【注意喚起】至急更新プログラムを適用しましょう!
Microsoft 製品の脆弱性(2025年3月)

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概要

2025年3月12日(日本時間)に、Microsoft 製品に関するセキュリティ更新プログラム(月例)が公表されました。これらの脆弱性が悪用されると、アプリケーションの異常終了や攻撃者によるパソコンの制御など、深刻な被害が発生するおそれがあります。特に、以下のCVE脆弱性に関しては Microsoft 社が実際の悪用事実を確認済みであり、今後被害が拡大する可能性があるため、速やかに更新プログラムを適用する必要があります。

  • CVE-2025-24983
  • CVE-2025-24984
  • CVE-2025-24985
  • CVE-2025-24991
  • CVE-2025-24993
  • CVE-2025-26633

脆弱性の詳細と影響

CVE-2025-24983

(Base Score:7.0 HIGH)
Windows Win32 カーネルサブシステムにおける「Use after free」脆弱性。悪用されると、攻撃者がローカルで権限昇格を行い、システムの制御権を取得する可能性があります。

CVE-2025-24984

 (Base Score::4.6 MEDIUM)
Windows NTFS における、ログファイルへの機密情報挿入に関する脆弱性。物理的な攻撃と組み合わせることで、認証されていない攻撃者が情報漏洩を引き起こすリスクがあります。

CVE-2025-24985

(Base Score:7.8 HIGH)
Windows Fast FAT ドライバーにおける整数オーバーフローまたはラップアラウンドの問題。悪用されると、攻撃者がローカルで任意のコード実行を行う可能性があり、システム制御に至るリスクがあります。

CVE-2025-24991

(Base Score:5.5 MEDIUM)
Windows NTFS の領域外読み取り(Out-of-bounds read)により、システム内の情報が漏洩する脆弱性。権限を持つ攻撃者がローカルで情報を取得するリスクがあります。

CVE-2025-24993

(Base Score: 7.8 HIGH)

Windows NTFSにおけるヒープベースのバッファオーバーフロー脆弱性。悪用されると、認証されていない攻撃者がローカルで任意のコード実行を行う可能性があります。

CVE-2025-26633

(Base Score: 7.0 HIGH)

Microsoft Management Consoleにおける不適切なニュートラリゼーションの問題。これにより、認証されていない攻撃者がローカルでセキュリティ機能を回避する恐れがあります。

推奨される対策

更新プログラムの自動適用

Windows Update を利用する
Microsoft は通常、Windows Updateを通じて自動的にセキュリティ更新プログラムを配信しています。最新の更新プログラムを確認し、適用することで、上記脆弱性の悪用リスクを低減できます。

更新管理システムの利用
組織で管理している場合は、Microsoft 社のセキュリティ更新プログラム(月例)の情報を参照の上、早期に更新プログラムの展開を行ってください。

注意点

再起動の必要性
更新プログラムの適用後、システムの再起動が必要な場合があります。事前にスケジュールを調整し、業務への影響を最小限に抑えましょう。

Windows Update の利用方法
詳細な手順については、Microsoftの「Windowsの更新」や「PCを最新の状態に保つ」方法を参照してください。

まとめ

Microsoft 製品におけるこれらの脆弱性は、悪用されると深刻な被害を引き起こす可能性があるため、至急更新プログラムの適用が求められます。Windows Updateを通じた自動更新の確認と、組織内での更新管理体制の整備により、セキュリティリスクの低減に努めてください。

参考情報】

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お申し込み開始は3月24日を予定しております。ぜひお申し込みください。


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    長期休暇明けのサイバーセキュリティ対策
    企業が実施するべき7つの重要ステップ

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    長期休暇明けは、企業にとってサイバーセキュリティリスクが高まる時期です。休暇中に発生した脆弱性や新たな脅威に対応するため、適切な対策を講じることが重要です。本記事では、企業が実施するべきセキュリティ対策について、7つご紹介します。

    修正プログラムの適用

    休暇中に公開されたOSやソフトウェアの修正プログラムを確認し、適用することが最初のステップです。システム管理者の指示に従って修正プログラムを適用することで、既知の脆弱性を修正し、セキュリティを強化できます。

