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DDoS攻撃は、大量の通信を送り付けて、Webサイトやサーバーを利用しにくくするサイバー攻撃です。サービス停止や業務の停滞を招くおそれがあるため、企業は仕組みと対策を理解しておく必要があります。本記事では、DDoS攻撃の種類や被害、基本的な対策を解説します。
DoS攻撃との違いを詳しく知りたい方、実際にDDoS攻撃を受けた場合の初動対応や復旧の流れについて知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
「DoS攻撃とDDoS攻撃の違いとは」
「DDoS攻撃を受けたらどうする?」
DDoS攻撃とは

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)は、Webサイトやサーバー、ネットワーク機器などに大量の通信やリクエストを送り付け、正常なサービス提供を妨害するサイバー攻撃です。攻撃を受けると、Webサイトの表示遅延やサービス停止、ネットワークの応答遅延などが発生し、正規の利用者がサービスを利用できなくなることがあります。
DDoS攻撃の特徴は、攻撃者が多数の端末やネットワークを利用する点にあります。攻撃者は、マルウェアなどに感染した機器で構成される「ボットネット」を悪用します。
世界中の端末から一斉に通信を送るため、単一の送信元を遮断するだけでは防ぎにくい攻撃です。近年では、ECサイトや金融機関、自治体、医療機関など、幅広い組織が標的となっています。企業規模を問わず対策が求められています。
また、DDoS攻撃は、サービス停止だけを目的とするものではありません。攻撃による混乱に乗じて、不正アクセスや情報窃取など、別の攻撃を試みる「陽動」として利用されるケースもあります。
DDoS攻撃を理解するためには、まずDoS攻撃との違いや、どのような目的で実行されるのかを知ることが重要です。
DoS攻撃との違い
DoS攻撃は、単一または少数の端末からサービスを妨害する攻撃です。DDoS攻撃は、多数の端末から分散して通信を送るため、攻撃元の特定や遮断が難しくなります。
DoS攻撃とDDoS攻撃の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。「DoS攻撃とDDoS攻撃の違いとは」
なぜDDoS攻撃が行われるのか
DDoS攻撃の目的は、単にWebサイトやサービスを停止させることだけではありません。企業活動を妨害したり、金銭を要求したり、別のサイバー攻撃を成功させるための陽動として利用されたりするなど、さまざまな目的で実行されます。
例えば、ECサイトや予約システムを停止させることで売上機会の損失を狙うケースや、競合他社への業務妨害を目的とした攻撃が報告されています。
また、サービス停止による混乱の中で、不正アクセスや情報窃取を試みることもあります。このような「陽動攻撃」として、DDoS攻撃が利用されるケースもあります。
近年では、IoT機器の普及やボットネットの大規模化が進んでいます。その結果、専門的な知識がなくても、攻撃サービスを利用して大規模なDDoS攻撃を実行できる環境が問題視されています。
こうしたサービスは、DDoS-for-Hire、すなわちDDoS請負サービスなどと呼ばれます。そのため、企業規模を問わず、DDoS攻撃を想定した備えが重要になっています。
DDoS攻撃の仕組み
DDoS攻撃は、多数の端末やサーバから、標的へ一斉に大量の通信を送る攻撃です。サーバやネットワーク機器に過剰な負荷をかけ、正常なサービス提供を妨げます。
攻撃対象は、Webサイトだけではありません。DNSサーバやVPN、API、クラウドサービスなど、多岐にわたります。
攻撃者は、自ら大量の通信を送るのではありません。マルウェアに感染したIoT機器やパソコン、サーバーなどを遠隔操作します。そして、ボットネットを構築して攻撃を実行するのが一般的です。
また、DDoS攻撃は、大量の通信によって回線帯域を圧迫するものだけではありません。ネットワーク機器に負荷をかける攻撃や、Webアプリケーションへ大量のリクエストを送る攻撃など、複数の手法があります。
そのため、自社サービスを守るためには、攻撃の仕組みを理解し、それぞれの手法に応じた対策を講じることが重要です。
