特別寄稿/AI時代のセキュリティ戦略:上野宣氏が語る、攻撃と防御の最前線【前編】

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上野宣氏

生成AIの急速な進化は、私たちの業務やビジネスの在り方だけでなく、サイバーセキュリティの常識そのものを塗り替えつつあります。攻撃者によるAI活用が高度化・自動化を加速させる一方で、防御側もまたAIを駆使した新たな対策を模索する時代に突入しました。攻撃と防御の双方でAI化が進むなか、企業はこれまでの延長線上にある対策だけで十分と言えるのでしょうか。いま、セキュリティ戦略そのものの再定義が求められています。

本記事では、現ブロードバンドセキュリティ(BBSec)およびグローバルセキュリティエキスパート株式会社の社外取締役、そして長年にわたりサイバーセキュリティ分野を牽引してきた上野 宣氏に、AIとセキュリティを取り巻く最新動向、企業が直面する課題、そしてこれからの時代に求められる戦略の方向性について伺います。

後編「AI時代に増えるリスクと、経営が取るべきアクション」はこちら


AIが変える攻撃の現状と、防御側AI活用のリアル

生成AI(LLM)の普及によって、サイバー攻撃のコストが劇的に低下しています。フィッシング文面の作成、標的企業の調査、マルウェアの作成、侵入後の横展開など、これまで人手と経験を必要としていた工程が、現在では半自動化されつつあります。犯罪ビジネスとして収益最大化を狙う攻撃者にとって重要なのは「時間を掛けて大物を狙うこと」ではなく、「いかに効率的に稼げるか」です。その結果、防御側には「特定の攻撃を止める」だけではなく「被害を最小化し、迅速に復旧する」という視点がこれまで以上に求められています。一方、防御側も、EDR/XDRやログ分析の高度化、セキュリティ運用(SOC/CSIRT)の自動化など、AIを取り入れた対策が急速に進んでいます。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年1月29日に公開した「情報セキュリティ10大脅威 2026 [組織編]」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて3位に選出されました。

攻撃と防御の双方でAI化が進む現在、企業のセキュリティ戦略はどう変わるべきなのでしょうか。本稿では、攻撃者の視点で侵入を行うペネトレーションテストの経験を踏まえ、AI時代のセキュリティ最前線を整理し、現場と経営の双方が「明日から動ける」論点を提示します。

AIが変えるサイバー攻撃の現状

攻撃者は「巧妙さ」よりも「スケール」と「成功確率」を取りに来る

AIがもたらした本質的な変化は、攻撃手法そのものの高度化ではありません。最大の変化は攻撃のスケール(量)と、標的に適した攻撃手法を選択できる確率が大きく向上した点にあります。

  • フィッシング/ビジネスメール詐欺(BEC)の高精度化
    役職や業務内容、業界用語に合わせた文面、自然な敬語表現、過去メールの文体模倣、会話の継続まで、生成AIが支援することができます。結果として「日本語が不自然」「誤字が多い」といった従来の判別ポイントが機能しなくなっています。さらに、メールに限らず、チャット(Teams/Slackなど)やSMS、SNSのDM、ビデオ会議(Zoom/Teamsなど)など複数チャネルを横断した心理的誘導も増えています。
  • ディープフェイク(音声・映像)によるなりすまし
    役員の音声を模した緊急指示など、本人になりすましたリアルタイムの会話を通じた詐欺など、人の心理を突く攻撃が進化しています。特に決裁フローが「口頭承認」「チャットでOK」で通る組織ほど影響が大きくなります。
    2024年初頭には、香港でCFOをディープフェイクで偽装し、ビデオ会議を通じて2,500万米ドル(約38億円)を詐取した事件が報じられました。従来、本人確認は「見て・聞いて・確認する」という感覚に依存していましたが、その前提自体が崩れています。

[CFO(最高財務責任者)になりすまして2500万米ドルを送金させたディープフェイク技術 |トレンドマイクロ](https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/24/c/deepfake-video-calls.html)

  • マルウェアの派生と検知回避の高速化
    既存コードの改変、難読化、検知回避の試行錯誤を短時間で回せるため、シグネチャ依存の検知は追随が難しくなります。加えて、侵入後の活動(権限昇格、横展開、永続化)に必要なコマンドや手順を考えるコストが下がり、攻撃者の習熟速度が上がります。
  • 偵察(Recon)と脆弱性悪用の自動化
    公開情報(OSINT)の収集、サブドメイン列挙、設定不備の探索、既知脆弱性(CVE)の当たり付けなど、攻撃の前工程が加速します。攻撃者は「露出している資産」「更新されていないミドルウェア」「放置された管理画面」のような守りの穴をAIで素早く見つけ、手当たり次第に試行します。
  • 生成AIによるコード生成とその限界
    生成AIは攻撃コードのたたき台(PoC)や、攻撃後の痕跡隠し(ログ削除や設定変更)の手順を提案することができます。攻撃者が高速に試行錯誤を行うことができるようになりました。ただし、生成物は常に正しいとは限らず、環境依存のミスも多くあります。AIは攻撃を容易にしますが、万能ではありません。

2024年5月にはIT分野の専門知識を持たない人物が、生成AIを悪用してランサムウェアを作成し逮捕されたという国内事案も起きています。従来は一定の技術力が必要だった領域でしたが、AIが参入障壁を引き下げています。
[生成AI悪用しウイルス作成、有罪判決…IT知識なくとも「1か月ぐらいで簡単に作れた」 | 読売新聞](https://www.yomiuri.co.jp/national/20241025-OYT1T50209/)

AIは攻撃者にとって新しい武器というより、「既存の攻撃を、安く、速く、個別最適化して量産する装置」として機能しています。

守る側が見落としがちな本質的脅威:攻撃者の「工数」ではなく「意思決定」が変わる

AIで工数が下がると、攻撃者の意思決定が変わります。たとえば以前なら「ROI(投資利益率)が合わない」と見送られていた中堅企業や子会社、地方拠点も、数を打つ前提で標的に入りやすくなります。また、ランサムウェアのように侵入後に人が関与する攻撃でも、初期侵入の候補が増えるだけで全体の被害母数は増えます。

企業は「自社は狙われない」ではなく、狙われる前提で、侵入しにくく・侵入されても広がらない設計に投資する必要があります。

一方で、AI攻撃にも限界があります。生成物の誤り、環境依存、権限・ネットワーク制約など、現実の侵入は地味な制約だらけです。 だからこそ防御側は、AIを過度に恐れるよりも、AIによって「攻撃の頻度と質が上がる」前提で、基本対策を徹底しつつ、運用を強化することが重要になります。

防御側のAI活用と、その限界

「検知モデル」と「生成モデル」は役割が異なる

防御側のAI活用を考える際、まず押さえたいことは、AIには大きく2種類の使い方があることです。

  1. 検知(判別)に強いAI:振る舞いから異常を検知し、アラートを出す(EDR/XDR、UEBAなど)
  2. 生成(要約・支援)に強いAI:文章の要約、問い合わせ応答、手順提案、チケット起票など運用補助を担う

両者を混同すると、「AIを入れたのに検知できない」「要約は便利だが判断が危ない」といったミスマッチが起きます。導入時はAIに何を任せ、何を人が担うかを明確にすることが出発点になります。

AIはすでに防御のコアである

防御側のAI活用は、AI製品を買えば解決という単純な話ではありません。多くの企業で現実に進んでいるのは、次のような領域です。

  • EDR/XDRの検知ロジック強化
    従来のルールベースに加え、行動分析や相関分析を組み合わせ、攻撃の兆候を早期に拾う。
  • ログ分析/異常検知の高度化
    分散したログを統合し、普段と違う通信・認証・権限変更などを検知する。特にクラウドでは、設定変更(IaC、権限付与、APIキー利用)のログが要になります。
  • SOCの一次分析(トリアージ)の効率化
    アラート要約、関連ログの自動収集、影響範囲の仮説立て、過去事例の類推など、人が疲弊する作業をAIが肩代わりする。SOAR(自動対応)と組み合わせ、軽微なインシデントを自動封じ込めする例も出ています。
  • 脅威インテリジェンスの取り込み
    攻撃者のTTPやIoCを取り込み、自社ログと突合する。AIは情報の整理・関連付けに強い一方、最終的な妥当性判断は人が担う必要があります。
    AIが得意なのは「大量データの整理・優先順位付け」であり、最終判断(ビジネス影響、止める/止めない、復旧手順)は人間の責務として残ることです。

AI防御の落とし穴

AIを活用した防御には、以下のようなリスクがあることを知っておいて下さい。

  • 誤検知/見逃し(False PosITive/Negative)
    AIはもっともらしい出力を返しますが、誤りをゼロにはできません。誤検知が多いと現場はアラート疲れを起こし、逆に見逃しが増えます。
  • 説明可能性(ExplAInabilITy)の不足
    「なぜ検知したのか」が説明できないと、現場の納得も、経営への説明も難しいことがあり、監査や顧客説明に耐えない可能性もあります。
  • データの偏り/経時変化
    組織の利用状況、システム構成、攻撃トレンドは常に変わります。過去データに最適化されたAIは、時間とともに精度が落ちる可能性があります。
  • 生成AIの幻覚(ハルシネーション)
    運用支援にLLMを使う場合、誤った要約や根拠不明の推論が混ざることがあります。検証手順(根拠ログの提示、再現確認)を確立しておくことが必須となります。
  • 機密ログの扱い
    生成AIにログを投入する場合、そのログ自体が機密情報の塊です。保存、外部送信、学習利用、権限管理の設計を誤ると、防御強化のつもりが漏えいリスクになります。
    AIは防御の万能薬ではなく、運用を強くするための一要素に過ぎません。AIを導入するなら「どのKPIを改善するのか(初動時間、検知率、分析工数、MTTRなど)」を定義し、運用とセットで設計する必要があります。

―【後編】「AI時代に増えるリスクと、経営が取るべきアクション」 に続く―


執筆:上野 宣 氏
株式会社トライコーダ代表取締役
2000年にサイトデザイン株式会社へ入社後、ゼロエクス株式会社を経て取締役に就任。その後、インプルーブテクノロジーズ株式会社を経て、2006年に株式会社トライコーダを設立し、代表取締役に就任(現任)。2019年より株式会社Flatt Security、2022年よりグローバルセキュリティエキスパート株式会社の社外取締役を務める。あわせて、OWASP Japan代表、一般社団法人セキュリティ・キャンプ協議会理事、NICT CYDER推進委員などを歴任し、教育・人材育成分野にも尽力。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教員。

編集責任:木下・彦坂

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武蔵小杉病院へのランサムウェア攻撃 ―第2報から読み解くランサムウェア侵入経路と影響範囲―

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2026年2月、日本医科大学武蔵小杉病院は「院内の医療情報システムの一部がランサムウェア攻撃を受け、障害が発生した」こと、そしてそれに伴い患者の個人情報漏洩が確認されたことを公表しました*1。病院の発表は「第2報」という位置づけで、被害範囲、時系列、侵入経路、当面の診療体制、相談窓口までが具体的に示されています。まず強調したいのは、憶測で語られがちな“病院のサイバー攻撃”を、ここでは病院自身が明言した事実ベースで解説する点です。本記事では今回の公表内容(第2報)を中心に、医療機関サイバーセキュリティの観点で「何が起きたのか」「なぜ起きやすいのか」「利用者は何に気を付けるべきか」をわかりやすくまとめます。

侵入経路は“医療機器保守用VPN装置”