    定義ファイルの更新

    セキュリティソフトの定義ファイルを最新の状態に更新することも重要です。電子メールの送受信やウェブサイトの閲覧を行う前に定義ファイルを更新することで、最新のウイルスやマルウェアに対する防御力を強化できます。

    サーバ等のログ確認

    サーバ等の機器に対する不審なアクセスが発生していないか、各種ログを確認します。不審なログが記録されていた場合は、早急に詳細な調査等の対応を行うことが必要です。ログ確認により、潜在的なセキュリティインシデントを早期に発見し、対処することができます。

    不審なメールへの警戒

    長期休暇明けはメールがたまっているため、不審なメールの添付ファイルやURLには特に注意が必要です。不審なメールを受信した場合は、添付ファイルを開かず、本文中のURLにもアクセスしないようにしましょう。また、システム管理者に報告し、指示に従うことが重要です。

    持ち出し機器のウイルスチェック

    長期休暇中に持ち出していたパソコンや外部記憶媒体のウイルススキャンを行うことも忘れずに。このステップにより、持ち出した機器がウイルスに感染していないかを確認し、組織内でのウイルス拡散を防止します。

    緊急連絡体制の確認

    不測の事態に備えて、緊急連絡体制や対応手順を確認しておくことも重要です。連絡フローが現在の組織体制に沿っているか、各担当者の連絡先に変更がないかなどを確認しておきましょう。

    データのバックアップ

    最後に、重要データのバックアップを行い、ランサムウェア攻撃に備えることが大切です。バックアップデータは安全な場所に保管し、定期的に更新することで、データの消失や改ざんに対するリスクを軽減できます。

    まとめ

    これらの対策を適切に実施することで、長期休暇明けのサイバーセキュリティリスクを大幅に軽減します。企業は常に最新のセキュリティ脅威に対する警戒を怠らず、従業員の意識向上と技術的対策の両面からセキュリティ体制を強化していくことが重要です。サイバー攻撃の手法は日々進化しており、一度の対策で安心することはできません。定期的なセキュリティ評価と対策の見直しを行い、常に最新の脅威に対応できる体制を整えていくことが、企業の重要な責務となっています。

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    お盆休み明けに急げ!
    WindowsとMicrosoft Projectの脆弱性
    ‐CVE-2024-38063/38189修正で安全な業務再開を‐

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    2024年8月、Microsoftはセキュリティ更新プログラムをリリースしました。この更新プログラムは、【CVE-2024-38063】および【CVE-2024-38189】という二つの深刻な脆弱性に対応するものであり、当該脆弱性はWindowsおよびMicrosoft Project全ユーザーに重大なリスクをもたらします。

    【CVE-2024-38063】

    CVE-2024-38063は、WindowsのTCP/IPスタックに存在する脆弱性です。この脆弱性を悪用すると、リモートの攻撃者は特定の条件下で任意のコードを実行することが可能です。これにより、攻撃者はターゲットの制御を完全に奪取し、システム全体を不正な操作に利用する可能性があります。Windows 10、Windows 11、およびWindows Server 2016、2019、2022といった幅広いバージョンが影響を受けるため、現行のWindowsを利用している多くのユーザーが影響を受ける可能性がある非常に危険な脆弱性です。

    【CVE-2024-38189】

    CVE-2024-38189は、Microsoft Projectに関連する脆弱性です。こちらもリモートの攻撃者が特定の条件下で任意のコードを実行できるというものです。この脆弱性を悪用されると、プロジェクト管理ソフトウェアのデータが危険にさらされる可能性があり、企業や組織にとっては機密情報の漏洩やプロジェクトの進行に深刻な影響を与えるリスクがあります。

    【対策】

    影響を受けるシステムを保護するために、早急に2024年8月のセキュリティ更新プログラムを適用することが強く推奨されます。

    Microsoftは、このセキュリティ更新プログラムを適用することで当該脆弱性を修正し、システムの安全性を向上させるとともに、攻撃のリスクを大幅に軽減することができる、としています。現在、日本では夏季休暇を取得している方も多いと思われますが、休み明けの更新適用を忘れずに行うことを心がけてください。また、夏季休暇明けの従業員への更新適用の声がけを徹底してください。

    詳細な脆弱性及び対策についてはMicrosoftの公式セキュリティガイドラインをご参照ください。

    【重要ポイントまとめ】

    更新の概要

    • 2つの重大な脆弱性に対応
    • 影響:WindowsとMicrosoft Projectのユーザー

    脆弱性の詳細

    CVE-2024-38063(Windows関連)

