BBSec脆弱性診断結果からみる
― 脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとは ―

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瓦版アイキャッチ画像(PCの前でOKサインを作る男性のイメージ)

Webサイトは、重要なデータの宝庫であり、サイバー攻撃者にとっては宝の山です。攻撃者はWebアプリケーションやシステムに存在する脆弱性を突いた攻撃を仕掛けます。では、自組織のシステムに脆弱性が存在した場合、攻撃者に悪用されづらくするためには何ができるでしょうか。本記事では、多くの企業・組織への診断実績がある弊社の視点で、サイバー攻撃への備えの一つとして、脆弱性診断を活用した予防的措置をご紹介いたします。

脆弱性を悪用したサイバー攻撃

事業活動に欠かせないIT環境では、様々な個人情報や機密情報等が保管・やりとりされており、サイバー攻撃者にとってそれらは宝の山です。そのため、今この瞬間もあらゆる企業・組織がサイバー攻撃の脅威にさらされています。

そして残念ながら、多くのWebアプリケーションやシステムには脆弱性が存在している可能性があります。宝の山に、宝を盗める抜け穴、つまり脆弱性があるとなれば、悪意ある者に狙われてしまうのは当然といえます。

脆弱性を悪用したサイバー攻撃の画像

サイバー攻撃者はどのような脆弱性を狙うのか

では、サイバー攻撃者が狙う脆弱性とは、どのような脆弱性でしょうか。
それは攻撃者にとって「悪用がしやすい」、そして「うまみがある」脆弱性です。そのような脆弱性があるWebアプリケーションやシステムは、攻撃対象になりやすく、攻撃者にとって魅力的な標的です。

そして、攻撃者にとって「悪用がしやすい」「うまみがある」脆弱性とは、簡単に攻撃ツールやエクスプロイトコードが入手できる「蔓延度」、どれだけ甚大な被害をもたらすことができるのかという「危険度」、そしてどれだけ他の機能やシステム、あるいは世間にインパクトを与えることができるのかという「影響度」の3つを軸にして捉えることができます。

また、そうした攻撃者にとって魅力的な脆弱性が多数ある場合、一度の攻撃のみならず、何度も複数の脆弱性を突いて攻撃を行われる可能性があります。

自販機の前で脆弱性を列挙する攻撃者のイメージ画像
自販機の前で脆弱性を選定する攻撃者のイメージ画像
選定した脆弱性を突いた攻撃を実行する攻撃者のイメージ画像
脆弱性を突いた攻撃が成功した攻撃者のイメージ画像(自販機から飲み物が出てくる=攻撃成功)

別の側面から見れば、攻撃者にとって魅力的な脆弱性がないWebアプリケーション・システムであれば、標的にされる可能性が少なくなるということです。

自販機に魅力的な脆弱性(攻撃してもうまみがない脆弱性)がないのをみて攻撃をあきらめる攻撃者のイメージ画像

サイバー攻撃者にとって攻撃対象にしづらいシステムとは?

ここまでみてきたように、攻撃者は「蔓延度」「危険度」「影響度」を軸に魅力的な脆弱性を判断することがあります。つまり裏を返せば、Webアプリケーションやシステムの脆弱性の「蔓延を防ぐ」「危険度を下げる」「影響度を下げる」ことで、攻撃者に脆弱性を悪用されにくくすることができます。そのためには各組織で脆弱性対策を行うことが必須となります。システムの欠陥をつぶし、脆弱性をなくすことが最も重要です。

古くから「無知は罪なり」という言葉もあります。情報セキュリティにおいては“まず知ること”が必要不可欠となります。脆弱性に対処するためには、「自組織のセキュリティ状況を見直し、リスク状況を把握して攻撃に備える」ことが重要です。

脆弱性の放置はサイバー攻撃を誘発し、事業活動に甚大な影響を及ぼしかねません。サイバー攻撃によるインシデントは、組織にビジネスの機会の喪失、信用の失墜といった損失につながる可能性があるため、脆弱性の放置はそういった損失の潜在的な原因となります。

システムに存在する脆弱性の有無を確認するために有効な手段の一つが、脆弱性診断です。脆弱性診断により、日々変化する脅威に対する自組織のシステムのセキュリティ状態を確認できるため、適時・適切の対策が可能です。

BBSecの脆弱性診断サービス

BBSecのシステム脆弱性診断は、独自開発ツールによる効率的な自動診断と、セキュリティエンジニアによる高精度の手動診断を組み合わせて実施しています。検出された脆弱性に対するリスク評価は5段階にレベル付けしてご報告しており、リスクレベルによって脆弱性対策の優先順位を判断しやすいものとなっています(右表参照)。

