要です。
    なぜ“取引先経由”で情報漏えいが起きるのか 国内で相次ぐサプライチェーン攻撃の実態

    BBSecでは

    サプライチェーン攻撃への対策では、「何となく不安だが、どこから手を付ければいいか分からない」という声を多く聞きます。外部接点が増えた現代では、勘や経験だけでリスクを把握するのは難しくなっています。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、外部委託先や連携サービスを含めたセキュリティリスクの可視化や、運用・体制面まで踏み込んだ支援を行っています。サプライチェーン全体を前提とした評価や改善を進めることで、「自社は大丈夫」という思い込みによるリスクを減らすことが可能です。もし、自社のサプライチェーンリスクに少しでも不安を感じているのであれば、一度立ち止まって全体を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

    【参考情報】

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。

    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。


    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBSecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像
    ウェビナーアーカイブ動画ページバナー画像

    2025年4Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析

    Share
    2025年4Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析アイキャッチ画像

    米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)から公開されている「KEVカタログ(Known Exploited Vulnerabilities)」は、実際に攻撃に悪用された脆弱性の権威あるリストとして、組織のセキュリティ対策の優先順位付けに不可欠なツールとなっています。本記事では、KEVカタログに2025年10月1日~12月29日に登録・公開された脆弱性の傾向を整理・分析します。

    本記事は2025年1Q:第1四半期~3Q:第3四半期の分析レポートに続く記事となります。過去記事もぜひあわせてご覧ください。
    2025年1Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析
    2025年2Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析
    2025年3Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析

    はじめに

    2025年第四四半期(10月~12月)における既知の悪用された脆弱性の統計分析レポートです。本記事は最新のデータから見える傾向を解説します。前回までの分析ではMicrosoftやCisco製品への攻撃の多さや古い脆弱性が依然悪用されている実態が明らかとなりました。今回は第四四半期のデータを掘り下げ、攻撃トレンドの変化やリスクの深刻度を検証します。経営層に有用な全体像の把握と、技術担当者向けの詳細な分析を両立させ、組織が取るべき対策についても提言します。

    2025年4Qの統計データ概要

    2025年第四四半期に新たにKEVに追加・公開された脆弱性は62件でした。第三四半期(51件)から増加に転じ、2025年1月~12月29日時点で245件(2024年累計186件から約30%増)となっています。まずは月別推移や脆弱性の種類・深刻度について、データの全体像を俯瞰し、特にランサムウェア関連の脆弱性や影響度の大きい脆弱性、自動化攻撃が可能な脆弱性に着目します。

    登録件数の月別推移

    10月に追加件数が31件と突出し、11月は11件、12月は20件となりました(図1参照)。月ごとのばらつきが大きく、10月に集中して脆弱性が公表・追加されたことが分かります。これは各メーカーの定例アップデート直後に既知悪用事例が判明したケースが多いためと考えられ、特定の月に攻撃が急増する傾向が引き続き見られます。4Q全体では3Qからの増加により、年末にかけて脅威が再び活発化したことを示唆します。

    2025年4Q 月別KEV登録件数の推移グラフ
    図1:2025年4Q 月別KEV登録件数の推移グラフ

    主要ベンダー別の内訳

    4Qに新規追加された脆弱性のベンダーを見ると、Microsoftが10件と突出して最多でした。次いでOracle、Fortinet、Gladinetが各3件、Google、Samsung、Kentico、Android、OpenPLC、Dassault Systèmes、WatchGuardなどが各2件で続きます。3Qで多かったCiscoは1件に留まり、Microsoft製品への攻撃集中が際立つ結果です。一方、新たにGladinet(クラウドストレージ)やOpenPLC(産業制御システム)といったベンダーの脆弱性が複数追加されており、攻撃対象の幅が広がっていることが分かります。これは企業向けソフトウェアから家庭用/産業用機器まで攻撃者の関心が及んでいることを示し、ITインフラ全体で対策が必要です。

    脆弱性タイプ(CWE)の分布

    CWE脆弱性タイ
    CWE-7875範囲外の書き込み
    CWE-784OSコマンドインジェクション
    CWE-8623認可の欠如
    CWE-2843不適切なアクセス制御
    CWE-202不適切な入力検証
    CWE-4162解放済みメモリの使用
    CWE-4342危険なタイプのファイルのアップロード許可
    CWE-222パストラバーサル
    CWE-792クロスサイトスクリプティング (XSS)
    CWE-3062重要な機能の使用に対する認証の欠如
    2025年4Q CWE分布表

    悪用された脆弱性の種類としては、範囲外の書き込み(CWE-787)が5件で最多となりました。次いでOSコマンドインジェクション(CWE-78)が4件で続きます。認証・認可に関わる欠陥(CWE-862, CWE-284, CWE-306)も合計8件と多く、アクセス制御の不備が依然として攻撃者に悪用されやすいことが分かります。また、メモリ管理上の欠陥である解放済みメモリの使用(CWE-416)や範囲外の書き込み(CWE-787)など、低レベルのプログラムバグも上位を占めており、メモリ安全性の欠陥が攻撃に利用されるケースが増えています。

    過去頻出したパストラバーサル(CWE-22)も複数含まれており、データから見ると、入力検証検証の不備を突いた攻撃(インジェクション系)、認証・認可の不備、そしてメモリ安全性の欠如という3つの古典的な脆弱性カテゴリーが依然悪用の中心であることが読み取れます。

    攻撃の自動化容易性(Automatable)

    4Qに登録された脆弱性のうち、約48%(30件)は自動化攻撃が容易である「Yes」と分類されました。これは自動スキャンやマルウェアボットによる大規模攻撃に適した脆弱性が増えたことを意味します。残る52%(32件)は「No」(手動操作や特定条件が必要)ですが、スクリプトキディでも悪用できる脆弱性が半数近くを占める状況は深刻です。(2025年年間累計は図3参照)攻撃者は脆弱性を迅速にスキャン・悪用する自動化ツールを駆使するため、組織側も早期パッチ適用と防御網の自動化で対抗する必要があります。

    攻撃の自動化容易性“Yes/No”割合の円グラフ
    図2:攻撃の自動化容易性“Yes/No”割合の円グラフ(2025年累計)

    技術的影響範囲(Technical Impact)

    62件中55件(約89%)は「Total」(=脆弱性を突かれるとシステムを完全制御されてしまう深刻な影響を持つもの)でした。(図3参照)。攻撃者がシステム全面乗っ取り可能な脆弱性を優先的に悪用していることがわかります。特に単独で完全権限を奪える脆弱性は魅力的な標的であり、一方部分的な影響に留まる脆弱性も他のTotalな脆弱性と組み合わせて攻撃チェーンに利用される恐れがあります。

    Total/Partial割合の比較チャート
    図3:Total/Partial割合の比較チャート

    ※注)KEVカタログ掲載時点で実害確認済みである以上、CVSSスコアの大小や影響範囲の違いに関わらず優先度高く対処すべきである点に留意が必要です。

    CVSSスコア分布

    4Qに追加された脆弱性のCVSS基本値は、最大が10.0(3件)、9.8が数件含まれ、9.0以上の「Critical(緊急)」帯が約39%(24件)、7.0~8.9の「High(高)」帯が約52%(32件)を占めました。残り約10%がMedium以下です。平均値は8.48で、前四半期同様に高スコアの欠陥が大半を占めています。3QではCVSS10.0が5件含まれていましたが、4QではCritical帯比率は維持しつつ極端に満点の脆弱性は減少しました。それでもなおHigh以上が全体の9割を超えており、KEVカタログに登録される脆弱性がいかに深刻度の高いものに偏っているかを裏付けています。Criticalでなくとも攻撃に利用され得る(実際に悪用された)ことを示すデータでもあり、スコアに油断せず注意が必要です。

    攻撃手法・影響の深掘り分析

    前述の統計情報を踏まえ、4Qに観測された攻撃の特徴や脅威動向をさらに分析します。ランサムウェアなどサイバー犯罪による悪用事例や、国家支援型グループ(APT)の関与、古い脆弱性の再悪用など、データから読み取れるポイントを考察します。

    実際にランサムウェア攻撃に悪用された脆弱性

    3Qと同様、ランサムウェア攻撃での悪用が確認された事例はごく少数に留まります。4Qに追加された62件中、実際にランサムウェアに悪用されたと判明しているのは3件(約5%)でした。具体的にはオラクルの Oracle Concurrent Processing における認証に関する脆弱性/Oracle E-Business Suite(EBS)のSSRF(サーバサイドリクエストフォージェリ)の脆弱性(CVE-2025-61882および61884)やReact Server Componentsにおける認証不要のリモートコード実行の脆弱性(CVE-2025-55182)がランサムウェア攻撃で利用された例です。これらはいずれも企業の基幹システムや広く使われるフレームワークに関わる欠陥で、金銭目的の攻撃者に狙われたと考えられます。ただしKEVカタログ全体で見ると、依然として国家主体・高度なAPT攻撃での悪用例が多く、ランサムウェアによる事例は氷山の一角です。これは、KEVカタログが単なる理論上の危険性ではなく、「現在進行形で利用されている攻撃手法」を反映したリストであることを示しています。高度な攻撃者はゼロデイ脆弱性を含む様々な欠陥を悪用しており、ランサムウェア以外の脅威にも引き続き注意が必要です。