    • 影響:Windows 10, 11, Server 2016, 2019, 2022
    • リスク:攻撃者がシステムを完全に制御する可能性
      CVSS:3.1:9.8(緊急)

    CVE-2024-38189(Microsoft Project関連)

    • リスク:プロジェクトデータや機密情報の漏洩
    • CVSS:3.1:8.8(重要)

    重要性

    早急な更新が必要

    対策

    • セキュリティ更新プログラムを速やかに適用
    • システムとネットワークの監視強化
    • セキュリティ設定の見直し

    情報源

    詳細はMicrosoftの公式セキュリティガイドラインを参照

    ユーザへの呼びかけ

    常に最新のセキュリティ情報に注意を払い、適切な対策をとること

    【関連リンク】

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    Webアプリケーションの脆弱性入門

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    人がアプリケーションを持っているイラスト

    Webアプリケーションは私たちの日常生活に欠かせない存在となっています。しかし、それらのWebアプリケーションが攻撃者からの脅威にさらされていることをご存知でしょうか?Webアプリケーションに脆弱性が存在すると、悪意のある第三者によって個人情報や企業の機密情報が漏洩するリスクが生じます。この記事では、Webアプリケーションの脆弱性の種類について解説します。

    脆弱性とは

    脆弱性とは(ポイントマークとその周りに人がいる)イメージ

    脆弱性とは、プログラムの不具合や設計上のミス等によるバグが原因となって発生したセキュリティ上の欠陥や弱点のことを指します。Webアプリケーションに脆弱性が存在する場合、攻撃者がシステムに侵入し、機密情報を盗み出したり、サービスを乗っ取ったりするリスクが生じます。企業はWebアプリケーションの脆弱性を理解し、それに対処するための適切な対策を講じる必要があります。

    脆弱性の種類

    脆弱性にはさまざまな種類があります。以下に代表的な例を挙げます。

    1. SQLインジェクション

    データベースを使って情報を処理するWebアプリケーションは、その多くがユーザからの入力値をもとにデータベースへの命令文を構成しています。SQLインジェクションは、攻撃者がWebフォームなどの入力欄に特定のコードを入れることで不正な命令文を構成し、データベースを不正利用できてしまう脆弱性です。これを悪用することで、例えば、データベースの情報を盗んだり、改ざんしたり、消去したりできる可能性があります。

    2. クロスサイトスクリプティング(XSS)

    クロスサイトスクリプティング(XSS)は、ネットバンキングや掲示板のように、ユーザから入力された値を処理して出力するWebページに攻撃者が悪意のあるスクリプトを埋め込むことで、Webページを閲覧したユーザのWebブラウザ上でスクリプトを実行させることができる脆弱性です。これを悪用されると、ユーザが意図しない情報の送信や表示ページの改ざんなどのリスクが発生します。

    3. クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)

    クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)は、攻撃者が罠として用意した偽サイトを用いてリンクや画像をクリックさせることで、ユーザが意図していないリクエストを強制的に行わせることができる脆弱性です。例えば、SNSで「いいね!」をする、銀行の振込操作など、被害者がログインしているWebサービスの操作を攻撃者が悪用することが可能です。

    4. セッション管理の不備

    Webアプリケーションの中には、セッションID(ユーザを識別するための情報)を発行し、セッション管理を行うものがあります。このセッション管理に不備があることで、セッションIDを固定化できたり、有効なセッションIDが推測可能だったりすると、セッションハイジャックと呼ばれる攻撃が成立する危険性があります。これにより、攻撃者が本来のユーザになりすまして権利を行使することで、プライベートな情報の閲覧や、設定の変更などが行われる可能性があります。

    5. アクセス制御の不備

    Webアプリケーションにおいて、本来付与されている権限の範囲内でのみ動作するような制御が実装されていない問題を指します。例えば、一般ユーザとしてログインした際に管理者としての権利を行使できてしまう権限昇格、パラメータを操作することで、本来制限された領域外のファイルやディレクトリにアクセスすることが可能となるパストラバーサルなどです。不正アクセスや意図しない情報の公開をはじめとした、様々なリスクが生じます。

