暗号技術の未来:量子コンピュータ時代の情報セキュリティ

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私たちの安全なシステム利用や事業継続のためにかかせない暗号技術は、量子コンピュータの登場によりいま大きな転換期を迎えています。本記事では、現行の暗号方式が直面する課題から、次世代の耐量子暗号の動向について解説。特に企業のセキュリティ担当者向けに、最新の暗号技術の標準化動向、暗号化の実装ポイント、そして情報漏洩のリスクを防ぐための対策のポイントを紹介します。暗号技術を安全に活用するため、必要なポイントややっておくべきことを知りたい方は必見です。

現代の暗号技術が直面する課題

暗号技術は情報セキュリティを支える重要な技術の1つです。暗号技術があればこそ、私たちは安心して業務システムを利用し、インターネット経由での事業活動を行うことができています。

一方で、今、次世代暗号に関する話題が、少しずつ一般的なニュースでも取り上げられ始めています。なぜ、次世代暗号技術が求められているのでしょうか。その背景には、既存の暗号技術に対する次のような懸念があるためと考えられます。

量子コンピューターによる脅威

量子コンピューターは、従来の暗号化方式を数秒で解読できる可能性があると言われています。これにより、将来的には既存の暗号技術が無力化され、サイバー攻撃のリスクが増加する恐れがあります。

暗号化されていないデータの活用リスク

暗号化が行われていないデータを活用する場面では、情報漏洩のリスクが高まります。一部の企業では、顧客データや機密情報を暗号化せずに使用しているケースもあり、適切な管理が求められます。

量子コンピュータの脅威に対抗:耐量子暗号

将来、コンピュータの処理能力の進化によって、現在普及している暗号技術が無力化されてしまうと言われています。これは昨今よく取りざたされている、量子コンピュータの登場に起因しています。量子コンピュータは量子力学を計算過程で用いて並列計算を実現することで、現在のコンピュータと比較して圧倒的な処理能力を保持するとされています。

量子コンピュータの登場による既存の暗号技術への脅威、そしてその対策は以下のとおりです。

※公開鍵暗号、共通鍵暗号については後述

「暗号の2030年問題」とは?

量子コンピュータは2030年には実用化されると想定されているため、その頃にはサイバー攻撃者が量子コンピュータを用いた攻撃を実行してくる恐れがあるということになります。これが、「暗号の2030年問題」と言われるものです。このため、2030年に先駆けて、防御策を実現する必要があります。そこで、耐量子暗号の選定や鍵長ポリシーの見直し、といった次世代暗号に向けた標準化が、日米において進められています。

暗号技術の標準化動向

●米国:NIST(米国立標準技術研究所)
耐量子暗号アルゴリズム(2024年8月公開)
参考:
https://www.nist.gov/news-events/news/2024/08/nist-releases-first-3-finalized-post-quantum-encryption-standards
●日本:CRYPTREC(暗号技術検討会(総務省・経産省))
→各種タスクフォース等により調査検討中
  NISTと同等の時期での標準化を目指す

例えば、ポスト量子暗号(PQC)など、量子コンピューターに耐性を持つ暗号技術の開発が進んでおり、今後のセキュリティ戦略の重要な柱になるとされています。

暗号化とデータ活用の両立:高機能暗号技術

従来の暗号技術は、
●データの秘匿:保管している内容が第三者にわからないようにする
●改竄の防止:メッセージ認証等、内容が書き換えられていないかチェック
●認証:なりすましが行われていないか電子証明書による確認
●通信の安全性確保:ネット上で流れるデータ内容が第三者にわからないようにする
といった機能に特化したものです。  

そして、データの照合や分析といったデータ活用時の処理は平文(データが暗号化されておらず、誰が見ても内容がわかる状態)で実施しているのが現状です。このため、データ処理者に対する平文データへのアクセスを許容せざるを得ず、結果として、業務上の利便性等の都合により、暗号化されていてしかるべき重要情報が平文のまま保存されているといった実情があります。結果、内部犯行はもちろんのこと、外部からの不正アクセスを受けた場合に、平文の重要情報が盗取されてしまう恐れがあるわけです。