    古い脆弱性の再注目

    4Qに新規登録された脆弱性の中には、2024年以前に発見されたものが17件(約27%)含まれていました。最も古いものは2010年公表のMicrosoft製品の脆弱性(CVE-2010-3962)で、15年以上前の欠陥が今になって攻撃に利用されたことになります。前四半期にも2020年公表のD-Link製品脆弱性が複数追加されており、サポート切れの古い機器・ソフトが依然として攻撃対象になる実態が浮き彫りです。こうした古い脆弱性はパッチ未適用のまま放置されている資産が狙われており、攻撃者は年代を問わず利用可能な欠陥を有効活用しています。組織内に残存するレガシーシステムの脆弱性管理を怠ると、想定外に古いバグで侵入を許すリスクがあることに注意が必要です。

    脆弱性悪用の手口

    攻撃者の手口としては、引き続きリモートコード実行(RCE)や権限昇格といった直接的にシステム乗っ取りに繋がる攻撃が顕著です。例えば前述のCWE分布にあるCWE-787, CWE-416などのメモリ破壊型脆弱性は、悪用された場合、ターゲットプロセス内で任意コード実行やサービス停止を引き起こします。またCWE-78等のコマンドインジェクションは、サーバー上で攻撃者のコマンドを実行させる手段として多用されています。4Qにはこれらテクニカルな攻撃に加え、認証・認可の不備(CWE-306/862等)を突いて管理者権限を不正取得するケースも見られ、攻撃パターンは多岐に及びます。総じて攻撃者は最も効率よく高い権限を得られる脆弱性の組み合わせを模索しており、一つでも未対策の弱点があれば連鎖的に侵入を許す恐れがあります。

    影響とリスクの評価

    攻撃者は完全なシステム制御が可能な脆弱性(=「Total」)を好んで悪用します。CVSSスコアが「High」や「Critical」の深刻度であればなおさらですが、たとえ中程度でも「KEVカタログに掲載=実害発生済み」である以上、油断は禁物です。特にランサムウェア攻撃では、初期侵入に使った脆弱性自体はさほど目立たない中~高程度の欠陥であっても、内側で別のCritical脆弱性と組み合わせて横展開・権限昇格することが知られています。部分的な影響の脆弱性であっても他の欠陥と組み合わされば致命傷となり得るため、既知の悪用脆弱性は大小問わず優先的に潰す姿勢が重要です。経営層にとっても、これらの統計が示すリスクの高さを踏まえれば、脆弱性対応に十分なリソース投資と適切な意思決定を行う必要性が理解できるでしょう。

    組織が取るべき対策

    4Qの分析レポートの結果を受け、組織として優先的に講じるべき脆弱性管理策を整理します。経営層は戦略的視点から、現場のセキュリティ担当者は実践的観点から、以下のセキュリティ対策の実施をおすすめします。

    KEV掲載脆弱性の最優先パッチ適用

    CISAは継続的にKEVカタログ掲載項目を優先的に修正するよう勧告しています。自社で利用する製品・システムに該当する脆弱性が公開された場合、定例パッチを待たず緊急で対応する体制を整えましょう。自動アラートによる通知や情報資産との照合などによって見落としを防ぐ運用が有効です。特に公表から日が浅い脆弱性は攻撃者も素早く狙ってくるため、初動対応のスピードが重要になります。

    主要ベンダー製品の迅速なアップデート

    MicrosoftやOracle、Cisco、Googleなど主要ベンダーのソフトウェアや機器は引き続き攻撃者の主要標的です。毎月発表されるセキュリティ更新プログラム(例: Microsoftの月例パッチ)や緊急アップデート情報を速やかに収集し、適用テストを経て迅速に全社展開する習慣をつけましょう。4QではMicrosoft製品の脆弱性が突出しましたが、他ベンダーでもゼロデイが報告されればすぐ悪用される可能性があります。例えば「重要なアップデートは可能な限り2週間以内に適用」などといった内部目標を設定し、経営陣もその重要性を認識すべきでしょう。

    ネットワーク機器・IoT/産業機器の点検

    企業ネットワークや工場内に設置されたルーター、NAS、監視カメラ、制御システム等も忘れてはいけません。4QにもD-LinkルーターやOpenPLCなどIoT/OT機器の脆弱性が含まれており、これらは往々にしてファームウェア更新が滞留しがちです。サポート切れやアップデート未適用の機器がないか棚卸しし、可能な限り最新ファームウェアへの更新や機器リプレースを実施しましょう。どうしても更新できない場合は、ネットワーク分離やアクセス制限など緩和策を講じ、インターネットから直接アクセスできる状態を放置しないことが重要です。

    脅威検知とインシデント対応の強化

    脆弱性への対策だけでなく、悪用された際に速やかに検知・対応する能力も不可欠です。IPS/IDSやエンドポイント検知(EDR)のシグネチャを最新化し、KEVに掲載された脆弱性の既知の攻撃パターンやIoC(Indicators of Compromise)を監視します。CISAやセキュリティベンダーから提供される検知ルールやYARAルールを活用し、ログ分析やトラフィック監視に組み込みましょう。また万一侵入を許した場合でも、早期にそれを発見し被害を最小化できるようインシデント対応訓練を積んでおくことも有効です。

    資産管理と内部教育の徹底

    攻撃者に狙われる脆弱性は多岐にわたるため、まずは自社システムの全容を把握することが出発点です。ハードウェア・ソフトウェア資産の最新インベントリを整備し、使用中の全ての製品についてサポート状況や最新パッチ適用状況をチェックします。使われていないシステムや旧式OSは計画的に撤去し、やむを得ず残す場合もネットワークを分離するなどリスク低減策を講じます。またIT部門や開発部門に対し、「古い脆弱性を放置しない」「定期的なアップデート適用は必須」といった意識付けを行います。定期的なセキュリティ研修や訓練で、脆弱性管理の重要性を全社員と共有することも大切です。

    脆弱性管理プロセスの強化と自動化

    増加する脆弱性に対処するには、属人的な対応から脱却しプロセスとツールの整備を進める必要があります。脆弱性情報収集から評価、パッチ適用状況のトラッキングまで一元管理できる仕組みを整えましょう。例えばKEVカタログのデータを自社資産データベースと照合する自動ツールを導入すれば、新たな緊急欠陥の検知と対応指示を迅速化できます。また定期的に脆弱性対応状況をレビューし、未対応件数や所要日数といったKPIを計測・改善することも効果的です。経営層は必要な人員・予算を投じ、継続的に脆弱性管理体制を進化させることが求められます。

    脆弱性管理プロセスの概要とポイントについては以下の記事でも解説しています。あわせてぜひご覧ください。
    脆弱性管理とIT資産管理-サイバー攻撃から組織を守る取り組み-

    まとめ

    2025年4QKEVカタログ分析レポートからは、攻撃者の手口がより広範かつ巧妙になっている実態が浮き彫りになりました。特に今年はKEVカタログへのCVE追加件数が前年より増加し記録更新となったことから、従来以上のハイペースで緊急脆弱性が発生・悪用される可能性が高まっています。侵入前提での備えを強化すべきでしょう。

    2025年を通じて言えることは、脆弱性対応のスピードと徹底度を組織文化として根付かせることです。経営層はリスクと投資対効果を理解し、現場は技術的施策を愚直に実行する。そして最新の脅威情報をキャッチアップし続けることで、組織全体のサイバー耐性を高められるでしょう。来たる2026年も同様のレポートを継続し、変化する攻撃者の戦術に対抗すべく知見をアップデートしていきます。

    BBSecでは

    脆弱性の悪用リスクに迅速に対応するには、専門家の支援を仰ぐことも有効です。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、発覚した脆弱性への対応支援や緊急インシデント対応サービスをご提供しています。自社だけでは対応が難しいゼロデイ攻撃の発生や、大規模サイバー攻撃の兆候を検知した際はぜひご相談ください。経験豊富なセキュリティ専門チームが、お客様のシステム状況の迅速な把握、攻撃の封じ込め、再発防止策の導入まで包括的にサポートいたします。また、平時からの脆弱性診断サービスやセキュリティ研修なども取り揃えており、脆弱性管理体制の構築から有事の対応までワンストップで支援可能です。BBSecのサービスを活用し、貴社のセキュリティレベル向上にぜひお役立てください。

