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セキュリティ運用を継続していく中で、多くの組織が直面するのが「体制」の問題です。個別の対策や日常的な運用が回り始めたとしても、それが特定の担当者に依存している限り、長期的な安定は期待できません。本記事では、その発展段階として、属人化を防ぎながら継続的に回るセキュリティ運用体制の考え方を解説します。
セキュリティ運用の全体像や考え方については、以下の記事で整理しています。
「セキュリティ運用とは?属人化を防ぎ継続的に回す基本の考え方」
セキュリティ運用体制とは、人員を増やすことではなく、判断・実行・記録の役割を分離し、担当者が変わっても運用が継続できる状態を設計することを意味します。「セキュリティ運用 体制」「情シス セキュリティ 体制」「セキュリティ 外部委託」といった検索が増えている背景には、技術的な課題ではなく、組織としてどう運用を維持するかという悩みがあります。セキュリティは専門技術の問題として語られがちですが、実際には役割設計と意思決定の構造に大きく左右されます。担当者の異動や退職、業務負荷の増加といった現実的な変化によって、運用そのものが停止してしまうケースは決して珍しくありません。
多くの企業では、セキュリティ業務が情報システム担当者、いわゆる情シスに集中しています。特に中小規模組織では「ひとり情シス」と呼ばれる状況も珍しくなく、インフラ管理、ヘルプデスク、クラウド設定、セキュリティ対応を一人が担うケースも見られます。
短期的には、この形は合理的に見えます。意思決定が速く、状況把握も一元化されるためです。しかし長期的に見ると、担当者の知識と経験に依存した状態が固定化し、組織としての再現性が失われます。担当者依存の最大の問題は、運用が見えなくなることです。判断理由や対応経緯が共有されなければ、他のメンバーは状況を理解できません。その結果、担当者が不在になった瞬間に対応速度が落ち、インシデント時の判断が遅れる可能性があります。提供された文脈に基づくと、セキュリティ体制とは人を増やすことではなく、「人が変わっても回る状態」を設計することだと整理できます。
セキュリティ運用体制を考える際、最初に必要なのは大規模な組織図ではありません。最低限の役割が整理されているかどうかが重要になります。運用の中には、リスクを評価して方向性を決める判断の役割、実際に設定変更や対応を行う実行の役割、そして履歴を残し管理する役割が存在します。これらが同一人物に集中していても構いませんが、「どの役割を担っているのか」が明確でなければ運用は属人化します。役割が定義されることで、対応の引き継ぎや支援が可能になります。誰が最終判断者なのかが曖昧な組織では、インシデント時に意思決定が停滞しやすくなります。
体制が機能するかどうかは、インシデント発生時に明確になります。初動対応から復旧までの流れについては、以下の記事で整理されています。
「セキュリティインシデントの基礎から対応・再発防止まで 第2回:セキュリティインシデント発生時の対応 ─初動から復旧まで」
セキュリティ運用体制を検討すると、多くの組織が「内製か外部委託か」という選択に直面します。しかし実務では、この問いは二択ではありません。すべてを内製化することは理想的に見える一方で、専門知識の維持や24時間対応の負担を考えると現実的でない場合があります。一方、すべてを外部へ委託すると、組織内部に判断能力が残らず、状況理解が困難になる可能性があります。提供された構成意図に基づくと、重要なのは作業ではなく判断をどこに残すかです。監視や分析の一部を外部に任せることは可能ですが、事業影響を踏まえた最終判断は組織側が保持する必要があります。
外部を活用する場合、委託先管理やサプライチェーンリスクも考慮が必要です。
「サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―」
外部委託を導入しても、必ずしも属人化が解消されるわけではありません。むしろ新しい形の属人化が生まれることがあります。典型的なのは、委託先に任せきりになり、内部で内容を理解しなくなるケースです。報告書は受け取っていても、判断基準や対応背景が共有されなければ、組織側の知識は蓄積されません。さらに、外部サービスの仕組みがブラックボックス化すると、異常時に何が起きているのか説明できなくなります。この状態では、運用主体が組織ではなくベンダーへ移ってしまいます。外部活用の目的は責任移転ではなく、能力補完であると理解することが重要です。
セキュリティ運用体制は、一度設計して終わるものではありません。継続的に回る体制には、定期的な見直しと情報共有の仕組みが必要になります。定期レビューは、問題を探すためではなく現状を確認するために行われます。運用が想定通り機能しているかを確認することで、小さなズレを早期に修正できます。また、判断基準を共有することで、担当者が変わっても意思決定の方向性が維持されます。更新の仕組みが存在しない体制は、時間とともに現実と乖離します。環境変化を前提として設計された体制だけが、長期的に機能し続けます。提供された文脈に基づくと、体制の成熟とは組織図の完成ではなく、改善が自然に行われる状態を指すと考えられます。
セキュリティ運用体制とは、人員配置の問題ではなく、意思決定を継続させる仕組みの設計です。担当者の能力に依存した運用は短期的には成立しても、組織としての持続性を持ちません。役割を明確にし、内製と外部活用を適切に組み合わせ、知識が組織に残る状態を作ることで、セキュリティは個人作業から組織活動へと変化します。セキュリティ運用体制の整備は組織ごとに最適解が異なるため、自社の状況整理が難しい場合は、第三者視点での現状診断から始める方法もおすすめします。
本記事は、企業におけるセキュリティ運用支援およびインシデント対応の実務知見をもとに、一般的に公開されているセキュリティ運用の考え方を整理したものです。特定製品への依存を避け、組織運用の観点から解説しています。
セキュリティ運用は、個別対策ではなく全体の仕組みとして考えることが重要です。
「セキュリティ運用とは何か 属人化を防ぎ、継続的に回すための基本的な考え方」
BBSecでは
委託先が関係する情報漏えいでは、自社だけで完結する対応はほとんどありません。複数の関係者が絡むからこそ、事前の整理や体制づくりが結果を大きく左右します。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、サプライチェーン全体を前提としたインシデント対応体制の整理や、外部起因の事故を想定した初動対応の支援を行っています。「起きてから考える」のではなく、「起きる前提で備える」ことが、これからの企業に求められる姿勢です。もし、委託先を含めた情報管理やインシデント対応に不安を感じている場合は、一度立ち止まって体制を見直すことが、将来のリスクを減らす確かな一歩になるでしょう。
慎重かつ堅実な継続的作業を求められるセキュリティ運用を、セキュリティのプロフェッショナルが24時間・365日体制で支援いたします。
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※外部サイトへリンクします。
編集責任:木下
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インターネット上の通信を安全に行うために欠かせない技術が「TLS(Transport Layer Security)」です。WebサイトのHTTPS通信は、このTLSによって保護されています。しかし、TLSは単に導入すれば安全というものではなく、バージョンや設定によってはセキュリティリスクが生じる可能性があります。本記事では、TLS設定の安全性を判断するために押さえておくべき基本的な考え方と確認ポイントを整理します。
具体的なバージョン確認や設定チェックの手順については、実践編の記事で詳しく解説しています。「TLSバージョン確認と安全な暗号設定方法」
TLS(Transport Layer Security)は、インターネット上でやり取りされる通信を暗号化し、第三者による盗聴や改ざんを防ぐための仕組みです。Webサイトのログイン情報や個人情報、業務データなどを安全に送受信するための、通信の土台となる技術といえます。
かつてはSSLと呼ばれていましたが、現在はTLSが標準となっており、SSLはすでに非推奨です。TLSが正しく設定されていない場合、通信内容が外部から読み取られたり、不正に操作されたりするリスクが高まります。
TLSは主に以下の仕組みで通信を保護しています。
送受信されるデータを暗号化することで、第三者に内容を読み取られないようにします。
サーバ証明書を用いて、通信先が正しい相手であることを確認します。
通信内容が途中で改ざんされていないかを検証します。
TLSには複数のバージョンが存在し、それぞれ安全性や対応状況が異なります。
基本方針としては、TLS 1.3を有効化し、古いバージョンを無効にすることが推奨されます。
現在どのバージョンが使われているかを把握することが、最初の重要なステップです。
TLS1.2/1.3への移行手順と設定のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「TLSバージョンの確認方法とは?ブラウザ・OpenSSL・ツールでのチェック手順と安全な設定ポイント」
TLSは安全な通信技術ですが、バージョンや設定によっては脆弱性が存在します。
TLS1.0や1.1は既知の攻撃手法により、通信の安全性が低下する可能性があります。
これらの問題がある場合、
といった攻撃につながる可能性があります。
TLSの脆弱性は、発見後の対応も重要です。「脆弱性対応の基本と実践ポイント」
TLSを安全に運用するためには、適切な暗号設定が不可欠です。以下は基本的なガイドラインです。
TLS暗号設定ガイドラインは、TLS通信における安全性考慮したセキュリティ設定基準を設けています。これにより、TLSサーバの構築者や運用者が実際の商業的背景やシステム要件に応じた適切な設定を行うための根拠を提供します。
IPA「TLS暗号設定ガイドライン(2025年4月25日 第3.1.1版公開)」は電子政府推奨暗号の安全性の評価プロジェクト「CRYPTREC」が作成したWebサーバでのTLS暗号設定方法をまとめたガイドラインです。TLSサーバの構築者や運用者が適切なセキュリティを考慮して暗号設定を行うための指針として提供されています。
本ガイドラインで提唱されている3つの設定基準(「推奨セキュリティ型」「高セキュリティ型」「セキュリティ例外型」)は、各種国際的標準(NIST SP800/PCI DSSv4.0/OWASP ASVS等)の指針に対応したものであり、準拠への取り組みや、暗号設定における今後のセキュリティ対策を検討する上でも役に立ちます。ぜひ参照されることをお勧めします。
(※セキュリティ例外型での設定内容は2029年度を目途に終了予定のため、速やかに推奨セキュリティ型への移行が推奨されます)
設定要求: 各設定基準に応じた具体的なプロトコルバージョンや暗号スイートの要求設定が示されています。これには、遵守項目と推奨項目が含まれ、安全性を確保するために満たすべき要件が詳細に説明されています。
チェックリスト: TLSサーバの構築者や運用者が設定を実施する際に利用できるチェックリストも用意されており、設定忘れを防ぐためのガイダンスを提供します。
TLS設定は定期的に見直し、最新の推奨設定に更新する必要があります。
TLS設定の具体的な確認方法はこちら。
「TLSバージョンの確認方法とは?ブラウザ・OpenSSL・ツールでのチェック手順と安全な設定ポイント」
TLS設定の見直しが必要かどうか判断に迷う場合や、自社だけでの確認が難しい場合は、第三者の視点で現状を整理することも有効です。通信設定を含めたWebサイト全体のセキュリティ状況を把握したい場合は、専門家によるセキュリティ診断や設定確認を検討するのも一つの方法です。
TLSはWeb通信の安全性を支える重要な技術です。
といった役割を持ちますが、適切な設定と運用が不可欠です。
また、TLSバージョン設定の確認や脆弱性対応と組み合わせることで、より安全なシステム運用が可能になります。
【関連情報】
公開日:2020年7月29日
更新日:2026年4月1日
編集責任:木下
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サイバー攻撃の多くは、暗号化通信の不備や古いセキュリティ設定を狙って行われます。特に、TLS(Transport Layer Security)の設定が適切でない場合、通信の盗聴や改ざんといったリスクが高まります。そのため、企業のWebサイトやシステムでは、現在使用しているTLSバージョンを正しく把握し、安全な設定を維持することが重要です。本記事では、TLSバージョンの確認方法と、安全な設定・運用のポイントを実務視点で解説します。
TLS設定の全体像やリスクについては、基礎解説の記事とあわせて確認すると理解が深まります。TLS設定の全体像やリスクを先に理解したい方は、「TLS設定の安全性と確認ポイント」 を先にお読みください。
TLSは、インターネット上の通信を暗号化するためのプロトコルです。HTTPS通信は、このTLSによって保護されており、通信内容の盗聴や改ざんを防ぐ役割を担っています。
TLSはこれまで複数のバージョンが提供されてきましたが、セキュリティ上の問題により、古いバージョンは段階的に非推奨となってきました。特にTLS1.0およびTLS1.1は、暗号技術の脆弱性や攻撃手法の進化により安全性が不十分とされ、現在では主要なブラウザやサービスにおいて無効化されています。その結果、現在のWeb環境ではTLS1.2以上の利用が標準となり、さらにセキュリティと性能を強化したTLS1.3への移行が進んでいます。
TLSの仕組みやバージョンごとの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「TLS設定の安全性と確認ポイント:古い暗号設定が引き起こすリスクと改善手順」
TLSバージョンは、以下の方法で確認できます。
“`bash
openssl s_client -connect example.com:443 -tls1_3
2025年時点における主要WebサイトのTLS対応状況を見ると、TLS 1.2は引き続き広く利用されており、TLS 1.3の採用も大きく進んでいます。一方で、TLS 1.0およびTLS 1.1は大幅に減少し、実運用ではほぼ利用されない状況となっています。