これに対し、従来に加えて付加的な機能がある暗号技術の総称が、「高機能暗号技術」です。

なかでも、暗号化したまま演算処理できる「準同型暗号」は、今まさに、実装ライブラリについての国際標準化推進活動が進行中です。準同型暗号のような高機能暗号技術が実用化されれば、クラウドサーバ上における暗号化したままでのデータ照合や分析、個人情報や機密データを秘匿したままでの様々な処理の実現といった、セキュリティが保持されたデータ活用に期待が持たれています。

現在主流の暗号方式の種類

さて、次世代暗号技術のことを述べてきましたが、ここで、従来の暗号技術、すなわち現在主流の暗号技術について確認してみましょう。現在使用されている暗号技術は以下のとおりです。

暗号方式特徴主な用途主な暗号種別
共通鍵暗号 暗号化も復号も同じ鍵を使用
→処理が高速
→鍵の管理が煩雑
ファイルの暗号化DES
Triple DES
RC5
AES
公開鍵暗号 公開鍵と秘密鍵を作成して暗号化と復号で異なる鍵を使用
→セキュリティ強度が高い
→鍵の管理が容易
→処理は低速
共通鍵の鍵配送
電子署名
電子証明書
RSA
DSA
DH(Diffie-Hellman)
ECC(Elliptic Curve cryptosyste:楕円曲線暗号)
ハイブリッド暗号 共通鍵暗号の受け渡しには公開鍵暗号を、データ自体の暗号化には共通鍵暗号を使用
→安全性が保たれたうえで高速な処理が可能
SSL/TLS(HTTPS通信)鍵交換:DH
暗号化:AES、Camellia

共通鍵暗号と公開鍵暗号を組み合わせた「ハイブリッド暗号」には、身近な利用例として、SSL/TLSがあります。HTTP通信をSSL/TLSによって暗号化するHTTPS通信です。共通鍵暗号と公開鍵暗号のそれぞれの長所を組み合わせることで、セキュリティ強度の高い暗号化を実現し、通信の安全性を高めています。

暗号化されていないデータの活用リスク

このように、暗号技術は情報セキュリティの基盤技術として、インターネット通信、電子署名、ファイルやデータベースの暗号化等に活用され、安全な事業活動に寄与しています。

ここで気をつけたいのが、通信上を流れるデータには注意を払っていても、自組織内で保存する重要なデータが平文のまま、というケースです。これは、ビジネス上の非常に大きなリスクとなり得ます。ここでは主に二つのリスクが考えられます。一つ目は、攻撃者の侵入を許してしまった場合、使用可能な状態の情報にアクセスを許してしまうことによる情報漏洩のリスク、二つ目が内部による犯行を誘発するリスクです。過去には実際に、保存データが平文であったことで深刻な情報漏洩となってしまった例が存在します。

暗号化されていなかったことにより個人情報が漏洩した事例

2020年
通販サイト(日)*8
約6,300件漏洩
パスワードを平文で保存
2020年
カード決済事業者(米)*9
約250万件漏洩
クレジットカード情報を平文で保存
2019年
ファイル送信サービス(日)*10
約480万件漏洩
パスワードを平文で保存
⇒サービス終了
2018年
航空会社(中)*11
940万件漏洩
バックアップファイルを平文で保存
⇒多額の制裁金等
2017年
信用情報機関(米)*12
約1億4,500万件漏洩
ユーザデータを平文で保存
⇒格付け引き下げ、
多額の制裁金等
2014年
通信教育会社(日)*13
約3,500万件漏洩
内部関係者による犯行
⇒刑事裁判での過失責任認定等

仮に攻撃者の侵入を許してしまったとしても、暗号化でデータを保護することによって、情報漏洩の被害を防ぐことが可能です。また、ランサムウェアの二重脅迫*14や、内部犯行に対しても暗号化は有効です。

安全な暗号技術導入のために必要なポイント

では、取りあえず暗号技術を導入していれば安心かというと、決してそんなことはありません。

暗号化を実装したつもりで、実はこんな状態になっている、ということはないでしょうか。

●一部の個人情報や機密情報といった重要情報がHTTP通信で送信されている
●サーバ証明書が期限切れである
●信頼できない認証局SSL/TLS証明書を使用している
●危殆化した暗号アルゴリズムや鍵長を利用しているプラットフォームがある
●ソースコードに独自の暗号化関数(またはライブラリ)を実装している
●ソースコードにおいて暗号鍵がハードコード(※)されている

