
「お名前.com デスクトップクラウド」の不正アクセスは、利用者情報の外部持ち出しに続き、攻撃者とみられる者による情報公開への対応が必要な段階に入っています。GMOインターネット株式会社は10月27日に公開を確認したと発表し、同日夜には「GMO特別お見舞金」を示しました。同サービスは、クラウド上でMT4・MT5などを動かすFX自動売買向けVPSです。本記事では支払いの条件と利用者が進めるべき対策、企業のクラウド管理に生かせる点を整理します。
※本記事は2026年10月28日時点で公表されている情報を基に作成しています。
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サービス停止から情報公開までに何が判明したか
調査は10月19日の利用者からの問い合わせをきっかけに始まりました。20日に一部サーバーで不正なプログラムが見つかり、21日午前4時から全プランが順次停止され、第1報が公表されました。24日の第4報では、利用者情報の外部持ち出しを確認したと公表しています。27日の第10報は、同日12時30分に、攻撃者とみられる者が同社や利用者の情報と称するものを公開したと説明しました。内容の確認は続いており、公開されたものすべてが真正な情報と確定したわけではありません。ランサムウェア攻撃は同日13時55分時点で未確認とされ、預かった端末の解析も継続中です。
GMOインターネットは10月28日の第13報で、情報が掲載されていた攻撃者側のサイトについて、同日午前4時ごろにドメインの停止を確認したと発表しました。ただし、公開された情報がすべて回収・削除されたことを意味するものではありません。同社は新たなサイトの開設などを引き続き監視し、関係事業者と連携して対応するとしています。
同社は、攻撃者から利用者の取引口座への不正操作や情報公開を予告する金銭要求を伴う脅迫を受けたと説明しています。要求には応じない方針を示すとともに、事件の解明につながる情報を募る「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」を創設しました。報奨金の総額上限は100万米ドルで、10月28日から情報提供を受け付けています。
公表された26,739件は、影響を受ける可能性のあるサーバー数です。被害者数や確定した侵害件数を示す数字ではありません。10月28日の適時開示では、特別見舞金や損失補償などの費用について、対象者数や公開情報の範囲、補償対象となる取引が確定していないため、連結業績への影響額は現時点で算定できていないと説明しています。
お名前.com デスクトップクラウドへの不正アクセスについて、全プラン停止の経緯や当初の補償方針、利用者が確認すべき対応は、前回記事「お名前.com デスクトップクラウドに不正アクセス ―情報流出の影響・補償内容と利用者の対応」で解説しています。
特別見舞金は通常の見舞金と損失補償とは別に支払う
第12報の特別見舞金は、公開情報に本人の情報が含まれると同社が確認した場合が対象です。基本情報は1万円、取引口座のID・パスワードなど金融・認証情報は1万5,000円、機微情報や要配慮個人情報などは2万5,000円とし、複数区分は合算します。同報は「1公開につき上限300万円」と案内しています。個別の対象や算定については公式案内を確認してください。なお、同社は情報公開の範囲や方法などが変わった場合、特別見舞金の内容を見直す可能性があるとしています。この特別見舞金は、先に示された一律5,000円の見舞金、不正取引の損失補償のいずれとも別枠です。
一律5,000円は第4報発表時点の全利用者が対象です。損失補償は、本件に起因すると同社が認定した不正取引の実現損失で、市場変動による損失、逸失利益、間接損害は含まれません。申請準備では、どの支払いに関する案内かを確かめ、取引記録や事業者との連絡を整理しておきましょう。金額の大きい見出しだけで自分の受取額を判断せず、対象の確認と手続きを進めることが大切です。
図1:支払いの対象と目的を区別する

※見舞金、特別見舞金、損失補償はそれぞれ対象条件が異なります。特別見舞金は、公開された情報に本人の情報が含まれることを同社が確認した場合が対象です。個別の支払条件や手続きについては、公式案内をご確認ください。
案内期限と支払日やサービス開始日を区別する
第4報は、見舞金の手続き・支払時期と代替サービスの開始時期などを10月30日23時59分までに、損失補償の申請方法・受付期間・支払時期を11月6日までに案内するとしています。どちらも詳細を知らせる期限です。代替サービスは、契約中で継続利用を希望する利用者に案内し、乗り換え後6か月間を無料とする方針です。同意なしの移行は行わないとしています。代替先を検討する際は、利用する機能がそろうか、必要なデータを移せるか、無料期間後も継続するかを、社内や委託先の担当者と確認しておきます。
パスワード変更と全セッション切断を確認する
第6報は、別の安全な端末から公式サイトを使い、全端末・全セッションをログアウトさせ、FX・証券・メールなどのパスワードを変更するよう求めています。多要素認証を有効にし、不審な連携アプリや転送設定、拡張機能、登録端末も点検します。点検が終わるまでブラウザー同期をオンにしないよう案内しています。
端末への対応と公開情報へのアクセスを慎重に進める
10月28日の第14報では、同社が預かった端末の解析において、現時点でマルウェア感染やランサムウェア攻撃の痕跡は確認されていないと発表しました。ただし、調査は継続中であり、すべての利用者端末の安全性が確認されたわけではありません。利用者は第6報などで案内されたセキュリティ対策を継続し、端末の復旧や再接続については最新の公式案内を確認する必要があります。