現在もTLS 1.2が広く利用されていますが、多くの環境でTLS 1.3にも対応しており、サーバとブラウザの双方が利用可能な場合には、より新しいバージョンが優先的に使用されます。
また、最新のブラウザ環境では、通信の多くがTLS 1.3で行われるケースが増えており、特に主要サイトではTLS 1.3の利用が標準的になりつつあります。こうした傾向から、暗号化通信はTLS 1.3を中心とした環境へ移行が進んでいます。
さらに、主要ブラウザにおいてTLS 1.0およびTLS 1.1が無効化されたことで、これらの古いバージョンは互換性維持の目的でもほとんど利用されなくなっています。セキュリティおよび互換性の観点からも、TLS 1.2以上への対応が必須となっています。
TLS1.0や1.1は既に非推奨であり、脆弱性が存在します。攻撃者は、サーバを攻撃するにあたって必ずブラウザを経由するわけではないため、TLS 1.1以下の接続を許容すること自体が危険であり、攻撃者にとって狙いやすいターゲットとなる可能性があります。脆弱性を悪用された場合、通信を盗聴し復号することで重要情報の窃取が可能になるというリスクも考えられます。
多くのサイバー攻撃は、古いTLSバージョンなどの脆弱性を悪用して侵入されます。
脆弱性への具体的な対応方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
→ 脆弱性対応の基本と実践ポイント
| BEAST攻撃 | SSL 2.0、SSL 3.0およびTLS 1.0 プロトコルに影響を及ぼし、攻撃者はWebブラウザとWebサイトとの間のSSL暗号化、またはTLS暗号化されたセッションのコンテンツを復号することができる*1 |
| ダウングレード攻撃 | TLS 1.1以下のプロトコルでは、認証付き秘匿モード等の安全性の高いアルゴリズムがサポートされていないため、強度の低い暗号アルゴリズムを強制的に使用させることができる*2 |
現在のセキュリティ対策の指標として一般的に用いられる各種国際的標準でも、TLS 1.1以下の継続使用は下記のとおり推奨されていないため、利用している場合には、早急に対策を検討することが求められます。
| NIST(National Institute of Standards and Technology、 米国立標準技術研究所) | 2018年10月、ガイドライン案公開。2024年1月1日までにTLSを使用するすべての米国政府のサーバでTLS 1.3をサポートすることを提案 |
| PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard) | 2018年6月30日以降、初期TLSを利用しているシステムはクレジットカード業界における監査基準に適合しない ※POS POI環境のように既知の脆弱性の悪用が困難であったり、SSL/TLSをセキュリティコントロールとしては使用していなかったりする等、例外的にTLS 1.1以下が許容される場合がありますが、情報セキュリティのベストプラクティスではTLS 1.1以下のプロトコルバージョンはすべて非推奨とされています。*3 |
安全な通信のためには、TLS1.2以上の利用が推奨されます。具体的には、TLS 1.1以下は無効(利用不可)とし、TLS 1.3およびTLS 1.2を有効にし、バージョンが新しいものから順に接続の優先度を高く設定してください。
2018年8月には、TLS 1.3が正式リリースされました。以降、TLS 1.3に対応するプラットフォーム等が次々に利用可能になっています。例としては、OpenSSL 1.1.1系(2018年9月)、OpenSSL 3.0系*4(2021年9月)、Java SE/JDK 11(2018年9月)、Java SE/JDK 8バージョン8u261以上*5(2020年7月)や、そのほかにもRed Hat Enterprise Linux 8(2019年5月)が挙げられます。
TLS 1.3のサポートにより、パフォーマンスとセキュリティが向上します。 構成上または仕組み上、現時点ではTLS 1.3を実装することが困難な場合、上記よりさらに古いシステムが稼働している可能性が考えられます。それらのシステムは、経年に伴う脆弱性の蓄積による影響や、サポート終了により新たに発見された脆弱性への対応策がなくなること等も危惧されます。
TLS設定は一度確認すれば終わりではありません。実際の運用環境では、サーバ構成や他システムとの兼ね合いにより、「安全そうに見えてもリスクが残っている」ケースも少なくありません。自社サイトのTLS設定について、
といった継続的な運用が重要です。
PCI DSSについては、 2022年3月31日、Payment Card Industry Security Standards Council(PCI SSC)により、v4.0が公開されました。
本ガイドラインは、各種国際的標準(NIST SP800/PCI DSSv4.0/OWASP ASVS等)の準拠に向けた取り組みや、暗号設定における今後のセキュリティ対策を検討する上でも役に立ちます。ぜひ参照されることをおすすめします。
PCI DSS v4.0で求められるセキュリティ対策のポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
「PCI DSS v4.0で変わるセキュリティ対策のポイント」
TLS設定の確認・管理を効率化するには、ツールや外部サービスの活用が有効です。
と感じた場合は、第三者の視点で状況を整理することも有効です。
TLS設定の確認だけでなく、システム全体のセキュリティを強化するには、専門的な診断の実施が有効です。脆弱性診断やセキュリティ対策についてご検討の方は、お気軽にご相談ください。
悪意ある第三者の視点で、ネットワークをインターネット経由またはオンサイトにて診断し、攻撃の入口となる可能性のある箇所を検出します。システムの導入・変更・アップグレード時、運用中のシステムの定期チェックにご活用いただけます。

