クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)の脆弱性 
-Webアプリケーションの脆弱性入門 4-

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「クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)」は、Webアプリケーションの脆弱性の一つです。この記事では、クロスサイトリクエストフォージェリが何であるか、その攻撃の具体的な仕組みや流れ、想定されるリスクについて解説します。またクロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性との違い、実際にどのような予防策を取るべきかについても触れます。そしてどのようにして自分のWebサイトやアプリケーションを保護するかについて解説します。

前回までの内容

セッション管理の不備は、Webアプリケーションの脆弱性の一つです。セッションIDが日付・誕生日・ユーザ名など、推測可能なもの作られたりしているなどの問題があると、セッションハイジャック(攻撃者が他のユーザのセッションIDを盗み取り、そのIDを使用してユーザのアカウントに不正アクセスする行為)のリスクを高めます。セッションハイジャックが成立するリスクを高める要因となる脆弱性および攻撃方法には、セッションIDの固定化(セッションフィクセーション)やセッションIDの推測などがあります。脆弱性を悪用した攻撃を防ぐためには、セッションIDを推測困難な値にする、ログイン・ログアウト時に新しいセッションIDを発行する、ワンタイムトークン付与やIPアドレスによる確認などの対策が必要です。

アクセス制御の不備は、Webアプリケーションにおいて、本来付与されている権限の範囲内でのみ動作するような制御が実装されていない問題を指します。これにより権限昇格やパストラバーサル(パラメータを操作することで、本来制限された領域外のファイルやディレクトリにアクセスする行為)などのリスクが生じます。主な対策方法として、権限に基づく機能制限、適切なアクセス制御ポリシーの実装などが挙げられます。

セキュリティ対策の実施は常に最新のセキュリティ情報を踏まえて見直し、強化していくことが重要です。セキュリティ専門家に相談するなどして、適切な対策を実施しましょう。

前回記事「セッション管理の不備/アクセス制御の不備の脆弱性 -Webアプリケーションの脆弱性入門 3-」より

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)とは

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)とは(困る女性)イメージ

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)は、攻撃者が罠として用意した偽サイトを用いてリンクや画像をクリックさせることで、ユーザが意図していないリクエストを強制的に行わせることができる脆弱性です。例えば、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で「いいね!」をする、銀行の振り込み操作など、被害者がログインしているWebサービスの操作を攻撃者が悪用することが可能です。

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃とは

クロスサイトリクエストフォージェリ攻撃の仕組みは、Webサイトでログインしたユーザからのリクエストがそのユーザが意図したリクエストであるかどうかを識別する仕組みがない場合、外部サイトを経由してユーザが意図しないリクエストを送信させ、それをサーバに受け入れさせるというものです。例えば、銀行のサイトにログインしている状態で攻撃者が仕掛けた罠サイトのリンクURLをクリックすると、ユーザの意図しない送金処理などが実行されてしまう恐れがあります。

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃のリスク

クロスサイトリクエストフォージェリ攻撃の特徴は、攻撃者によってユーザが意図しないリクエストを実行させられ、強制的に、情報の変更や購入処理を実行させられてしまうところにあります。注意すべきは、クロスサイトリクエストフォージェリは、システムやアカウントが保有する機能や権限によって様々な被害を受ける可能性があることです。例えば、ユーザの意図しない売買成立での金銭請求、ログイン情報の変更によるアカウントの乗っ取り、データ削除処理の実行によるデータ消失などがあげられます。

クロスサイトスクリプティング(XSS)とクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)の違い

クロスサイトスクリプティングとクロスサイトリクエストフォージェリは、Webアプリケーションのセキュリティ脅威として知られていますが、その仕組みや対策には明確な違いがあります。クロスサイトスクリプティングの基本的な手法は、悪意のあるスクリプトをWebページに挿入し、他のユーザがそのページを閲覧する際にスクリプトが実行される攻撃です。主に出力に対するエスケープ処理の不備が原因で発生します。一方、CSRFは、ユーザがログインしている状態で、攻撃者が仕掛けた誘導URLをクリックさせることで、ユーザの意図しない操作を実行させる攻撃です。この攻撃は、セッション管理やトークンの処理が不適切な場合に主に発生します。企業や開発者は、これらの違いを理解し、それぞれの脅威に対する徹底的な対策や対応を導入することが求められます。注意深くシステムの保護と保守を行い、ユーザの情報を守ることが重要です。

