脆弱性診断の基礎と実践!
手動診断とツール診断の違いを徹底解説
第2回:ツール診断のメリットとは?

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ツール診断は、短時間で広範囲をスキャンし、コストを抑えながら効率的にセキュリティ対策を実施できる手法です。本記事は「脆弱性診断の基礎と実践」をテーマに全3回のシリーズのうちの第2回として、脆弱性診断の手法の一つであるツール診断のメリットや適しているケースについて解説します。

第1回「手動診断のメリットとは?」はこちら

ツール診断とは?

ツール診断とは、セキュリティベンダーが商用または自社開発した脆弱性診断ツールを使用し、システムやアプリケーションのセキュリティ上の脆弱性を自動的に検出する手法です。自動診断とも呼ばれ、比較的手軽に実施できるため、開発段階での利用や定期的な簡易診断としても活用されています。ただし、機械的な検査であるため、過検知や誤検知が含まれることが多く、その結果は技術者が補正することで正確な情報が得られます。ツール診断は、コストを低減しつつ最新のセキュリティ状態を保つ手段として有効です。

ツール診断の一般的な実施プロセス

ツール診断は、一般的に以下の流れで実施されます。

1.スキャンの対象設定

  • 診断対象のIPアドレス、ドメイン、アプリケーションURLなどを指定
  • 必要に応じて認証情報を設定し、ログイン後の動作も診断

2.脆弱性スキャンの実行

  • 診断ツールが自動で対象システムをスキャンし、脆弱性を検出
  • 既知の攻撃パターン(シグネチャ)を照合し、不正アクセスのリスクを評価

3.診断結果の解析

  • スキャン結果をもとに、発見された脆弱性の種類や影響範囲を整理
  • 誤検知が含まれていないかチェック(必要に応じて手動で確認)

4.結果レポートによる対策検討

  • 検出された脆弱性のリスクレベルを分類(例:高・中・低)し、結果を出力
  • 修正が必要な項目をリストアップし、対応策を検討

ツール診断のメリット

ツール診断を実施するメリットは、特に以下の3つの点があります。

1.短時間での診断が可能(大量のシステムやWebサイトを効率的にチェック)

ツール診断の最大の強みは、短時間で一括チェックが可能な点です。

  • 手動診断では膨大な時間がかかる大規模システムでも、診断対象を絞ることにより迅速にスキャンが可能。
  • 企業が運営する複数のWebサイトやサーバを一度に診断できる。

2.コストを抑えやすい(手動診断より低コストで運用可能)

ツール診断は自動化によって効率的になり、手動診断より低コストでの運用が可能です。

  • エンジニアの人的コストを削減
    ・手動診断は専門のセキュリティエンジニアが時間をかけて実施するため、コストが高くなりがち。
    ・ツール診断は自動で診断を行うため、人的リソースを節約できる。
  • 継続的な診断でも費用負担が少ない
    ・手動診断は1回ごとの費用が高く、頻繁に実施するのが難しい。
    ・ツール診断ならライセンス契約やサブスクリプション型などのツールを利用するため、低コストで定期的に診断することが可能。
  • 導入・運用の負担が少ない
    ・クラウド型の診断ツールも多く、専用機材の導入不要でスムーズに利用開始ができる。

3.定期的な診断が容易(スケジュールを自動化できる)

セキュリティ対策は一度行えば終わりではなく、継続的な監視と対策が不可欠です。ツール診断を活用すれば、コストを抑えつつ、定期的なスキャンを自動で実施し、最新の脆弱性を常にチェックできます。

  • スケジュール設定で定期スキャンが可能
    ・ツールを活用すれば、毎週・毎月・四半期ごとの定期スキャンを自動化できる。
    システムの更新後(パッチ適用後など)の検証にも活用できる。
  • 継続的なセキュリティ監視ができる
    ・手動診断では頻繁に実施するのが難しいが、ツールなら日常的なセキュリティ監視が可能。
    ・システム改修のたびに手動診断を依頼するより、ツールを活用して迅速に問題を検出できる。