内部ネットワークおよびWEBサイトの脆弱性を自動診断し、その結果を専用のWEBページで報告します。新規設備投資が不要で、即時に結果を確認できるので、脅威が現実となる前に対策を施すことが可能になります。

TLS設定の基本的な考え方やリスクについては、
→「TLS設定の安全性と確認ポイント」もあわせてご覧ください。
公開日:2022年4月6日
更新日:2026年4月1日
編集責任:木下
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セキュリティ運用を始める際に最初に必要なのはツール導入ではなく、「何を守るか」と「どの順序で対応するか」を整理することです。セキュリティは単発の施策ではなく、継続的に判断と改善を繰り返す活動であるため、最初の設計を誤ると後から修正が難しくなります。本記事では、実務担当者が最初に整理すべきポイントを現場目線で解説します。
セキュリティ運用の全体像や考え方については、以下の記事で整理しています。
「セキュリティ運用とは?属人化を防ぎ継続的に回す基本の考え方」
「セキュリティ運用を始めたいが、何から手を付ければよいのか分からない」。これは多くの企業担当者が最初に直面する課題です。検索でも「セキュリティ運用 何から始める」「セキュリティ運用 方法」「セキュリティ運用 チェックリスト」といったキーワードが増えており、導入段階から運用段階へ関心が移っていることがうかがえます。セキュリティ対策そのものについての情報は多く存在しますが、実際の運用をどの順序で立ち上げるべきかについては、体系的に語られることが少ないのが現状です。
セキュリティ運用を始める際、多くの組織がいきなりツール導入やチェックリスト作成に進みます。しかし提供された文脈に基づくと、最初に取り組むべき課題は技術ではありません。「自分たちは何を守っているのか」を把握することです。企業には業務システム、クラウドサービス、端末、アカウント、外部委託先など、さまざまな資産が存在します。ところが実際には、全体像が整理されないまま個別対策が積み重なっているケースが少なくありません。この状態では、どのリスクが重要なのか判断できず、対応が場当たり的になります。資産やシステムの棚卸しは単なる一覧作成ではなく、「事業にとって停止すると困るものは何か」という視点で整理する作業です。優先順位が存在しない運用では、軽微な問題に時間を使い、本来対応すべきリスクを見逃す可能性があります。
守るべき対象や優先順位を整理する際には、サイバー攻撃リスク評価の考え方が役立ちます。 「サイバー攻撃リスク評価の進め方:見えない脅威を可視化するプロセスと実践」
セキュリティ運用という言葉から大規模な仕組みを想像すると、着手のハードルが高くなります。しかし実務では、まず「最小単位」を作ることが重要です。運用は、情報を集め、それを判断し、必要な対応を行い、その結果を記録するという循環によって成立します。この四つの流れが成立していれば、規模が小さくても運用は始まっています。情報収集とは脆弱性情報や注意喚起の把握を指します。判断とは自社への影響を考える行為であり、対応は設定変更やパッチ適用など具体的な行動です。そして記録は、後から判断理由を再確認できる状態を作ります。多くの組織では対応だけが行われ、判断理由や経緯が残されません。その結果、同じ問題が繰り返されます。最小単位とは作業量を減らすことではなく、循環を成立させることを意味します。
セキュリティ運用が続かない理由の一つは、「特別な仕事」として設計されてしまう点にあります。通常業務とは別に毎日実施する作業を増やすと、忙しい時期に必ず停止します。 現実的な運用は、毎日行うものではなく、一定の周期や条件に応じて動く仕組みとして設計されます。たとえば月次で確認する作業、更新時のみ実施する確認、アラート発生時に対応する流れなど、業務のリズムに合わせることが重要になります。提供された構成意図に基づくと、セキュリティ運用とは負担を増やすことではなく、既存業務の中に判断ポイントを組み込むことだと理解できます。運用が日常に溶け込んだとき、初めて継続性が生まれます。
セキュリティ運用を開始した組織が直面しやすいのが、形骸化です。チェックリストを作成しても実際には確認されず、記録だけが残る状態は珍しくありません。チェックそのものが目的化すると、リスク低減という本来の目的が見えなくなります。また、ツール導入によって運用が自動化されたと誤解されるケースもあります。ツールは検知や可視化を支援しますが、最終的な判断は組織側に残ります。判断基準がなければ、アラートは増えるだけで改善につながりません。さらに問題となるのが属人化の放置です。「詳しい人がいるから大丈夫」という状態は短期的には効率的ですが、長期的には運用停止リスクを高めます。
実際に、運用が形骸化した結果、ランサムウェアや委託先経由の被害につながるケースもあります。
「サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―」
セキュリティ運用を成功させる組織に共通しているのは、最初から完成形を目指さない点です。理想的な運用設計を追求すると準備期間が長期化し、実運用が始まらないことがあります。むしろ重要なのは、小さく始めて継続することです。判断軸を共有し、「どのように考えて対応したのか」を残すだけでも、組織の知識は蓄積されていきます。運用は改善を前提とした活動です。最初から完璧である必要はなく、回しながら修正することで現実に適合していきます。提供された文脈に基づくと、セキュリティ成熟度は導入規模ではなく継続期間によって高まる傾向があると整理できます。
ここまでの内容は、担当者レベルで始められるセキュリティ運用の基礎です。しかし運用を継続し、属人化を防ぐためには、やがて役割分担や体制設計が必要になります。誰が判断し、誰が実行し、どこに記録が集約されるのかが明確になることで、運用は個人依存から組織運用へと移行します。ただし体制設計は最初の段階で無理に行う必要はありません。まずは回る運用を作ることが先になります。
運用を属人化させず、継続的に回すための体制づくりについては、次の記事で詳しく解説します。
「セキュリティ運用体制の作り方 属人化を防ぐための役割分担と外部活用の考え方」
セキュリティ運用は高度な技術から始まるものではありません。何を守るのかを理解し、小さな循環を作り、それを日常業務の中で継続することから始まります。チェックリストやツールは重要な要素ですが、それだけでは運用は成立しません。判断・対応・記録という流れが回り始めたとき、セキュリティは単発対応から継続的な活動へ変わります。「セキュリティ運用は何から始めるべきか」という問いへの答えは一つではありませんが、提供された構成意図に基づくと、最初に必要なのは完璧な設計ではなく、回り続ける最小単位を作ることだと言えるでしょう。
本記事は、企業におけるセキュリティ運用支援およびインシデント対応の実務知見をもとに、一般的に公開されているセキュリティ運用の考え方を整理したものです。特定製品への依存を避け、組織運用の観点から解説しています。
運用を属人化させず、継続的に回すためには体制づくりが欠かせません。次の記事で詳しく解説します。
「セキュリティ運用体制の作り方 属人化を防ぐための役割分担と外部活用の考え方」
BBSecでは
委託先が関係する情報漏えいでは、自社だけで完結する対応はほとんどありません。複数の関係者が絡むからこそ、事前の整理や体制づくりが結果を大きく左右します。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、サプライチェーン全体を前提としたインシデント対応体制の整理や、外部起因の事故を想定した初動対応の支援を行っています。「起きてから考える」のではなく、「起きる前提で備える」ことが、これからの企業に求められる姿勢です。もし、委託先を含めた情報管理やインシデント対応に不安を感じている場合は、一度立ち止まって体制を見直すことが、将来のリスクを減らす確かな一歩になるでしょう。
慎重かつ堅実な継続的作業を求められるセキュリティ運用を、セキュリティのプロフェッショナルが24時間・365日体制で支援いたします。
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セキュリティ運用とは、セキュリティ対策を導入することではなく、脆弱性情報の確認、設定管理、インシデント対応、見直しといった活動を継続的に回し続ける組織的な取り組みを指します。単発の対策ではなく、変化する環境に合わせて安全性を維持する仕組みである点が特徴です。本記事では、企業におけるセキュリティ運用支援およびインシデント対応の実務知見をもとに、一般的に公開されているセキュリティ運用の考え方を整理します。特定製品への依存を避け、組織運用の観点から解説しています。
セキュリティ運用が重要になる背景には、インシデント発生時の初動対応や判断の難しさがあります。インシデント対応の全体像については以下の記事で整理されています。
「セキュリティインシデントの基礎から対応・再発防止まで 第1回:セキュリティインシデントとは何か?基礎知識と代表的な事例」