※ハードコード… 本来、ソースコード内には記述すべきではない処理や値を直接書き込むこと。(例:税率など)動作環境や利用条件に応じて処理や値を変更する場合、対応が困難になる。

各プロトコルのサポート状況(2024年5月3日時点)

例えば、前述した「ハイブリッド暗号」で触れたSSL/TLSの実情について見てみましょう。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2024年6月19日に公開した「TLS暗号設定ガイドライン第3.1.0版」では、暗号化通信のプロトコルバージョンについて、TLS 1.3を推奨し、TLS1.0 や TLS1.1についてはセキュリティ例外型のみで利用可能としています。しかしながら、TLS 1.1以下をサポートしているサイトがいまだ全体の3割程度存在することがわかります(グラフ参照)。たとえブラウザで無効化されていたとしても、攻撃者がブラウザを経由せずサーバを攻撃する恐れがあるため、TLS 1.1以下の接続を許容すること自体がリスクとなります。早急にTLS 1.1以下での接続可否を確認し、接続が可能な場合は対処を実施するべきです。

自組織の現状確認、最新の暗号技術動向の把握に努め、環境・リスクに応じた適切な暗号技術の実装を行う必要があるでしょう。

安全に暗号技術を活用するためにやっておくべきこと

せっかくコストをかけて暗号技術を導入していても、適切に実装できていなければ宝の持ち腐れになってしまいます。まずは自組織の暗号化実装がセキュリティ対策として実効性のあるものか、現状の確認を行うことを推奨します。

例えば以下のような観点でチェックすることが必要です。

環境・システムへの暗号化実装による実効性確認のポイント

●プラットフォーム
●Webアプリケーション
●API
●スマホアプリ
●クラウドサービス

確認方法の例

●システム脆弱性診断
●PCI DSS準拠チェック
●ソースコード診断
●クラウド設定チェック(CISベンチマーク、ベストプラクティス適合度)
●ペネトレーションテスト

現状、適切な暗号技術の実装がなされていれば、来る次世代暗号技術への移行準備を実施する段になっても、スムーズに対応することができるでしょう。

参考情報:暗号化実装に関するガイドラインの紹介

■電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト
(CRYPTREC暗号リスト)(最終更新:2024年(令和6年)5月16日)
 総務省・経済産業省
 https://www.cryptrec.go.jp/list.html

■TLS 暗号設定ガイドライン(2024年6月19日第3.1.0版公開)
 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)・NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)
 https://www.ipa.go.jp/security/crypto/guideline/ssl_crypt_config.html

■暗号鍵管理システム設計指針(基本編)(2020年7月)
 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)・NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)
 https://www.ipa.go.jp/security/crypto/guideline/gmcbt80000005u7d-att/ipa-cryptrec-gl-3002-1.0.pdf

■SP 800-57 Part 1: Recommendation for Key Management: Part 1 – General」(2020年5月4日)
 NIST(米国立標準技術研究所)
 https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/SpecialPublications/NIST.SP.800-57pt1r5.pdf

■SP 800-175B: Guideline for Using Cryptographic Standards in the Federal Government: Cryptographic Mechanisms(2020年3月31日)
 NIST(米国立標準技術研究所)
 https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/SpecialPublications/NIST.SP.800-175Br1.pdf


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    WordPressとWP Engineが対立!ACFプラグイン問題で何が起きているのか?【2024年最新情報】

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    今、WordPressとWP Engineの間でプラグインをめぐる対立が勃発し、ウェブ開発業界に大きな波紋を呼んでいます。何が起きたのか?その背景と現在の影響は?ユーザにはどんな具体的な影響があるのか?そして今後の対応策や展望について解説します。ウェブサイト運営者や開発者必見の内容です。

    何が起きたのか?