病院の第2報で明記された「攻撃を受けたシステム」は、ナースコールシステムのサーバー3台です。ナースコールは入院患者が看護師を呼ぶための仕組みとして広く知られていますが、その裏側では端末やサーバーが稼働し、運用上の都合から患者情報と結び付いているケースも珍しくありません。今回、病院は当該サーバーがランサムウェア攻撃を受けたことを認め、さらに調査の結果として「侵入経路は医療機器保守用VPN装置であった」ことが確認されたとしています。

ここでいうVPN装置は、医療機器メーカーなどが遠隔で保守作業を行う目的で用いられることが多い仕組みです。便利な一方で、通常のIT統制の枠外に置かれやすいのが現実です。たとえば、病院の標準的なIT統制から外れた管理になっていたり、資産管理やパッチ適用、アクセス制御、多要素認証などの基本対策が後回しになっていたりします。厚生労働省も注意喚起の中で、VPN装置を含むゲートウェイ機器の脆弱性対策、管理インターフェースのアクセス制限、認証強化などを重要ポイントとして挙げています。今回の発表内容は、まさにその“急所”が突かれ得ることを示す事例として受け止めるべきでしょう。

漏洩した個人情報

病院は、漏洩が確認された個人情報の項目として、氏名、性別、住所、電話番号、生年月日、患者IDを挙げています。また、漏洩が確認された人数は「約1万人」で、これは2026年2月14日11時時点の確認値だとされています。一方で、患者が特に気にすると考えられる医療内容そのものについて、病院は「カルテ情報」の漏洩は現時点で確認されていないと明記しています。さらに、クレジットカード情報、マイナンバーカード情報についても、現時点では漏洩確認がないとしています。ここは不安を抱く利用者にとって重要なポイントです。ただし、ここでの注意点は「現時点では確認されていない」という表現が示す通り、調査が進む過程で情報が更新される可能性がゼロではないことです。病院も、仮に漏洩拡大が判明した場合はホームページで速やかに報告するとしています。

いつ気づき、どう動いたのか

第2報には、攻撃を認識した日時と経緯が日付単位で整理されています。最初の兆候は2026年2月9日午前1時50分頃、病棟のナースコール端末が動作不良となり障害を把握したことでした。その後、ナースコールシステムのベンダー調査により、サーバーがランサムウェア攻撃を受けたことが判明したとされています。病院は当該システムと関連ネットワークを遮断し、同日に文部科学省、厚生労働省、所轄警察へ報告したと公表しています。

続く2月10日には、厚生労働省の初動対応チームの派遣要請を行い、外部接続ネットワークを遮断してサーバー保全を開始。2月11日には初動対応チームの調査により、当該サーバーが院外と不正通信を行い、患者の個人情報を窃取していたことを確認したとされています。さらに、電子カルテを含む他の医療情報システムへの影響調査、外部接続ネットワーク機器の脆弱性や設定の調査も開始した、と時系列で説明されています。2月12日に個人情報保護委員会へ報告し、2月13日には漏洩した患者へ郵送でのお詫び連絡を開始した、と続きます。

この流れを見ると、ポイントは二つあります。ひとつは「障害として最初に見えた」こと、もうひとつは「通信ログ等の調査で情報窃取の事実確認に至った」ことです。ランサムウェアは“暗号化して身代金要求”のイメージが強い一方で、近年は暗号化だけでなく情報窃取を組み合わせ、二重三重の脅迫に発展するケースが問題視されてきました。今回の発表でも「不正通信」と「窃取」が明確に言及されており、病院がそこを重要事実として公表している点は見落とせません。

病院業務は止まったのか

医療機関へのサイバー攻撃で最も懸念されるのは、診療の停止や救急の受け入れ停止など、医療提供体制への影響です。今回、病院は2026年2月14日時点で、外来、入院、救急受け入れはいずれも通常通り実施していると説明しています。また「他の医療情報システムへの影響は現時点では確認されていない」とし、病院業務は通常通りと明記しています。

ここで大事なのは、“通常通り”という言葉の解釈を膨らませすぎないことです。病院が示したのは、その時点で確認できている範囲の診療体制であり、現場では臨時対応や負荷増が起きている可能性はあります。ただ、少なくとも公表文の事実としては、全面停止や救急停止を示す記述はなく、「止めずに継続している」という説明が中心です。

病院がとった封じ込めと復旧対応

第2報の中で、病院は「当該システム及び外部との通信を一切遮断し、専門家や電子カルテベンダーと共に、他のシステムへの影響について詳細な現況調査を継続して実施しております。」とし、原因となったランサムウェアの特定を完了し、「ウイルス対策ソフト会社より提供された最新のパターンファイルを用いて、現在、院内全域でのウイルス駆除作業を実施しております。」と説明しています。

サイバーインシデント対応として見ると、ここには典型的な優先順位が現れています。まず“広げない”ための遮断、次に“証拠を残す”ための保全、その上で“横展開の確認”として他システム影響調査、そして“回復”のための駆除作業です。特に医療機関では、電子カルテだけ守っても安全とは言い切れません。ナースコールのような周辺系、委託業者や医療機器ベンダーの保守経路、ネットワーク機器設定など、境界にある仕組みが狙われると、想定外の入口になります。私たちが特に注目すべきと考えるのは、医療機器保守用VPN装置が侵入経路として公表された点です。これは医療機関のセキュリティ対策が“例外管理”に弱いことを改めて突き付けています。

詐欺・なりすましへの警戒

今回漏洩が確認された情報には、氏名、住所、電話番号、生年月日が含まれます。これは、金融情報そのものではない一方で、なりすまし、勧誘、フィッシング、特殊詐欺の“材料”として悪用されやすい属性情報です。病院は、漏洩した患者に対して「直接連絡する」とし、実際に2月13日から郵送によるお詫び連絡を開始したと公表しています。したがって利用者側の現実的な対策は、まず「病院から届く郵送物や案内」を冷静に確認し、連絡先や手続きが公表内容と整合するかを見極めることです。そして電話やSMS、メールで“病院を名乗る連絡”が来た場合、いきなり個人情報を追加で伝えたり、リンクを開いて入力したりせず、病院が設置した問い合わせ窓口など、公式に案内された経路へ折り返し確認するのが安全です。病院は本件の相談・問い合わせ専用窓口(専用ダイヤルの複数回線やフリーダイヤル運用開始予定)を案内していますので、確認の際はそうした公式窓口を使うのが基本になります。

よくある疑問:電子カルテは大丈夫なのか、身代金は払ったのか

「電子カルテは大丈夫なのか」という疑問に対しては、病院の公表では、「他の医療情報システムへの影響は現時点では確認されていない」とされています。つまり、“影響なし”と断定しているというより、調査継続の前提で“少なくとも現時点の確認では影響が見つかっていない”という説明です。ここは言葉通りに受け止め、今後の更新を注視するのが適切です。

「身代金を払ったのか」という点については、第2報の本文からは読み取れません。少なくとも病院は、侵入経路、漏洩項目、診療状況、当局報告、遮断・調査・駆除といった事実を中心に説明しており、金銭要求や支払いに関する記載は確認できません。ここで外部の憶測を混ぜると正確性が落ちるため、本記事では触れません。

なぜ医療機関は狙われるのか:つながる医療機器

医療機関のサイバー攻撃を考えるとき、電子カルテだけを守ればよいという発想は危険です。病院には、医療機器、保守用回線、委託業者のネットワーク接続、建物設備、ナースコールのような周辺システムまで、多様な“つながる仕組み”があります。しかも医療の現場は24時間止められず、更新・停止・入れ替えが難しい機器も少なくありません。結果として、VPN装置のような境界機器が古い設定のまま残りやすかったり、管理者が限定されて全体の統制が効きにくかったりします。

厚生労働省の注意喚起でも、VPN装置を含むゲートウェイ機器の脆弱性対策を迅速に行うこと、管理インターフェースのアクセス制限を行うこと、多要素認証などで認証を強化すること、資産(IoT機器を含む)の把握を行うことが示されています。武蔵小杉病院の件で侵入経路が医療機器保守用VPN装置である、と公表されたことは、これらが“机上の理想”ではなく、現実の被害と直結する論点であることを、改めて裏付ける材料になっています。

企業・組織側が学ぶべき教訓:VPNと保守経路の統制はセキュリティの“盲点”

今回の公表内容から読み取れる最大の教訓は、保守のための例外的な経路を放置しないことです。医療機関に限らず、製造業、ビル管理、自治体、教育機関などでも、ベンダー保守用VPNは現場の利便性を理由に残りやすく、監査や更新の網から漏れがちです。だからこそ、ネットワーク図に載っていない接続点、ベンダーしか触れない装置、管理台帳にない機器といった“影の資産”を可視化し、アクセス制御、ログ監視、脆弱性対応、認証強化、契約と運用ルールの整備まで含めて統制する必要があります。また、今回病院が行ったように、初動で外部接続を遮断し、当局に報告し、初動対応チームや専門家と連携しながら調査と封じ込めを進めることは、医療機関のインシデントレスポンスとして重要です。平時から、遮断判断の基準、連絡系統、証拠保全の手順、ベンダー連携の契約条項、代替運用を準備しておかなければ、同じ判断を迅速に実行するのは難しくなります。

まとめ

日本医科大学武蔵小杉病院の公表によれば、今回のサイバー攻撃はナースコールシステムがランサムウェア攻撃を受けたことに端を発し、医療機器保守用VPN装置が侵入経路として確認され、患者の個人情報が窃取されたとされています。漏洩は約1万人、項目は氏名や住所、電話番号、生年月日、患者IDであり、カルテ情報やクレジットカード情報、マイナンバーカード情報の漏洩は現時点で確認されていない、というのが病院の説明です。

“病院のサイバー攻撃”という言葉は刺激的ですが、重要なのは、どのシステムが攻撃され、どの経路が弱点になり、どんな情報が漏洩し、利用者と組織が何に備えるべきかを、事実に即して理解することです。今回の事例は、電子カルテ以外の周辺システムも含めた医療機関サイバーセキュリティの必要性、そしてVPN装置や保守経路を例外扱いしない統制の重要性を、強く示しています。今後も病院の続報で情報が更新される可能性があるため、一次情報の確認を前提に、過度な憶測ではなく、現実的な警戒と備えにつなげることが肝要です。

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    アサヒグループも被害に ―製造業を揺るがすランサムウェア攻撃

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    製造業を揺るがすサイバー攻撃アイキャッチ画像

    2025年9月末、アサヒグループホールディングスがランサムウェア攻撃を受け、出荷停止により一部商品が市場から姿を消しました。本事件は、サイバー攻撃が単なる情報漏洩にとどまらず、社会生活や経済活動にまで大きく影響を及ぼす時代を象徴しています。本記事では、近年の事例をもとに、製造業が今取り組むべきセキュリティ対策を考えていきます。

    国内組織を狙うサイバー攻撃の脅威

    2025年9月末、アサヒグループがランサムウェア攻撃を受け、複数拠点で受注・出荷システムが停止しました。一部の工場では生産ラインの稼働停止を余儀なくされ、復旧には時間を要し、決算処理にも影響が生じています。本事件は、サイバー攻撃が組織内部にとどまらず、流通・販売・消費の現場にまで波及することを社会に強く印象づけました。

    多くのサイバー攻撃は依然として情報流出や業務データの暗号化など、社内で完結する被害が中心です。ところが今回の事案では、生産と出荷が止まったことで、店頭から商品が一時的に姿を消すという形で消費者の目にも影響が見えるようになりました。 サイバー攻撃が経済活動だけでなく、日常生活の不便という形で現れることを実感させた象徴的な出来事だったといえます。