ツール診断が適しているケース

ツール診断は特に以下のケースで実施が推奨されます。

1.定期的にスキャンしてセキュリティリスクを管理したい企業

ツール診断を導入することで、定期的なスキャンを自動化し、常に最新のセキュリティ状態を維持できます。

  • システムのアップデート後に迅速なリスクチェックが可能
    ・OS、アプリケーション、ミドルウェアのアップデート後に、脆弱性が新たに発生していないか即時に確認ができる。
    ・システム改修や機能追加時の影響を即座に確認できる。
  • 運用中のシステムに影響を与えない
    日常業務に影響を与えず、バックグラウンドで実施できる。

2.コストを抑えながらセキュリティ対策を進めたい場合

セキュリティ診断を実施したいものの、手動診断の高コストがネックとなる組織にとって、ツール診断は費用対効果の高い選択肢です。

  • 人件費が抑えられるため、低コストで運用可能
  • 大規模なシステムでもコストを抑えやすい
    特に、中小企業や予算が限られた組織にとって、手軽にセキュリティ対策を実施できる手法となる。
  • 社内での脆弱性診断の内製化が可能
    手動診断は外部のセキュリティ専門企業へ依頼するケースが多いが、ツール診断は自社で運用可能なため、外部委託のコストを抑えられる。

3.基本的な脆弱性を素早く把握したい場合

ツール診断なら、開発段階や運用中のシステムに対して、迅速にリスクを把握し、適切な対応が可能になります。

  • 即時スキャンで迅速な脆弱性検出
  • 開発段階での脆弱性検出に活用
    ・開発中のWebアプリやシステムに対して、リリース前に簡易スキャンを実施できる。
    ・これにより、本番環境でのリスクを最小限に抑えられる

ツール診断の限界

ツール診断はコストを抑えて効率的に運用できる点がメリットですが、場合によってツール診断だけでは限界があります。

1.誤検出や見落としの可能性がある

ツール診断は、自動でシステムの脆弱性をチェックする仕組みですが、その診断結果には誤検知(False Positive)や見落とし(False Negative)が含まれる可能性があります。

  • 誤検知(False Positive)
    ・実際には問題のないコードや設定を「脆弱性あり」と誤って検出するケース。
    ・例:「このページの入力欄にSQLインジェクションのリスクがある」とツールが指摘するものの、実際には適切なエスケープ処理が施されている場合。
  • 見落とし(False Negative)
    ・実際には脆弱性が存在するのに「問題なし」と判定してしまうケース。
    ・例:カスタム開発された認証フローに不備があっても、一般的な攻撃パターンにマッチしないため検出されない。
  • 誤検知や見落としの原因
    ツールの設定ミス:適切なスキャン設定を行わないと、正しい診断結果が得られない。
    検出ロジックの限界:ツールは既知の脆弱性パターンをもとに診断を行うため、未知の脆弱性やゼロデイ攻撃の検出には弱い。
    環境依存の問題:特定のアプリケーションやネットワーク環境では正しく診断できないことがある。

2.システム固有の脆弱性や複雑な攻撃パターンには対応できない

ツール診断は、主に既知の脆弱性をパターンマッチングによって検出するため、システム固有の処理に関わる脆弱性や、複雑な攻撃パターンには対応できません。

  • システム固有の処理に関連する脆弱性の例
    決済システムの不正操作:カートに入れた商品の価格を改ざんする攻撃。
    アクセス制御の不備:本来は管理者のみアクセス可能な機能を一般ユーザが利用できてしまう。
    認証バイパス:特定のリクエストを送ることで、パスワードなしでログインできてしまう。
  • 複雑な攻撃パターンの例
    API連携を悪用した攻撃:ツール診断ではAPI間の不正な連携による情報漏えいを検出しづらい。
    ・多段階の攻撃手法(チェーン攻撃):攻撃者が複数の脆弱性を組み合わせて攻撃する手法は、ツール単独では検出が難しい。

ツール診断は、効率的でコストパフォーマンスに優れたセキュリティ診断の手法ですが、その限界も理解し、必要に応じて手作業による診断と組み合わせることで、より信頼性の高いセキュリティ対策が可能となります。

まとめ

ツール診断は、自動化された脆弱性診断ツールを活用し、短時間で広範囲をスキャンできる効率的なセキュリティ対策です。手動診断と比べてコストを抑えながら、定期的な診断が容易に実施できるため、継続的なセキュリティリスク管理に適しています。また、基本的な脆弱性を素早く把握できるため、初期段階のリスク検出や、手動診断の補助としても活用可能です。しかし、ツール診断には誤検知や見落としといったリスクのほか、ビジネスロジックの脆弱性や複雑な攻撃手法の検出が難しいというデメリットが存在するため、単独では限界があります。そのため、より高度なセキュリティ対策を実現するには、手動診断との組み合わせが重要となります。