    WordPressとWP Engineの対立は、単なる企業間の争いではありません。発端は商標の使い方から始まり、プラグインの管理方法、さらにはシステムの根幹にかかわる機能の変更にまで広がってしまいました。特に注目すべきは、プラグイン「Advanced Custom Fields(ACF)」をめぐる問題です。10月13日、WordPress側が「Secure Custom Fields(SCF)」として名称を変更し、独自にリリースしたことが業界全体に大きな波紋を呼んでいます。

    現在の影響と対応

    WordPressとWP Engineの対立は、多くのユーザに実務的な影響を及ぼしています。最も深刻なのは、プラグインの自動更新が停止されたことです。これにより、多くのウェブサイト運営者は手動での更新作業を強いられています。また、セキュリティ面での懸念も高まっており、特に中小企業のウェブサイト管理者にとって大きな負担となっています。

    今、ユーザにどんな影響が?

    誰もが一番困ってしまうのは、プラグインの自動更新が止まってしまったことです。今までボタン一つで済んでいた更新作業を、手動でやらなければならなくなりました。特に中小企業のサイト管理者の方々は、この対応に頭を悩ませています。セキュリティ面での心配も出てきているのです。

    何が問題になっているの?

    大きく分けると2つの問題があります。一つ目が、「WordPress」という名前の使い方です。WP Engineの使い方に対して、WordPress.comを運営するオートマティック社が「それは違うでしょ!」と異議となえているわけです。WP Engineは独自の開発方針を持っていますが、これがWordPressコミュニティの方向性と合致していないことが問題視されています。二つ目が、WP Engineがパフォーマンス向上を目的としてWP Engineが一部機能を無効化したことです。このコア機能の変更に関して、ユーザデータの保護の観点から批判が出ています。

    業界全体への影響は?

    この対立は、WordPress関連の業界全体に波紋を広げています。プラグイン開発者たちは、開発方針の見直しを迫られています。また、ホスティング業界全体にも波及効果があり、オープンソースコミュニティのあり方について、新たな議論が巻き起こっています。

    どう対応すればいい?

    現状では、ウェブサイト運営者は定期的な情報確認が不可欠です。公式ブログやフォーラムでの最新情報をチェックし、必要に応じて代替策を検討する必要があります。特に重要なのは、独自のセキュリティ対策を強化することです。定期的なバックアップの実施や、セキュリティ監視の強化が推奨されます。もしものときのために、セキュリティ対策も見直しておくと安心です。

    この先どうなるの?

    この問題の解決には時間がかかると予想されます。両者の交渉は継続していますが、法的な解決を含めて様々な可能性が検討されています。現在の混乱した状況が、新しいセキュリティ体制の構築につながるきっかけとなる可能性もあるでしょう。

    まとめ

    今回の騒動は、オープンソースのソフトウェアを商業的に使う際の難しさを浮き彫りにしました。この状況下では、ユーザが自身の環境に合わせた適切な対応を取ることが重要です。情報収集を怠らず、必要に応じて専門家に相談することも検討すべきでしょう。状況は日々変化していますので、継続的な注意が必要です。

    ※この記事は2024年10/15の状況を基に作成されています。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

    参考情報:


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    APIとは何か(1)~基本概念とセキュリティの重要性~

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    APIは、システム間のデータや機能のやり取りを円滑にするために欠かせない技術です。しかし、その利便性の反面、APIのセキュリティリスクも増大しています。本シリーズでは数回にわけて、APIの本質的な役割から、セキュリティリスクとその対策までを解説していきます。シリーズ第1回目の今回は、APIの基本的な定義から、その仕組みや連携方法、そしてセキュリティ上の課題について学びます。

    APIとは

    API(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、ソフトウェアの機能を他のプログラムでも利用できるようにするための仕組みです。APIは、アプリケーションやサービスが外部のプログラムと情報や機能を共有する際の「インターフェース」として働き、異なるプログラム同士の連携を可能にします。例えば、地図情報を提供するアプリがAPIを利用して他のアプリに地図データを提供することで、ユーザは別のアプリ内でもその機能を活用できるようになります。