セキュリティ運用とは、セキュリティ対策を導入した状態を維持し続ける活動ではなく、「変化し続ける環境に合わせて安全性を更新し続ける仕組み」を指します。多くの企業がセキュリティ製品やルールを導入しているにもかかわらず事故を防ぎきれない背景には、この“運用”という視点の不足があります。
近年、「セキュリティ運用とは」「セキュリティ運用 体制」「セキュリティ 属人化」といった検索が増加しているのは、セキュリティが技術課題ではなく組織運営の問題として認識され始めているためだと考えられます。導入した対策は時間とともに環境とのズレが生じるため、継続的な判断と見直しが不可欠になります。
セキュリティ事故の多くは、対策が存在しなかったことよりも、存在していた対策が適切に機能していなかったことによって発生します。これは珍しい現象ではなく、環境変化に対して運用が追いつかなくなることで起きます。システム構成は更新され、利用者は増減し、クラウド設定や権限は日常的に変化します。その一方で、セキュリティ対策は導入時点の前提を基準に設計されていることが多く、継続的に見直されなければ現実との乖離が生まれます。
提供された文脈に基づくと、現在は「何を導入するか」を議論する段階から、「導入したものをどう回し続けるか」を考える段階へ移行していると整理できます。つまりセキュリティはプロジェクトではなく、継続業務として扱われる必要があります。
セキュリティ運用の失敗要因として頻繁に挙げられるのが属人化です。特定の担当者のみが状況を理解し、判断基準が共有されていない状態では、運用は組織の能力ではなく個人の努力に依存します。現場では「経験がある人が対応した方が早い」という合理的判断から属人化が進みます。しかし手順や判断理由が記録されないまま時間が経過すると、異動や退職が発生した際に運用が再現できなくなります。
セキュリティ属人化の本質は、知識不足ではなく再現性不足です。誰が担当しても同じ方向の判断ができる状態を作ることが、セキュリティ運用体制の出発点になります。
セキュリティ運用とは単一の業務ではなく、複数の活動が循環する状態を意味します。代表的なのは、脆弱性情報の収集と評価、インシデント対応、設定および権限管理、そして教育や見直しです。脆弱性情報は継続的に公開されるため、影響評価と対応判断を繰り返す必要があります。インシデント対応では、検知から初動判断、復旧、再発防止までが一連の流れとして維持されます。設定管理では変更がリスクにならないよう追跡可能性が求められます。さらに教育やルール更新がなければ、人の行動が新しい脅威に適応できません。これらは独立した作業ではなく、相互に影響し合う循環構造として理解する必要があります。運用の全体像を地図として把握することが、部分最適によるリスク増大を防ぐ第一歩になります。
セキュリティ運用の中でも、脆弱性をどう管理し続けるかは重要な要素です。単発で終わらせない考え方については、次の記事も参考になります。
「脆弱性対応の優先順位と判断基準―限られたリソースでリスクを下げる考え方」
属人化を防ぐために必要なのは、複雑な仕組みよりも基本原則の明確化です。まず重要なのは判断基準を定義することです。どのリスクを優先するかが共有されていなければ、対応品質は担当者によって変わります。次に記録の存在が運用を支えます。対応履歴は単なる報告ではなく、将来の判断を支える知識資産になります。そして運用は固定されたものではなく、定期的な見直しによって初めて現実に適応し続けます。提供された構成意図に基づくと、セキュリティ運用とは高度化よりも継続性を優先する活動だと整理できます。
セキュリティ運用体制という言葉から大規模な専門組織を想像することがありますが、必ずしもそれが出発点になるわけではありません。重要なのは組織規模に適合した運用です。理想的な体制設計を目指して準備だけが進み、実際の運用が開始されない状態は現場では珍しくありません。むしろ小さく始め、実際に回る形を作ることが現実的なアプローチになります。運用が継続されることで課題が可視化され、体制は後から改善できます。逆に、回らない設計はどれほど理想的でも機能しません。
セキュリティ運用とは、新しい対策を増やし続けることではなく、判断と改善を繰り返す仕組みを維持することです。属人化を防ぐとは担当者を排除することではなく、判断基準と知識を組織へ移すことを意味します。提供された文脈に基づくと、セキュリティの成熟度はツール数ではなく、運用が継続しているかどうかによって左右されます。仕組みとして回り始めたとき、セキュリティは個人の努力から組織の能力へと変化します。
セキュリティ運用とは何かという問いは、技術の話であると同時に、組織がどのように意思決定を継続するかという問いでもあると言えるでしょう。
ここまで整理してきた内容から見えてくるのは、セキュリティ運用とは特別なプロジェクトではなく、日常業務の中に組み込まれる意思決定プロセスであるという点です。しかし現場では、「具体的に何から始めるべきか」という問いが必ず生まれます。守る対象の整理、優先順位の設定、最小単位の運用設計など、実務的な整理が必要になります。
では、具体的にセキュリティ運用は何から始めればよいのでしょうか。実務レベルでの進め方については、次の記事で詳しく解説します。
「セキュリティ運用は何から始めるべきか 担当者が最初に整理すべきポイント」
BBSecでは
委託先が関係する情報漏えいでは、自社だけで完結する対応はほとんどありません。複数の関係者が絡むからこそ、事前の整理や体制づくりが結果を大きく左右します。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、サプライチェーン全体を前提としたインシデント対応体制の整理や、外部起因の事故を想定した初動対応の支援を行っています。「起きてから考える」のではなく、「起きる前提で備える」ことが、これからの企業に求められる姿勢です。もし、委託先を含めた情報管理やインシデント対応に不安を感じている場合は、一度立ち止まって体制を見直すことが、将来のリスクを減らす確かな一歩になるでしょう。
慎重かつ堅実な継続的作業を求められるセキュリティ運用を、セキュリティのプロフェッショナルが24時間・365日体制で支援いたします。
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OWASP Top 10はWebアプリケーションの主要なセキュリティリスクをまとめた世界的な基準です。2025年版では、ソフトウェアサプライチェーンに起因する問題や例外処理の不備など、新たなリスク項目が追加され、順位も変動しています。本記事ではこれらの新しい動向も踏まえ、各項目を平易に解説し、企業が取るべきセキュリティ対策の方向性を提示します。
2025年11月、国際的なセキュリティ啓発コミュニティであるOWASP(オワスプ:Open Web Application Security Project)から、「OWASP Top 10 2025」が公開されました。前回の「OWASP Top 10 2021」より4年ぶりの公開となります。本記事ではOWASP Top 10 2025から追加された新たなリスク項目や順位変動を踏まえ、企業が取るべきセキュリティ対策の方向性を提示します。
Webアプリケーションの代表的なセキュリティリスクをまとめた国際的なガイドラインで、意識向上を目的とする啓発資料です。全てのセキュリティ要件を網羅する標準というより、優先的な対策項目を示すリストと考えます。
OWASP Top10は、Webアプリケーションに存在する代表的な脆弱性をまとめた指標です。脆弱性とは、システムやソフトウェアに存在するセキュリティ上の弱点のことを指します。
→ 「脆弱性の意味を正しく理解する―読み方・具体例・種類をわかりやすく解説」
今回の「OWASP Top 10 2025」では、ソフトウェア開発の全工程にわたる新しいリスクが反映されました。特に、依存ライブラリやCI/CD環境を含む「ソフトウェアサプライチェーンの不備」や、「例外処理(エラー処理)の不備」という2つの新カテゴリが追加されています。これにより、従来のコード脆弱性に加え、開発・運用プロセス全体に起因するリスクが明確に強調されました。
また、2021年版まで独立項目だった「サーバーサイドリクエストフォージェリ(SSRF)」はA01(アクセス制御)に統合され、権限回避系の攻撃に含まれるようになっています。
OWASP Top 10の概要、「OWASP Top 10 2021」のリスク項目一覧について、以下の記事で解説しています。あわせてぜひご覧ください。
OWASP Top 10―世界が注目するWebアプリケーションの重大リスクを知る―
A01: アクセス制御の不備 (Broken Access Control)
引き続き1位です。従来のアクセス制御不備に加え、サーバーサイドリクエストフォージェリ(SSRF)攻撃がこのカテゴリに含まれるようになりました。
A02: セキュリティ設定のミス (Security Misconfiguration)