    サイバーインシデント緊急対応

    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2026年2月4日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「フィッシング攻撃の最新脅威と被害事例〜企業を守る多層防御策〜
  • 2026年2月10日(火)14:00~15:00
    Web攻撃の“今”がわかる OWASP Top 10 2025で読み解く脆弱性の狙われ方と対策の考え方
  • 2026年2月18日(水)14:00~15:00
    急増する「LINE誘導型」ビジネスメール詐欺の実態 ―社長になりすます最新BEC手口と組織で取るべき対策―
  • 最新情報はこちら

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    なぜ取引先経由で情報漏えいが起きるのか ―国内で相次ぐサプライチェーン攻撃の実態―

    Share
    なぜ取引先経由で情報漏えいが起きるのか ―国内で相次ぐサプライチェーン攻撃の実態―アイキャッチ画像

    近年、「自社に不正アクセスはなかったのに情報が漏えいした」という状況が増えています。その多くは、取引先や委託先、外部サービスを経由したサプライチェーン攻撃が原因です。本記事では、なぜこうした“取引先経由”の情報漏えいが起きやすいのか、国内で実際に起きている事例や背景をもとに整理します。攻撃の構造を理解することで、見えにくいリスクに気づく視点を持つことができます。

    こうしたリスクを前提に、委託先や外注先のセキュリティをどこまで確認すべきか悩む企業も少なくありません。実務の判断ポイントについては、以下の記事で整理しています。
    委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか

    自社が原因でなくても、情報漏えいは起きてしまう時代

    近年、「自社システムに不正アクセスはなかった」と説明される情報漏えい事故が国内で相次いでいます。調査を進めると原因は自社ではなく、取引先や外部サービスを経由した不正アクセスだった、というケースが少なくありません。こうした攻撃はサプライチェーン攻撃と呼ばれ、いま日本企業にとって最も現実的なセキュリティリスクの一つになっています。特にSaaSや外部委託、API連携が当たり前になった現在、このリスクは業種や企業規模を問わず存在します。

    サプライチェーン攻撃とは何か

    サプライチェーン攻撃とは、標的となる企業そのものではなく、取引先・委託先・連携している外部サービスを踏み台に侵入する攻撃手法です。サプライチェーン攻撃の全体像や基本的な考え方については、以下の記事で整理しています。あわせてぜひご覧ください。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    なぜ今、国内でサプライチェーン攻撃が増えているのか

    背景にあるのは、企業活動のデジタル化と外部依存の加速です。業務効率化のためにSaaSを導入し、外部ツールとAPIで連携し、専門業務を外注することは、今や珍しいことではありません。一方で、こうした外部接点が増えるほど、攻撃者にとっての「侵入口」も増えていきます。特に、委託先や小規模ベンダーでは十分なセキュリティ対策が取られていないケースもあり、結果としてそこが狙われやすくなります。さらに最近では、認証情報の使い回しや権限設定のミスを自動的に探し出す攻撃手法も増えており、従来型の対策だけでは気づかないうちに侵入されるリスクが高まっています。

    国内で実際に起きているサプライチェーン攻撃の特徴

    国内で報告されているサプライチェーン攻撃の多くには共通点があります。それは、自社システムが直接破られたわけではなく、正規の連携機能や委託先のアクセス権限が悪用されている点です。そのため、ログを見ても不正アクセスだと気づきにくく、発覚までに時間がかかることがあります。結果として、数万件から数十万件規模の個人情報や顧客データが流出して初めて問題が表面化する、という事態につながります。サプライチェーン攻撃が怖いのは、まさにこの「想定外の経路」から被害が発生する点にあります。

    サプライチェーン攻撃の国内事例や攻撃手口については、以下の記事でも解説しています。こちらもあわせてぜひご覧ください。
    事例から学ぶサプライチェーン攻撃 -サプライチェーン攻撃の脅威と対策2-

    サプライチェーン攻撃が企業にもたらす影響

    この種の攻撃によって発生するのは、単なるシステムトラブルではありません。個人情報漏えいによる顧客からの信頼低下、取引先との関係悪化、場合によっては契約違反や損害賠償の問題に発展することもあります。近年では、「原因が委託先にあった」と説明しても、情報管理責任そのものは発注元企業にあると判断されるケースが増えています。サプライチェーン攻撃は、企業の信用そのものを揺るがすリスクだと言えるでしょう。

    企業が今すぐ考えるべきサプライチェーン対策

    まず重要なのは、自社がどのような外部サービスや委託先とつながっているのかを正確に把握することです。意外と、過去に導入したまま使われていないSaaSや、誰が管理しているのか分からない連携設定が残っていることも少なくありません。そのうえで、外部サービスや委託先に付与している権限が本当に必要最小限になっているかを見直す必要があります。「業務上便利だから」という理由で広い権限を与えたままにしていると、それがそのまま攻撃経路になってしまいます。また、技術的な対策だけでなく、委託契約や運用ルールの見直しも欠かせません。インシデント発生時の報告義務や再委託の条件、セキュリティ対策状況の確認方法などを明確にしておくことで、リスクを大きく下げることができます。

    まとめ:サプライチェーン全体を見る視点が不可欠に

    サプライチェーン攻撃は、もはや一部の大企業だけの問題ではありません。外部サービスを利用し、業務を委託し、クラウド連携を行っている企業であれば、規模に関係なく直面する可能性があります。重要なのは、自社のシステムだけを見るのではなく、自社を取り巻くサプライチェーン全体をどう管理するかという視点です。そこに目を向けない限り、同様の事故は今後も繰り返されるでしょう。

    また、これらの事故は経営判断とも直結します。
    サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―


    こうした実態を踏まえると、サプライチェーン攻撃は個別対策だけでは防ぎきれません。委託先や外部サービスを含めた全体像を把握し、どこにリスクが集中しているのかを整理する視点が不可欠です。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    BBSecでは

    サプライチェーン攻撃への対策では、「何となく不安だが、どこから手を付ければいいか分からない」という声を多く聞きます。外部接点が増えた現代では、勘や経験だけでリスクを把握するのは難しくなっています。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、外部委託先や連携サービスを含めたセキュリティリスクの可視化や、運用・体制面まで踏み込んだ支援を行っています。サプライチェーン全体を前提とした評価や改善を進めることで、「自社は大丈夫」という思い込みによるリスクを減らすことが可能です。もし、自社のサプライチェーンリスクに少しでも不安を感じているのであれば、一度立ち止まって全体を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

    【参考情報】


    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    Share
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―アイキャッチ画像

    近年、企業の情報漏えい事故の原因として増えているのが、委託先や取引先、外部サービスを経由したサプライチェーン攻撃です。自社のシステムが直接攻撃されていなくても、外部との連携を足がかりに被害が発生するケースは珍しくありません。本記事では、サプライチェーン攻撃とは何かという基本的な考え方から、なぜ企業規模を問わずリスクが高まっているのか、全体像を整理します。まず全体を理解することで、断片的な対策に終わらない判断の土台をつくります。

    サプライチェーン攻撃がどのように起きているのか、攻撃の特徴や背景を知りたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
    なぜ取引先経由で情報漏えいが起きるのか ―国内で増えるサプライチェーン攻撃の実態―

    情報漏えいは「自社の外」から起きる時代へ

    近年、企業の情報漏えい事故を調査すると、必ずしも自社システムが直接攻撃されているわけではないケースが増えています。原因として多く挙げられるのが、委託先や外注先、外部サービスを経由した不正アクセスです。こうした攻撃はサプライチェーン攻撃と呼ばれ、いまや企業規模や業種を問わず直面する可能性のある現実的なリスクになっています。クラウドサービスSaaSの利用、業務委託の拡大によって、企業のセキュリティ境界は大きく広がりました。その結果、自社だけを守っていれば安全、という考え方は通用しなくなっています。

    サプライチェーン攻撃とは何か

    サプライチェーン攻撃とは、標的企業そのものではなく、その周囲に存在する取引先や委託先、連携サービスを足がかりに侵入する攻撃手法です。攻撃者は、比較的対策が弱い外部事業者を狙い、正規の権限や接続経路を利用して本来の標的へと近づきます。この攻撃の特徴は、正規の仕組みが悪用される点にあります。そのため、不正侵入として検知されにくく、被害が表面化したときにはすでに多くの情報が流出しているケースも少なくありません。

    なぜサプライチェーンリスクの管理は難しいのか

    サプライチェーンリスクの管理が難しい最大の理由は、管理対象が自社のコントロール外にある点です。委託先や外注先ごとにセキュリティ対策の成熟度は異なり、すべてを同じ基準で把握することは簡単ではありません。また、契約内容や運用ルールが曖昧なまま業務が進んでいることも多く、インシデントが起きて初めて問題に気づくケースもあります。こうした背景から、「何をどこまで確認すべきか分からない」という声が現場で多く聞かれます。

    委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか

    サプライチェーンリスクを考えるうえで重要なのは、すべてを完璧に監査しようとしないことです。まずは、委託先がどの情報にアクセスできるのか、どの業務を担っているのかを整理することが出発点になります。扱う情報の重要度が高いほど、確認すべき範囲も広がります。技術的な対策の有無だけでなく、運用体制やインシデント時の対応ルールが整っているかどうかを見ることが、現実的なセキュリティ確認につながります。