    APIの仕組み -API連携とは-

    ソフトウェアやアプリ、プログラム同士を、APIを介して機能連携させるのが「API連携」です。あるソフトウェアに他のソフトウェアの機能を埋め込むイメージです。API連携によってソフトウェア同士が相互にデータと機能を共有できるようになります。

    【APIの活用例】

    社内業務システム : チャットAPIを活用してコミュニケーション
    会員サービスサイト : SNSアカウント認証APIでログイン
    ネットショップ : クレジットカード・認証APIで決済
    飲食店サイト : 地図情報APIで店舗位置情報表示 × 予約受付APIで予約対応

    APIのセキュリティ

    APIは異なるソフトウェア間の通信を可能にしますが、同時に攻撃者にとっての格好の標的にもなり得ます。そのため、APIを利用する企業やアプリケーション開発者にとってAPIのセキュリティ対策は重要な課題です。セキュリティリスクは他のプログラムやサービスと機能やデータを共有しているAPI特有の仕組みから生じます。APIが不適切に設計・管理されていると、未認証のアクセス、データ漏洩、機密情報の不正取得といったリスクが高まります。以下は、APIセキュリティに関する主なリスクの例です。

    • データ漏洩: APIを通じて個人情報や機密情報が漏洩するリスク
    • 不十分な認証:認証要素が不十分なことによる不正アクセスのリスク
    • サイバー攻撃:標的型攻撃、インジェクション攻撃やDoS攻撃などのサイバー攻撃を受けてしまうリスク
    • APIキーの窃取: APIキーが盗まれることによる不正利用のリスク

    APIのセキュリティはなぜ重要なのか

    スマートフォンやIoT端末の普及に伴い、様々なAPIが利用されるようになりました。SNS事業者が提供するAPIサービスやスマートフォン向けのAPIサービスがあるほか、複数のSaaSのAPIを連携させるサービスも登場しており、私たちを取り巻くあらゆるサービスで幅広く提供されています。このため、APIをターゲットにした攻撃も増加しています。
    (※APIを悪用した攻撃についてはシリーズ第2回目で解説します。)

    APIセキュリティが重要視される理由は、現代社会においてAPIがデータや機能の共有に不可欠な役割を果たしているためです。APIを通じてやり取りされるデータや機能は、悪意のある攻撃者に狙われる可能性があり、適切なセキュリティ対策がなければ、情報漏洩やシステム侵入のリスクが増大します。特に、認証や認可の不備、暗号化の欠如が原因で、機密データが外部に漏れるケースが多く見られます。また、APIは外部に公開されることが多いため、DDoS攻撃やボットによる過負荷のリスクも存在します。したがって、APIの設計段階からセキュリティを考慮し、定期的な監視や脅威の検知を行うことが、システム全体の安全性を保つために不可欠です。

    また、企業やアプリケーション開発者にとっては、信頼性と顧客データ保護に直結する重要な要素でもあります。適切なセキュリティ対策を講じることで、データの改ざんや不正アクセスを防ぎ、システムの安全性を確保することができます。

    まとめ

    (Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、ソフトウェア間で機能や情報を共有するための仕組みであり、異なるプログラム同士を連携させます。APIは、地図情報の提供やSNSアカウントの認証など、さまざまな用途で活用されており、現代のデジタルサービスには欠かせない存在です。しかし、APIはその便利さの反面、攻撃の標的にもなりやすく、セキュリティの観点から注意が必要です。APIの不適切な設計や管理は、データ漏洩、不正アクセス、サイバー攻撃のリスクを高めます。特に、認証や認可の欠如、適切に暗号化がされていないことなどにより機密情報が漏れる恐れがあります。また、外部に公開されるAPIはDDoS攻撃やボットのターゲットになることもあります。そのため、企業のセキュリティ担当者やアプリケーション開発者はAPIのセキュリティ対策を講じ、定期的な監視や脅威の検知を行うことが不可欠です。これにより、信頼性を維持し、顧客データの保護が可能となります。

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    SQLインジェクションで航空セキュリティシステムをハッキング!あなたのフライトは安全?