    脆弱性を悪用した攻撃による影響

    脆弱性が悪用されると、企業に深刻な影響が及ぶ恐れがあります。脆弱性が引き起こす可能性のある影響の例を、以下に示します。

    機密情報の漏洩

    攻撃者は、脆弱性を利用して機密情報を盗み出すことができます。クレジットカード情報や個人情報など、大切な情報が漏洩することで、企業の信頼性に係る問題や法的な問題が発生する可能性があります。

    データの改ざん

    脆弱なWebアプリケーションは、攻撃者によってデータの改ざんが行われる可能性があります。データの改ざんによって、Webアプリケーションの正確性が損なわれたり、信頼性が低下したりする可能性があります。

    サービスの停止または遅延

    脆弱性を悪用されると、サービスの停止、遅延、またはデータベースの消去といった、システム全体に影響が及ぶ被害を受ける恐れがあり、企業のビジネス活動に重大な影響が生じる可能性があります。

    金銭的な損失

    脆弱性のあるWebアプリケーションは、企業にとって金銭的な損失をもたらす可能性があります。攻撃者による不正アクセスでデータが盗難された結果、企業に損害賠償責任が生じる場合があります。

    企業の信頼喪失

    セキュリティに関する問題が公になると、企業の評判に悪影響を与える可能性があります。顧客やパートナーからの信頼を失うことは、企業にとって非常に重大な損失です。

    脆弱性対策の方法

    脆弱性の悪用を防ぐためには、以下のような対策が考えられます。

    正しい権限管理の実施

    ユーザには場面に応じた必要最小限の権限のみ付与することが推奨されます。また、不要な機能やリソースへのアクセスを制限することも脆弱性を軽減させるポイントとなります。

    定期的なセキュリティチェックの実施

    定期的なセキュリティチェックの実施(セキュリティとパソコンの周りに人)イメージ

    Webアプリケーションに対しては、機能追加などのシステム改修時はもちろんのこと、定期的なセキュリティチェックを行うことが重要です。脆弱性スキャンやペネトレーションテストなどの手法を活用し、問題を早期に発見して修正することが大切です。

    最新のセキュリティパッチの適用

    Webアプリケーションを開発・運用する際には、使用しているフレームワークやライブラリの最新のセキュリティパッチを適用することが必要です。これにより、既知の脆弱性やセキュリティ上の問題を解消することができます。

    まとめ

    脆弱性のあるWebアプリケーションは、攻撃の潜在的なターゲットになります。セキュリティ対策を徹底し、脆弱性の早期発見と修正を行うことが重要です。また、さまざまな対策手法やセキュリティツールを活用し、脆弱性を作り込まないセキュアな開発環境作りに取り組んでください。企業のデータや顧客の個人情報を守るためにも、脆弱性対策は欠かせません。今回の記事がお役に立てれば幸いです。

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    業界別診断結果レーダーチャート

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    2019年下半期 Webアプリケーション診断

    診断対象を業界別に分類し、当社報告書内で使用している、入出力制御、認証、セッション管理、重要情報の取り扱い、システム情報・ポリシーといったカテゴリごとに、検出された脆弱性をリスクの重大性で評価してレー ダーチャート化した。レーダーチャートの算出方法は、集計期間に検出された脆弱性の平均値から、システムごとに判定した結果の平均値である。今回は、オリンピック・パラリンピックを目前に控え、新しい試みを続ける観光・宿泊・運輸(航空・旅客)業などの「ホスピタリティ」業界をピックアップし、分析した。

    「高」リスク以上の脆弱性が検出されたシステムであっても、正しい対処を施せば影響は最小化できる。また、事故を未然に防ぐための方法を、官公庁などがガイドラインや対策提言などとして発表しているので、これらも参考にしていただきたい。

    ホスピタリティ業界

    図1 検出された脆弱性の平均値

    ホスピタリティ業界(観光・宿泊・運輸)分野のシステム脆弱性診断の平均値は図1のとおり。システム情報・ポリシーにおいてやや数値が低いものの、平均して大きな問題が検出されたシステムは少ない。