2022年下半期診断結果(多く検出された脆弱性ワースト10)

2022年下半期、BBSecでは12業種延べ510企業・団体、3,964システムに対して、脆弱性診断を行いました。結果として、なんらかの脆弱性が検出されたシステムのうち、5件に1件ほどはリスクレベル「高」以上の脆弱性が含まれているのが現状です。そのリスクレベル「高」以上の脆弱性を検出数順に10項目挙げると、下表のとおりになります。

2022年下半期診断結果(多く検出された脆弱性ワースト10)画像

2022年下半期におけるWebアプリ編ワースト10の上位3項目は、上半期同様、攻撃者にとって悪用しやすくうまみのあるインジェクション系の脆弱性がランクインしています。いずれもよく知られた脆弱性ばかりなため、悪用された場合、世間に基本的なセキュリティ対策を怠っている組織と認識され、信用失墜につながります。

また、アプリケーション等のバージョンアップを行わず、古い脆弱なバージョンを使用し続けているWebアプリケーションも多く存在し、ワースト10のうちの4項目がそういった脆弱性でランクインしています。すでに他組織で悪用された実績のある脆弱性を放置した状態となっている等、攻撃者にとっては同様の攻撃を複数の組織に対して行うだけで成果が出るので、こちらも悪用しやすくうまみのある脆弱性といえます。

ネットワーク編のワースト10でも過去と同じような脆弱性がランクインしていますが、9位の「SNMPにおけるデフォルトのコミュニティ名の検出」は初のランクインとなりました。SNMPは、システム内部のステータスや使用ソフトウェア等の各種情報取得に利用されるプロトコルで、管理するネットワークの範囲をグルーピングして「コミュニティ」としています。コミュニティ名には、ネットワーク機器のメーカーごとに「public」等のデフォルト値がありますが、SNMPにおけるコミュニティ名はパスワードのようなものであるため、デフォルトのままだと、これを利用して攻撃者に接続され、攻撃に有用なネットワークの内部情報を取得される恐れがあります。

脆弱性診断を活用した予防措置

ここまでお伝えしたように、攻撃者はより悪用しやすくうまみのある脆弱性を狙ってくる中で、自組織のWebアプリケーション・システムに脆弱性が存在するのか、また存在した場合どういったリスクのある脆弱性なのかを知り、脆弱性対策を行うことは組織として重要なことです。

脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとして、BBSecとしては、脆弱性診断を推奨します。下図の攻撃方法は一例となりますが、影響範囲として機会損失から業務停止まで引き起こされる可能性がある、という実態はどの攻撃方法でも同じです。脆弱性を悪用された場合、どの攻撃方法であってもそういった被害が出る可能性があるため、悪用されやすい脆弱性は早急に対応しなければなりません。

脆弱性診断を活用した予防措置画像

早急に対応するポイントは「自組織のシステム状態を知り、優先順位をつけながら必要な対策をする」こととなるのですが、自組織におけるセキュリティ対策の有効性確認には、専門家の目線をいれることをおすすめしています。

脆弱性を悪用したサイバー攻撃に対して、予防的にコントロールするといった観点も含め、よりシステムを堅牢化していくために脆弱性診断の実施をぜひご検討ください。


半期(6か月)毎にBBsec脆弱性診断の結果を集計・分析。その傾向を探るとともに、セキュリティに関する国内外の動向を分かりやすくお伝えしています。
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Webアプリケーション脆弱性診断-SQAT® for Web-

Webサイトを攻撃するハッカーの手法を用いて、外部から動的に脆弱性を診断することで、攻撃の入口となる可能性のある箇所を検出します。診断は最新のセキュリティ情報に基づき実施されますので、開発時やリリース前ばかりでなく、既存システムに対する定期的な実施といった、現状の脆弱性対策の有効性を確認するために活用することをおすすめしています。
以下より、サービス内容が記載されている資料のダウンロードもいただけます。

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ネットワーク脆弱性診断-SQAT® for Network

悪意ある第三者の視点で、ネットワークをインターネット経由またはオンサイトにて診断し、攻撃の入口となる可能性のある箇所を検出します。ネットワークを標的とした攻撃のリスクを低減するため、脆弱性を徹底的に洗い出し、システムの堅牢化をご支援します。システムの導入・変更・アップグレード時のほか、運用中のシステムに対する定期チェックにご活用いただけます。
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