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    近年、航空機のセキュリティはますます厳しくなってきています。しかし、私たちが安心して空の旅を楽しんでいる裏側で、実は深刻なセキュリティ問題が潜んでいることをご存知でしょうか?この度、イアン・キャロルサム・カリーは、空港のセキュリティシステムに存在する重大な脆弱性を発見しました。この脆弱性を悪用すると、誰でも簡単に航空会社の乗組員になりすまし、セキュリティチェックなしで機内に乗り込むことが可能になります。さらには、コックピットへの不正侵入もできてしまうのです。

    KCMシステムとは?

    KCM(Known Crewmember)システムは、航空会社の乗務員がスムーズに空港のセキュリティチェックを通過できるようにするためのシステムです。乗務員は、特別なバーコードやIDを提示することで、通常のセキュリティ検査を免除されることができます。

    脆弱性の発見

    イアン・キャロルとサム・カリーが注目したのは、KCMシステムを運営しているベンダーの一つであるFlyCASSという会社でした。FlyCASSのシステムには、SQLインジェクションという脆弱性が存在しており、この脆弱性を利用することで、誰でもシステムに不正にアクセスし、乗組員の情報を自由に書き換えたり、新しい乗組員を追加したりすることが可能になっていました。

    問題の深刻さ

    この脆弱性がもたらす影響は計り知れません。

    • セキュリティの崩壊: 航空機のセキュリティの根幹を揺るがすものであり、テロなどの悪質な行為に悪用される可能性も否定できません。
    • 乗客の安全への脅威: 不正に機内に乗り込んだ人物が、機内で暴れたり、機体を操作したりする可能性も考えられます。
    • 航空業界への信頼の失墜: このような重大なセキュリティ問題が発覚した場合、航空業界全体の信頼を失墜させ、人々の航空機に対する不安感を煽る可能性があります。

    開示とその後

    イアン・キャロルとサム・カリーは、この問題の深刻性を認識し、速やかに関係各機関に報告しました。しかし、残念ながら、問題の修正には時間がかかり、また、関係各機関からの対応も遅々として進まなかったという現状があります。

    対策

    この問題を解決するためには、以下の対策が急務です。

    • 脆弱性の迅速な修正: FlyCASSをはじめとする関連企業は、脆弱性を早急に修正し、システムの安全性を確保する必要があります。
    • セキュリティ意識の向上: 航空業界全体で、セキュリティに対する意識をより一層高め、定期的なセキュリティ監査を実施する必要があります。
    • 法整備の強化: 航空機のセキュリティに関する法整備を強化し、このような事態が再び起こらないようにする必要があります。

    まとめ

    今回の発見は、航空業界のセキュリティシステムを信頼しきってはいけないことを示すものであり、私たちに大きな警鐘を鳴らしています。私たちは、この問題をきっかけに、より安全な航空業界の実現に向けて、社会全体で取り組んでいく必要があるでしょう。

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    ランサムウェア攻撃にも悪用!VMware ESXiの脆弱性(CVE-2024-37085)

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    CVE-2024-37085の解説

    1.脆弱性の概要

    • 名称:CVE-2024-37085
    • 種類:認証バイパス脆弱性
    • 対象システム:VMware ESXi(仮想マシンを管理するソフトウェア)
    • 公開日:2024年
    • 対応状況:2024年7月のアップデートで修正済み

    2.リスクと影響

    • 深刻度:中(CVSSv3.1スコア: 6.8)
    • 潜在的な被害:
      • システムへの完全なアクセス権限の取得
      • データの漏洩
      • システムの乗っ取り
    • 攻撃者の条件:十分なActive Directory (AD) 権限を持っていること
    • 影響を受ける組織:VMware ESXiを使用する企業や組織
    • 既にランサムウェア攻撃グループよる悪用が確認されている

    3.対策方法

    • パッチ適用: VMwareが提供する最新のセキュリティアップデートを速やかに適用
    • システム監視:異常なアクセスや動作を監視し、迅速に対応
    • アクセス制御:Active Directoryの権限を見直し、必要最低限の権限に制限
    • バックアップ:定期的なデータバックアップを実施し、万が一の際に備える
    • 情報収集:NVDやVMwareの公式サイトで最新情報を継続的に確認