    委託先が原因で情報漏えいが起きた場合の初動対応

    どれだけ対策を講じていても、サプライチェーン攻撃のリスクを完全にゼロにすることはできません。そのため重要なのは起きない前提ではなく、起きたときにどう対応するかを想定しておくことです。委託先が原因で情報漏えいが疑われる場合でも、企業としての説明責任は免れません。初動対応では、原因の切り分けよりも被害拡大の防止と事実整理を優先し、社内外への対応を並行して進める必要があります。

    サプライチェーンリスク対策で本当に重要な視点

    サプライチェーン攻撃への対策は、単なるセキュリティ技術の問題ではありません。委託先との関係性、契約内容、社内体制、インシデント対応の準備といった、組織全体のリスク管理の問題です。「自社の中は守ることができている」という安心感が、かえってリスクを見えにくくしてしまうこともあります。だからこそ、自社を取り巻く外部環境も含めて全体を把握し、どこにリスクが集中しているのかを整理する視点が欠かせません。

    サプライチェーン攻撃は経営リスクでもあります。経営視点で整理した記事はこちら。
    サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―

    まとめ:まず“全体像”を理解することが最大の対策

    サプライチェーン攻撃は、今後も増えていくと考えられます。委託先や外注先を活用する限り、すべての企業が無関係ではいられません。重要なのは、断片的な対策に終始するのではなく、サプライチェーン全体を一つのシステムとして捉えることです。全体像を理解したうえで、確認・対応・改善を積み重ねていくことが、結果的に最も効果的なリスク対策になります。

    BBSecでは

    サプライチェーンリスクは、属人的な判断や部分的な対応では管理しきれなくなっています。委託先の数が増えるほど、リスクの把握と対応は複雑になります。株式会社ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、サプライチェーン全体を視野に入れたセキュリティリスクの整理や、委託先管理、インシデント対応体制の支援を行っています。「どこにリスクがあるのか分からない」という段階からでも、現状に合わせた整理と改善を進めることが可能です。サプライチェーンを含めた情報管理に不安を感じている場合は、まず全体を俯瞰するところから始めてみてはいかがでしょうか。

    アタックサーフェス調査サービスバナー画像リンク

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。

    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。


    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBSecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像
    ウェビナーアーカイブ動画ページバナー画像

    サイバーレジリエンスとは何か―ランサムウェア時代の企業が取るべき対策と実践ガイド
    第3回:企業のサイバーレジリエンス強化策の実践ガイド

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    サイバーレジリエンスとは何か―第3回:企業のサイバーレジリエンス強化策の実践ガイドアイキャッチ画像

    攻撃されても事業を継続できる力「サイバーレジリエンス」を解説。シリーズ最終回では、企業が実務で取り組むべきサイバーレジリエンス強化策を整理。実践的な対策を通じて攻撃を受けても事業を継続できる体制づくりのポイントを解説します。

    企業に求められるサイバーレジリエンスの実践とは

    サイバー攻撃が高度化し、「Qilin」のようなランサムウェア集団による被害が日々報道され続ける現代において、「情報セキュリティ」と「サイバーレジリエンス」の強化は全ての企業が無視できない経営課題となっています。技術・人・組織の三位一体で高めるべき実践策について、国内外の情報を基に解説します。

    情報資産の可視化とリスク評価の重要性

    まずは、情報資産の洗い出しとリスク評価を徹底することが不可欠です。守るべき顧客情報・機密文書・基幹システムを特定し、サイバー攻撃や内部不正といった脅威、それに対する脆弱性を明確化しましょう。何が狙われやすいのかを組織全体で可視化し、優先順位を定めて防御層を構築することが「情報セキュリティ」の基本です。

    多層防御とインシデント対応の統合的アプローチ

    次に、多層防御の考え方を導入する必要があります。ゼロトラストモデルの推進を軸に、ネットワーク分離・EDR/XDRの活用・多要素認証(MFA)・適切なパッチ運用・権限管理の最小化・継続的なログ監視…など現代的な技術群は、それぞれ単独で機能するものではなく、総合的なセキュリティ対策のクッションとなります。QilinによるアサヒGHD攻撃のように、日常的なパッチ未適用や不十分なアクセス管理が被害の拡大要因となるため、運用面まで踏み込んだ点検・改善が求められています。

    インシデント対応計画の策定

    備えとして最も重要視したいのはインシデント対応計画の策定と日常的な訓練です。攻撃を受けた際に何を優先し、誰がどのように動くか、社内外への情報発信のタイミングや判断軸をあらかじめ決めておくことで、初動の混乱や判断遅延を最小限にできます。アサヒGHDの復旧例や国のBCPガイドラインでも、緊急時の透明な情報公開や顧客・関係先への真摯な対応が信頼維持の基盤として重視されています。

    バックアップ戦略と復旧体制の確立

    バックアップ戦略もサイバーレジリエンスにおいて必須の柱です。オフラインバックアップやイミュータブルバックアップは、ランサムウェアによる暗号化やデータ消去、さらにはバックアップ自体への攻撃を見越した対策となっています。バックアップのリストア手順まで普段から検証を重ね、実際の危機局面で「使えるバックアップ」を運用できる体制づくりが現場の情報セキュリティ課題として浮き彫りになっています。

    サプライチェーン攻撃への備え

    サプライチェーン攻撃にも注意が必要です。自社だけでなく、取引先や委託先ネットワーク経由で侵入・拡大するケースが増えているため、サイバーセキュリティ要件の明文化や、委託先を含めたインシデント報告ルール整備、サプライヤー監査などもレジリエンス強化の一角をなします。

    従業員教育と組織文化の醸成

    従業員のセキュリティ教育と、組織文化としての危機意識の醸成も長期的な強さにつながります。フィッシング訓練や定期的なアップデート研修、違反事例の共有など、形式だけでなく“自分ごと”として取り組める日常の習慣化が狙いです。経営層の率先垂範と現場への権限委譲を通じ「脅威に正直で、復元力のある組織こそが選ばれる時代」であることを社内外に示すことが、競争力確保にも直結します。

    まとめ:サイバーレジリエンス強化は企業価値創出につながる

    このような総合的なサイバーレジリエンス強化策の実践は、単なるコストではなく”持続的な企業価値創出”そのものであり、Qilin事件を始めとした最新インシデントが繰り返し教えている最重要原則です。企業規模や業種を問わず、一人ひとり・一社ごとに最適な情報セキュリティ対策とレジリエンス文化の醸成が社会的責任であること―これこそが、本連載を通じて読者の皆様にお伝えしたいメッセージとなります。


    【連載一覧】
    第1回:サイバーレジリエンスの重要性:攻撃を前提とした“事業を守る防御”とは
    第2回:Qilinサイバー攻撃に学ぶサイバーレジリエンス

    【参考情報】

    【関連ウェビナー開催情報】
    弊社では12月3日(水)14:00より、「【最新事例解説】Qilin攻撃に学ぶ!組織を守る“サイバーレジリエンス強化のポイント”喫緊のランサムウェア被害事例からひも解く ― 被害を最小化するための“備えと対応力”とは?」と題したウェビナーを開催予定です。最新のランサムウェア被害事例をもとに、攻撃の実態と被害を最小化するための具体的な備えについて解説します。ぜひご参加ください。詳細・お申し込みはこちら

    サイバーインシデント緊急対応

    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年11月26日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「クラウド設定ミスが招く情報漏洩リスク -今こそ取り組むべき「クラウドセキュリティ設定診断」の重要性-
  • 2025年12月3日(水)14:00~15:00
    【最新事例解説】Qilin攻撃に学ぶ!組織を守る“サイバーレジリエンス強化のポイント”喫緊のランサムウェア被害事例からひも解く ― 被害を最小化するための“備えと対応力”とは?
  • 2025年12月10日(水)14:00~15:00
    【最短7営業日で報告書納品】短納期で実現するWeb脆弱性診断の新提案-SQAT® with Swift Delivery紹介セミナー
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    2025年3Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    2025年3QKEVカタログ掲載CVEの統計と分析アイキャッチ画像

    米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)から公開されている「KEVカタログ(Known Exploited Vulnerabilities)」は、実際に攻撃に悪用された脆弱性の権威あるリストとして、組織のセキュリティ対策の優先順位付けに不可欠なツールとなっています。本記事では、KEVカタログに掲載された全データのうち2025年7月1日~9月30日に登録・公開された脆弱性の統計データと分析結果をみながら、2025年10月以降に注意すべきポイントや、組織における実践的な脆弱性管理策について考察します。

    本記事は2025年第1四半期~第4四半期の統計分析レポートです。以下の記事もぜひあわせてご覧ください。
    2025年1Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析
    2025年2Q KEVカタログ掲載CVEの統計と分析
    2025年4Q KEVカタログ掲載CVEの掲載と分析