クロスサイトリクエストフォージェリの原因

脆弱性が発生する原因は、Webサイト側でユーザからの正規のリクエストと外部サイトを経由して偽造されたリクエストを区別できないことにあります。セッション管理のためにCookie、Basic認証、またはSSLクライアント認証を使用しているWebサイトでは、このような問題が発生する可能性があります。特に、影響を受けるWebサイトのうち、ログイン後に重要な処理等を行うサイトは、大きな被害につながる可能性があるため、注意が必要です。

クロスサイトリクエストフォージェリ攻撃の対策

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃の対策として、送信されたリクエストが正しい画面遷移によるものであることを確認し、不正な場合には処理を実行しない仕組みを実装してください。画面遷移の制御に利用可能な要素としては、下記が挙げられます。

1. 推測困難かつランダムな文字列(トークン)

2. Originヘッダやカスタムヘッダの値

3. 再認証による本人確認

トークンはセッション単位のリクエストごとに有効とし、別のリクエストに対して使用不可としてください。

セキュリティ対策の取り組み

セキュリティ対策の取り組み(アンケートバインダー)イメージ

このような攻撃を理解し適切な対策を導入することは、Webセキュリティを保護する上で非常に重要です。また、クロスサイトスクリプティング攻撃により、クロスサイトリクエストフォージェリの緩和策が無効化される場合もあるため、多方面からの脆弱性対策の実施も重要です。企業担当者はこの攻撃の仕組みを理解し、常に最新の対策情報を取得して、安全な環境を保持する必要があります。特に自社のWebサイトを運営する場合、定期的な調査や検証を行い、対策を強化することが求められます。

まとめ

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)は、ユーザがログイン状態のWebサイトにおいて、攻撃者が偽造したリクエストを送信させることで、強制的に情報の変更や購入処理等を行わせるものです。例えば、SNSで「いいね!」をする、銀行の振り込み操作など、被害者がログインしているWebサービスの操作を攻撃者が悪用することが可能です。この攻撃を防ぐためには、サイトが正規のリクエストと偽造されたリクエストを区別するために、正しい画面遷移によるリクエストであることを確認する仕組みを実装することが推奨されます。また、企業やサイトの運営者は、この問題をよく知って、対策をしっかりと行う必要があります。

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SQLインジェクションの脆弱性
-Webアプリケーションの脆弱性入門 2-

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SQLインジェクション攻撃は多くの企業やシステムにとって大きな課題となっています。本記事では、SQLインジェクションの基本的な仕組みから、その主な原因とリスクについて解説します。また、企業での対策方法についても紹介します。SQLインジェクションの脆弱性のリスクを認識し、その対策方法を学びましょう。

前回までの内容

クロスサイトスクリプティング(XSS)とは、動的にHTMLを生成するWebアプリケーションで、ユーザの操作を介して不正なスクリプトを実行させる(できる)事象を指します。このクロスサイトスクリプティングの脆弱性を悪用した攻撃手法をクロスサイトスクリプティング攻撃と呼び、これは、ユーザのブラウザ上で不正なスクリプトを実行させ、個人情報等を漏えいさせるという仕組みです。XSSには「反射型」「蓄積型」「DOMベース」の3種類があり、それぞれ異なる方法で攻撃が行われます。XSSの主な原因は、出力の検証や処理が不十分であることです。攻撃者は、例えば、コメント欄や検索ボックスなどユーザからの入力を受け付ける部分にスクリプトを挿入することで、他のユーザのCookie情報等を搾取することが可能となります。対策としては、スクリプト言語における特別な意味を持つ文字や記号を置き換える「エスケープ処理」の実施や、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)の活用等があります。また、セキュリティ診断を定期的に行い、リスクを可視化して適切なセキュリティ対策を実施することが重要です。

前回記事「クロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性 -Webアプリケーションの脆弱性入門 1-」より

SQLインジェクションとは

SQLインジェクションは、Webアプリケーションの脆弱性の一つであり、多くの企業や中小企業がこの攻撃の影響を受ける可能性があります。具体的には、攻撃者が不正なSQL文を挿入することで、データベースを不正に操作することを指します。例えば、攻撃者は不正な文字列や記号を入力値として使用し、データベースの内容を改竄したり、顧客の情報を不正に取得したりすることができます。