ボットネットによる分散攻撃
DDoS攻撃では、多くの場合「ボットネット(Botnet)」と呼ばれるネットワークが悪用されます。ボットネットとは、マルウェアに感染したパソコンやサーバ、IoT機器などが攻撃者の遠隔操作下に置かれた状態のネットワークです。攻撃者はこれらの端末へ一斉に指示を送り、標的に大量の通信を発生させます。
近年では、監視カメラやルーター、ネットワーク機器など、十分なセキュリティ対策が施されていないIoT機器がボットネットに組み込まれる事例も確認されています。機器の所有者が気付かないまま攻撃に加担しているケースも少なくありません。
ボットネットを利用したDDoS攻撃では、世界中に分散した多数の端末から同時に通信が送られるため、単一の送信元を遮断するだけでは十分な対策が難しくなります。
攻撃の流れ
DDoS攻撃は、一般的に次のような流れで実行されます。
- ボットネットの構築
攻撃者は、マルウェアに感染したパソコンやサーバー、IoT機器などを遠隔操作できる状態にし、ボットネットを構築します。 - 攻撃対象の選定
WebサイトやECサイト、VPN、DNSサーバー、APIなど、攻撃対象となるシステムを選定します。 - 攻撃命令の送信
攻撃者がボットネットへ攻撃命令を送ると、多数の端末が一斉に標的へ通信やリクエストを送信します。 - サービスへの影響
大量の通信によってネットワーク回線やサーバー、ネットワーク機器、Webアプリケーションに負荷がかかり、応答遅延やサービス停止などが発生します。
攻撃の種類によっては、ネットワーク帯域を圧迫するだけでなく、ファイアウォールやロードバランサーなどのネットワーク機器に負荷をかけるものや、Webアプリケーションへ大量のリクエストを送るものもあります。そのため、攻撃の種類に応じた対策を講じることが重要です。
DDoS攻撃の主な種類
DDoS攻撃にはさまざまな手法がありますが、大きく分けると「ボリューム攻撃」「プロトコル攻撃」「アプリケーション層攻撃」の3種類に分類できます。
攻撃対象や攻撃方法が異なるため、サービスへの影響や有効な対策もそれぞれ異なります。攻撃の種類を理解することは、自社サービスがどのようなリスクにさらされているのかを把握し、適切な対策を講じるための第一歩です。
ここでは、代表的な3つの攻撃手法について解説します。
ボリューム攻撃
ボリューム攻撃は、大量の通信を送り付けてネットワーク回線の帯域を圧迫し、正規の利用者がサービスへアクセスできない状態にする攻撃です。DDoS攻撃の中でも代表的な手法であり、回線容量を超える通信が発生すると、サーバーが正常に稼働していてもサービスを利用できなくなることがあります。
代表的な手法として、UDP FloodやDNS Amplification(DNSリフレクション攻撃)、NTP Amplificationなどがあります。特にDNSやNTPなどの公開サーバーを悪用する反射・増幅型攻撃では、小さなリクエストを利用して何倍もの通信量を発生させるため、攻撃者は比較的少ない通信量でも大きな負荷を与えることができます。
プロトコル攻撃
プロトコル攻撃は、TCP/IPなどの通信プロトコルの仕組みを悪用し、サーバーやファイアウォール、ロードバランサーなどのネットワーク機器に負荷をかける攻撃です。通信回線そのものを埋め尽くすボリューム攻撃とは異なり、ネットワーク機器やサーバーの処理能力を消費させることで、正常な通信を妨害します。
代表的な手法としては、SYN Floodがあります。TCP通信の接続要求(SYNパケット)を大量に送り付けることで、サーバは接続待ちの状態を維持し続けることになり、新たな正規ユーザからの接続を受け付けられなくなる場合があります。このほか、Ping FloodやSmurf攻撃などもプロトコル攻撃の一種として知られています。
アプリケーション層攻撃
アプリケーション層攻撃は、WebサイトやWebアプリケーション、APIなどを標的とするDDoS攻撃です。利用者が直接アクセスするサービスが狙われます。
通信量そのものはそれほど多くなくても、サーバーが処理に時間を要するリクエストを大量に送ることで、CPUやメモリなどのリソースを消費させ、サービスの応答遅延や停止を引き起こします。