    KEVカタログの概要と目的

    米政府CISAが公開するKEV(Known Exploited Vulnerabilities)カタログは、実際の攻撃で悪用が確認された脆弱性のみを掲載した公式リストです。セキュリティ担当者はこのカタログを参照することで、攻撃者の優先ターゲットを把握し、限られたリソースの中でも緊急度の高いパッチ適用など対策の優先順位を付けることができます。四半期ごとに更新され、米連邦政府機関(FCEB)は規定期限内の修正が義務付けられています(BOD 22-01)。民間企業・組織もこの知見を活用し、自組織の資産に影響する項目を常に監視・修正することでセキュリティリスクを低減できます。

    2025年Q3の統計データ概要

    登録件数推移:2025年7月~9月の3か月間に新規追加されたKEV登録脆弱性(CVE)は51件でした(7月:20件、8月:15件、9月:16件)。四半期全体では昨年同期よりやや減少していますが、依然として月によるバラつきが見られ(例:7月の米国定例更新後に登録が集中)、継続的な注視が必要です。

    ベンダー別状況:登録数の多かったベンダーは Microsoft 5件、Cisco 5件、Citrix 4件、Google 3件、D-Link 3件、TP-Link 3件 などです。特にMicrosoftとCiscoが最多件数を占め、WindowsやCiscoネットワーク機器への攻撃が続いています。D-Link/TP-Linkなど家庭用・SOHO機器向け製品も含まれており、これらは脆弱な旧機種のファームウェア更新が滞っている可能性があります。

    脆弱性タイプ(CWE):不適切なデータ逆シリアル化(CWE-502)関連の脆弱性が5件と最多で、続いてコマンドインジェクション(CWE-77, 4件)やサーバサイドリクエストフォージェリ(SSRF)(CWE-918, 2件)、OSコマンドインジェクション(CWE-78, 2件)、SQLインジェクション(CWE-89, 2件)などが目立ちます。これらは過去に頻出した攻撃手法であり、継続的に悪用されています。

    攻撃の自動化容易性(Automatable):「攻撃の自動化容易性(Automatable)」では、32件がNo(63%)、19件がYes(37%)でした。多くは手動操作や特定条件を要するため、自動スキャンによる大規模攻撃には向かない脆弱性です。

    Technical Impact:影響範囲では39件(約76%)がTotal(完全乗っ取り可能)に分類され、12件(24%)がPartialでした。攻撃者は主にシステム全面制御を可能にする脆弱性を狙う傾向が続いており、特にCriticalやHighスコアの欠陥を悪用しています。

    CVSSスコア:Q3の脆弱性ではCVSSベーススコア10.0が5件、9.8が4件、8.8が9件などハイスコアが多く、Critical帯(9.0以上)が約43%、High帯(7.0~8.9)が約39%を占めています。Q1では上位が8.8止まりでしたが、Q3には最大10.0点が新規に含まれており、深刻度の高い欠陥が多いことが分かります。

    攻撃手法・影響の深掘り分析

    ランサムウェア vs APT:1Q同様、ランサムウェア攻撃で悪用が確認されている事例は依然わずかです。一方で、国家または高度な持続的脅威(APT)による攻撃・スパイ活動での利用が多く見られます。CVE-2018-0171(Cisco IOS Smart Install脆弱性)やCVE-2023-20198は、中国系APT「Salt Typhoon」が実際に悪用したことが報告されています。ただし、敵対的勢力に限定されず、複数の脆弱性が攻撃チェーンで組み合わされることもあるため(1QではMitel事例など)、ランサムウェア対策も同時に強化すべきです。

    特定脅威の事例:FBIは2024年末、D-Link製カメラの脆弱性(CVE-2020-25078等)を狙った「HiatusRAT」活動を警告しており、実際にこの攻撃で3件の古いD-Link脆弱性がKEVに登録されました。サポート終了機器の脆弱性が未修正のまま放置されると、こうしたボットネットや遠隔操作マルウェアに利用されるリスクが高まります。

    CWE別動向:過去同様、コマンドインジェクション(CWE-78/CWE-77)やパストラバーサル(CWE-22)といった入力系脆弱性が依然悪用されています。また3Qでは不適切なデータ逆シリアル化(CWE-502)やメモリバッファ境界内での不適切な処理制限(CWE-119)など、複雑なプログラム上のロジック欠陥も目立ちます。これらはシステム乗っ取りや権限昇格につながりやすく、修正優先度が高い種類です。

    攻撃影響:攻撃者は依然として完全制御可能な脆弱性を好みます。たとえ部分的な影響にとどまる脆弱性であっても、別のTotal脆弱性と組み合わせて悪用されるケースもあります。したがって、CVSS値の大小だけにとらわれず、KEVに掲載されている時点で高い優先度で対応すべきです。

    組織が取るべき対策

    KEV優先パッチの適用:CISAは「KEV掲載項目を修正リストの優先対象とする」ことを強く推奨しています。組織は定期的にKEVカタログを監視し、自社使用製品に該当するCVEがあれば速やかにパッチ適用・緩和を実施する体制を整えましょう。

    主要ベンダー製品の更新:Microsoft、Cisco、Apple、Googleなど主要ソフトウェア・機器ベンダーは攻撃者の標的になりやすく、3Qも多くの脆弱性が報告されています。特に月例セキュリティアップデートや緊急パッチ情報を速やかにキャッチアップし、テストを経て迅速に展開することが重要です。

    ネットワーク機器・IoT機器の点検:D-Link、TP-Link、Ciscoのネットワーク機器やカメラ、NAS等のファームウェアも最新化しましょう。サポート切れ機種はできるだけ更新・交換し、致命的脆弱性の放置を避けます。公開緩和策(設定変更やネットワーク分離)も併用しつつ、インターネット上に不要なポート・サービスを露出しないようにします。

    検知・インシデント対応強化:脆弱性が攻撃に使われた痕跡を検知する対策も欠かせません。IDS/EDRのシグネチャや検知ルールを最新化し、CISAやセキュリティベンダーが提供するIoC/YARAルールを適用します。たとえまだ被害が確認されていない場合でも、KEV脆弱性攻撃の兆候を積極的に探すことで早期発見につながります。

    資産管理と教育:社内システムの全資産(ハードウェア・ソフトウェア)の棚卸しを行い、インベントリを最新化します。利用していないシステムや旧OSの台数削減、サードパーティーソフトの更新状況もチェックし、脆弱性の見逃しを防ぎます。また、開発・運用部門に対しては「古い脆弱性は放置厳禁」「セキュリティアップデート必須」の意識を共有し、定期的な啓発・トレーニングを行いましょう。

    脆弱性管理体制の強化:上記対応を継続的に行うため、脆弱性管理プロセスやツールを整備します。パッチ適用状況の追跡、KEVカタログとの自動照合、レポート体制など、業務フローに組み込み、専門人員や自動化ツールの活用も検討します。新たな脆弱性報告が急増した場合でも迅速に対応できるよう、定期レビューと定量的なKPI設定も有効です。

    まとめ

    2025年3QのKEVカタログ分析からは、Microsoft/Cisco製品やネットワーク機器を狙った攻撃が依然として顕著であること、古い脆弱性も攻撃対象になりやすいことが分かります。また、攻撃者はCVSSスコア「Critical」に限らず、「High」の脆弱性も活用しています。組織はKEV掲載の脆弱性=攻撃で狙われた証拠と捉え、迅速に対策を講じる必要があります。具体的には、KEVカタログを自社の優先パッチリストに組み込み、主要ベンダー更新と旧式機器の点検・更新を徹底することが重要です。セキュリティ担当者・経営層はこれらの統計を踏まえ、脆弱性管理の体制強化と運用改善に積極的に取り組むべきでしょう。

    CISAおよび関連情報源から提供されるKEVカタログには、常に最新の悪用脆弱性情報が掲載されます。定期的な情報収集と早期対策実施により、組織のサイバーリスクを効果的に低減することができます。

    BBSecでは

    サイバーインシデント緊急対応

    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年11月12日(水)14:00~15:00
    なぜ今“脆弱性診断”が必要なのか?実績データで見る検出傾向とサービス比較
  • 2025年11月26日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「クラウド設定ミスが招く情報漏洩リスク -今こそ取り組むべき「クラウドセキュリティ設定診断」の重要性-
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    狙われる医療業界2025 医療機関を標的とするサイバー攻撃

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    医療機関のサイバーセキュリティ(アイキャッチ画像)

    前回の記事の公開から約5年が経ちましたが、医療機関を標的とするサイバー攻撃の脅威はむしろ増加しています。特にランサムウェアによる被害は国内外問わず深刻化し、患者の命が危険に晒されてしまう可能性も出てきています。いまやインシデントを“他人事”とせず、「命を守るもの」という認識で組織一丸となってセキュリティ対策の見直しをすることが重要です。本記事では医療機関へのサイバー攻撃の脅威とセキュリティ対策の見直しのためのポイントをご紹介します。