2021年5位から2025年2位に上昇しました。サーバやアプリの初期設定ミスや不要なサービス公開など、設定不備のリスクが増加しています。
A03: ソフトウェアサプライチェーンの不備 (Software Supply Chain Failures)
2021年版のA06「脆弱で古くなったコンポーネント」から大幅に拡張され、2025年版に新設されたカテゴリです。依存パッケージやビルド環境への攻撃を含み、開発~配布の全過程におけるマルウェア侵入のリスクを扱います。
A04: 暗号化の失敗 (Cryptographic Failures)
前回2位から今回は4位に下降しました。古い暗号方式や不適切な暗号設定によって、機密データ漏洩のリスクが引き続き高い項目です。
A05: インジェクション (Injection)
前回3位から5位に下降しました。依然として多く検出されるリスクですが、他カテゴリの変動により相対的に順位が変わりました。
A06: セキュアでない設計 (Insecure Design)
2021年に新設された項目で、前回4位から6位になりました。設計段階でセキュリティを考慮しないことによるリスクを指し、脅威モデル不足などが該当します。最近は設計レビューや脅威モデルの導入が増えつつあります。
OWASP Top 10 2021およびセキュアなWebアプリケーション開発にむけてどのように取り組むべきかについて、以下の記事で解説しています。あわせてぜひご覧ください。
Webアプリケーション開発プロセスをセキュアに ―DevSecOps実現のポイント―
A07: 認証の失敗 (Authentication Failures)
名称が「識別と認証の不備」から若干変更され、順位は7位で維持されました。ログイン機能やパスワード管理の不備などが含まれ、標準的な認証フレームワークの利用増加でやや改善傾向にあります。
A08: ソフトウェアとデータの整合性の不備(Software or Data Integrity Failures)
前回同様8位です。ソフトウェア更新時やデータ伝送時の改ざん検知の欠如を扱い、サプライチェーンより下層でのデータ改ざんリスクが対象です。
A09: ログ監視・アラートの不備 (Logging & Alerting Failures)
同じく9位を維持しました。ログ監視や侵入検知の仕組みが不十分で、攻撃検知が遅れるリスクを指します。名称も「セキュリティログとモニタリングの不備」から変更されています。
A10: 例外処理の不備 (Mishandling of Exceptional Conditions)
2025年に新設された新しいカテゴリです。エラー発生時の不適切な処理(例:内部情報露出やセーフティネットの欠如)により、システム全体の安全性が損なわれるリスクを扱います。
A01: アクセス制御の不備 (Broken Access Control)
攻撃者が本来許可されていない操作やデータにアクセスできる脆弱性です。例として、URLやパラメータを操作して他ユーザーの情報を取得したり、管理者権限を取得したりする攻撃が挙げられます。
A02: セキュリティ設定のミス (Security Misconfiguration)
システムやアプリの初期設定・構成に誤りがある状態です。脆弱なデフォルト設定や、不要なサービスの有効化、パッチ未適用のサーバ起動などにより、本来防げる攻撃を許してしまいます。
A03: ソフトウェアサプライチェーンの不備 (Software Supply Chain Failures)
外部ライブラリやパッケージ管理システムが攻撃され、正規ソフトウェアにマルウェアが混入するリスクです。開発者の環境やCI/CDパイプラインを介して侵入するため、従来型のコード診断だけでは検知しづらい問題となっています。
A04: 暗号化の失敗 (Cryptographic Failures)
古い暗号方式や誤った暗号設定によって、暗号化すべきデータの機密性が損なわれるリスクです。例えば、弱い鍵長の使用や最新プロトコルの不採用により、攻撃者に通信内容を解読される危険があります。
A05: インジェクション (Injection)
ユーザ入力を十分に検証せずにSQL文やOSコマンド等に含めて実行することで、不正なコードが実行される脆弱性です。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などが代表例で、攻撃者がデータベース改ざんやセッションハイジャックを実行します。
A06: セキュアでない設計 (Insecure Design)
設計段階でセキュリティが考慮されておらず、必要な防御策(脅威モデルやセキュアアーキテクチャ)が欠落しているリスクです。実装以前の段階で脆弱性を取り除かないと、後工程では完全対応できない欠陥を内包します。
A07: 認証の失敗 (Authentication Failures)
ログインやセッション管理に欠陥があり、不正ログインを許してしまう脆弱性です。例えば、パスワードポリシー不備やセッションIDの固定化、二要素認証不備などにより、攻撃者が他人の権限を奪取する可能性があります。
A08: ソフトウェアとデータの整合性の不備(Software or Data Integrity Failures)
ソフトウェア更新やデータ取得時に改ざんを検知できない状態で、不正なコードやデータが実行されてしまうリスクです。例えば、更新ファイルやコンテナイメージが攻撃者によって差し替えられても気づかない場合が該当します。
A09: ログ監視・アラートの不備 (Logging & Alerting Failures)
インシデント発生時に監査ログが残らない、またはアラートが機能しない状態で、攻撃を見逃してしまうリスクです。攻撃検知や対策対応が遅れるため、被害が拡大する可能性があります。
A10: 例外処理の不備 (Mishandling of Exceptional Conditions)
エラー・例外発生時に適切な対処がされず、システムが想定外の動作をしたり機密情報を漏洩したりする脆弱性です。具体例として、エラーメッセージで内部情報を出力するものや、例外処理のループ抜けでシステム停止しないなどがあります。
OWASP Top 10 2025は、従来の入力検証など個別コード脆弱性に加え、サプライチェーンや設計、例外処理といったシステム全体に関わる根本原因を重視しています。企業はこれを踏まえ、開発プロセスや設計段階からの脆弱性予防策を強化する必要があります。
情報システム部門やセキュリティ担当者は、今回のリスク項目をセキュリティ教育・セキュリティ診断・セキュリティ監査項目に組み込み、継続的な対策に活用しましょう。特にサプライチェーンや例外処理の項目は従来対応が十分でないことも多く、注力すべきポイントです。
OWASPはTop 10に加え、SAMMやASVSなどのフレームワーク活用も推奨しています。OWASP Top 10は優先対策項目の一助と位置付け、組織全体のセキュリティ成熟度を高める施策を並行して検討することが望まれます。
では、意図せず作りこまれてしまう脆弱性に、どう対処すればいいでしょうか。それには脆弱性診断を実施することが、最も有効な手段の一つと言えます。
脆弱性診断によって、システムにどのような脆弱性があり、どの程度のリスクがあるのか可視化され、その優先度に応じてセキュリティ対策を検討・実施することができます。
脆弱性診断を効果的に活用するには、システムの機能や取り扱う情報の重要度に応じて、実施時期や頻度を考慮することも大切です。セキュリティ事情は常に変化しています。日々新たな脆弱性が発見され、サイバー攻撃も巧妙化する一方です。また、何年も前に報告されたのに放置されがちな脆弱性が、改めて悪用されることもあります。健康診断と同様、脆弱性診断も定期的に実施することが重要なのです。
また、「SQAT® Security Report」では、セキュリティ事情に関するトピックをお伝えしております。情報収集の一助としてご活用ください。
OWASP Top 10 2025リリースノート/Aikidoブログ(https://www.aikido.dev/blog/owasp-top-10-2025-changes-for-developers#:~:text=OWASP%20emphasizes%20that%20the%20Top,Application%20Security%20Verification%20Standard)
弊社では、お客様のニーズに合わせて、様々な脆弱性診断サービスを提供しております。システムの特徴やご事情に応じてどのような診断を行うのが適切かお悩みの場合も、ぜひお気軽にご相談ください。
デイリー自動脆弱性診断「Cracker Probing-Eyes®」は、脆弱性の検出結果を、お客様側での簡単な操作で、日々確認できます。導入のための設備投資が不要で、コストを抑えつつ手軽に診断できます。 世界的なセキュリティ基準をベースにした弊社独自基準を設け、シグネチャの見直しも弊社エンジニアが定期的に行うことで、信頼性の高い診断を実現しております。