SQLインジェクション攻撃の基本的な仕組み

SQLインジェクション攻撃は、不正な文字列や特殊文字を入力値として使用し、データベースの処理や検索を操作する脅威の一つで、悪意のある第三者が、通常の入力欄に異常な構文や文字を注入することで、情報の取得や変更が可能です。

SQLインジェクションの脆弱性が発生する主な原因とリスク

SQLインジェクションの脆弱性(南京錠のアイコンマーク)イメージ

SQLインジェクションは、WebアプリケーションでのSQL文の組み立て方法に問題がある場合に、攻撃者が挿入した不正なSQL文を誤った命令文として認識してしまうことで発生します。SQLインジェクション攻撃により、インシデントが発生した場合、企業の顧客情報や決済履歴などの機密情報が第三者に漏えいする恐れがあります。その結果、企業のセキュリティ対策姿勢が疑われ、インシデントによる直接的な被害だけでは済まない、信用の失墜やブランドイメージの低下といった大きな痛手を受ける恐れがあります。

SQLインジェクション攻撃の事例

2022年に報告されたSQLインジェクションによる情報漏えい事例を紹介します。

国内オンラインショッピングサイトではSQLインジェクションによる攻撃を受け、サービス登録ユーザの氏名、生年月日、メールアドレス、住所などの詳細な個人情報等、275万件以上の情報が漏えいしました*1。その結果、被害の対象となった顧客へのお詫び状の送付、専用のお問い合わせ窓口の設置、個人情報保護委員会や警察への報告、再発防止策の検討を含めたセキュリティ強化、事故に関する継続的な調査対応等に追われました。

データベースの不正操作を許せば、事業活動に必要なデータをすべて消去されるといった最悪の事態も発生しうるため、SQLインジェクションの脆弱性を放置することは非常に危険です。

効果的なSQLインジェクション対策とその実践方法

SQLインジェクションの対策

重要な情報が集まるデータベースは、守るべき優先度がきわめて高く、SQLインジェクション対策としてさまざまな取り組みが行われています。

基本的な対策

  • プレースホルダを使用したSQL文の構成:プレースホルダは、SQL文における変数の位置を示すために使用され、実際の値は後から安全にバインドされます。特に、バインド処理を実装するライブラリの実装状況によってSQL構文が変化する「動的プレースホルダ」ではなく、SQLの準備段階からSQL構文が変化しない「静的プレースホルダ」の方が、より有効性の高い対策を実現できます。
  • 特殊文字に対するエスケープ処理:運用上の制約等によりプレースホルダを使用したバインド処理が使用できない場合は、特殊文字に対するエスケープ処理を実施することで対策が可能です。なお、エスケープ処理では対策漏れが生じる可能性もあるため、可能な限りプレースホルダを使用することが推奨されます。

保険的な対策

  • SQLエラー情報の非表示化:エラーメッセージの内容にエラーを起こしたSQL文の情報、使用データベース、テーブル名、カラム名等が含まれる場合、攻撃者に対してSQLインジェクション攻撃を実行するための有益な情報を与えることになります。そのため、エラー情報はクライアントへ出力せずログファイル等で管理することが推奨されます。
  • アカウントへの適切な権限付与:アプリケーションがデータベースにアクセスする際には、命令文の実行に必要な必要最小限の権限を付与します。これにより、万が一SQLインジェクションが発生しても、被害を最小限に抑えることができます。

SQL文の組み立ては、データベースのセキュリティを維持する上で非常に重要です。セキュアなプラクティスを適用することで、データベースへの攻撃を防ぎつつ、アプリケーションのデータ操作を効率的かつ安全に行うことができます。

SQLインジェクションのテスト方法

SQLインジェクションの脆弱性(マルとバツのアイコンマーク)イメージ

システムにSQLインジェクションの脆弱性があるかどうかを調べる方法としては、入力フィールドに本来許可してはいけない文字列を設定した場合にWebアプリケーションがどう反応するか、といったことを観察し、SQLインジェクションの脆弱性の有無を診断するというやり方があります。この文字列を「診断文字列」と呼ぶことがあります。

企業のセキュリティ担当者をはじめ、SQLインジェクションの脆弱性に対する問題を理解し、社内で情報を共有し、適切な対策とることで、自組織がSQLインジェクション攻撃を受ける前に被害を未然に防ぐことが可能になるでしょう。

開発やリリース時点では脆弱性が存在しなかったとしても、Webサイトの機能追加や新しい攻撃手法の発見等によって、脆弱性は日々新たに生み出されていきます。こうした実情に対して有効なのは、Webアプリケーションの定期的なセキュリティ診断です。SQLインジェクションによるリスクを考えると、Webサイト運営者はぜひとも実施すべき対策といえるでしょう。