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―第1回「手動診断のメリットとは?」はこちら―
―第3回「手動診断とツール診断、どちらを選ぶべきか?最適な診断方法の選び方」はこちら―


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2025年サポート終了製品リスト付!サポートが終了したソフトウェアを使い続けるリスクとその対策

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現代のビジネス環境では、ソフトウェアやシステムのセキュリティ対策が極めて重要です。しかし、多くの企業や個人が気づかぬうちに、サポートが終了したソフトウェアを使い続けることで、深刻なサイバーセキュリティのリスクにさらされています。本記事では、サポート終了製品を利用し続けることの危険性と、その対策について詳しく解説します。

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サポートが終了したソフトウェアとは?

ソフトウェアベンダーは、一定の期間ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチを提供します。しかし、開発の継続が難しくなると、メーカーはその製品のサポートを終了し、新しいバージョンへの移行を促します。例えば、Windows 10は2025年10月にサポート終了が予定されており、企業や個人ユーザーは今後の対応を迫られています。

表.2025年中にEOLとなる製品

サポート終了後のソフトウェアは、新たな脆弱性が発見されても修正されず、そのまま放置されることになります。このため、サイバー攻撃の標的となるリスクが非常に高くなります。

サポートが終了したソフトウェアを使い続けるリスク

  1. セキュリティの脆弱性が修正されない
    サポートが終了したソフトウェアには、新たに発見された脆弱性に対するセキュリティパッチが提供されません。そのため、ハッカーにとって格好の標的となり、マルウェア感染や不正アクセスのリスクが高まります。
  2. ランサムウェアやマルウェア攻撃の増加
    近年、サポート終了ソフトウェアを狙ったランサムウェア攻撃が増加しています。例えばWindows XPのサポート終了後、「WannaCry」というランサムウェアが流行し、多くの企業が被害を受けました。これと同様の攻撃が、サポート終了後のWindows 10やその他の古いソフトウェアでも発生する可能性があります。
  3. 法規制やコンプライアンス違反
    企業がサポート終了ソフトウェアを使い続けることは、法的リスクを伴います。特にGDPR(EU一般データ保護規則)や日本の個人情報保護法では、適切なセキュリティ対策を講じることが求められています。サポートが終了したソフトウェアを利用することは、これらの規制違反となる可能性があり、企業の信頼性が損なわれる要因となります。
  4. ソフトウェアの互換性問題
    古いソフトウェアを使い続けると、最新のアプリケーションやハードウェアとの互換性が失われる可能性があります。例えば、最新のクラウドサービスが利用できなかったり、新しいデバイスとの接続ができなかったりすることで、業務の効率が低下します。
  5. ITコストの増加
    一見すると、古いソフトウェアを使い続けることはコスト削減につながるように思えますが、実際にはその逆です。セキュリティの問題が発生すれば、データ漏えいやシステム停止による損害が発生し、結果的に大きなコストがかかる可能性があります。

サポート終了ソフトウェアへの対応策

  1. 速やかなアップグレード
    最も安全な対策は、最新のソフトウェアへアップグレードすることです。例えば、Windows 10のサポート終了が迫っているため、企業や個人はWindows 11への移行を検討することが推奨されます。
  2. 仮想環境での隔離
    どうしてもサポートが終了したソフトウェアを使い続ける必要がある場合は、**仮想マシン(VM)**を利用し、ネットワークから切り離して運用する方法もあります。これにより、セキュリティリスクを最小限に抑えることが可能です。
  3. セキュリティ対策の強化
    古いソフトウェアを使用する場合、ファイアウォールの強化や最新のエンドポイントセキュリティを導入することで、攻撃のリスクを軽減できます。また、多要素認証(MFA)を導入することで、不正アクセスのリスクを低減できます。
  4. 定期的な脆弱性診断
    企業では、定期的な脆弱性診断を実施し、セキュリティの問題を早期に発見することが不可欠です。セキュリティ専門家による診断を受けることで、サイバー攻撃のリスクを軽減できます。
  5. クラウドサービスへの移行
    古いソフトウェアの代替として、クラウドベースのサービスを活用する方法もあります。例えば、Microsoft 365やGoogle Workspaceといったクラウドサービスに移行することで、常に最新のセキュリティアップデートを受けられます。