    4.確認方法と推奨アクション

    • 使用中のVMware ESXiのバージョン情報を確認
    • 影響を受けるバージョンを使用している場合は、直ちにアップデートを実施

    5.情報の入手先

    • National Vulnerability Database (NVD):詳細な脆弱性情報
    • VMware公式サイト:パッチ情報や詳細な説明
    • GitHub:公開されているセキュリティアドバイザリ

    この脆弱性は、仮想化環境を使用する多くの組織に影響を与える可能性があるため、迅速かつ適切な対応が重要です。特に、Active Directory権限の管理とシステムの定期的なアップデートが重要な防御策となります。

    【関連リンク】

    https://nvd.nist.gov/vuln/detail/CVE-2024-37085
    https://support.broadcom.com/web/ecx/support-content-notification/-/external/content/SecurityAdvisories/0/24505

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    クラウドサービスのセキュリティ対策-クラウドサービスのセキュリティ3-

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    クラウドサービスの普及に伴い、セキュリティ対策の重要性が高まっています。本記事では、クラウド利用時に必要な適切なセキュリティ対策について、セキュリティポリシーの策定から、クラウドサービス特有の課題に触れながら解説します。クラウドサービスを安全に活用したい企業や組織のセキュリティ担当者は、クラウドの利点を最大限に活かすための指針としてぜひお役立てください。

    クラウド利用時の適切なセキュリティ対策とは

    前回記事「事例でみるクラウドサービスのセキュリティ」で述べてきたように、近年、クラウドサービスのセキュリティに関する設定が十分でなかったために、意図せず、クラウドサービスで管理している機密情報を無認証状態で外部に公開してしまい、機密情報を漏洩させてしまった事例が相次いで報告されています。クラウドサービスの設定ミスでセキュリティインシデントが多発している原因の一つとして考えられるのが、クラウドサービスを利用している企業や組織において対応すべき情報セキュリティ対策が曖昧になっていることです。クラウドサービスの利用にあたっては、アクセス制御や権限管理についてユーザ側で対応する必要があり、これらを軽視すると設定ミスが発生し、それが重大なインシデントを引き起こしかねません。設定ミスを起こさないためには、クラウドサービスにおけるセキュリティ設定を確実に確認する必要があります。

    セキュリティポリシーの策定と運用

    設定ミスを未然に防ぐために、セキュリティポリシーの作成が重要となります。セキュリティポリシーとは、組織が情報資産を保護するために策定するルールやガイドラインの総称です。これには、データの取り扱いやアクセス権の管理、セキュリティ対策の実施方法などが含まれます。セキュリティポリシーは、組織内のすべてのメンバーが遵守すべき基準を定めることで、情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを低減します。内容をルール化、明文化することで、クラウドサービスを適切に使用してもらうための具体的なマニュアル、手順書などを作成することが可能となります。

    組織のセキュリティ文書は、「基本⽅針」、「対策基準」、「実施⼿順」の構成をとることが多いです。このうち、「基本⽅針」、「対策基準」がポリシーにあたります。「実施手順」はポリシーから作成されるもので、ポリシー自体には含まないのが一般的です。

    情報セキュリティ文書の構成

    • 基本方針 情報セキュリティに対する組織の基本方針
    • 対策基準 実施するための具体的な規則
    • 実施手順 マニュアルなど対象者や用途に合わせ必要な手続き

    クラウドサービス利用に関する不安

    総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」によると、国内でクラウドサービスを利用している企業は、いまや8割近くになります。一方で、セキュリティ担当者はクラウドサービスの利用に次のような不安・課題を抱えています。

    このような不安や課題を払拭するためには、「ベストプラクティスに基づく適切な設定」「定期的なセキュリティチェック」が必要になります。ベンチマークやベストプラクティスに基づく適切な設定ができていないと、攻撃者に攻撃の隙を与えてしまいます。

    クラウドセキュリティの対策方法の一つに、クラウドサービスの設定に関わるベストプラクティス集を利用する方法があります。各クラウドベンダーから公開されており、日本語版も用意されています。CISベンチマークという第三者機関が開発したセキュリティに関するガイドラインもあります。ただし、網羅性が高く項目も多いため、必要な項目を探すには時間がかかる場合もあります。