    2020年12月公開の記事「狙われる医療業界―「医療を止めない」ために、巧妙化するランサムウェアに万全の備えを」をまだご覧になっていない方はぜひ、この機会にご一読ください。

    世界的に高まる医療分野へのサイバー攻撃

    ランサムウェアによる被害は世界中で後を絶たず、いまや医療分野は重要な標的の一つとされています。米国のセキュリティ監視サイトRansomware.liveの統計によれば、2025年時点でランサムウェア被害を受けた業種の中で、医療・ヘルスケア関連は第3位に位置しています。医療業界が金融や行政に並ぶほどの標的となっている現実は、決して無視できません。

    Ransomware.live統計円グラフ(ランサムウェア被害を受けた業界)
    出典:Ransomware.liveRansomware Statistics for 2025」(https://www.ransomware.live/stats

    国内でも相次ぐ深刻な被害事例

    日本国内でも、深刻な被害事例が相次いで報告されています。たとえば2024年3月、鹿児島県の国分生協病院では、ランサムウェアによるサイバー攻撃により、電子カルテをはじめとする複数のシステムが使用できなくなり、患者の診療に支障が出るという被害が発生*2しました。また、同年の5月に起きた岡山県精神科医療センターでは、外来診療の一部を中止せざるを得ない事態に追い込まれました*2。このように、サイバー攻撃は単に業務の一時停止を招くだけでなく、医療提供そのものに影響を与え、患者の命を危険に晒す恐れがあるという点で、他業種におけるサイバー被害とはその意味において一線を画します。

    サイバー攻撃は“日常の医療”を止めうる

    Silobreaker社がまとめた医療業界に関する分析レポートでも、ヘルスケア分野に対するサイバー脅威の増加は顕著であり、医療情報の価値の高さとシステムの脆弱性が攻撃を呼び込んでいると指摘されています。国内外でのこうした事例は、「サイバー攻撃が日常の医療を止め得る存在である」という現実を強く物語っています。特に日本では、「まさかうちが」という意識が依然として根強く残っているのが現状ですが、医療機関はすでに、攻撃者にとって“おいしいターゲット”であることを自覚すべき時期に来ています。

    攻撃者はなぜ医療機関を狙うのか

    攻撃側の論理①わきの甘さ=「機会要因」の存在

    医療機関がサイバー攻撃の標的になる。―これはもはや偶発的なものではなく、確かな傾向として定着しつつあります。過去の記事でも言及しましたが、2025年現在ではその背景にある“攻撃側の論理”がより鮮明になってきています。

    多くの人が誤解しがちなのは、「医療機関は狙われている」という表現があたかも特定の施設に対して意図的な攻撃が行われている、という印象を与えてしまう点です。確かに、一部には病院のネットワークやデータに照準を合わせた標的型攻撃も存在します。しかし実態としては、多くの場合、攻撃者は最初から「病院を狙って」いるわけではありません。攻撃者は、不特定多数の組織や端末に対して無差別にスキャンをかけ、リモートアクセスサービスやVPN機器、ファイル共有サーバといった、公開された情報から侵入経路を探しています。そしてその中で、意図せず医療機関が引っかかるのです。つまり、標的にされたのではなく、“侵入可能だったから侵入された”というのが現実なのです。

    医療機関では古いシステムが更新されずに残っている、または、ネットワークの分離が不完全なまま稼働していることがあります。また、パスワードの使い回し、脆弱性が放置されたソフトウェア、機器の寿命サイクルの見落としなど、基本的なセキュリティ対策に隙があることが少なくありません。そして、攻撃者にとっては、それこそが格好の「入り口」になるのです。

    攻撃側の論理②「動機」金になる標的としての医療機関

    ランサムウェア攻撃を実行するサイバー攻撃者の目的は、金銭的な利益です。医療機関には、個人情報(診療記録、保険情報、連絡先など)や経営上の内部資料、研究データといった売買可能な資産が豊富にあります。また、医療機関は儲かっているように思われており、そのうえで業務の中断が患者の生命に直結するため、身代金の支払いに応じやすいに違いない、と見られているわけです。つまり、医療機関が狙われるのは、「わきが甘いから侵入しやすい」+「金銭的利益を得やすい重要なデータの宝庫である」=“コストパフォーマンスに優れた良い標的”と見なされているからと考えられます。

    2020年以降医療サイバーセキュリティはどう変わったのか

    制度とガイドラインの整備が進む

    前回の記事からの5年間で、医療分野のサイバーセキュリティを取り巻く制度やガイドラインも着実に充実してきています。例えば2025年5月に、厚生労働省から「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和7年5月版)」が公開され、以前に比べて具体的かつ実践的な内容になっています。クラウド環境やBCP(事業継続計画)への配慮、IoT・BYODといった新たなリスクへの言及も盛り込まれています。

    また、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設けたり、EDR(Endpoint Detection and Response)などの対策製品を導入したりする医療機関も増えてきました。CSIRTを中心とした地域単位の訓練や、院内外のネットワーク構成の共有と点検を含む取り組みが、学術会議や業界団体の枠組みとして増加しています*3。サイバー攻撃に備える土台作りは、着実に進みつつあるといえるでしょう。

    2025年いまだ残る基本的な課題

    一方で、5年前と変わらぬ問題を目にする場面も少なくありません。その一つが、「パスワード管理」です。初期設定のまま放置されたアカウント、業務上の利便性から生まれる使い回し。こうしたわきの甘さが、攻撃者の入り口になることは以前から分かっていたはずですが、2024年の岡山県精神科医療センターの事例などを見ると、なおも同様の傾向が残っていることがうかがえます。また、電子カルテやシステムのクラウド化に対しても、依然として現場では極端な見方が交錯しているように思えます。「クラウドだから安全」と根拠のない安心感を持つ一方で、「クラウドだから怖い」「電子カルテという形式そのものが危ない」といった漠然とした不安も根強く見受けられます。

    どちらにしても共通するのは、仕組みやリスクを正しく理解しないまま思い込んでいるケースが少なくないということです。実際には、クラウドの活用は有効な手段のひとつでありつつも、アクセス制御や端末管理、ネットワーク構成など、設定次第でその安全性は大きく変化します。こういった基本的な理解の重要性や注意点は、5年前から現在も変わらずに示され続けてきたものですが、いまだに“本質的な理解”が広がり切っていないように見受けられます。

    基本的な課題の根底には、インシデントを“自分事”として捉えづらい空気があるのかもしれません。実際に深刻な被害を受けた他機関の事例を目にしても、「うちには関係ない」とどこかで思ってしまう感覚。それは、ごく自然な反応である一方で、取り返しのつかないインシデントに繋がりかねません。

    自組織のセキュリティ対策の見直しを

    医療機関向けチェックリストやガイドラインの活用

    ここまで見てきたように、医療機関に対するサイバー攻撃は後を絶たず、その影響は診療の継続性や患者の安全、そして組織の信頼性にまで及びます。「自分たちは大丈夫だろう。」「人命最優先で、他を考えている余裕はない。」―そのように考えがちですが、日々の業務に追われている医療現場こそ、今一度立ち止まって、対策の棚卸しを行うことが求められています。対策の見直しにあたっては、厚生労働省が公開している「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和7年5月版)」の活用が効果的です。

    厚生労働省「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和7年5月https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001253950.pdf

    本チェックリストは、技術的な対策だけでなく、組織体制や訓練、業者選定の観点まで網羅されており、現場レベルでも活用しやすい実践的な内容となっています。また、業界全体で参照される基準として、次のようなガイドラインも押さえておくとよいでしょう。

    これらの資料には、医療の特殊性を踏まえた対応策が具体的に記載されており、ベンダや関係業者との連携の際にも参考となります。

    現場の声と経営的視点をつなげる「可視化」

    セキュリティ対策は単なる技術的作業にとどまらず、組織全体で「守るべきもの」を共通認識することが大切です。そのためにも、経営層が積極的に関与し、現場の声を聴きながら継続的な投資と改善を進めていくことが求められます。医療機関にとって、セキュリティはコストではなく、患者の信頼と組織の生命線であることを改めて認識すべきです。その助けになるのが、リスクの「可視化」です。

    仮に端末のひとつがマルウェアに感染したとき、その端末が院内のどの機器と通信しているのか、そこから電子カルテや予約システムにアクセスされたりしないか、バックアップはきちんと機能するかなどなど…。こうした攻撃時の経路や起きうる事象をあらかじめ可視化し、把握しておくことは、被害拡大の防止やインシデント対応の迅速化に大きな効果をもたらすのみならず、経営層の理解を得ることにもつながります。可視化によって得られる「想定していなかった侵入経路」「明らかになる不十分なセキュリティ対策」「攻撃発生時に起きうる具体的な被害」といった情報が、経営層や多くの医療従事者に理解してもらい、組織全体で防御力を高めるための重要な意思決定のための正しい判断材料となりえるでしょう。