サポート終了後に脆弱性が公表された事例と考察

【事例1】

サポート終了となったCisco社のVPNルータ「RV016、RV042、RV042G、RV082、RV320、RV325」は、緊急の脆弱性(CVE-2023-20025等)により任意のコマンド実行される脆弱性を公表したが更新ファームウェアを提供しないことを表明した。

【事例2】

GeoVision社のいくつかの機器はサポート終了となっており、緊急の脆弱性(CVE-2024-11120)により認証不要のOSコマンドインジェクションがあり、攻撃者による悪用も確認されているが修正パッチ等はない。

上記のように、EOL後に危険な脆弱性が発見された場合でも、公式の対応はなく危険な状態が続きます。また、代替製品への移行など、アップデートだけでは解決しない修正を行う際、迅速に対応できないケースが起こりうることにも注意が必要です。

まとめ

サポートが終了したソフトウェアを使い続けることは、重大なセキュリティリスクを伴うだけでなく、企業の信頼性や業務効率にも影響を及ぼします。特に、サイバー攻撃の標的になりやすく、ランサムウェア被害やデータ漏えいのリスクが高まります。安全なIT環境を維持するためには、定期的なアップグレードや適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。サポート終了前に適切な対応を行い、安心して業務を継続できる環境を整えましょう。


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    【徹底解説】
    日本航空のDDoS攻撃被害の実態と復旧プロセス

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    概要

    2024年12月26日、日本航空(JAL)はDDoS攻撃を受け、国内外のフライトで大規模な遅延が発生。国内線60便、国際線24便で30分以上の遅延が生じ、最大4時間2分の遅延が報告されました。攻撃はネットワーク機器への大量データ送信による過負荷が原因で、飛行計画や貨物重量計算システムが通信不能となりました。

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    DDos攻撃について、SQAT.jpでは以下の記事でも解説しています。こちらもあわせてぜひご覧ください。
    記録破りのDDoS攻撃!サイバー脅威の拡大と企業が取るべき対策とは?
    Dos攻撃とは?DDos攻撃との違い、すぐにできる3つの基本的な対策

    DDoS攻撃とは?

    DDoS攻撃とは、攻撃者が複数のコンピューターを利用し、標的のシステムに大量のデータを送りつけることでサービスを妨害する手法です。特に航空業界では、この攻撃が深刻な影響を及ぼすことがあります。日本航空(JAL)に対する攻撃もその一例であり、システムに過負荷をかけ、正常な運用を妨げました。

    攻撃の詳細

    このDDoS攻撃は、2024年12月26日午前7時24分に発生しました。この時間帯は多くのフライトが運航するピーク時であり、影響は甚大でした。日本航空(JAL)は、攻撃発生時に多くの乗客が移動中であったため、システムの混乱がさらに深刻化したと報告しています。DDoS攻撃の結果、JALの一部システムが一時的に停止し、フライトの遅延が発生しました。具体的には、国内線24便が30分以上遅延し、多くの乗客に影響を与えました。

    システム復旧の過程

    日本航空(JAL)は、発生したDDoS攻撃により、システムの不具合や航空券販売の停止、フライトの遅延などの影響を受けました。年末の繁忙期に多くの乗客が影響を受ける中、専門のサイバーセキュリティチームが迅速に対応し、ネットワークの一時遮断と復旧作業を実施。数時間でシステムは正常化し、フライトの安全性にも影響はありませんでした。復旧後、JALはセキュリティ対策を強化し、最新の防御技術を導入するとともに、従業員のサイバーセキュリティ教育を推進。今後の攻撃リスクを軽減し、乗客の安全確保を目指しています。

    DDoS攻撃に対する今後の予防策

    1. 多要素認証の導入
      システムへのアクセス制限を強化し、不正アクセスを防止する
    2. 定期的なネットワークのストレステスト
      脆弱性を早期に発見し、攻撃時の影響を最小限に抑える
    3. サイバーセキュリティ意識の向上
      スタッフへの定期的なトレーニングや演習を実施し、攻撃の兆候を早期に察知できる体制を整備する
    4. インシデント対応計画の見直しと更新
      攻撃発生時の役割分担や連絡体制を明確化し、シミュレーションを通じて計画の実効性を確認する
    5. 過去の攻撃事例の分析と対策の最適化
      これまでの攻撃事例を検証し、より効果的な防御策を導入することで業務の継続性を確保する