    製造業が狙われる主な理由

    経済的インパクトが大きい

    生産ラインの停止は即座に損失を生み、納期遅延や契約不履行にも直結します。攻撃者にとっては「止めれば払う」確率が高く、身代金要求の成功率が高いと見込める業種です。

    技術的な脆弱性が残りやすい

    製造設備は長寿命で、古いOSやサポート終了機器が残っている場合が多く、パッチ適用や更新が困難です。攻撃者はこうした「更新できない装置」を標的にします。

    サプライチェーン構造による攻撃のしやすさ

    製造業は多くの委託先やサプライヤーとネットワークを共有しており、外部接続が多い構造です。攻撃者は、セキュリティが弱い取引先を突破口にして本体へ侵入します。

    ITとOTの融合による弊害

    近年、工場システム(OT)と情報システム(IT)の連携が進んでいます。このことにより、どの部分をどのように防御すべきかが把握しにくくなっており、セキュリティ対策の難易度は増しています。

    これらの要因が重なることで、製造業は「狙いやすいターゲット」として攻撃者から認識されている可能性があります。このように、製造業を取り巻くサイバー脅威は、単なる情報漏洩リスクにとどまらず、事業停止や混乱に伴う社会的責任を負う可能性に繋がります。次項では、こうした脅威で、国内で発生したランサムウェア攻撃の事例を取り上げ、その実態を見ていきます。

    ランサムウェア攻撃の事例

    ここでは、国内で実際に発生したランサムウェア攻撃の事例を紹介します。いずれも公式発表に基づく事実であり、攻撃が一組織の問題にとどまらず、取引先や社会全体へ影響を及ぼしたことを示すものです。

    時期被害組織概要
    2025年9月アサヒグループホールディングス出荷停止が発生し流通に影響
    2024年6月KADOKAWAグループ社内システム障害で業務に影響
    2024年5月岡山県精神科医療センター電子カルテが暗号化され業務に影響
    2022年2月小島プレス工業部品供給停止で全工場が稼働停止
    相次ぐランサムウェア被害の実例

    アサヒグループホールディングス(2025年9月)

    2025年9月末、アサヒグループがランサムウェア攻撃を受け、グループ各社で受注・出荷システムが停止しました*2 。この攻撃により複数の国内工場が一時的に生産停止となり、復旧には時間を要することになりました。また情報漏洩も確認されており、被害の影響範囲は大きなものとなりました。さらに酒類の生産・出荷・物流にまで影響が及び、有名銘柄の商品が一時的に市場から姿を消すという形で消費者にも影響が及びました。この事件により、組織の被害が供給網を介して社会的混乱へ発展することを多くの人が強く意識することになったといえます。

    KADOKAWAグループ(2024年6月)

    2024年6月KADOKAWAグループがランサムウェア攻撃を受け、社内システムの一部が暗号化されました(公式発表に基づく*2 )。業務の一部が停止し、コンテンツ制作といった事業基盤への影響も懸念されました。

    岡山県精神科医療センター(2024年5月)

    2024年5月、岡山県精神科医療センターは、電子カルテなどを含む院内システムがランサムウェア攻撃により暗号化され、診療や検査業務に支障をきたしたことを発表しました*3 。復旧までに数週間を要し、医療分野のサイバーリスクの高さを示す事例となりました。

    小島プレス工業(2022年2月)

    2022年2月末、トヨタ自動車の主要部品サプライヤーである小島プレス工業がランサムウェア攻撃を受けました*4。この影響で、国内で複数の工場やラインが一時停止する事態となりました。攻撃は子会社ネットワーク経由で発生し、リモート接続機器の脆弱性が悪用された可能性が指摘されています。このケースは、1社の停止が供給網全体の生産停止に波及した典型例であり、サプライチェーンリスクの深刻さを示しています。

    上記の事例から以下のような点が読み取れます。つまり、ランサムウェア攻撃は単なるITトラブルではなく、経済活動全体を揺るがすリスク要因になっているといえるでしょう。

    ①侵入経路の多様化

    フィッシング、VPN機器の脆弱性、リモート接続など、攻撃者が複数の経路を用いている。

    ②被害が社会に波及する構造

    生産・出版・医療・自動車といった分野で、組織活動が止まると消費・生活・流通に影響が現れる。

    ③サプライチェーンの連鎖性

    サプライチェーンの上流や下流に、被害が波及しています。特に自動車業界の事例は、関連会社一社の停止が系列全体の操業に影響するという顕著な例だと考えられます。

    製造業が抱えるセキュリティリスク

    前述のとおり、ランサムウェア攻撃は一組織の被害にとどまらず、サプライチェーン全体へ連鎖的に影響を及ぼす事例が増えています。ここでは、製造業特有のリスクを整理します。

    制御システム(OT)への攻撃

    製造業では、生産ラインを制御するOT(Operational Technology)システムが稼働の中心を担っています。近年、業務効率化のためにITネットワークやクラウドと接続するケースが増え、外部からの侵入経路が拡大しています。IPAは、OTを含む生産システムのサイバーリスクとして、ネットワーク分離や境界対策の重要性を指摘しています。ITとOTが連携する環境では、設計段階から防御を考慮しなければ、組織全体の稼働に影響を及ぼすおそれがあります。

    生産データ・設計情報の漏洩

    設計図面、加工条件、検査データなどの機密性の高い情報が外部に流出した場合、模倣や不正利用といった経営上の損失につながるおそれがあります。IPAの実践プラクティスでも、製造データの漏洩が組織活動に重大な影響を及ぼす点が指摘されています。また、キーエンスの解説では、クラウド連携や外部システム活用の増加により、情報流出経路が多様化しているとしています。

    サプライチェーンを介した被害拡大

    製造業は、部品の調達や設計、加工、物流などを多くの委託先と連携して行う業種です。 自社が堅牢でも、取引先のセキュリティが十分でなければ、そこがリスクの入口となる可能性があります。こうした複雑で多岐にわたるサプライチェーン構造では、一つの組織の障害が全体の生産活動に波及するおそれがあります。

    事業継続への影響

    サイバー攻撃によるシステム停止は、生産遅延・品質問題・納期トラブルなどを引き起こし、取引先との信頼関係や市場供給に直接影響します。2025年のアサヒグループの攻撃事案では、受注・出荷システムが止まり、一時的に有名銘柄の商品が店頭から消えるという事態が発生しました。また、2022年の小島プレス工業での工場停止では、部品供給の途絶が主因となり、最終組立ラインまで稼働が止まりました。

    両社に共通するのは、「一部の停止が連鎖的に拡大し、経営活動そのものを揺るがす」点です。被害が長期化すれば、納期遅延や契約不履行から損害賠償・ブランド毀損にも発展しかねません。こうした攻撃は今や、情報システムの問題ではなく、経営継続(BCP)全体を試す脅威となっています。いずれも、単一部門で解決できるものではなく、経営・現場・サプライヤーが一体で取り組むべき経営課題です。

    セキュリティ対策の進め方

    サイバー攻撃は生産現場の稼働や事業継続に直結する問題となっています。特に製造業では、IT/OTの境界を越えて被害が拡大する傾向があり、どこから手をつければよいのかが分かりにくいのも現実です。ここでは、経営層と現場が一体となって取り組むための基本方針を4つの段階で整理します。

    情報資産の整理とリスクの可視化

    まず、自社のシステム・設備・データなど、守るべき資産を明確に把握することが出発点です。特にOT環境では、稼働中の機器や通信経路が属人的に管理されているケースも多く、資産の洗い出しが不十分なことがあります。可視化によって、どこに脆弱性や依存関係があるかを明確にし、優先度を付けた対策計画を立てることが重要です。

    従業員教育とセキュリティ意識の向上

    システム面の強化だけではなく、人の意識と行動が対策の成否を左右します。メール添付やUSBメモリを経路とする感染事例はいまだ多く、日常的な警戒心の欠如が被害拡大につながります。定期的な研修や演習を通じて、「自分たちの作業が会社全体の防御につながる」という認識を浸透させることが求められます。

    ポリシー策定と体制整備

    経営層が主導し、セキュリティポリシーを策定して明文化することも不可欠です。製造業におけるセキュリティは「安全」「品質」「納期」と並ぶ重要事項です。インシデント対応手順や通報ルートを明確化し、現場が即応できる体制を整えることで、被害の長期化を防ぎます。

    専門家との連携と継続的な改善

    すべてを自社内で完結させるのは困難です。特に制御系ネットワークや脆弱性診断など、専門知識を要する分野はセキュリティベンダーとの連携が効果的です。また、定期的な点検・アセスメントを通じて、対策の有効性を確認し、改善のサイクルを回すことが重要です。

    SQAT.jpでは関連記事を公開しています。こちらもあわせてぜひご覧ください。
    産業制御システムセキュリティのいまとこれからを考えるhttps://www.sqat.jp/information/5099/

    まとめ:禍を転じて福と為す

    今回取り上げたような事例は、いずれも深刻な被害をもたらしましたが、その一方で、社会全体がセキュリティの重要性を再認識する契機ともなりました。サイバー攻撃の脅威は避けられない現実ですが、それをきっかけとして自社の体制を見直し、他社との連携を強化することで、より強靭なサプライチェーンを築く機会にもなります。「禍を転じて福と為す」——すなわち、被害を教訓として組織の成熟へと変えていく姿勢こそ、これからのセキュリティ経営に求められる考え方となりえるのです。

    BBSecでは

    SQAT® ペネトレーションテスト

    ペネトレーションテストでは、自組織において防御や検知ができていない領域を把握するため、多様なシナリオによる疑似攻撃を実行してシステムへの不正侵入の可否を検証します。ペネトレーションテストの結果は、今後対策を打つべき領域の特定や優先順位付け、対策を実施する前の回避策などの検討に役立てることが出来ます。

    CSIRT構築/運用支援

    それぞれの企業文化・リソースに合ったCSIRTのプランニング / 構築 / 運用を専門家の立場から支援しています。独立系セキュリティベンダーであるBBSecの経験値を活かした適切なアドバイスやノウハウ提供は、実行力のある組織へと育成する上で大きな手助けとなります。

    詳細はこちら。
    https://www.bbsec.co.jp/service/evaluation_consulting/csirt.html
    ※外部サイトへリンクします。

    情報セキュリティリスクアセスメント

    専任コンサルタントが目的や企業環境に最適なフレームワークを選択して網羅的に実施するコンサルティング型アセスメントから、短時間・低予算でリスク概要のアセスメントレポートが得られるオンライン自己問診型アセスメントまで、幅広い情報セキュリティリスクアセスメントサービスを用意しています。

    詳細はこちら。
    https://www.bbsec.co.jp/service/evaluation_consulting/riskassessment_lineup.html
    ※外部サイトへリンクします。

    サイバーインシデント緊急対応

    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

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    サイバーセキュリティとは-情報セキュリティとの違いと目的・対策・重要性を解説-

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    サイバーセキュリティとは-情報セキュリティとの違いと目的・対策・重要性_アイキャッチ画像

    サイバーセキュリティとは、インターネットやデジタル技術を利用する社会で欠かせない「防犯」の仕組みです。情報セキュリティとの違いを正しく理解し、その目的や重要性を把握することは、セキュリティ担当者だけでなくすべての利用者に求められます。本記事では、サイバーセキュリティの基本から具体的な対策、最新トレンドまでをわかりやすく整理し、日常業務や企業活動に活かせる実践的なポイントを解説します。