代表的な手法としてHTTP Floodがあります。通常のWeb閲覧と同じHTTPリクエストを大量に送信するため、正規のアクセスと見分けにくく、単純な通信量の監視だけでは検知が難しい場合があります。また、検索機能やログイン画面、APIなど、サーバー負荷の高い処理を集中的に狙う攻撃も確認されています。
DDoS攻撃による被害
DDoS攻撃による影響は、単にWebサイトが一時的に閲覧できなくなるだけではありません。サービス停止による売上機会の損失や業務の停滞、顧客対応の負荷増加など、企業活動全体へ影響が及ぶ可能性があります。
また、長時間にわたってサービスが利用できない状態が続くと、企業の信頼低下やブランドイメージの毀損につながるおそれもあります。
近年では、DDoS攻撃を単独で行うだけでなく、その混乱に乗じて不正アクセスや情報窃取など別の攻撃を試みるケースも報告されています。そのため、DDoS攻撃は単なる通信障害ではなく、企業の事業継続に関わるセキュリティリスクとして捉えることが重要です。
ここでは、企業が受ける代表的な被害について解説します。
サービス停止
DDoS攻撃による代表的な被害は、Webサイトやオンラインサービスの停止です。
大量の通信やリクエストが送られると、サーバーやネットワーク機器に過剰な負荷がかかります。その結果、Webページの表示遅延やタイムアウト、エラーが発生し、正規の利用者がサービスを利用できなくなることがあります。
特に、ECサイトや予約システム、会員向けサービス、決済サービスなど、インターネットを通じて提供されるサービスでは、短時間の停止であっても売上機会の損失や顧客満足度の低下につながる可能性があります。
さらに、DDoS攻撃ではサーバー自体に障害が発生していなくても、回線帯域の逼迫やネットワーク機器への負荷によってサービスが利用できなくなる場合があります。そのため、システムが正常に稼働しているように見えても、利用者からは「サービスが停止している」と認識されるケースも少なくありません。
業務への影響
DDoS攻撃の影響は、Webサイトの停止だけにとどまりません。公開サービスと社内システムが同じネットワークや認証基盤を利用している場合には、VPNや業務システム、クラウドサービスなどへ影響が及び、日常業務に支障をきたすことがあります。
また、サービス停止に伴い、顧客や取引先からの問い合わせが急増し、カスタマーサポートや営業部門の対応負荷が高まることもあります。
ECサイトでは注文処理や決済が滞り、BtoBサービスでは取引先の業務に影響を与えるなど、事業継続にも大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、障害対応のために情報システム部門やセキュリティ担当者が長時間の対応を余儀なくされ、本来予定していた業務が停滞するケースも少なくありません。
企業の信頼低下
DDoS攻撃によるサービス停止が長時間続いたり、繰り返し発生したりすると、企業に対する信頼の低下につながるおそれがあります。利用者は「サービスが安定して利用できない企業」という印象を持つ可能性があり、顧客離れや新規顧客の獲得機会の損失につながることもあります。
さらに、DDoS攻撃をきっかけに、自社のセキュリティ対策やインシデント対応体制が十分であるかを取引先や顧客から問われることもあります。そのため、平時から適切な対策を講じるとともに、攻撃発生時には迅速かつ適切な対応を行うことが、企業の信頼維持につながります。
企業が実施すべきDDoS攻撃対策
DDoS攻撃は、完全に防ぐことが難しいサイバー攻撃の一つです。そのため、攻撃を受けることを前提に、被害を最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。ここでは、企業が押さえておきたい代表的なDDoS攻撃対策を紹介します。
通信の監視と異常検知
DDoS攻撃による被害を最小限に抑えるためには、通信状況を継続的に監視し、通常とは異なるアクセスを早期に検知できる体制を整えることが重要です。
アクセス数や通信量、リクエスト数などの推移を日頃から把握しておくことで、異常な増加が発生した際に迅速な対応につなげることができます。
近年では、SIEM(Security Information and Event Management)やネットワーク監視ツールを活用し、異常な通信を自動で検知・通知する仕組みを導入する企業も増えています。