    これらの対策を実施することで、DDoS攻撃のリスクを軽減し、システムの安全性を高めることができます。

    まとめ

    今回の事件は、日本のサイバーセキュリティの脆弱性を浮き彫りにし、航空業界全体における防御強化の必要性を示しました。今後、日本は国際的な協力を強化し、より強固なサイバーセキュリティ対策を講じることが求められます。今回の事件を教訓に、防御策の強化が急がれています。


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    国内大手フードデリバリーサービスを襲った暗号通貨マイニングマルウェア事件の全容~デジタル忍者の襲来:国内企業を震撼 (しんかん)させた史上最悪のサイバー攻撃~

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    突如訪れた暗黒の10月25日

    2024年秋、日本最大級のフードデリバリーサービスに前代未聞の危機が訪れた。全国の飲食店と消費者をつなぐ巨大プラットフォームが、見えない敵に攻撃されたのである。

    静かなる侵略者「RedTail」の恐怖

    その敵の名は「RedTail(レッドテイル)」。デジタル世界の暗殺者とも呼ぶべき最新のマルウェアである。RedTailはあたかも影の忍者のごとく、世界的に使用されているセキュリティシステム、Palo Alto Networks社の「PAN-OS」のわずかな隙をついて侵入を果たした。このデジタル忍者は、驚くべき潜伏能力を持っていた。システムの深部に潜み込み、暗号通貨をひそかに採掘しながら、その存在を巧妙に 隠蔽 (いんぺい) し続けたのである。まさに現代のサイバー戦争を象徴する出来事であった。

    72時間の闘い:システムを守る最後の砦

    事態が発覚した10月25日、技術者たちは直ちに非常事態体制に入った。しかし、敵はすでに複数のサーバーに潜伏しており、一つを制圧すれば別の場所で姿を現すという、まさに「もぐらたたき」のような戦いを強いられた。同月26日午後2時30分、ついに全システムの停止という苦渋の決断が下された。技術者たちは不眠不休でマルウェアの駆除と安全性の確認に従事し、72時間に及ぶ死闘の末、ようやくシステムを取り戻すことに成功したのである。

    未曾有 (みぞう) の混乱がもたらした教訓

    この事件による影響は甚大であった。数十万件に及ぶ注文のキャンセル、数千店舗の営業停止、そして配達員たちの収入機会の喪失。しかし、不幸中の幸いというべきか、個人情報の流出だけは免れた。

    新時代のデジタルセキュリティへの挑戦

    この事件を機に、企業は包括的なセキュリティ改革に着手した。システムの監視体制を強化し、従業員への教育を徹底。さらに、定期的な脆弱性診断とインシデント対応プロセスの刷新を行うことで、より強固なセキュリティ体制の構築を目指している。

    警鐘:すべてのデジタルサービスへの警告

    本事件は、現代のデジタル社会における脅威の深刻さを如実に示している。サイバーセキュリティはもはや企業の「選択肢」ではなく「生命線」である。そして、デジタル時代を生きるすべての企業への警鐘として長く記憶されることとなるだろう。


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    ウェブ担当者必見!プライバシー保護規制対応と情報セキュリティ-サイバー攻撃への事前・事後対応-
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    サプライチェーンのセキュリティ対策-サプライチェーン攻撃から企業を守るための取り組み-
  • 2024年11月27日(水)12:50~14:00
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    Webアプリケーションの脆弱性対策-攻撃者はどのように攻撃するのか-
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    APIとは何か(1)~基本概念とセキュリティの重要性~

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    APIは、システム間のデータや機能のやり取りを円滑にするために欠かせない技術です。しかし、その利便性の反面、APIのセキュリティリスクも増大しています。本シリーズでは数回にわけて、APIの本質的な役割から、セキュリティリスクとその対策までを解説していきます。シリーズ第1回目の今回は、APIの基本的な定義から、その仕組みや連携方法、そしてセキュリティ上の課題について学びます。