まとめ

SQLインジェクション攻撃は多くの企業やシステムのセキュリティ上の課題として存在しています。SQLインジェクションは、Webアプリケーションの脆弱性を突いて、不正なSQL文を挿入しデータベースを操作する技術です。主にSQL文の組み立て方法に問題があることで、情報の漏えいやデータの改ざんが可能となります。実際に、国内企業でも情報漏えい事例が発生しており、その影響は甚大です。対策として、プレースホルダの使用、エスケープ処理などが推奨されています。またSQLインジェクションの脆弱性を検出する方法として、定期的にセキュリティ診断を実施し、適切な対策を実施することで、Webアプリケーションのセキュリティを向上できます。

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クロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性
-Webアプリケーションの脆弱性入門 1-

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クロスサイトスクリプティングはWebアプリケーションの脆弱性の1つです。この記事では、クロスサイトスクリプティングとは何か、その仕組みや種類、そしてそれに関連する脆弱性や攻撃手法について詳しく解説します。さらに、クロスサイトスクリプティングとクロスサイトリクエストフォージェリとの違いや、クロスサイトスクリプティング攻撃を防ぐための対策方法も紹介します。

Webアプリケーションの脆弱性入門

Webアプリケーションの脆弱性入門(3つのブロックにアイコンマーク)イメージ

脆弱性は、プログラムの不具合や設計ミスによって発生するセキュリティ上の欠陥です。Webアプリケーションに脆弱性が存在する場合、攻撃者がシステムに侵入し、機密情報を盗み出したり、サービスを乗っ取ったりするリスクがあります。Webアプリケーションの主な脆弱性にはSQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)、セッション管理の不備、アクセス制御の不備があります。脆弱性が悪用されると、機密情報の漏洩、データの改ざん、サービスの停止や遅延、金銭的損失、企業の信頼喪失などの深刻な影響をもたらす可能性があります。対策方法としては、正しい権限管理の実施、定期的なセキュリティチェックの実施、最新のセキュリティパッチの適用などが挙げられます。これらの対策により、脆弱性の早期発見と修正が可能になり、攻撃のリスクを減らすことができます。企業のセキュリティ部門担当者は、社内の機密データや取引先の顧客情報等を守るためにも、脆弱性対策に取り組むことが重要です。

前回記事「Webアプリケーションの脆弱性入門」より

クロスサイトスクリプティング(XSS)とは

クロスサイトスクリプティングとは、動的にHTMLを生成するWebアプリケーションで、ユーザの操作を介して不正なスクリプトを実行させる(できる)事象を指します。

このクロスサイトスクリプティングの脆弱性を悪用した攻撃手法をクロスサイトスクリプティング攻撃と呼びます。まず悪意のある第三者が事前にターゲットのWebサイトに特定の文字列のスクリプトを入力値として挿入すると、そのWebサイトにアクセスしたユーザのブラウザ上で挿入したスクリプトが実行されます。これにより、第三者によってブラウザを不正に操作され、ユーザの個人情報が漏えいする、という仕組みになっています。

クロスサイトスクリプティング(XSS)の種類

クロスサイトスクリプティングの脆弱性には主に3つの種類があります。

  1. 反射型XSS…攻撃者がリクエストに混入させたスクリプトなどが、Webサーバからのレスポンスに含まれる形で実行されるもの
  2. 蓄積型XSS…攻撃者がWebサーバ上に何らかの方法でスクリプトを格納したうえで、被害者がアクセスすることでスクリプトが実行されるもの
  3. DOMベースXSS…Webサーバ側がスクリプトで動的にHTMLを生成する場合にスクリプトタグを生成してしまうことに起因し、ブラウザ側での処理の際に不正なスクリプトが実行されるもの

クロスサイトスクリプティング(XSS)とクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)の違い

クロスサイトスクリプティング(XSS)とクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)は、Webアプリケーションのセキュリティ脅威として知られていますが、その仕組みや対策には明確な違いがあります。クロスサイトスクリプティング攻撃の基本的な手法は、攻撃者がWebアプリケーションの脆弱性を悪用し、ターゲットのWebサイトに悪意のあるスクリプトを挿入し、ユーザがブラウザを閲覧する際にスクリプトが実行されるという仕組みです。主に出力の検証が不十分な場合に発生します。一方、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)は、ユーザがログインしている状態で、攻撃者が仕掛けた誘導URLをクリックさせることで、ユーザの意図しない操作を実行させる攻撃です。この攻撃は、セッション管理やトークンの処理が不適切な場合に主に発生します。