    サイバーセキュリティという言葉を初めて耳にすると、多くの人が「何か難しそう」「専門家向けでは?」と思ってしまうかもしれません。しかし、インターネットやスマートフォンを使って日常生活を送る現代において、サイバーセキュリティは私たちにとっても実は身近な存在です。

    サイバーセキュリティとは?日常とのつながり

    たとえば、「情報セキュリティ」という言葉の通り、サイバーセキュリティは個人や企業が保有する情報を、外部の攻撃や内部の不正から守るためのあらゆる取り組み——つまり「デジタル社会の防犯」と言ってもいい存在です。特別なものではなく、日々のネット利用やデバイス操作そのものがサイバーセキュリティと密接に関わっているのです。現代はスマートフォンやパソコンだけでなく、テレビや冷蔵庫までがネットにつながる”IoT社会”。SNSでのコミュニケーションやオンラインショッピング、各種アプリの利用など、「サイバー空間」と呼ばれるインターネットの世界は生活の一部になっています。この便利さの裏には、見えないサイバー攻撃のリスクが潜んでいます。ここを知ることが、サイバーセキュリティへの第一歩です。

    サイバー攻撃とは何か

    サイバー攻撃とは、インターネットやネットワークを通じてコンピュータやスマートフォンなどのデバイス、Webサービスなどに損害を与える行為を指します。ニュースでは「ウイルス」「マルウェア」「フィッシング詐欺」「ランサムウェア」「不正アクセス」などの言葉が頻繁に登場しますが、これらはすべてサイバー攻撃の一種です。たとえば、フィッシング詐欺 は本物そっくりの偽メールや偽サイトに誘導し、パスワードやクレジットカード情報を盗み取る手口です。マルウェアは悪意をもったプログラムで、感染することで大切なデータの流出や端末の壊滅的な損害につながります。ランサムウェアは、データを人質に身代金を要求する攻撃手法です。

    攻撃名主な手口被害の特徴主な被害対象
    マルウェア感染メール添付や危険なサイトからのダウンロード情報漏洩、コンピュータの乗っ取り、不正操作個人・企業全般
    フィッシング詐欺偽サイトや偽メールで認証情報取得ID・パスワード盗難、金銭的被害個人ユーザー、ネットバンキング利用者
    ランサムウェアメール・ウェブ経由で感染しデータ暗号化し身代金要求データ利用不可能、金銭的要求、業務停止企業・医療機関・自治体等
    不正アクセス弱いパスワードや設定ミスを悪用機密情報の漏洩、なりすまし被害企業システム・個人サービスアカウント

    サイバーセキュリティの目的

    サイバーセキュリティの目的は、単に攻撃を防ぐことにとどまりません。情報セキュリティの3要素、「機密性」「完全性」「可用性」を合わせて「CIA」と呼びます。つまり「誰にでも見せていい内容か」「内容が改ざんされていないか」「必要な時に使えるか」を守り抜くことこそ、サイバーセキュリティの本懐です。たしかな一次情報によれば、この三要素は、世界中でセキュリティを考えるときの共通する普遍的な指針となっています。このCIAを守るためには、実に幅広い知識と対応策が必要とされます。企業だけでなく、個人が日々の生活でできるセキュリティ対策もたくさん存在します。

    要素概要リスク例
    機密性 (Confidentiality)許可された人だけが情報にアクセスできる状態を保つ情報漏洩、不正閲覧
    完全性 (Integrity)情報が正しく保たれ、改ざんされていない状態を維持データの改ざん、不正操作
    可用性 (Availability)必要な時に情報やシステムが利用できる状態を保つシステム障害、サービス停止

    なぜサイバーセキュリティが重要なのか

    インターネットに依存する現代社会では、サイバー攻撃の被害はもはや特殊な例ではありません。たとえば、企業で情報漏洩が起きれば信用失墜や巨額賠償の問題が発生します。個人の場合でも、SNSの乗っ取りやネットショッピングでの不正利用、クレジットカード情報の流出など、誰もが被害者になりかねません。さらに、近年は、サプライチェーン攻撃ゼロデイ攻撃など、従来の対策では防ぎきれない高度な手口も拡大。セキュリティ対策のトレンドや法規制(サイバーセキュリティ基本法GDPRなど)の最新動向をしっかりと抑えることも必須となっています。

    こうした被害や課題を正しく理解するためにも、具体的な被害事例や判例、世界的な潮流は表にまとめて学ぶことが効果的です。業界団体や行政機関(総務省やIPAなど)が公開している公的なデータやレポートを活用することで、サイバーセキュリティに対する理解を深めることができます。

    サイバーセキュリティにおける基本対策

    「何をすればいいのか?」と悩む方に向けて、まずは日常生活で実践できる初歩的な対策からスタートするのが推奨されます。総務省が示す三原則は、すぐにでも始められる実践的なセキュリティ対策の例です。

    1. ソフトウェアは常に最新版に保つ
    2. 強固なパスワードの設定と多要素認証の活用
    3. 不用意なメール・ファイルを開かない、アプリをインストールしない

    これらに加え、「ウイルス対策ソフトの導入」「ネットショッピングサイトのURL確認」「Wi-Fiルーターの設定見直し」「スマートフォンのOSアップデートの定期的な実施」なども効果的です。企業で働く場合は、「アクセス権限の制御」「重要データのバックアップ」「ログ管理」など、さらに高度な対策が求められます。こうした対策の具体例や実践ポイントは、図表やチェックリスト形式でまとめると自己点検にも役立ちます。セキュリティ対策チェック表や安全なパスワードの選び方、多要素認証の設定ガイド等の図解は、初心者が最初に取り組むべき項目を可視化できるため推奨されます。

    セキュリティ対策チェックリストの例

    以下はチェックリストの一例です。実際に運用する際には業務や使用しているシステムに合わせてより細かく作成していく必要があります。

    やるべきこと重要度対応状況
    OSやアプリの定期的なアップデート実施/未実施
    ウイルス対策ソフトの導入・更新実施/未実施
    強固なパスワード設定と多要素認証の利用実施/未実施
    不用意なメールや添付ファイルを開かない実施/未実施
    バックアップの定期実施実施/未実施
    ネットワーク機器の初期設定見直し実施/未実施
    従業員向けセキュリティ教育・研修実施/未実施

    サイバーセキュリティと情報セキュリティの違い

    初学者からよくある質問の一つが「サイバーセキュリティと情報セキュリティは同じですか?」という点です。情報セキュリティは、あらゆる情報(紙媒体、物理的なデータも含む)を対象にしますが、サイバーセキュリティは特にインターネットやデジタル技術が関与する電子的な情報・デバイス・システムにフォーカスしています。つまり、インターネットやIT機器を使って情報をやり取りする現代において、サイバーセキュリティの重要性は年々増しています。サイバー攻撃に対応するためには、技術だけでなく利用者の意識も不可欠です。

    サイバーセキュリティの最新トレンド

    2025年現在、ゼロトラストモデルEDRSOCMFA(多要素認証)など新しいサイバーセキュリティ技術・サービスの導入が進んでいます。AI技術の進化により、攻撃側・防御側ともに手法が高度化し、サイバー攻撃事例、セキュリティインシデント、情報漏洩等のニュースが増加傾向にあります。また、テレワークの普及やIoT機器の急増は新たなセキュリティリスクを生み出しつつあり、最新のサイバーセキュリティ関連キーワード(ゼロデイ、サプライチェーン、ランサムウェア、フィッシング、VPN、SOC、EDR)は、入門段階から意識して覚えておくべきです。 こうした最新動向は、企業サイト、行政レポート、業界ニュースなど一次情報を出す信頼できる媒体で確認することを強く推奨します。

    サイバーセキュリティの相談窓口・一次情報へのアクセス

    一歩踏み込んで「どこに相談すればいいの?」と感じたら、総務省やIPA(情報処理推進機構)など、一次情報を発信している公的機関の情報を閲覧することからはじめてみましょう。また今皆様が記事を読んでいる弊社SQAT.jpサイトをはじめとした、サイバーセキュリティ情報を扱ったWebサイトから一次情報を確認するのも一つの手段です。独自の見解や推測ではなく、根拠となるニュースリリース、ガイドライン、最新動向をもとに判断するのが大切です。また、さらに一歩踏み込んで対策を始めていきたい、指針がほしいと思ったらセキュリティベンダーを頼ってかかりつけ医のように利用してみてはいかがでしょうか。

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    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

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    まとめ:誰もが守るべきデジタル時代の「防犯」

    サイバーセキュリティは社会のインフラを守る防犯意識に他なりません。スマートフォン、パソコン、ネットショッピングやSNSなど身近な存在を守るために、まずは基礎を知り、簡単な対策から一歩踏み出してみることが重要です。専門家の世界だけでなく、どなたでも役立つ情報を、身の回りのことからオンラインサービスの使い方まで、生活目線で学ぶ姿勢がセキュリティレベルの向上につながります。今後もサイバー攻撃や新しいリスクは進化を続けますが、一次情報に基づいた正しい知識をもとに、日々小さな工夫から実践を積み重ねていくことこそ、自身と社会を守る最良の方法です。サイバーセキュリティは難しいものではなく、まずは「知る」「見直す」「具体的に始める」―その小さな一歩から、身近な世界に安心と安全をもたらすことができるでしょう。

    【参考情報】


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    今さら聞けない脆弱性とは-基礎から学ぶ脆弱性管理と効果的な脆弱性対策ガイド-

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    インターネットや情報システムの世界でよく耳にする「脆弱性」という言葉。普段の生活ではあまり使わないため、聞いたことはあっても正確に説明できないという方は少なくありません。特に近年はサイバー攻撃や情報漏洩のニュースが多く報じられるため、脆弱性という言葉はますます身近になってきました。しかし、「脆弱性とは一体何なのか」「個人や組織としては何をすればいいのか」と問われると、答えに詰まってしまう人も多いはずです。本記事では、初心者の方にも理解しやすいように、脆弱性の基本的な意味から具体的な事例、そして個人や組織が取るべき対策までを解説します。これからサイバーセキュリティの学びを始めたい方にとって、理解の入り口となる内容を目指しました。

    脆弱性とは何か?