    BBSecでは

    BBSecでは以下のようなご支援が可能です。 お客様のご状況に合わせて最適なご提案をいたします。詳細・お見積りについてのご相談は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。後ほど、担当者よりご連絡いたします。

    アタックサーフェス調査サービス

    インターネット上で「攻撃者にとって対象組織はどう見えているか」調査・報告するサービスです。攻撃者と同じ観点に立ち、企業ドメイン情報をはじめとする、公開情報(OSINT)を利用して攻撃可能なポイントの有無を、弊社セキュリティエンジニアが調査いたします。

    また費用の問題から十分な初動対応ができないといった問題が発生しかねない状況を憂え、SQAT® 脆弱性診断サービスのすべてに、サイバー保険を付帯させていただいています。

    サイバー保険付帯の脆弱性診断サービス

    BBSecのSQAT® 脆弱性診断サービスすべてが対象となります。また、複数回脆弱性診断を実施した場合、最新の診断結果の報告日から1年間有効となります。詳細はこちら。
    https://www.bbsec.co.jp/service/vulnerability-diagnosis/cyberinsurance.html
    ※外部サイトにリンクします。

    エンドポイントセキュリティ

    組織の端末を24時間365日体制で監視し、インシデント発生時には初動対応を実施します。
    https://www.bbsec.co.jp/service/mss/edr-mss.html
    ※外部サイトにリンクします。

    インシデント初動対応準備支援

    体制整備や初動フロー策定を支援します。
    https://www.bbsec.co.jp/service/evaluation_consulting/incident_initial_response.html
    ※外部サイトにリンクします。

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年8月20日(水)13:00~13:30
    EC加盟店・PSP必見!クレジットカード・セキュリティガイドライン6.0版対応ウェビナー
  • 2025年8月27日(水)13:00~14:00
    【最短7営業日で診断&報告】サイバー保険付帯脆弱性診断「SQAT® with Swift Delivery」のご紹介
  • 2025年9月3日(水)13:00~14:00
    止まらないサイバー被害、その“対応の遅れ”はなぜ起こる?~サイバー防衛の未来を拓く次世代XDR:大規模組織のセキュリティ運用を最適化する戦略的アプローチ~
  • 最新情報はこちら

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像
    セキュリティトピックス動画申し込みページリンクへのバナー画像

    【長期休暇前の見直しを!】ネットワーク図が消えた瞬間─ランサムウェア時代のインシデント対応を左右する“準備”の質

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    インシデントレスポンス・フォレンジック記事アイキャッチ画像(パソコンと火のイメージ)

    長期休暇は攻撃者にとっての“ゴールデンタイム”─攻撃の隙を突かれ、組織のネットワーク図や構成情報が暗号化されてしまえば、インシデント初動対応やフォレンジック調査に大きな支障が生じます。本記事ではランサムウェア攻撃の実例を交えつつ、サイバー攻撃への対策の要点を解説します。

    図面サーバが暗号化された実例が突きつけた現実

    2021年1月、プエルトリコ財務省(Hacienda)の共有サーバがランサムウェア「Ryuk」によって暗号化されました。困難を極めたのは業務システムそのものではなく、インシデント対応の羅針盤となるIDSログとネットワーク図まで人質に取られたことでした。CompSec Direct社は、外部のDFIR(Digital Forensics & Incident Response)チームが構成を把握するまでに数時間を費やし、その間オンライン納税が全面停止した結果、1日あたり2000万ドルを超える税収が失われたと報告しています。さらに同様のリスクが民間企業にも差し迫っています。Microsoft Igniteで発表されたランサムウェアバックアップ戦略ガイド「Ransomware attack recovery plan」では、「ネットワーク図やCMDBは攻撃者が真っ先に狙う復旧用ドキュメントであり、失えば復元計画そのものが成立しなくなる」と警鐘を鳴らしています。

    ネットワーク図はフォレンジック調査とCSIRTの羅針盤

    マルウェア感染が判明した直後、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)はネットワークをどこで遮断すべきか、どのホストでメモリダンプやパケットキャプチャを始めるべきかを瞬時に決めなければなりません。その判断を支える“地図”こそ最新のネットワーク図です。AWS Incident Response「Document and centralize architecture diagrams」でも、アーキテクチャ図を一元的に保管し常に更新しておくことが「迅速かつ正確な封じ込めの前提」と明示しています。

    フォレンジック担当者にとっても図面は欠かせません。感染セグメントの境界を論理的に隔離し、ログ残存率の高い経路を優先してトラフィックを保存し、横展開を想定したホストに的を絞ってメモリを取得する—こうした分単位のオペレーションは、正確な構成情報があって初めて迷いなく実行できます。図面が欠落した状態では、調査は手探りになり、感染拡大のリスクが急激に高まります。

    攻撃者が真っ先に狙う“復旧用ドキュメント”

    近年のランサムウェアは単にシステムを暗号化するだけでなく、復旧の要となるバックアップやドキュメントを破壊・窃取する二重・三重恐喝が主流です。Microsoftは前述した「Ransomware attack recovery plan」の中で、図面を含む復旧ドキュメントを必ずイミュータブルまたはオフラインの領域へ隔離し、管理者権限を奪われても書き換えられないように設計することを強調しています。この”文書奪取型”の攻撃は、組織が身代金を支払わざるを得ない状態へ追い込む目的で計画的に行われます。したがって、図面の退避先をシステムとは別レイヤーに置く設計思想そのものが、ランサムウェア時代の事業継続計画(BCP)の根幹となります。

    三層バックアップと3-2-1 ルール—図面を守るための冗長化設計

    攻撃者がドキュメントを狙う前提を踏まえ、Microsoft Azureや多くのクラウド事業者は「三層バックアップ」を基準として推奨しています。第一層は多要素認証を必須化したオンラインバックアップで、日常的な迅速リストアを担います。第二層はクラウドのイミュータブルストレージで、週次コピーを保管し、管理者権限の奪取による改ざんを防ぎます。第三層は完全オフラインの隔離媒体で月次アーカイブを保持し、最悪のシナリオでも“最後の砦”として機能します。この三層構造の流れは下図の通りです。

    三層バックアップのイメージ図

    三層バックアップは、しばしば「三つのコピー・二種類の媒体・一つはオフサイト」という 3-2-1ルールとも呼ばれ、ログやアプリケーションデータだけでなくネットワーク図のような復旧必須ドキュメントにもそのまま適用できます。重要なのは、図面を単なるPDFとして保存するのではなく、バージョン管理システムやIaC(Infrastructure as Code)ツールで変更履歴を残し、更新が発生するたびに自動でイミュータブル層へ複製する運用プロセスを組み込む点にあります。

    長期休暇は“攻撃者のゴールデンタイム”

    大型連休や年末年始は、内部管理者の不在や監視体制の手薄さを突く格好のタイミングです。実際、米CISAと FBIは2021年のレイバー・デー (Labor Day=労働者の日)を前に、「過去の大規模ランサムウェア攻撃は、週末や祝日の直前に集中する傾向がある」と共同アドバイザリRansomware Awareness for Holidays and Weekends」を公開し、平時よりも高い警戒レベルを求めました。

    国内でも2024年4月、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が「2024年度 ゴールデンウイークにおける情報セキュリティに関する注意喚起」を発表し、「長期休暇中は管理者が長期間不在になるため、インシデント発生時の対応が遅れ、休暇明けの業務継続に影響が及ぶ恐れがある」と警告しています。連休を狙った攻撃が成功しやすい背景には、VPNリモートデスクトッププロトコル(RDP)のパッチ未適用、監視ログの見落としといった“人的スキマ”が重層的に生じる点があります。

    「連休前点検」と「連休後フォロー」を年間行事に

    休暇入りの二週間前を目安に、ネットワーク図とCMDB(構成管理データベース)の最新版をイミュータブル層へ複製し、外部ベンダーとも共有確認を行う—これだけで、もし連休中に図面サーバが暗号化されても代替コピーを即座に展開できます。さらに休暇明け初日に、ログの異常値とバックアップ整合性をチェックする“フォローアップ窓”を設ければ、潜伏期間の長いマルウェアを早期に検知できます。

    平時にベンダー契約を結び、図面を安全に共有する

    インシデント対応は社内リソースだけで完結しない局面が多くあります。経済産業省が公開した中小企業向け手引きでも、専門知識が不足する場合は外部ベンダーへ速やかに支援を依頼するよう明記されています。ところが緊急時に初めて見積もりを取得し、社内決裁を経て、機密保持契約(NDA)を交わすようでは手遅れになりかねません。またNIST SP 800-61 Rev.3でも、外部サービスプロバイダーとの契約には責任分界点・連絡フロー・緊急時の権限を事前に文書化し、図面や資産リストを暗号化して共有しておくべきだと指摘しています。

    図面を平時から共有しておけば、ベンダーは現地到着と同時に封じ込めポイントやログ取得手順を提示できる―これが、初動を数十分で完了させるか、半日を失うかの分岐点となります。