    しかし注意を喚起したいのが、このレーダーチャートがあくまでも「平均」であることだ。殆どのシステムは平均値を上回る、あるいはほぼ平均値に近い値であったものの、大きく平均を下回るシステムも存在した。特に入出力制御とセッション管理においてその傾向が顕著であった。なお、システム情報・ポリシーは総じて平均に近い値であった。オリンピック・パラリンピックに向けて活況な業界の現状と課題について考えていく。

    電子商取引(BtoC-EC)の活況と課題

    2019年5月に経済産業省が公表した「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」によれば、日本のBtoC-ECのサービス系分野において、最も市場規模が大きいのが旅行サービスである。2018年のBtoC-ECの市場規模は3兆7,186億円にのぼり、全体の約56%を占める。ここでいう「旅行サービス」とは、旅行代理店への申し込み、航空機利用(国内便・国際便)、鉄道(新幹線・その他在来線)、バス利用、ホテル・旅館の宿泊費に関して、消費者の国内外を問わず日本の事業者に支払いが発生する市場を指す(ビジネスで利用する「出張」は除外)。牽引するのはインターネット専業の旅行代理店(通称:OTA :Online Travel Agency)で、国内のサイトをはじめ、エクスペディアやBooking.comといった外資系OTAも目立っている。特にインバウンドにおいては外資系OTA抜きでは成り立たないといっても過言ではない。

    旅行サービス業においてBtoC-ECは、航空券やホテル予約における空席や空室といった「在庫」管理に直結している。例えば、客室数という確定サービス枠が存在し、空室を「在庫」として顧客に提示しインターネットを介して予約を受け付け、自動で在庫管理を行う形態は、「在庫数」が明確に定義できるサービスにとって非常に親和性の高い形態である。

    しかし、市場が成長を続ける一方でセキュリティの甘さも課題として浮かんできた。

    2018年にセキュリティ企業のTrustwaveが犯罪被害にあった世界19カ国の企業・団体など数千社を対象に行った調査結果では、宿泊業・旅行業を含む「ホスピタリティ産業」は、小売、金融に次いで3番目に被害が多く、全体の10%を占めた。特にクレジットカード払いができるシステムが狙われている。またセキュリティ企業のDashlaneが2018年に実施した調査では、旅行関連サイト55社の89%でパスワードポリシーや認証機構に問題があったとの結果が報告されている。さらにシマンテックの研究者による調査では、54カ国約1,500のホテルにおける67%もの予約サイトがサードパーティサイトに予約参照コードを意図せず漏らしているリスクを内包しているという報告がなされている。同調査では、ホテルサイトの4分の1以上(29%)が、顧客への予約受領のメールに記載している予約管理システムへのリンクを暗号化していないとも述べている。実店舗を狙ったサイバー攻撃は減少傾向にあるものの、電子商取引ではむしろ増加傾向にあるといえるだろう。

    OTAに関しては観光庁が2015年に「オンライン旅行取引の表示等に関するガイドライン」を策定し、旅行業のオンライン取引で表示すべき内容やその表示方法について細かく規定した。しかしセキュリティ対策については触れられておらず、各企業・団体によって対策状況はまちまちであった。2016年、大手旅行会社・中堅運輸会社において情報流出事件が発生したのを受け、「観光庁・旅行業界情報共有会議」が発足された。「中間とりまとめ」において旅行業情報セキュリティ向上のため早急に講ずべき対策が提言され、2018年には「旅行業者における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン」策定の予算が支出されたものの、2020年1月の段階では、公表されていなかった。ただし、社団法人日本旅行業協会/社団法人全国旅行業協会が2014年に「旅行のウェブ取引に関するガイドライン(改訂版)」を出しており、事実上これがスタンダードになっているともいえる。

    一方、国土交通省ではサイバーセキュリティ戦略本部の「重要インフラ分野における情報セキュリティ確保に係る安全基準等策定指針」に依拠する形で、航空・物流・鉄道・空港の各分野に対し、個別に「情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン」を策定している。また、鉄道、バス・バスターミナル、タクシー、宿泊施設の各業種に対しては個別の「情報セキュリティ対策のチェックリスト」を公開して対策を促している。