    サイバーセキュリティにおける脆弱性とは、コンピュータやネットワーク、ソフトウェアなどに存在する思わぬ欠陥や弱点のことを指します。プログラムの設計ミスや設定の甘さ、想定されなかった挙動などが原因で発生し、それを悪用されると本来守られるべき情報やシステムが攻撃者に狙われてしまいます。 もっと身近な言葉に例えるなら、家のドアに鍵をかけ忘れた状態や、窓の鍵が壊れている状態が「脆弱性」です。そこに泥棒(ハッカー)がやって来れば、侵入や盗難のリスクが高まります。つまり脆弱性そのものは「危険ではあるがまだ被害が起きていない不備」であり、攻撃者に利用されて初めて実際の被害につながるのです。

    脆弱性が生まれる原因

    脆弱性は無意識のうちに生まれることが多く、その理由は多岐にわたります。代表的な要因には以下が挙げられます。

    • ソフトウェアの開発過程における設計ミスやバグ
    • サーバーやOSのセキュリティ設定の不備
    • 古いシステムやソフトウェアを更新せずに使い続けること
    • 想定していなかったユーザーからの入力や操作
    • 利用するプログラムやライブラリに潜む欠陥

    実際、ソフトウェア開発は非常に複雑で、数百万行にも及ぶプログラムコードから成る場合もあります。そのため、すべてのバグや欠陥を完全に排除することは事実上困難です。

    脆弱性の代表的な種類

    脆弱性にはいくつも種類があり、攻撃手法によって分類されます。初めて耳にする方でもわかりやすい代表例を挙げてみましょう。

    SQLインジェクション

    ウェブアプリケーションにおける入力欄に悪意のあるデータベース命令文を仕込む手法で、見せてはいけない情報が外部に漏れてしまう危険があります。

    クロスサイトスクリプティング(XSS)

    ウェブサイトに不正なスクリプトを埋め込んで、閲覧者のブラウザ上で実行させる攻撃。利用者のIDやパスワードが盗まれる危険があります。

    バッファオーバーフロー

    プログラムに想定していない長さのデータが入力されることで、メモリ領域が壊され、攻撃者に任意のコードを実行されるリスクがあります。

    セキュリティ設定不備

    セキュリティ機能が有効化されていなかったり、不要なポートが開いたままになっていたりするケースも脆弱性の一つです。

    脆弱性が悪用されるとどうなるのか

    実際に攻撃者が脆弱性を利用すると、さまざまな被害につながります。たとえば以下のようなケースです。

    • クレジットカード番号や個人情報の漏洩
    • 社内ネットワークが侵入されて業務停止
    • 顧客の信頼を失い、企業のブランドに大打撃
    • 勝手に改ざんされたWebサイトが利用者をウイルス感染させる

    こうした被害は一度起きると回復に莫大なコストがかかり、企業経営に深刻な影響を与えます。近年報じられる情報漏洩事件の多くは、既知の脆弱性を放置していたことが原因とされています。

    脆弱性対策として実施すべきこと

    脆弱性はゼロにはできないため、いかに早く気づき、適切に対応するかが重要です。個人利用者と企業の立場で考えられる基本的な対策を見てみましょう。

    個人ができること

    • OSやソフトウェアを常に最新バージョンに保つ
    • ウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルを更新する
    • 怪しいリンクやメールの添付を開かない
    • 強固なパスワードや多要素認証を利用する

    企業がすべきこと

    • 脆弱性診断やペネトレーションテストを定期的に実施する
    • セキュリティパッチが公開されたら速やかに適用する
    • 社内従業員へのセキュリティ教育を徹底する
    • ログ監視や侵入検知システムの導入で不審な挙動を早期発見する

    脆弱性とセキュリティ文化

    技術的な対策も重要ですが、それ以上に「セキュリティを日常的に意識する文化づくり」が欠かせません。脆弱性は人間のちょっとした油断や不注意からも生まれます。更新通知を無視したり、利便性を優先してセキュリティを後回しにしたりすると、そこに必ず隙が生まれるのです。 政府や専門機関が公表する脆弱性関連情報に目を通す習慣をつけるのも効果的です。たとえば国内では独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が脆弱性関連情報を提供しており、日々の最新情報をチェックできます。

    これからの脆弱性対策

    今後はクラウドサービスやIoT機器の普及によって、脆弱性の範囲はさらに広がります。冷蔵庫やカメラ、工場の制御システムなど、私たちの生活に直結するモノがすべてインターネットにつながる時代となりつつあります。その一つひとつが脆弱性を抱えていた場合、想像以上に深刻なリスクが広がる可能性があるのです。そこで重要になってくるのが「ゼロトラスト」の考え方です。これはすべてのアクセスを信頼しないという前提に立ち、システムを多層的に守ろうとするセキュリティモデルで、近年世界中の企業が導入を進めています。

    まとめ

    脆弱性とは「情報システムやソフトウェアに存在する欠陥や弱点」であり、その多くは放置されることでサイバー攻撃に悪用され、大規模な被害を引き起こす可能性があります。重要なのは、脆弱性をゼロにすることではなく、発見されたときに迅速に対応し、常に最新の状態を保つことです。 セキュリティ対策は専門家だけの仕事ではありません。個人ユーザも企業の一員も、日々の小さな行動が大きなリスク回避につながります。これまで「脆弱性」という言葉だけを知っていた方も、これを機に身近な問題として捉え、今日から個人や組織としてできる対策を一つずつ取り入れていきましょう。

    【脆弱性対策および脆弱性管理に関する情報収集サイト・資料】


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    セキュリティインシデントの基礎から対応・再発防止まで
    第1回:セキュリティインシデントとは何か?基礎知識と代表的な事例

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    セキュリティインシデントとは何か?基礎知識と代表的な事例アイキャッチ画像

    近年、企業や組織を取り巻くサイバー攻撃はますます巧妙化しており、「セキュリティインシデント」が発生した場合、情報漏洩や不正アクセスなどによって、金銭的損失だけでなく企業の信用失墜にも直結します。本記事では、セキュリティインシデントの定義や種類、実際に発生した事例を取り上げ、その影響とリスクを理解するための基礎知識を解説します。

    セキュリティインシデントの定義

    セキュリティインシデントとは、情報システムやネットワークにおいて、情報のセキュリティの3要素、「機密性」「完全性」「可用性」を脅かす事象の総称です。具体的には、不正アクセスや情報漏洩、マルウェア感染、サービス運用妨害(DoS)攻撃などが含まれます。近年はクラウドやリモートワークの普及により、攻撃対象や被害の範囲が広がり、セキュリティインシデントの発生リスクは増大しています。国内外で大規模な事件が相次いで報道されるなか、インシデントの発生はもはや大企業に限られた問題ではなく、中小企業や自治体、教育機関に至るまで幅広い組織が直面しています。そのため、経営層から現場担当者に至るまで、セキュリティインシデントへの理解と備えが求められているのです。

    セキュリティインシデントの種類(例)

    一口にセキュリティインシデントといっても、その内容は多岐にわたります。代表的なものとしては、まず「不正アクセス」が挙げられます。攻撃者が外部からシステムに侵入し、機密情報を窃取したり改竄したりするケースです。次に「マルウェア感染」があります。ウイルスやランサムウェアなどの悪意あるソフトウェアにより、データが暗号化され業務が停止する被害が増えています。また、従業員による「内部不正」も見逃せません。権限を持つ社員が意図的に情報を持ち出すケースや、誤操作による情報流出が問題化しています。さらに「情報漏洩」や「サービス停止(DoS/DDoS攻撃など)」も、企業活動を直撃する深刻なインシデントです。このようにセキュリティインシデントは外部攻撃だけでなく、内部要因やシステム障害など多面的に発生し得るため、幅広い視点での備えが不可欠です。

    実際に発生した主なセキュリティインシデント事例

    セキュリティインシデントは国内外で日々多発しています。この表は2025年8月から9月にかけて発生した主要な国内インシデント事例をまとめたものです。ランサムウェア攻撃や不正アクセスによる被害が多く、特に製造業や重要インフラへの影響が深刻化している傾向が見られます。

    被害報告日被害企業概要主な原因影響範囲
    2025年9月国内ガス・電力会社人為的ミスLPガス検針端末の紛失顧客情報6,303件の漏洩等のおそれ*5
    2025年9月国内デジタルサービス運営委託事業者個人情報漏洩受講状況管理ツールへの登録作業ミスリスキリングプログラム受講者1名の個人情報が他の受講者1名に閲覧可能に*2
    2025年9月国内食料品小売業個人情報漏洩サーバへの第三者からの不正アクセス企業情報及び個人情報が流出した可能性*3
    2025年9月委託事業者操作・管理ミスオペレーターの利用者情報取り違い高齢者の見守り・安否確認が行われず*4
    2025年9月国内オフィス機器販売会社個人情報漏洩第三者による不正アクセスカード支払い顧客の情報漏洩の可能性*5
    2025年8月ハウステンボス株式会社システム障害第三者による不正アクセス一部サービスが利用できない状況に*6
    2025年8月国内電力関連会社不正ログインリスト型攻撃(複数IPアドレスから大量ログイン試行)ポイント不正利用444件*7
    2025年8月国内機器メーカー企業不正アクセス海外グループ会社を経由した第三者の不正アクセス一部サービス提供停止(8月16日復旧)*8
    2025年8月医療用メーカー企業マルウェア感染システムのランサムウェア感染2日間出荷停止、その後再開*9
    2025年8月国内建設事業者マルウェア感染システムのランサムウェア感染海外グループ会社の一部サーバが暗号化*10
    2025年8月国内外郭団体乗っ取り第三者による一部メールアドレスの乗っ取り迷惑メール送信元として悪用*11
    2025年8月暗号資産交換事業者クラウド設定ミス顧客データ移転作業中のクラウド設定ミス海外メディアの報道で発覚、アクセス制限不備*12
    2025年8月国内銀行元従業員による情報の不正取得出向職員による電子計算機使用詐欺アコムから出向の元行員が逮捕・懲戒解雇*13
    2025年8月国内病院個人情報不正利用委託職員が診療申込書から電話番号を不正入手LINEで患者に私的メッセージを送付*14
    2024年12月国内総合印刷事業者マルウェア感染VPNからの不正アクセス(パスワード漏洩または脆弱性悪用)複数のサーバが暗号化される被害*15

    これらの事例は「セキュリティインシデントは特定の大企業だけの問題ではない」という現実を示しており、規模や業種にかかわらず備えが不可欠であることを強調しています。

    セキュリティインシデントが企業に与える影響

    セキュリティインシデントが発生すると、企業は多方面に深刻な影響を受けます。最もわかりやすいのは、システム停止や情報漏洩に伴う金銭的損失です。業務が一時的に止まることで売上が減少し、復旧作業や調査にかかる費用も膨大になります。さらに、顧客情報や取引先情報が流出すれば、企業の信頼性が大きく揺らぎ、契約解除や取引停止に直結する可能性があります。また、個人情報保護法や業界ごとのセキュリティ基準に違反すれば、法的責任や行政処分を受けるリスクも高まります。株式市場に上場している企業であれば、セキュリティインシデントの公表によって株価が急落するケースも少なくありません。このように、単なるシステム障害にとどまらず、企業経営全体に打撃を与える点がセキュリティインシデントの恐ろしさといえます。

    まとめ

    本記事では、セキュリティインシデントの定義や種類、実際に発生した事例、そして企業に及ぼす影響について解説しました。改めて強調すべきは、セキュリティインシデントは大企業だけでなく、中小企業や自治体、教育機関などあらゆる組織にとって現実的な脅威であるという点です。しかも一度発生すると、金銭的損失だけでなく、顧客や取引先からの信頼低下、法的リスク、社会的信用の失墜といった連鎖的な被害を引き起こします。こうした背景から、セキュリティインシデントを「発生してから考える」姿勢ではなく、「発生する前提で備える」姿勢が求められています。次回は、実際にインシデントが発生した際にどのような対応が必要なのか、初動から復旧までの流れを詳しく解説します。

    【参考情報】


    ―第2回へ続く―

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    狙われる医療業界2025 医療機関を標的とするサイバー攻撃

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    医療機関のサイバーセキュリティ(アイキャッチ画像)

    前回の記事の公開から約5年が経ちましたが、医療機関を標的とするサイバー攻撃の脅威はむしろ増加しています。特にランサムウェアによる被害は国内外問わず深刻化し、患者の命が危険に晒されてしまう可能性も出てきています。いまやインシデントを“他人事”とせず、「命を守るもの」という認識で組織一丸となってセキュリティ対策の見直しをすることが重要です。本記事では医療機関へのサイバー攻撃の脅威とセキュリティ対策の見直しのためのポイントをご紹介します。