DDoS攻撃は短時間で通信量が急増するケースが多いため、異常を検知してから対応を開始するまでの時間が重要です。
CDN・WAF・DDoS対策サービスの活用
DDoS攻撃は、攻撃元が世界中の多数の端末に分散しているため、自社設備だけで防ぎきることは難しく、外部サービスとの連携が対策の基本方針になります。特に、大量の通信が発生するボリューム攻撃では、自社ネットワークに到達する前に不要な通信を分散・遮断する仕組みが重要になります。
- CDN(Content Delivery Network):コンテンツを複数のサーバーに分散して配信することで、通信負荷を分散し、サービスの継続性向上に役立ちます。
- WAF(Web Application Firewall):Webアプリケーションへの不正なアクセスや不審なリクエストを検知・制御する機能を備えており、特にアプリケーション層を狙った攻撃への対策として有効です。
- DDoS対策サービス:専用の設備で攻撃トラフィックを検知・吸収・フィルタリングし、正常な通信のみを自社環境へ転送する仕組みを提供しています。
攻撃の規模やサービスの重要度に応じて、ISPやクラウド事業者が提供する対策サービスも含め、自社に適した構成を検討するとよいでしょう。
自社の対策状況に不安がある場合
「どのサービスを、どこまで導入すべきか」の判断が難しい場合は、専門会社によるDDoS耐性評価・セキュリティ診断を活用するのも一つの方法です。現状のリスクを可視化したうえで、優先度をつけて対策を進めることができます。
インシデント対応体制の整備
DDoS攻撃は、技術的な対策だけで完全に防ぐことは困難です。そのため、攻撃を受けた際に迅速かつ適切に対応できる体制をあらかじめ整備しておくことが重要です。
具体的には、攻撃発生時の連絡体制や対応手順を文書化し、情報システム部門だけでなく、経営層や広報部門、カスタマーサポート部門など、関係者の役割を明確にしておくことが求められます。
また、ISPやクラウド事業者、セキュリティベンダーなどの連絡先や支援体制を事前に確認しておくことで、緊急時の対応を円滑に進められます。
まとめ
DDoS攻撃は、大量の通信によってWebサイトやネットワークサービスを利用できない状態にするサイバー攻撃です。攻撃手法にはボリューム攻撃、プロトコル攻撃、アプリケーション層攻撃などがあり、それぞれ特徴や有効な対策が異なります。
企業は、通信の監視や異常検知、CDN・WAF・DDoS対策サービスの活用に加え、インシデント対応体制の整備など、多層的な対策を講じることが重要です。また、攻撃を完全に防ぐことは難しいため、被害を最小限に抑えるための備えも欠かせません。
攻撃発生時の具体的な対応手順や、復旧までの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
「DDoS攻撃を受けたらどうする?初動対応から復旧までの流れを解説」
【関連記事】
DDos攻撃について、SQAT.jpでは以下の記事でも解説しています。こちらもあわせてぜひご覧ください。
【参考情報】
- Cloudflare「Cloudflare DDoS Protection」(https://developers.cloudflare.com/ddos-protection/)
- Cloudflare「DDoSブースター/IPストレッサーとは?|DDoS攻撃のツール」(https://www.cloudflare.com/ja-jp/learning/ddos/ddos-attack-tools/ddos-booter-ip-stresser/)
- AWS「AWS Best Practices for DDoS Resiliency」(https://docs.aws.amazon.com/whitepapers/latest/aws-best-practices-ddos-resiliency/aws-best-practices-ddos-resiliency.html)
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公開日:2021年6月23日
更新日:2026年7月29日
編集責任:木下