クロスサイトスクリプティングの脆弱性が発生する原因

クロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性の主な原因は、出力の検証や処理が不十分であることです。悪意のある攻撃者が特定の文字列やスクリプトを入力し、その内容が未検証のままWebページに表示される場合、クロスサイトスクリプティング攻撃が実行されるリスクが高まります。特に、公開されている企業のWebサイトやアプリケーションで、ユーザからの入力値が適切に処理されず、そのままWebページへの出力処理される場合、情報の漏洩や不正な操作が可能となります。

クロスサイトスクリプティングの脆弱性による影響

脆弱性を放置した場合の影響は、情報の漏洩から不正な操作まで多岐にわたります。攻撃者が悪意のあるスクリプトを挿入することで、顧客の情報を搾取したり、企業の内部情報にアクセスしたりする可能性があります。

クロスサイトスクリプティング攻撃の手法と例

クロスサイトスクリプティング攻撃の手法は、攻撃者が悪意のあるスクリプトを入力し、その内容がそのままWebページへの出力処理に使用されることで、ユーザのブラウザ上でスクリプトが実行されるというものです。例えば、コメント欄や検索ボックスなど、ユーザからの入力を受け付ける部分にスクリプトを挿入することで、他のユーザのCookie情報等を搾取することが可能となります。

クロスサイトスクリプティングの脆弱性への対策

根本的な対策とその重要性

根本的な対策とその重要性(ブロックと紙飛行機)イメージ

クロスサイトスクリプティングの対策は、リクエストに不正な文字列が含まれていても、それをスクリプトとして機能させないことです。Webページに出力する要素に対して、スクリプト言語等において、その言語にとって特別な意味を持つ文字や記号を別の文字列に置き換える「エスケープ処理」を行います。

対策の重要性は、企業の信頼性や顧客情報の保護に直結しています。特に、自社のWebアプリケーションが公開されている場合、定期的なセキュリティ調査や対策の更新が不可欠です。最後に、社内での知識共有や外部の専門家との相談を通じて、最新の脅威や対策についての知識を更新し続けることが求められます。

WAFを活用したクロスサイトスクリプティングの防御方法

WAF(Webアプリケーションファイアウォール)は、Webアプリケーションへの様々な攻撃を検知し、防御する機能を持っています。通信をリアルタイムで監視し、攻撃と判断された通信を遮断することで、Webサイトの脆弱性が悪用されるのを防ぎます。クロスサイトスクリプティング攻撃やSQLインジェクション攻撃などには、Webアプリケーションへの入力値のチェックなどを行うWAFを用いた防御も考えられます。WAFの導入により、Webサイトのセキュリティレベルを向上させ、ユーザ情報の漏洩やサービスの停止を防げる可能性も高まります。ただしWAFを使った防御では、そもそもの脆弱性を解消するという本質的問題解決とはならない点に注意が必要です。

まとめ

クロスサイトスクリプティング攻撃の基本的な手法は、攻撃者がWebアプリケーションの脆弱性を悪用し、ターゲットのWebサイトに悪意のあるスクリプトを挿入し、ユーザがブラウザを閲覧する際にスクリプトが実行されるという仕組みです。クロスサイトスクリプティングの脆弱性の主な種類には「反射型」「蓄積型」「DOMベース」があり、それぞれ異なる攻撃方法が特徴です。また、XSSとクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)は両方ともWebアプリケーションの脅威として知られていますが、攻撃の仕組みや対策が異なります。クロスサイトスクリプティングの脆弱性は、出力の検証が不十分な場合に発生し、情報の漏洩や不正な操作が可能となるリスクがあります。対策としては、出力の検証、エスケープ処理などが求められます。

基本的な対策は、Webサイトにおいて、セキュリティ診断によるチェックを定期的に実施してリスクを可視化し、適切なセキュリティ対策を実施することにより、脅威から自社や顧客の情報を保護することとなります。また、企業や組織は、セキュリティ対策の実施や知識の更新をする必要があります。Webアプリケーションのセキュリティを向上させるための知識として、また、日々の開発や運用の中での参考として、本記事を活用してください。

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