    2020年12月公開の記事「狙われる医療業界―「医療を止めない」ために、巧妙化するランサムウェアに万全の備えを」をまだご覧になっていない方はぜひ、この機会にご一読ください。

    世界的に高まる医療分野へのサイバー攻撃

    ランサムウェアによる被害は世界中で後を絶たず、いまや医療分野は重要な標的の一つとされています。米国のセキュリティ監視サイトRansomware.liveの統計によれば、2025年時点でランサムウェア被害を受けた業種の中で、医療・ヘルスケア関連は第3位に位置しています。医療業界が金融や行政に並ぶほどの標的となっている現実は、決して無視できません。

    Ransomware.live統計円グラフ(ランサムウェア被害を受けた業界)
    出典:Ransomware.liveRansomware Statistics for 2025」(https://www.ransomware.live/stats

    国内でも相次ぐ深刻な被害事例

    日本国内でも、深刻な被害事例が相次いで報告されています。たとえば2024年3月、鹿児島県の国分生協病院では、ランサムウェアによるサイバー攻撃により、電子カルテをはじめとする複数のシステムが使用できなくなり、患者の診療に支障が出るという被害が発生*16しました。また、同年の5月に起きた岡山県精神科医療センターでは、外来診療の一部を中止せざるを得ない事態に追い込まれました*2。このように、サイバー攻撃は単に業務の一時停止を招くだけでなく、医療提供そのものに影響を与え、患者の命を危険に晒す恐れがあるという点で、他業種におけるサイバー被害とはその意味において一線を画します。

    サイバー攻撃は“日常の医療”を止めうる

    Silobreaker社がまとめた医療業界に関する分析レポートでも、ヘルスケア分野に対するサイバー脅威の増加は顕著であり、医療情報の価値の高さとシステムの脆弱性が攻撃を呼び込んでいると指摘されています。国内外でのこうした事例は、「サイバー攻撃が日常の医療を止め得る存在である」という現実を強く物語っています。特に日本では、「まさかうちが」という意識が依然として根強く残っているのが現状ですが、医療機関はすでに、攻撃者にとって“おいしいターゲット”であることを自覚すべき時期に来ています。

    攻撃者はなぜ医療機関を狙うのか

    攻撃側の論理①わきの甘さ=「機会要因」の存在

    医療機関がサイバー攻撃の標的になる。―これはもはや偶発的なものではなく、確かな傾向として定着しつつあります。過去の記事でも言及しましたが、2025年現在ではその背景にある“攻撃側の論理”がより鮮明になってきています。

    多くの人が誤解しがちなのは、「医療機関は狙われている」という表現があたかも特定の施設に対して意図的な攻撃が行われている、という印象を与えてしまう点です。確かに、一部には病院のネットワークやデータに照準を合わせた標的型攻撃も存在します。しかし実態としては、多くの場合、攻撃者は最初から「病院を狙って」いるわけではありません。攻撃者は、不特定多数の組織や端末に対して無差別にスキャンをかけ、リモートアクセスサービスやVPN機器、ファイル共有サーバといった、公開された情報から侵入経路を探しています。そしてその中で、意図せず医療機関が引っかかるのです。つまり、標的にされたのではなく、“侵入可能だったから侵入された”というのが現実なのです。

    医療機関では古いシステムが更新されずに残っている、または、ネットワークの分離が不完全なまま稼働していることがあります。また、パスワードの使い回し、脆弱性が放置されたソフトウェア、機器の寿命サイクルの見落としなど、基本的なセキュリティ対策に隙があることが少なくありません。そして、攻撃者にとっては、それこそが格好の「入り口」になるのです。

    攻撃側の論理②「動機」金になる標的としての医療機関

    ランサムウェア攻撃を実行するサイバー攻撃者の目的は、金銭的な利益です。医療機関には、個人情報(診療記録、保険情報、連絡先など)や経営上の内部資料、研究データといった売買可能な資産が豊富にあります。また、医療機関は儲かっているように思われており、そのうえで業務の中断が患者の生命に直結するため、身代金の支払いに応じやすいに違いない、と見られているわけです。つまり、医療機関が狙われるのは、「わきが甘いから侵入しやすい」+「金銭的利益を得やすい重要なデータの宝庫である」=“コストパフォーマンスに優れた良い標的”と見なされているからと考えられます。

    2020年以降医療サイバーセキュリティはどう変わったのか

    制度とガイドラインの整備が進む

    前回の記事からの5年間で、医療分野のサイバーセキュリティを取り巻く制度やガイドラインも着実に充実してきています。例えば2025年5月に、厚生労働省から「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和7年5月版)」が公開され、以前に比べて具体的かつ実践的な内容になっています。クラウド環境やBCP(事業継続計画)への配慮、IoT・BYODといった新たなリスクへの言及も盛り込まれています。

    また、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設けたり、EDR(Endpoint Detection and Response)などの対策製品を導入したりする医療機関も増えてきました。CSIRTを中心とした地域単位の訓練や、院内外のネットワーク構成の共有と点検を含む取り組みが、学術会議や業界団体の枠組みとして増加しています*3。サイバー攻撃に備える土台作りは、着実に進みつつあるといえるでしょう。

    2025年いまだ残る基本的な課題

    一方で、5年前と変わらぬ問題を目にする場面も少なくありません。その一つが、「パスワード管理」です。初期設定のまま放置されたアカウント、業務上の利便性から生まれる使い回し。こうしたわきの甘さが、攻撃者の入り口になることは以前から分かっていたはずですが、2024年の岡山県精神科医療センターの事例などを見ると、なおも同様の傾向が残っていることがうかがえます。また、電子カルテやシステムのクラウド化に対しても、依然として現場では極端な見方が交錯しているように思えます。「クラウドだから安全」と根拠のない安心感を持つ一方で、「クラウドだから怖い」「電子カルテという形式そのものが危ない」といった漠然とした不安も根強く見受けられます。

    どちらにしても共通するのは、仕組みやリスクを正しく理解しないまま思い込んでいるケースが少なくないということです。実際には、クラウドの活用は有効な手段のひとつでありつつも、アクセス制御や端末管理、ネットワーク構成など、設定次第でその安全性は大きく変化します。こういった基本的な理解の重要性や注意点は、5年前から現在も変わらずに示され続けてきたものですが、いまだに“本質的な理解”が広がり切っていないように見受けられます。

    基本的な課題の根底には、インシデントを“自分事”として捉えづらい空気があるのかもしれません。実際に深刻な被害を受けた他機関の事例を目にしても、「うちには関係ない」とどこかで思ってしまう感覚。それは、ごく自然な反応である一方で、取り返しのつかないインシデントに繋がりかねません。

    自組織のセキュリティ対策の見直しを

    医療機関向けチェックリストやガイドラインの活用

    ここまで見てきたように、医療機関に対するサイバー攻撃は後を絶たず、その影響は診療の継続性や患者の安全、そして組織の信頼性にまで及びます。「自分たちは大丈夫だろう。」「人命最優先で、他を考えている余裕はない。」―そのように考えがちですが、日々の業務に追われている医療現場こそ、今一度立ち止まって、対策の棚卸しを行うことが求められています。対策の見直しにあたっては、厚生労働省が公開している「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和7年5月版)」の活用が効果的です。

    厚生労働省「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和7年5月https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001253950.pdf

    本チェックリストは、技術的な対策だけでなく、組織体制や訓練、業者選定の観点まで網羅されており、現場レベルでも活用しやすい実践的な内容となっています。また、業界全体で参照される基準として、次のようなガイドラインも押さえておくとよいでしょう。

    これらの資料には、医療の特殊性を踏まえた対応策が具体的に記載されており、ベンダや関係業者との連携の際にも参考となります。

    現場の声と経営的視点をつなげる「可視化」

    セキュリティ対策は単なる技術的作業にとどまらず、組織全体で「守るべきもの」を共通認識することが大切です。そのためにも、経営層が積極的に関与し、現場の声を聴きながら継続的な投資と改善を進めていくことが求められます。医療機関にとって、セキュリティはコストではなく、患者の信頼と組織の生命線であることを改めて認識すべきです。その助けになるのが、リスクの「可視化」です。

    仮に端末のひとつがマルウェアに感染したとき、その端末が院内のどの機器と通信しているのか、そこから電子カルテや予約システムにアクセスされたりしないか、バックアップはきちんと機能するかなどなど…。こうした攻撃時の経路や起きうる事象をあらかじめ可視化し、把握しておくことは、被害拡大の防止やインシデント対応の迅速化に大きな効果をもたらすのみならず、経営層の理解を得ることにもつながります。可視化によって得られる「想定していなかった侵入経路」「明らかになる不十分なセキュリティ対策」「攻撃発生時に起きうる具体的な被害」といった情報が、経営層や多くの医療従事者に理解してもらい、組織全体で防御力を高めるための重要な意思決定のための正しい判断材料となりえるでしょう。

    BBSecでは

    BBSecでは以下のようなご支援が可能です。 お客様のご状況に合わせて最適なご提案をいたします。詳細・お見積りについてのご相談は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。後ほど、担当者よりご連絡いたします。

    アタックサーフェス調査サービス

    インターネット上で「攻撃者にとって対象組織はどう見えているか」調査・報告するサービスです。攻撃者と同じ観点に立ち、企業ドメイン情報をはじめとする、公開情報(OSINT)を利用して攻撃可能なポイントの有無を、弊社セキュリティエンジニアが調査いたします。

    また費用の問題から十分な初動対応ができないといった問題が発生しかねない状況を憂え、SQAT® 脆弱性診断サービスのすべてに、サイバー保険を付帯させていただいています。

    サイバー保険付帯の脆弱性診断サービス

    BBSecのSQAT® 脆弱性診断サービスすべてが対象となります。また、複数回脆弱性診断を実施した場合、最新の診断結果の報告日から1年間有効となります。詳細はこちら。
    https://www.bbsec.co.jp/service/vulnerability-diagnosis/cyberinsurance.html
    ※外部サイトにリンクします。

    エンドポイントセキュリティ

    組織の端末を24時間365日体制で監視し、インシデント発生時には初動対応を実施します。
    https://www.bbsec.co.jp/service/mss/edr-mss.html
    ※外部サイトにリンクします。

    インシデント初動対応準備支援

    体制整備や初動フロー策定を支援します。
    https://www.bbsec.co.jp/service/evaluation_consulting/incident_initial_response.html
    ※外部サイトにリンクします。

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    脆弱性診断は受けたけれど~脆弱性管理入門

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    ~とある会社Aと脆弱性診断の結果を受け取った関係者とのやり取り~

    脆弱性診断を受けたA社では入社3年目のセキュリティ担当・Bさんが結果に頭を抱えています。なぜなら、社内ネットワークに使っているスイッチにCVSSスコア9.8の脆弱性、リモートアクセスに使用しているVPNゲートウェイにCVSSスコア8.8、オンラインショップ用の受発注管理に利用しているデータベースにCVSSスコア7.5の脆弱性が見つかってしまったからです。リスクはどれも「高」レベルとして報告されたため、Bさんは上司に相談し、すべてに修正パッチを当てるようスイッチとVPNゲートウェイについてはインフラチームの担当者に、データベースについては開発部に連絡することにしました。

    インフラチームのCさんとSlackでやり取りをしていたBさんはCさんからこんなことを伝えられます。

    インフラチームCさん「修正パッチを適用するとなると、インフラチームは基本みんなリモートだから、誰かを土日のどこかで休日出勤させるか、急ぎだったら平日の夜間に勤務させて、パッチを当てることになるけど、どれぐらい急ぎなの?」