    図面更新運用「変更が起きた瞬間にバックアップを取る」

    ネットワーク構成は日々変化します。クラウドのセキュリティグループを1行書き換えるだけでも、感染経路や封じ込め手順は一変します。したがって、図面更新の責任を特定の担当者に寄せるのではなく、CI/CDのパイプラインに組み込んで自動化するアプローチが有効です。例えば、IaCテンプレートを最新版にマージすると同時に、図面を自動生成し、イミュータブル層へコミットする―こうして「変更=バックアップ」のトリガーを組織文化として定着させることで、人為的な更新漏れを防止できます。

    クラウド・オンプレミスを跨ぐハイブリッド環境への適用のポイント

    ハイブリッド環境では、クラウド側のアーキテクチャ図とオンプレの物理配線図を統合的に管理する必要があります。AWS Systems Manager Application ManagerやAzure Arcなどのサービスを活用すると、マルチクラウド/オンプレ資産を単一のリポジトリへ収集できる。こうして得られたメタデータをエクスポートし、Visioやdraw.ioで図面化して保管すれば、プラットフォームを跨いだ封じ込め手順を迅速に策定できます。

    90日で構築する“図面と契約”のロードマップ

    まず、30日以内に既存図面の所在を棚卸しし、漏れや重複を洗い出します。次の30日で三層バックアップを設計し、イミュータブル層とオフライン層へのコピーサイクルを自動化します。最後の30日でMSSPやクラウドベンダーとの契約書に図面共有条項を追加し、緊急連絡網と責任分界点を明文化します。こうした段階的な取り組みを通じて、図面が失われても数分で代替コピーを展開できる体制が完成します。

    まとめ:今日から始める“図面と契約”の棚卸し

    ネットワーク図は初動対応の生命線であり、失えば封じ込めもフォレンジックも大幅に遅れます。図面そのものが攻撃者の標的になる現実を踏まえ、イミュータブルストレージと完全オフライン媒体を組み合わせた三重の防御を施すことが不可欠です。さらに、平時からMSSPやフォレンジックベンダーと契約し、暗号化した図面を安全に共有しておけば、いざという時に“地図を持った専門家”が数分で封じ込めを開始できます。図面が手元にあるか否かで、インシデント対応は「数時間」で済むか「数日」を要するかが決まります。ランサムウェアが猛威を振るう2025年、まずはバックアップ設計とベンダー契約を棚卸しし、次の長期休暇を迎える前に備えを万全にしましょう。

    サイバーインシデント緊急対応

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    【参考情報】


    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年8月5日(火)14:00~15:00
    企業サイトオーナー向け ユーザーからのレピュテーションを高めるWebサイトの在り方-Webサイトを取り巻くリスク・規制・要請とユーザビリティ向上-
  • 2025年8月20日(水)13:00~13:30
    EC加盟店・PSP必見!クレジットカード・セキュリティガイドライン6.0版対応ウェビナー
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    記録破りのDDoS攻撃!サイバー脅威の拡大と企業が取るべき対策とは?

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    近年、DDoS攻撃の規模と頻度が急激に増加しており、企業や組織にとって無視できない脅威となっています。特に、2024年第4四半期には、過去最大規模となる5.6テラビット毎秒(Tbps)のDDoS攻撃が確認され、サイバー攻撃の新たな段階へと突入したことがわかりました。この攻撃は、わずか80秒間で1万3,000台以上のIoTデバイスを利用して実行され、Cloudflare社のDDoS防御システムによって自動的に検出・ブロックされました。

    お問い合わせ

    お問い合わせはこちらからお願いします。後ほど、担当者よりご連絡いたします。

    DDos攻撃の事例として、SQAT.jpでは日本航空へのサイバー攻撃の実態についても解説しています。こちらもあわせてぜひご覧ください。
    【徹底解説】 日本航空のDDoS攻撃被害の実態と復旧プロセス
    Dos攻撃とは?DDos攻撃との違い、すぐにできる3つの基本的な対策

    DDoS攻撃の増加と進化する手口

    2024年第4四半期には、Cloudflare社が軽減したDDoS攻撃の件数が690万件にのぼり、前四半期比16%、前年比83%の増加を記録しました。さらに、1Tbpsを超える大規模攻撃の件数は前四半期比で1,885%も増加し、これまで以上に大規模な攻撃が常態化しつつあります。

    HTTP DDoS攻撃では、既知のボットネットによる攻撃が全体の73%を占め、11%は正規のブラウザを装った攻撃、10%は疑わしいHTTPリクエストによる攻撃でした。ネットワーク層(L3/L4)攻撃では、SYNフラッド(38%)、DNSフラッド(16%)、UDPフラッド(14%)が主要な手法として確認されています。また、Miraiボットネットの亜種による攻撃が特に顕著であり、2024年第4四半期には、この攻撃手法の使用頻度が131%も増加しました。

    企業が直面するDDoS攻撃のリスクとは?

    DDoS攻撃がもたらす影響は多岐にわたります。最も直接的な被害は、システムのダウンによる業務停止であり、企業の信用低下や顧客離れにつながる可能性があります。また、近年増加している「ランサムDDoS攻撃(Ransom DDoS)」では、攻撃を受けた企業が身代金の支払いを要求されるケースが増えています。2024年第4四半期には、Cloudflare社の顧客でDDoS攻撃を受けた顧客のうち、12%が身代金の支払いを求められ、前年同期比で78%の増加を記録しました。

    業界別にみると、通信業界が最も多くの攻撃を受け、次いでインターネット関連業界、マーケティング・広告業界が標的となっています。特に、金融業界は依然としてサイバー犯罪者にとって魅力的なターゲットとなっており、資金詐取を目的とした攻撃が増加しています。

    DDoS攻撃から企業を守るための対策

    DDoS攻撃の脅威が拡大するなか、企業は効果的な防御策を講じる必要があります。特に、以下のような対策が推奨されます。

    1. 常時オンのDDoS防御システムの導入
      DDoS攻撃の多くは短時間で発生するため、人間の対応では間に合わないケースが多いです。自動検知・防御機能を備えたDDoS対策ソリューションを導入することで、攻撃を迅速に無力化できます。
    1. ネットワーク層とアプリケーション層の両方を保護
      DDoS攻撃には、L3/L4(ネットワーク層)攻撃とL7(アプリケーション層)攻撃があります。両方の層に対する防御対策を講じ、ファイアウォールやWAF(Web Application Firewall)を活用することが重要です。
    1. ゼロトラストアーキテクチャの採用
      攻撃者の侵入を最小限に抑えるために、ゼロトラストモデルを導入することも有効です。認証・認可プロセスを強化し、アクセス制御を厳格化することで、不正なトラフィックを遮断できます。
    1. クラウドベースのDDoS対策の活用
      オンプレミスのDDoS対策はコストが高く、攻撃の規模が拡大するにつれて対応が難しくなります。クラウドベースのDDoS防御サービスを活用することで、スケーラブルなセキュリティ対策を実現できます。
    1. 定期的な脆弱性診断とインシデント対応計画の策定
      攻撃のリスクを最小限に抑えるために、定期的なセキュリティ監査を実施し、DDoS攻撃を想定したインシデント対応計画を策定することが不可欠です。特に、SLA(サービスレベルアグリーメント)を明確にし、攻撃発生時の対応フローを事前に決めておくことが重要です。

    今後のDDoS攻撃トレンドと企業が取るべきアクション

    DDoS攻撃は今後さらに巧妙化し、大規模化すると予想されています。特に、AIを活用したボットネット攻撃や、IoTデバイスを悪用した攻撃が増加する見込みです。さらに、特定の企業や業界を標的とした「高度な標的型攻撃(APT)」の手法がDDoS攻撃にも応用される可能性があります。

    企業は、単に防御するだけでなく、プロアクティブなセキュリティ戦略を採用し、攻撃を未然に防ぐ体制を構築する必要があります。DDoS攻撃はもはや一部の企業だけの問題ではなく、あらゆる業界にとって喫緊の課題となっています。

    常に最新の脅威情報を把握し、効果的な防御策を講じることで、企業のシステムとデータを守ることができます。DDoS攻撃のリスクを最小限に抑えるためには、今すぐ適切な対策を実施することが求められるでしょう。


    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    サイバーインシデント緊急対応

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年2月19日(水)14:00~15:00
    Web担当者に求められる役割とは?Webサイトのガバナンス強化とセキュリティ対策を解説
  • 2025年2月26日(水)13:00~14:00
    AWS/Azure/GCPユーザー必見!企業が直面するクラウドセキュリティリスク
  • 2025年3月5日(水)13:00~14:00
    ランサムウェア対策の要!ペネトレーションテストとは?-ペネトレーションテストの効果、脆弱性診断との違い-
  • 2025年3月12日(水)14:00~15:00
    サイバー攻撃に備えるために定期的な脆弱性診断の実施を!-ツール診断と手動診断の比較-
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像