    インバウンドサービスの動向

    ホスピタリティ業界において今年開催のオリンピック・パラリンピックを目前に脚光を浴びているのが、訪日外国人観光客を対象とするインバウンドサービスである。日本が「観光立国」を打ち出したのは今から17年ほど以前に遡る。小泉首相(当時)による「観光立国懇談会」が平成15年(2003年)に発足し、2006年には「観光立国推進基本法」が成立した。2015年以降、国際貿易収支上、観光業は「輸出産業」となっている。また、2019年の世界経済フォーラムの観光競争力レポートでは第4位と、2017年より2回連続で上位にランクインしている。日本の評価を押し上げた項目としては「安全・安心」、「保険・衛生」、「ICTの普及」がある。

    世界観光機関(UNWTO)によれば、今後のインバウンドサービスのカギとなるのはデジタル技術、特にバーチャル・アシスタントとリアルタイムデスティネーションであるとしている。国土交通省では令和元年度の施策として、主要観光地の多言語対応、全国3万カ所の主要観光地・防災拠点で無料Wi-Fi整備を進めるとともに、「キャッシュレス・消費者還元事業」として中小・小規模事業者のキャッシュレス決済の普及に力を注いでいる。観光庁も、2018年には「外国人観光旅客利便増進措置に関する基準」、「公共交通機関における外国人観光旅客利便増進措置ガイドライン」を策定した。同ガイドラインでは「インターネットによる予約環境の整備」として「インターネット上でクレジットカード等による決済も可能であることが望ましい」としている一方で、セキュリティに関しては、「公衆無線LAN等を整備するにあたっては、以下を参照されたい」として、「Wi-Fi提供者向けセキュリティ対策の手引き」(平成28年総務省)、「公衆無線LANセキュリティ分科会報告書」(平成30年3月総務省)を挙げているのみである。

    旅行者はパスポート、支払い情報、詳細な旅程など、データの宝庫を持ち歩く存在といえる。さらに旅行者は、旅行先では利便性を優先し、セキュリティ意識が通常より甘くなりがちであることから、攻撃者にとっては格好の「獲物」となりやすい。先のTrustwaveのレポートによれば、調査対象のアメリカ人の70%以上が公共のWi-Fiへの接続や公共のUSBステーションでのデバイス充電、Wi-Fiへの自動接続を有効化することで自分自身の情報をさらす行為をしていた。なお、個人旅行に比べビジネス旅行の方が、リスクの高い行動をとる人が多い。

    新たな取り組み-VR/ARを活用した観光コンテンツ

    こうした中、セキュリティ要件を組み込まないガイドラインを基に「VR/AR等を活用した観光コンテンツ」が独り歩きしている現実もある。VR(Virtual Reality:仮想現実)が現実世界から得られる感覚情報を遮断して人工的に再現した感覚情報に置き換えるのと対照的に、AR(Augmented Reality:拡張現実)は現実空間を起点としデジタル情報を付加し、CGや動画を合成表示する。RPGを現実の空間と重ねるスマホゲームなどがARの代表である。ARに固有のセキュリティやプライバシーを考慮する必要があると主張する研究者もいる。

    2019年にはサイバーセキュリティカンファレンスRECONにおいて、VRのハッキングが紹介された。観光に関するVRコンテンツは観光庁・文化庁がそれぞれ個別にガイドラインを公表しているが、どちらもセキュリティ要件を含んでいない。また経済産業省の補助事業として、特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)が「VR等のコンテンツ制作技術活用ガイドライン2018」を公表しているが、やはりセキュリティについては触れられていない状況だ。データセキュリティのみならず、個人情報(位置情報)保護、プライベート空間権利(公的空間の境界)等の課題もある。これらに関して今春以降、矢継ぎ早にガイドラインが発行されることが予想されるが、現在設計・開発中の案件については、ガイドラインが発行されてからセキュリティ要件を追加することになり、いびつな構造になってしまう。

    まずは設計・開発の段階から「セキュリティ・バイ・デザイン」の思想を実践するとともに、ガイドラインに盛り込まれるであろう最低限のセキュリティ要件は予め組み込んでおくことが肝要だろう。どんな要件がガイドラインに組み込まれるか、あるいはガイドラインの最低基準以上の対策が必要なものは何かといった、専門家の知見が必要になる。これからインバウンド関連の事業を展開するのであれば、是非にも開発段階からのセキュリティ診断を実施することをお勧めする。

    図 2 国際観光収支の推移(観光庁資料より当社作成)
    出典:https://www.mlit.go.jp/common/001186621.pdf

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