    「あと、VPNとスイッチ、どっちを先に作業したほうがいいの?パッチの情報を調べてみたら、VPNのほうは一度途中のバージョンまで上げてから最新バージョンまで上げないといけないみたいで、作業時間がすごくかかりそうだから、別日で作業しないとだめかもしれないんだよね」

    Bさんは答えに詰まってしまいました。リスクレベルは高だといわれているけれども、どれぐらい急ぐのかは誰も教えてくれないからです。

    答えに詰まって「確認してから折り返し連絡します」と返したところ、「セキュリティ担当はいいなあ。土日とか夜間に作業しなくていいし、すぐに答えなくてもいいんだから」と嫌味までいわれてしまいました。

    Bさんは脆弱性診断の結果が返ってきてから1週間後、開発部門のD部長にセキュリティ担当と開発部門の定例会議の際に報告事項としてパッチ適用の件を報告しました。するとD部長はこういいました。

    開発部D部長「この件、1週間ほど報告に時間を要したようですが、脆弱性診断の結果以外に何か追加の情報はありますか?あと、この脆弱性診断の結果によるとリスクレベル高とありますが、社内の規定としてどの程度急ぐかといった判断はされましたか?」

    開発部のほかの人にもこんなことをいわれてしまいます。

    開発部担当者「パッチを適用する場合、ステージング環境で影響を調査したうえで必要であればコードや設定の修正などを行う必要がありますが、その時間や工数は考慮されていないですよね。通常の開発業務とどちらを優先すべきかといった判断はどうなっているんですか?」

    Bさんはまたもや言葉に詰まってしまいます。セキュリティ担当は自分と上司の2人だけ、上司は別の業務との兼務でパッチの適用の優先順位付けまで考えている時間はありません。自分もEDRやファイアウォールの運用をしながら脆弱性診断の依頼や結果を受け取るだけで、とても他の部門の業務内容や環境のことまで把握しきる余裕がないのです。


    ここまで、架空の会社A社と脆弱性診断の結果を受け取った関係者の反応を物語形式でお送りいたしました。現在、弊社の脆弱性診断サービスでは脆弱性単体のリスクの度合いの結果をご提供させていただくことはあっても、その脆弱性をどういった優先度で修正しなければならないかといった情報はご提供しておりません。なぜならば、パッチを適用するにあたって優先順位をつけるためにはお客様しか知りえない、以下の要素が必要になるためです。

    パッチ適用の優先順位をつけるための3つの要素

    1. 脆弱性を持つアセットが置かれている環境
      ・インターネット上で公開された状態か、IPSやFWなどで制御されたネットワーク内か、もしくはローカル環境依存といった非常に限定的な環境かといった分類
      ・CVSSでいう環境スコア(CVSS-E)の攻撃区分(MAV)にあたる、実際の環境依存の要素
    2. アセットが攻撃を受けた場合に事業継続性に与える影響
    3. アセットが攻撃を受けた場合に社会や社内(運用保守・人材)に与える影響

    冒頭のA社のケースでは以下のように整理できるでしょう。

    アセットが置かれている環境

    • VPN:インターネット上で公開された状態
    • データベース:設定を間違っていなければIPSやFWなどで制御されたネットワーク配下だが、公開ネットワーク寄り
    • スイッチ:設置環境によって制御されたネットワーク内かローカル環境になる。

    アセットが公開されている場合、攻撃者からよりアクセスしやすいことからより緊急度が高いといえるので、VPN=データベース>スイッチの順になると考えられるでしょう。

    アセットが攻撃を受けた場合に事業継続性に与える影響

    アセットが攻撃を受けた場合に自社の事業継続にどの程度影響が出るかといった要素です。
    仮にランサムウェア攻撃によって影響を受けた場合、それぞれのアセットの停止でどの程度の影響が出るかを想定してください。A社の場合事業継続性への影響度順でいうと、データベース>VPN>スイッチの順になると考えられます。

    今回の場合はデータベースが事業に直結しており、顧客情報を含むデータを持っているため、継続性への影響度が高いという想定です。アセットの利用目的や環境によってはこの順番が入れ替わることもあります。

    アセットが攻撃を受けた場合に社会や社内に対して与える影響

    A社がランサムウェア攻撃を受けた場合はオンラインショッピングサイトのデータベース関連で以下の影響が見込まれます。

    • 顧客情報の漏洩
    • 運用およびシステムの復旧にかかる費用と工数

    このほかにVPNやスイッチもフォレンジック調査の対象となって業務が行えなくなる可能性が高いと考えられます。VPNに関しては利用できない期間、社員の出社が必須になるなどワークスタイルへの影響も出る可能性もあります。こういったことから、社会および社内に対して与える影響でA社の例を考えると影響度は、データベース>VPN=スイッチと考えられるでしょう。

    SSVCとは

    こうした情報があったうえで利用ができようになる優先順位付けの方法があります。それが「SSVC(Stakeholder-Specific Vulnerability Categorization)」です。SSVCは脆弱性管理プロセスに関与する利害関係者のニーズに基づいて脆弱性に優先順位を付けるための方法論とされており、経営・マネジメント層、システム開発者、システム運用者といったステークホルダーと一緒に脆弱性に対処していくための方法論といえます。SSVCは脆弱性そのものの技術的評価ではなく、脆弱性にどのように対処するかという観点での評価を行うフレームワークになります。

    SSVCの3つのモデル

    1. ソフトウェアやハードウェアの供給者、すなわちパッチを開発する人が用いる「Supplier Decision Model
    2. ソフトウェアやハードウェアを利用する側、つまりパッチを適用する人が用いる「Deployer Decision Model
    3. CSIRTやPSIRT、セキュリティ研究者やBug Bounty Programなど、脆弱性に対して何らかの調整やコミュニケーションのハブとなりうる人、コーディネーターが用いる「Coordinator Decision Model

    このうち、「Deployer Decision Model」と「Supplier Decision Model」ではプライオリティ(対応優先度)付けの結果を4つにわけています。

    SSVCで得られるプライオリティ付けの結果

    Deployer ModelSupplier Model
    Immediateすべてのリソースを投入し、通常業務を止めてでもパッチの適用を直ちに行うべきである全社的にすべてのリソースを投入して修正パッチを開発し、リリース
    Out-of-cycle定期的なメンテナンスウィンドウより前に、やむを得ない場合は残業を伴う形で緩和策または解消策を適用緩和策または解消策を他のプロジェクトからリソースを借りてでも開発し、完成次第セキュリティパッチとして修正パッチをリリース
    Scheduled定期的なメンテナンスウィンドウで適用通常のリソース内で定期的な修正パッチのリリースタイミングでパッチをリリース
    Defer現時点で特に行うことはない現時点で特に行うことはない

    ここではDeployer Decision ModelをもとにA社がどのようにパッチを適用すべきか検討してみましょう。

    まず、Bさんは上司に相談したうえで、前述した3つの要素、「脆弱性を持つアセットが置かれている環境」、「事業継続性への影響」、「社会や社内への影響度」を定義していく必要があります。また、この定義に当たっては実際の環境や利用用途、部門内のリソースなどをよく知っているインフラチームや開発部といった当事者、つまりステークホルダーの関与(少なくとも承認)が必要となってきます。このほかに優先順位付けの結果、”Immediate”や”Out-of-Cycle”が出た場合の対応プロセスも用意しておく必要があります。Bさん1人で何かできることはそれほど多くはなく、社内のステークホルダーへの聞き取りや経営層への説明、必要なプロセスの準備と合意形成など、上司や部門全体も含めて組織的に取り組まなければならないといえます。さらに、Bさんは脆弱性自体が持つ以下の要素を調べる必要があります。

    脆弱性が持つ要素

    自動化の可能性

    攻撃者がツール化して脆弱性を悪用するかどうかを判定するものとなります。これは攻撃者がツール化した場合、攻撃者間でツールの売買が行われるなど汎用的に悪用される可能性があるため、把握が必要な要素となります。一部の脆弱性はCISA VulnrichmentやCVSS4.0のSupplement MetricsのAutomatableの値が参照できますが、情報の参照先がないものについてはPoCの有無やPoCの内容から自動化の可否を判断する必要があります。この点はSSVC利用の難点として挙げられることもあります。

    悪用の状況

    実際に攻撃されていることを示すActive、PoCのみを示すPoC、悪用されていないことを表すNoneの3つに分類されます。この情報は時間の経過とともに変化する可能性が最も高く、逐次状況を確認する必要があります。情報の参照先は、KEVカタログ、CISA VulnrichmentのExploitationの値、CVSS4.0のThreat MetricsやNVDのReferenceのPoCの有無といったものが利用できます。唯一難点があるとすれば、日本国内でシェアの高い国内メーカー機器の情報がKEVカタログやCISA Vulnrichmentなどにあまり反映されない点にあります。

    まとめ ~CVSSとSSVCの活用~

    これまではCVSSが高い値のものだけ対処していた、という組織も多いでしょう。CVSSは脆弱性の単体評価ができ、脆弱性が広く悪用された場合の深刻度を測るための評価システムです。ただし、その脆弱性が存在するアセットがどのように利用されているか、そのアセットが業務継続性や運用保守、ひいては社会全体に対してどのような影響を与えるかといった観点が欠けていることが長らく問題視されてきたのも事実です。

    脆弱性管理は手間がかかる、登場人物が多い、意見がまとまらないといったこともあるでしょうし、「自動化の可能性とかわからないし、攻撃の状況をずっと見ているほどの時間の余裕はない!」といった様々なお声があるかと思います。しかし、今この瞬間どの企業がいつサイバー攻撃を受けるのか全く見当もつかない状況の中、少しでもリスクを回避したい、どこにリスクがあるのか手がかりをはっきりしておきたいという企業の皆さまもいらっしゃるかもしれません。本記事を通じて、こういった脆弱性管理手法があることを知っていただき、活用することでリスク回避ができるようになるための役立つ情報提供となれば幸いです。

    参考情報:

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    長期休暇明けのサイバーセキュリティ対策
    企業が実施するべき7つの重要ステップ

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    長期休暇明けは、企業にとってサイバーセキュリティリスクが高まる時期です。休暇中に発生した脆弱性や新たな脅威に対応するため、適切な対策を講じることが重要です。本記事では、企業が実施するべきセキュリティ対策について、7つご紹介します。

    修正プログラムの適用

    休暇中に公開されたOSやソフトウェアの修正プログラムを確認し、適用することが最初のステップです。システム管理者の指示に従って修正プログラムを適用することで、既知の脆弱性を修正し、セキュリティを強化できます。

    定義ファイルの更新

    セキュリティソフトの定義ファイルを最新の状態に更新することも重要です。電子メールの送受信やウェブサイトの閲覧を行う前に定義ファイルを更新することで、最新のウイルスやマルウェアに対する防御力を強化できます。

    サーバ等のログ確認

    サーバ等の機器に対する不審なアクセスが発生していないか、各種ログを確認します。不審なログが記録されていた場合は、早急に詳細な調査等の対応を行うことが必要です。ログ確認により、潜在的なセキュリティインシデントを早期に発見し、対処することができます。

    不審なメールへの警戒

    長期休暇明けはメールがたまっているため、不審なメールの添付ファイルやURLには特に注意が必要です。不審なメールを受信した場合は、添付ファイルを開かず、本文中のURLにもアクセスしないようにしましょう。また、システム管理者に報告し、指示に従うことが重要です。

    持ち出し機器のウイルスチェック

    長期休暇中に持ち出していたパソコンや外部記憶媒体のウイルススキャンを行うことも忘れずに。このステップにより、持ち出した機器がウイルスに感染していないかを確認し、組織内でのウイルス拡散を防止します。

    緊急連絡体制の確認

    不測の事態に備えて、緊急連絡体制や対応手順を確認しておくことも重要です。連絡フローが現在の組織体制に沿っているか、各担当者の連絡先に変更がないかなどを確認しておきましょう。

    データのバックアップ

    最後に、重要データのバックアップを行い、ランサムウェア攻撃に備えることが大切です。バックアップデータは安全な場所に保管し、定期的に更新することで、データの消失や改ざんに対するリスクを軽減できます。

    まとめ

    これらの対策を適切に実施することで、長期休暇明けのサイバーセキュリティリスクを大幅に軽減します。企業は常に最新のセキュリティ脅威に対する警戒を怠らず、従業員の意識向上と技術的対策の両面からセキュリティ体制を強化していくことが重要です。サイバー攻撃の手法は日々進化しており、一度の対策で安心することはできません。定期的なセキュリティ評価と対策の見直しを行い、常に最新の脅威に対応できる体制を整えていくことが、企業の重要な責務となっています。

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    被害事例から学ぶサイバー攻撃対策
    -サイバー攻撃への対策2-

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    自分の会社がもしもサイバー攻撃を受けてしまった場合、どのような影響があるのか?もし被害に遭ってしまったら、まずどうすればよいのか?今回の記事では、サイバー攻撃の被害事例に着目し、どのような影響やリスクがあるのかについて解説する。

    サイバー攻撃を受けるとどうなる?