対象システムの機能が複雑である、特にミッションクリティカルであるなどの理由により、広範囲かつより網羅性の高い診断をご希望の場合は、弊社エンジニアが手動で実施する「SQAT®脆弱性診断サービス」をおすすめします。 Webアプリケーション、ネットワークはもちろんのこと、ソースコード診断やクラウドの設定に関する診断など、診断対象やご事情に応じて様々なメニューをご用意しております。

公開日:2025年12月5日
更新日:2026年3月11日
編集責任:木下
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企業が施すセキュリティ対策は広範かつ複雑になっています。外部からのサイバー攻撃や、内部での情報の持ち出しなど、セキュリティの脅威が多様化しているためです。企業が保護すべき情報、アプリケーション、機器の種類・数などが拡大していることも理由に挙げられます。
「脆弱性診断」ではアプリケーションやサーバ、ネットワークに、悪用できる脆弱性がないかを診断します。本記事では、ライフサイクル別にどんな診断が必要か、ツール診断と手動診断、ペネトレーションテストとの違いなどを解説します。
contents
脆弱性診断とは、企業・組織のシステムに内在するセキュリティ上の既知の欠陥(=脆弱性)を特定する検査です。
脆弱性とは、システムやソフトウェアに存在するセキュリティ上の弱点を指します。
→「脆弱性の意味を正しく理解する―読み方・具体例・種類をわかりやすく解説」
Webアプリケーション、スマホアプリケーション、サーバ、ネットワークなど診断対象により様々な脆弱性診断があります。セキュリティ上の問題点を可視化することで、情報漏洩やサービス停止等のセキュリティ事故を防ぐために、どのような対策を実施すればよいか検討するのに役立ちます。

脆弱性のリスクについてはこちらの関連記事もあわせてご参照ください。
「BBSec脆弱性診断結果からみる― 脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとは ―」
「定期的な脆弱性診断でシステムを守ろう!-放置された脆弱性のリスクと対処方法-」
「既知の脆弱性こそ十分なセキュリティ対策を!」
「今、危険な脆弱性とその対策―2021年上半期の診断データや攻撃事例より―」

情報のセキュリティの3要素、「機密性」「完全性」「可用性」を守るためにも、脆弱性診断は必要な理由の一つです。
「機密性」…限られた人だけが情報に接触できるように制限をかけること。
「完全性」…不正な改ざんなどから保護すること。
「可用性」…利用者が必要なときに安全にアクセスできる環境であること。
これらの要素を適切に満たすことが、情報セキュリティを担保する上では欠かせないものとなります。
攻撃者より先にシステムに隠れた脆弱性を検出して対策することで、攻撃や事故発生の確率を下げることができます。ひとたび個人情報やクレジットカード情報の漏えい事故が発生すれば、さまざまな対応・復旧費用や対策工数の発生は避けられません。ブランドの毀損や企業イメージの低下も招きます。
パソコンやインターネットを補助的に利用していた昔と異なり、現在はWebサービスやアプリケーションそのものが利益を生み出しています。生活や経済がネットワークなしに成り立たない現在、脆弱性診断などのセキュリティ対策は、事業を継続しサービス利用者の安心を守るため、欠かせないものとなっています。
診断対象により、さまざまな脆弱性診断サービスがあります。まず、企業が開発したWebアプリケーションが挙げられます。問合せや会員登録といった、入力フォームの入出力値の処理、ログイン機能の認証処理などに対して、幅広く網羅的に脆弱性診断が行われます。
次に、そのWebアプリケーションを実行するサーバやネットワーク機器、OSやミドルウェアに脆弱性がないか検査するプラットフォーム診断があります。
アプリケーションの脆弱性診断には、既知の攻撃パターンを送付して対象システムやソフトウェアの挙動を確認する「ブラックボックステスト」という方法があります。 「ブラックボックステスト」では、実装時における脆弱性は検出できますが、そもそもプログラムの設計図であるソースコード中に存在する脆弱性を網羅的には検査することには適していません。
この場合、ソースコード開示のもと「ソースコード診断」する方法が有効です。「ソースコード診断」は「ブラックボックステスト」に対して 「ホワイトボックステスト」とも呼ばれます。また、「ソースコード診断」はさらに、プログラムを実行しないで行う「静的解析」と、実行して行う「動的解析」に分類できます。
ソースコード診断についてはこちらの記事もあわせてご参照ください。
「ソースコード診断の必要性とは?目的とメリットを紹介」
そのほか、近年増加の一途をたどるスマホアプリケーションやIoT機器を対象とした脆弱性診断もあります。

(株式会社ブロードバンドセキュリティのサービス分類に基づく)
脆弱性診断とペネトレーションテストは、双方とも脆弱性などを検出する点では似ていますが、目的と方法が少し異なります。脆弱性診断は既知の脆弱性を網羅的に検出することを目的としています。
ペネトレーションテストは、「侵入テスト」の名前のとおり、疑似的なサイバー攻撃を仕掛けてセキュリティ対策の有効性を評価するために実施します。技術的アプローチだけでなく、対象となる組織の構成や、業務手順、ときには物理的な施設の特徴すら加味して、攻撃シナリオを作成する「レッドチーム演習」と呼ばれるテストを実施することもあります。
シナリオに沿ってペネトレーションテスターが攻撃を実行し、システムに侵入できるか、ターゲットとする資産(多くは知的財産)にたどり着くことができるかどうかなどをテストします。ペネトレーションテストは脆弱性診断と比べて、技術力はもちろん、より幅広い見識やセンスが求められます。
脆弱性診断にはツールを使って自動で診断する「ツール診断」とエンジニアが診断する「手動診断」があります。
「ツール診断」では、セキュリティベンダーが、商用または自社開発した脆弱性診断ツールを用いて脆弱性を見つけ出します。脆弱性診断ツールと呼ばれるコンピュータプログラムを実行して、その応答から脆弱性を検知していくもので、自動診断とも呼ばれます。機械的に不正なHTTPリクエストを送り付ける疑似攻撃を行いますが、クラッカーによる攻撃とは異なり、あくまでも 脆弱性を見つけ出すことが目的であるため、システムを破壊することはありません。