公開されたという情報を、自分で探して確認しようとする行動にも注意が必要です。同社は転載、SNSでの再投稿、公開先へのリンク共有を控えるよう求め、本人の情報が含まれると確認した場合は個別に連絡するとしています。不審なメールやSMSのリンク、添付ファイルを開かず、公式サイトから案内を確認してください。
企業内で注意喚起する際も、漏洩情報と称するファイルや画面を配る必要はありません。対象サービス、確認すべき担当者、公式窓口を共有し、実際の調査に必要な記録は担当部門で扱う運用にすると、確認作業を進めやすくなります。
企業は外部サービスのアカウントとログの所在を点検する
クラウドの契約一覧だけでは、保存された認証情報や接続先まで把握できません。企業では、サービスごとに保存データ、利用アカウント、接続先、管理者を対応付けておくことが、通知を受けた後の調査に役立ちます。IPAは10月9日の注意喚起で、部署単位の利用も含めて外部サービスを洗い出し、ログやアカウントの異常を確認するよう求めています*1。提供者と利用者で確認できるログや保存期間が違う場合もあるため、誰が、いつ、どのように調査できるかを整理する必要があります。
復旧判断と証拠保全を両立させる備え
自社システムで不正アクセスが疑われる場合は、復旧を急ぐと同時に、原因や影響の確認に必要な証拠を保全することが重要です。株式会社ブロードバンドセキュリティ(BBSec)のデジタルフォレンジックは、事象の把握、証拠保全、原因調査から復旧・再発防止に向けた検討までを支援します。緊急コンタクトセンターでは、既存のお客様かどうかを問わず、24時間365日相談を受け付けています。
サイバーインシデント緊急対応

【参考情報】
- GMOインターネット株式会社「【重要】『お名前.com デスクトップクラウド』への不正アクセスに関する現在の対応について(第10報)」(2026年10月27日13時55分時点)https://internet.gmo/news/article/256/
- GMOインターネット株式会社「【重要】『お名前.com デスクトップクラウド』への不正アクセスに関する現在の対応について(第12報)」(2026年10月27日19時10分時点)https://internet.gmo/news/article/258/
- GMOインターネット株式会社「【重要】『お名前.com デスクトップクラウド』への不正アクセスに関するお詫びとお知らせ(第2報)」(2026年10月22日)https://internet.gmo/news/article/247/
- GMOインターネット株式会社「【重要】『お名前.com デスクトップクラウド』への不正アクセスに関するお詫びとお知らせ(第3報)」(2026年10月23日)https://internet.gmo/news/article/248/
- GMOインターネット株式会社「【重要】お名前.com デスクトップクラウドサービスに対するサイバー攻撃について(第4報) お客様へのお見舞金のお支払いと不正取引による損失の補償について」(2026年10月24日)https://internet.gmo/news/article/249/
- GMOインターネット株式会社「『お名前.com デスクトップクラウド』ご利用のお客様へ改めてのお願い(第6報)」(2026年10月26日)https://internet.gmo/news/article/252/
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえ、速やかに実施すべき対策等について」(2026年10月9日)https://www.ipa.go.jp/security/security-alert/2026/alert20261009.html
- GMOインターネット株式会社「当社が提供するサービスにおける不正アクセスへの対応方針に関するお知らせ」(2026年10月28日)https://internet.gmo/ir/pdf/irlibrary/gmointernet_j_disclose_20261028.pdf
- GMOインターネット株式会社「【重要】『お名前.com デスクトップクラウド』への不正アクセスに関する現在の対応について(第13報)」(2026年10月28日)https://internet.gmo/news/article/259/
- GMOインターネット株式会社「【重要】『お名前.com デスクトップクラウド』への不正アクセスに関する現在の対応について(第11報)」(2026年10月27日14時55分時点)https://internet.gmo/news/article/257/
- GMOインターネット株式会社「FX自動売買専用VPS【MT4/MT5対応】おすすめ比較|RDS SAL0円 | お名前.com デスクトップクラウド」https://www.onamae-desktop.com/
- GMOインターネット株式会社「【重要】『お名前.com デスクトップクラウド』への不正アクセスに関する現在の対応について(第14報)」(2026年10月28日)https://internet.gmo/news/article/260/
編集責任:木下
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