    APIとは

    API(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、ソフトウェアの機能を他のプログラムでも利用できるようにするための仕組みです。APIは、アプリケーションやサービスが外部のプログラムと情報や機能を共有する際の「インターフェース」として働き、異なるプログラム同士の連携を可能にします。例えば、地図情報を提供するアプリがAPIを利用して他のアプリに地図データを提供することで、ユーザは別のアプリ内でもその機能を活用できるようになります。

    APIの仕組み -API連携とは-

    ソフトウェアやアプリ、プログラム同士を、APIを介して機能連携させるのが「API連携」です。あるソフトウェアに他のソフトウェアの機能を埋め込むイメージです。API連携によってソフトウェア同士が相互にデータと機能を共有できるようになります。

    【APIの活用例】

    社内業務システム : チャットAPIを活用してコミュニケーション
    会員サービスサイト : SNSアカウント認証APIでログイン
    ネットショップ : クレジットカード・認証APIで決済
    飲食店サイト : 地図情報APIで店舗位置情報表示 × 予約受付APIで予約対応

    APIのセキュリティ

    APIは異なるソフトウェア間の通信を可能にしますが、同時に攻撃者にとっての格好の標的にもなり得ます。そのため、APIを利用する企業やアプリケーション開発者にとってAPIのセキュリティ対策は重要な課題です。セキュリティリスクは他のプログラムやサービスと機能やデータを共有しているAPI特有の仕組みから生じます。APIが不適切に設計・管理されていると、未認証のアクセス、データ漏洩、機密情報の不正取得といったリスクが高まります。以下は、APIセキュリティに関する主なリスクの例です。

    • データ漏洩: APIを通じて個人情報や機密情報が漏洩するリスク
    • 不十分な認証:認証要素が不十分なことによる不正アクセスのリスク
    • サイバー攻撃:標的型攻撃、インジェクション攻撃やDoS攻撃などのサイバー攻撃を受けてしまうリスク
    • APIキーの窃取: APIキーが盗まれることによる不正利用のリスク

    APIのセキュリティはなぜ重要なのか

    スマートフォンやIoT端末の普及に伴い、様々なAPIが利用されるようになりました。SNS事業者が提供するAPIサービスやスマートフォン向けのAPIサービスがあるほか、複数のSaaSのAPIを連携させるサービスも登場しており、私たちを取り巻くあらゆるサービスで幅広く提供されています。このため、APIをターゲットにした攻撃も増加しています。
    (※APIを悪用した攻撃についてはシリーズ第2回目で解説します。)

    APIセキュリティが重要視される理由は、現代社会においてAPIがデータや機能の共有に不可欠な役割を果たしているためです。APIを通じてやり取りされるデータや機能は、悪意のある攻撃者に狙われる可能性があり、適切なセキュリティ対策がなければ、情報漏洩やシステム侵入のリスクが増大します。特に、認証や認可の不備、暗号化の欠如が原因で、機密データが外部に漏れるケースが多く見られます。また、APIは外部に公開されることが多いため、DDoS攻撃やボットによる過負荷のリスクも存在します。したがって、APIの設計段階からセキュリティを考慮し、定期的な監視や脅威の検知を行うことが、システム全体の安全性を保つために不可欠です。

    また、企業やアプリケーション開発者にとっては、信頼性と顧客データ保護に直結する重要な要素でもあります。適切なセキュリティ対策を講じることで、データの改ざんや不正アクセスを防ぎ、システムの安全性を確保することができます。

    まとめ

    (Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、ソフトウェア間で機能や情報を共有するための仕組みであり、異なるプログラム同士を連携させます。APIは、地図情報の提供やSNSアカウントの認証など、さまざまな用途で活用されており、現代のデジタルサービスには欠かせない存在です。しかし、APIはその便利さの反面、攻撃の標的にもなりやすく、セキュリティの観点から注意が必要です。APIの不適切な設計や管理は、データ漏洩、不正アクセス、サイバー攻撃のリスクを高めます。特に、認証や認可の欠如、適切に暗号化がされていないことなどにより機密情報が漏れる恐れがあります。また、外部に公開されるAPIはDDoS攻撃やボットのターゲットになることもあります。そのため、企業のセキュリティ担当者やアプリケーション開発者はAPIのセキュリティ対策を講じ、定期的な監視や脅威の検知を行うことが不可欠です。これにより、信頼性を維持し、顧客データの保護が可能となります。

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