ツール診断は機械的な検査であるため、過検知や誤検知なども含まれることが多く、その結果は担当者が補正することで正確な情報が得られます。比較的手軽に行えることから、開発段階で実施されることも多い診断です。また、定期的な簡易診断として用いることで、コストを低減しつつ最新の状態を保つことができるといった利用方法もあります。
脆弱性診断ツールには、たとえばWebアプリケーション診断の場合に、検査コードと呼ばれる不正なHTTPリクエストを送信し 擬似攻撃するプログラムがあります。
技術者がプロキシツールを介してWebブラウザでサイトにアクセスした際に発生するリクエストを書き換える形で、脆弱性を確認する方法です。ツール診断と比べ検査項目も広く、また細かな検査ができるのが特徴です。
手動診断は、経験と専門性を持つ技術者によって実施され、機械的な判断では見落としてしまう画面遷移・分岐にも対応できるメリットがあります。発見した脆弱性の再現手順や、最新動向を加味した対策方法などを提示してくれるのも、手動診断ならではの特徴と言えます。

ツール診断と手動診断は、どちらが優れていると比較するものではありません。それぞれの特長を生かし、予算に合わせて組み合わせることで、コストパフォーマンスを発揮できるでしょう。
セキュリティベンダーに脆弱性診断を依頼する際は、まず 診断する範囲を決めます。組織にとって重要度が高い部分、すなわちサイバー攻撃を許してはいけないシステムやサーバ、Webアプリケーションを選定します。
診断が終了するとベンダーからレポートが提供され、報告会が行われることもあります。レポートに記載された脆弱性には深刻度などがスコア化されていることもあります。内容に応じて優先度をつけて、脆弱性をふさぐ必要があります。

脆弱性診断は一度実施したらそれで終わり、というものではありません。脆弱性診断により発見された問題に対し対策を実施することで、より堅牢なシステム・環境・体制を構築することができます。
重要なのは、システムライフサイクルの各フェーズで、適切な診断を実施し、洗い出されたセキュリティ上の問題に優先順位をつけて、ひとつひとつ対処することです。診断ツールの検討に関しては自組織の環境やシステム特性に合わせたものを選定し、継続的なセキュリティ対策に有効活用できるようにしましょう。
企業の情報システムが複雑かつ大規模になった現在、カード情報や個人情報・機密情報を狙う内外からの脅威に対して、企業もさまざまな予防手段を打っていく必要があります。情報システムやそれを取り巻く環境・体制が堅牢であるかどうかを検査、評価する方法として「脆弱性診断」があります。
・脆弱性診断とは企業・組織のシステムに内在するセキュリティ上の既知の欠陥(=脆弱性)
を特定する検査
・Webアプリケーション、スマホアプリケーション、サーバ、ネットワークなど診断対象により様々な脆弱性診断がある
・脆弱性診断を実施し洗い出されたセキュリティ上の問題に優先順位をつけて、ひとつひとつ対処することが重要である
公開日:2020年5月23日
更新日:2026年3月11日
編集責任:木下
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脆弱性とは、システムやソフトウェア、ネットワークなどに存在する「セキュリティ上の弱点」を指します。この弱点を攻撃者に悪用されると、不正アクセスや情報漏えいなどのサイバー攻撃につながる可能性があります。この言葉の意味を正しく理解することは、サイバーセキュリティを理解するうえで非常に重要であり、企業や組織が安全にシステムを運用するためには、脆弱性を早期に発見し、適切に対策することが重要です。本記事では、脆弱性の正しい意味、サイバー攻撃との関わり、企業が取るべき対策までを体系的に整理し、分かりやすく解説します。
「脆弱性(ぜいじゃくせい)」とは、システムやソフトウェア、ネットワークなどに存在する「セキュリティ上の弱点」や「欠陥」のことです。この弱点が存在すると、攻撃者に悪用されることで、不正アクセス、情報漏洩、マルウェア感染、サービス停止といったサイバー攻撃の被害につながる可能性があります。
脆弱性の多くは、「プログラムの設計ミスやコーディングミスなどによるバグ」になります。バグが存在せず正しく動作するプログラムやWebアプリケーションであっても、設計者が想定しないやり方で機能が悪用され、 結果としてサイバー攻撃が成立する場合には、その「悪用されうる機能設計」が脆弱性とみなされます。
企業では、こうした脆弱性を早期に発見するために「脆弱性診断」を実施することが重要です。→「脆弱性診断の必要性とは?ツールなど調査手法と進め方」
脆弱性診断は、システムやアプリケーションに存在するセキュリティ上の欠陥を特定し、対策につなげるための検査です。
しかし、いざ「脆弱性 意味」「脆弱性とは何か?」と問われると、具体的に説明できない人も少なくありません。
「脆弱性」は「ぜいじゃくせい」と読みます。
「脆」(ぜい):もろい、こわれやすいという意味
「弱」(じゃく):よわい、力が足りないという意味
「性」(せい):性質や特徴を示します
つまり、「壊れやすく弱い性質」という意味で、ITセキュリティ分野では“攻撃に利用される欠陥や弱点”を指す言葉として使われます。また英語ではvulnerability(バルネラビリティ=「攻撃を受けやすいこと」の意)と呼ばれます。
脆弱性はさまざまな原因によって発生します。ここでは代表的な脆弱性の例を紹介します。
ソフトウェアのプログラムに不具合があると、それが脆弱性となる場合があります。例として、
などが挙げられます。このような不具合を攻撃者が悪用すると、データベースの情報が盗まれたり、システムが乗っ取られたりする可能性があります。
これらの代表的なWebアプリケーションのセキュリティリスクは、OWASP Top10として国際的な指標としてまとめられています。
→ 「OWASP Top10 2025:2021版からの変更点と企業が取るべきセキュリティ強化ポイント」
OWASP Top10はWebアプリケーションの代表的なセキュリティリスクをまとめた国際的なガイドラインです。
システムの設定が適切でない場合も脆弱性の原因になります。代表的な例として
などが挙げられます。こうした設定ミスは攻撃者にとって侵入の入り口となることがあります。
システムの設計段階に問題がある場合、構造的な脆弱性が発生することがあります。
例えば
などです。設計段階の脆弱性は、後から修正するのが難しい場合も多く、開発段階からのセキュリティ対策が重要になります。
攻撃者はまず「侵入できる弱点がないか」を探します。この弱点こそが脆弱性です。例えば、
といった状態は、攻撃者に「ここから入れる」と示しているようなものです。実際、多くのサイバー攻撃は “脆弱性の悪用” から始まっています。
ここまでの説明でお気づきかもしれませんが、「脆弱性が多く報告されている」ことは必ずしも「品質が悪い」ことを意味するのではありません。脆弱性が存在してもそのことが報告・公表されていなければ、「脆弱性がある」とは認知されないわけです。
脆弱性が攻撃者に悪用されると、企業や組織に大きな被害をもたらす可能性があります。代表的な被害をご紹介します。
特に近年は、脆弱性を狙った攻撃が高度化し、攻撃者が自動的に弱点を探索するツールも普及しています。「気づいたら侵入されていた」というケースも少なくありません。
脆弱性を悪用したセキュリティ事故は日々発生しています。SQAT.jpでは以下の記事でも取り上げていますので、ぜひあわせてご参考ください。
● 「定期的な脆弱性診断でシステムを守ろう!-放置された脆弱性のリスクと対処方法-」
● 「備えあれば憂いなし!サイバー保険の利活用」