    サイバー攻撃を受けてしまうと、情報漏洩、システム停止・事業継続リスク、信用失墜、金銭的損失・経済的影響といった様々なリスクに晒されます。

    情報漏洩リスク

    情報漏洩とは、企業や組織が管理する重要な情報が、意図せず外部に流出してしまうことです。クレジットカード情報や個人情報などの機密データが盗まれ不正使用された場合、個人情報保護法違反に該当し、企業の信頼を損ない、経済的な損失や法的な問題を引き起こす可能性があります。

    サイバー攻撃や組織における管理またはシステムの設定不備・不足等が原因となり、個人情報を含む機密情報の漏洩事故および事件が相次いで発生しています。東京商工リサーチの調査によれば、2023年に上場企業とその子会社で個人情報漏洩または紛失事故・事件を公表したのは175社、漏洩した個人情報は約4,090万人分とされています。個人情報の漏洩または紛失事故・事件は年々増加の傾向にあり、同社の調査結果を見ても2023年は社数では過去2番目、事故・事件の件数は2012年以降の12年間で過去最多を更新しました。

    東京商工リサーチ 2023年「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査画像
    出典:東京商工リサーチ 2023年「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査

    関連リンク:「情報漏えいの原因と予防するための対策

    金銭的損失・経済影響

    機密情報等の漏洩が発生すると、その復旧作業に莫大なコストがかかります。データ侵害によりかかる世界平均コストも増加傾向にあるほか、データ侵害により信用失墜につながることで、深刻なビジネス上の被害を引き起こします。

    システム停止・事業継続リスク

    システム停止・事業継続リスクとは、サイバー攻撃によって企業・組織の業務システムが停止したり、サービスが利用できなくなったりすることで、事業継続が困難になるリスクを指します。システムが停止すると、業務プロセスやサービス提供が滞り、顧客に影響を及ぼす可能性があります。さらに顧客の個人情報情報漏洩やデータ損失が発生すると、企業の信頼性が損なわれる恐れもあります。

    ランサムウェア被害にあってしまった場合のリスク

    ランサムウェアとはマルウェアの一種で、感染したコンピュータやシステムにあるファイルやデータを暗号化し、アクセスできないようにした上で、元に戻すことと引き換えに金銭(身代金)を要求するものの総称です。

    ランサムウェアの攻撃手口は、時間とともに大きく進化し、より複雑かつ高度になっています。ランサムウェア攻撃の対象がクライアント(従来のランサムウェア攻撃の対象)から、サーバや業務システムを標的にした攻撃へ変化したのは、サーバが停止した場合の企業・組織への影響が大きく、攻撃者にとってより多くの身代金が手に入る可能性が高いためです。サーバでは組織内の重要情報が保存されており、データ暗号化解除の脅迫をかけやすいため、企業・組織のサーバが攻撃対象に狙われやすくなります。

    関連記事:「拡大するランサムウェア攻撃!―ビジネスの停止を防ぐために備えを―

    信用失墜リスク

    信用失墜リスクは、企業がサイバー攻撃によりブランドイメージが損なわれ、信頼性が失われる可能性のことを指します。もしも顧客データが漏洩した場合、顧客からの信頼を損なうだけでなく、将来的に新たなビジネスチャンスを逸することにもつながります。さらに、パートナーとの信頼関係を取り戻すのに時間がかかることも、信用失墜リスクの一環として考慮する必要があります。

    日本国内で発生したサイバー攻撃の事例

    Log4Shellは、Javaのログ処理ライブラリApache Log4j2に見つかったリモートコード実行の脆弱性*4です。攻撃者は攻撃文字列を送り、脆弱性のあるLog4j2のシステム上で任意のコードを実行させます。脆弱性を悪用した攻撃は2021年12月、日本でも確認されました。

    Log4Shellの脆弱性を悪用したランサムウェア「NightSky」による攻撃も確認されました。2022年1月、国内ITサービス企業がランサムウェア「Night Sky」によるサイバー攻撃を受けました*2。攻撃者は2021年10月から侵入を開始し、12月31日にランサムウェアを使用し社内のファイルを暗号化しました。感染させたことで、社内システムの情報が流出し、一部はインターネット上で公開されました。この攻撃により、同企業は一部業務の復旧に数日を要し、セキュリティ強化策を講じました。

    マルウェア「Emotet」による攻撃

    Emotetはメールアカウントやパスワード、アドレス帳、メール本文といった情報窃取と、感染拡大を引き起こすマルウェアです。感染したシステムは、Emotetギャングらに情報を盗まれるばかりか、さらに悪質なプログラムをインストールされる恐れがあります。Emotetは、メールを介したマルウェア感染で知られ、添付ファイルやリンクを通じてシステムに侵入します。

    <IPAに寄せられたメール被害事例>

    ・docファイル添付型
    ・URL記載型
    ・zipファイル添付型
    ・PDF閲覧ソフトの偽装
    ・ショートカットの悪用
    ・Excelファイルの悪用

    参考:https://www.ipa.go.jp/security/emotet/situation/index.html

    また、警察庁の解析によると、EmotetはGoogle Chromeに保存されたクレジットカード情報を盗み出す新機能が追加されました。この機能は、Chromeに暗号化されて保存されたクレジットカード番号、名義人氏名、有効期限を外部に送信します。Emotetはこれに加えて、情報を復号するための鍵も盗むため、感染した場合、クレジットカード情報が第三者に漏洩する危険があります。

    https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/koho/detect/20201211.html

    サプライチェーン攻撃の脆弱性を悪用した攻撃

    2022年3月、国内大手自動車メーカーが部品仕入取引先のマルウェア感染被害によるシステム障害を受け、国内の全14工場の稼働を停止する事態に追い込まれました*3この事件は、サプライチェーン攻撃の深刻な影響を示す典型的な例となり、中小企業でもサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。

    ランサムウェア攻撃では通常、被害者のデータを不正に暗号化し、復号のための金銭を要求します。しかし、近年ではデータを窃取し、公開する脅迫(いわゆる「二重脅迫」)も行われています。特に中小企業ではセキュリティに関する予算や人員が十分でない場合が多く、攻撃者にとって魅力的なターゲットとなっています。

    国内大手自動車メーカーの事例は、サプライチェーン攻撃が大手企業に与える影響の大きさを示しており、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を含む関係省庁からもサイバーセキュリティ対策の強化について注意喚起が出されました。

    病院を狙ったランサムウェア攻撃

    【医療機関を狙ったランサムウェアによる被害事例】
    年月 地域 被害概要
    2021/5 大阪府 医療用画像参照システムがダウンし、CTやMRIなどの画像データが閲覧できない障害が発生*4
    2021/10 徳島県 電子カルテを含む病院内のデータが使用(閲覧)不能となった*5
    2022/1 愛知県 電子カルテが使用(閲覧)できなくなり、バックアップデータも使用不能な状態となった*6
    2022/4 大阪府 院内の電子カルテが一時的に使用(閲覧)不能となった
    2022/5 岐阜県 電子カルテが一時的に停止したほか、最大11万件以上の個人情報流出の可能性が確認された*7
    2022/6 徳島県 電子カルテおよび院内LANシステムが使用不能となった*8
    2022/10 静岡県 電子カルテシステムが使用不能となった*9
    2022/10 大阪府 電子カルテシステムに障害が発生し、ネットワークが停止。電子カルテが使用(閲覧)不能となった*10

    2023年に影響の大きかったサイバーセキュリティ脅威

    「情報セキュリティ10大脅威 2024」

    2024年1月24日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、情報セキュリティにおける脅威のうち、2023年に社会的影響が大きかったトピックを「情報セキュリティ10大脅威 2024」として公表しました。

    注目するべきは「ランサムウェアによる被害」「内部不正による情報漏えい等の被害」イメージ
    出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
    情報セキュリティ10大脅威 2024」(2024年1月24日)組織向け脅威

    サイバーセキュリティ対策の必要性

    セキュリティ対策がなぜ必要か?

    事業活動・日常生活にかかせないIT環境では様々な個人情報や機密情報等が保管・やりとりされており、業界問わず、あらゆる組織・企業がサイバー攻撃の脅威にさらされています。万が一サイバー攻撃を受けた場合、顧客情報の漏えいやシステムの停止による経済損失、コストの発生など様々な被害・影響があります。日本でも経済産業省などからサイバーセキュリティ対策の強化について注意喚起*11が出されています。リスクを少しでも低減するために組織でセキュリティ対策を実施することが求められます。

    サイバーセキュリティ対策が必要な理由は、情報技術の進化に伴い保護すべき情報量が増加し、サイバー攻撃が高度化しているからです。サイバー攻撃は、データの取得、改ざん、破壊を目的とし、企業や個人に甚大な損害を与える可能性があります。企業では、紙の文書だけでなく、デジタルデータも徹底して保護する必要があります。一度情報漏洩が起こると、信用問題や多額の損害賠償に繋がる可能性があるため、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

    まとめ

    サイバー攻撃は企業や組織にとって深刻なリスクをもたらし、情報漏洩、システム停止、事業継続の困難、信用失墜、金銭的損失や経済的影響などを引き起こします。情報漏洩では、クレジットカード情報や個人情報などの機密データが外部に流出し、企業の信頼を損なうと共に経済的損失や法的問題を引き起こすことがあります。またサイバー攻撃による業務システムの停止は、業務プロセスやサービス提供に大きな影響を与え、システム停止や事業継続のリスクを高めます。さらに、サプライチェーン攻撃や医療機関を狙ったランサムウェア攻撃など、特定の業界を狙った攻撃も報告されており、これらは企業や組織に深刻なダメージを与える可能性があります。

    サイバー攻撃に備えるためには、組織でセキュリティ対策の実施に取り組むことが重要です。適切なセキュリティ対策を講じることで、リスクを低減し、情報漏洩やその他の被害を防ぐことが可能です。

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