脆弱性を放置すると、重大なセキュリティ事故につながる可能性があります。脆弱性対策の基本的な考え方としては、システムの欠陥をつぶし、脆弱性を無くすこと(「攻撃の的」を無くすこと)が最も重要です。企業での実践方法としては以下の項目があげられます。
衣服等の破れを補修する「継ぎ当て」や傷口に貼る「絆創膏」のことを英語で「パッチ(patch)」と言いますが、脆弱性を修正するプログラムも「パッチ」と呼ばれます。修正プログラムを適用することは「パッチをあてる」と言われたりします。パッチをあてることにより、システムに影響が及ぶ場合があります。適用にあたっては事前に調査を行い、必要に応じて十分な検証を実施してください。なお、自組織で開発したシステムに関しては、必ずテスト環境を用意し、パッチ適用による整合性チェックを行いましょう。
アップデートされた最新バージョンでは既知の脆弱性や不具合が修正されていますので、後回しにせずに更新を行うようにしてください。
自組織で開発したソフトウェアやWebアプリケーション等の場合は、サービスが稼働する前の上流工程(開発段階)から、そもそも脆弱性を作り込まない体制を構築することが大切です。
また、テレワーク環境では、以上の項目に加え、クライアントサイドでのパッチ適用が適切に行われているかをチェックする体制を構築することも重要です。また、シャドーITの状況把握も厳格に実施する必要があります。
「IT部門が知らないサービスを勝手に利用され、結果として脆弱性の有無について未検証のクライアントソフトやブラウザプラグインが使われていた」という事態は防がねばなりません。
脆弱性は、さまざまなソフトウェアやプラットフォームで日々発見されています。そうした情報は、多くの場合、ソフトウェアやプラットフォーム提供元のWebサイトに掲載されます。
少なくとも、自組織で利用している主要なプラットフォームに関しては、緊急性が高い脆弱性が出現していないかどうかを、提供元のWebサイトで定期的にチェックするとよいでしょう。
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターとIPA(独立行政法人情報処理推進機構)では、公表された脆弱性情報を収集して公開するサービス「JVN(Japan Vulnerability Notes)」を共同運営しています。日本で利用されている大半のソフトウェアの脆弱性の情報は、このサイトでチェックできます。
インシデントやゼロデイの発生情報については、セキュリティ専門のニュースサイト、セキュリティエバンジェリストのSNSなどからも情報をキャッチできます。
情報の裏取りとして、セキュリティベンダからの発表やtechブログ等を参照することもと重要となります。攻撃の影響範囲や危険度を確認するには、Exploitの有無を技術者のPoC検証ブログやNVD等で確認することも有効です。
脆弱性を発見するためのソフトウェアは「チェックツール」「スキャンツール」「スキャナ」などと呼ばれます。以下に、代表的なものをご紹介しましょう。有償、無償のさまざまなツールが提供されていますので、機能や特徴を知り、ニーズに合致するものを試してみてはいかがでしょうか。
| 有償ツール | 無償ツール | |
| Webアプリケーション向け | AppScan、Burp Suite、WebInspect など | OWASP ZAP など |
| サーバ、ネットワーク向け | Nessus(一部無償)、nmap など | Nirvana改弐、Vuls など |
上記でご紹介したツールを使えば、脆弱性のチェックを自組織で行うことが可能です。しかし、前述の通り、「脆弱性が存在するのに報告されていない」ために情報がツールに実装されていないソフトウェアも数多くあります。また、一般に広く利用されているソフトウェアであれば次々に脆弱性が発見、公開されますが、自組織で開発したWebアプリケーションの場合は、外部に頼れる脆弱性ソースはありません。さらに、実施にあたっては相応の技術的知識が求められます。そこで検討したいのが脆弱性診断サービスの利用です。脆弱性の有無を確認するには、脆弱性診断が最も有効な手段です。

脆弱性診断サービスでは、システムを構成する多様なソフトウェアやWebアプリケーション、API、スマホアプリケーション、ネットワークなどに関し、広範な知識を持つ担当者が、セキュリティ上のベストプラクティス、システム独自の要件などを総合的に分析し、対象システムの脆弱性を評価します。組織からの依頼に応じて、「自組織で気付けていない脆弱性がないかどうか」を調べる目的のほか、「脆弱性に対して施した対策が充分に機能しているか」を検証する目的で実施することもできます。
対策が正常に機能しているかの検証を含めた確認には専門家の目線をいれることをおすすめしています。予防的にコントロールをするといった観点も含め、よりシステムを堅牢かしていくために脆弱性診断をご検討ください。脆弱性を防ぐためには、ソフトウェア更新や設定の見直しだけでなく、定期的なセキュリティ診断を行うことが重要です。

特に企業のシステムでは、脆弱性診断に加えて、実際の攻撃を想定したペネトレーションテストを実施することで、セキュリティ対策の有効性を確認することができます。
→「ペネトレーションテスト(侵入テスト)とは?」

最後に、診断で発見された脆弱性にパッチをあてることができないときの対処法をご紹介しましょう。
まず、「パッチを適用することで、現在稼働している重要なアプリケーションに不具合が起こることが事前検証の結果判明した」場合です。このようなケースでは、システムの安定稼働を優先し、あえてパッチをあてずに、その脆弱性への攻撃をブロックするセキュリティ機器を導入することで攻撃を防ぎます。セキュリティ機器によって「仮想的なパッチをあてる」という対策になるため、「バーチャルパッチ」とも呼ばれます。
また、脆弱性が発見されたのがミッションクリティカルなシステムではなく、ほとんど使われていない業務アプリであった場合は、脆弱性を修正するのではなく、そのアプリ自体の使用を停止することを検討できるでしょう。これは、運用によってリスクを回避する方法といえます。
なお、前項でご紹介した脆弱性診断サービスの利用は、脆弱性に対して以上のような回避策をとる場合にも、メリットがあるといえます。発見された脆弱性について、深刻度、悪用される危険性、システム全体への影響度といった、専門サービスならではのより詳細な分析結果にもとづいて、対処の意思決定を行えるためです。
「脆弱性とは何か?」を正しく理解することは、サイバー攻撃に備えるうえで最も基本かつ重要なステップです。脆弱性は放置すれば攻撃者にとって“格好の入口”となり、情報漏えいやサービス停止など重大な被害を招きかねません。自社システムの安全性を確保するためにも、日頃から更新・診断・運用の見直しを行い、脆弱性を適切に管理することが求められます。
関連情報
公開日:2020年7月20日
更新日:2026年3月11日
編集責任:木下
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脆弱性情報が公開されると、「これは緊急で対応すべきか」「業務に影響が出ても今すぐ当てるべきか」と判断に迷う場面は少なくありません。本記事では、企業が緊急パッチ対応を判断する際に押さえるべき考え方と、業務影響を抑えながら対応するための実務的な基準を整理します。
緊急パッチとは、一般的に被害が急速に拡大する可能性がある脆弱性に対して、迅速な適用が求められる更新を指します。
次の条件が重なる場合、即時の緊急パッチ適用を優先すべきでしょう。
このようなケースでは、業務影響よりも被害拡大を防ぐことを優先する判断が必要になります。
一方で、次のような条件であれば、即時のパッチ適用が必須でない場合もあります。
このような場合は、この場合、影響範囲を確認したうえで、計画的な対応とする判断も現実的といえます。
緊急パッチ対応では、技術的な危険度だけでなく、次の視点も欠かせません。
「セキュリティ上正しい」判断と「業務として現実的」な判断のバランスを取ることが重要です。
実務では、次のような流れで判断すると整理しやすくなります。
このように段階的に考えることで、判断の属人化を防ぐことができます。
緊急パッチ適用の判断は、単独で行うものではありません。
脆弱性対応の優先順位:脆弱性対応全体の考え方―全体の中での位置づけ
CVSSスコア:技術的な深刻度の把握
本記事:実務での最終判断
これらを総合的に判断した結果、より合理的な対応が可能になります。
緊急パッチ適用で重要なのは、“急ぐべきかどうかを正しく判断すること” です。
この視点を持つことで、緊急パッチ対応は場当たり的な作業ではなく、管理されたセキュリティ運用に変わるのです。
次に読むべき記事
セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

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