    クラウドサービスが持つ特性

    クラウド環境のオンプレミス型とSaaS型のサービスにおけるセキュリティ上の留意点は、主にシステム特性の違いから生じます。オンプレミス型では、ユーザ側が自組織内でインフラやソフトウェアを管理するため、完全なコントロールが可能です。しかし、これは同時にセキュリティ対策の全責任をユーザ側で負うことを意味します。定期的なアップデートやパッチ適用、物理的なセキュリティ確保など、あらゆる面での対策が必要となります。一方、SaaS型では、クラウド事業者がインフラやソフトウェアの管理を行うため、ユーザ側の負担は軽減されますが、アクセス制御や暗号化など対策はユーザ側でも求められます。両者の違いを理解し、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

    また、クラウドサービスは仕様やメニューの更新が必要な場合があるため、定期的に設定の確認が必要になります。クラウドサービスを安心して利用し続けるためには、利用するシステムの特性(スピード感・システム更新頻度・従来のシステムから移行しているかなど)を理解しておくことも重要になります。

    セキュリティ設定診断の重要性

    クラウドサービスのセキュリティに関する担当者の不安を払拭するのに有効な手段の一つが第三者機関によるセキュリティ設定診断です。適切なセキュリティ設定確認を自組織内ですべて確認するためには人的リソースなどの工数がかかります。セキュリティ設定診断では、自組織が扱う設定項目の確認を自動化し、セキュリティ担当者の負担の軽減につながります。また、第三者機関による網羅的な確認により、クラウドサービス利用時のリスクを可視化することができます。

    クラウドサービスに関する設定項目の確認

    設定ミスを起こさないためには、クラウドサービスにおけるセキュリティ設定を確実に確認する必要があります。以下の表のような情報を参考に、自組織が扱う設定項目の洗い出しやチェックリストの作成、委託先などとの認識共有を行うことが、設定ミスの予防に役立つでしょう。

    出典:総務省「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン
    【図表Ⅲ.3.1-1 クラウドにおけるセキュリティ設定項目の類型と対策】より弊社作成

    設定項目のうち特に重要とされるのはアカウント管理であり、管理者などの特権アカウントについては、多要素認証や複数人でのチェック体制、ログの監視など、厳格な取り組みを行うことが強く推奨されます。

    セキュリティガイドラインの紹介

    パブリッククラウドにおけるセキュリティ設定の基準に、「CISベンチマーク」があります。CIS(Center for Internet Security)は、米国の複数の政府機関、企業、学術組織らがインターネットセキュリティの標準化に取り組む非営利団体です。OSを含む各種コンポーネントに対するベンチマークを策定しており、有効なセキュリティ評価基準として認識されています。パブリッククラウドにおいては、AWSをはじめ、Azure、GCP対応のCISベンチマークも公表されています。

    また、自組織の環境の安全性をより高めていく上で、ツールやガイドラインの活用も有効です。

    ■クラウドサービス提供者向け
    総務省
    クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)
    ■クラウドサービス利用者・提供者向け
    IPA
    中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」付録6:中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き
    総務省
    クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン
    経済産業省
    クラウドセキュリティガイドライン 活用ガイドブック

    まとめ

    近年、クラウドサービスの設定ミスによる機密情報漏洩事例が増加しています。この問題の主な原因は、クラウドを利用している企業のセキュリティ対策の不明確さにあります。設定ミスを未然に防ぐために、セキュリティポリシーの策定と運用が重要です。これは組織の情報資産保護のためのルールやガイドラインを定めるものです。クラウドサービスを利用している企業は増加していますが、セキュリティ担当者は様々な不安を抱えています。これらを解消するには、ベストプラクティスに基づく適切な設定と定期的なセキュリティチェックが必要です。クラウド環境には、オンプレミス型とSaaS型があり、それぞれ特性が異なるため、両者の違いを理解し、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

    クラウドサービスの基本的なセキュリティ対策は、従来のオンプレミス環境での対策と同様の方法です。ただし、環境によって管理する内容が異なるため、クラウド環境特有のセキュリティ対策も必要となる点に注意が必要です。クラウドセキュリティの対策のポイントとしては、ベストプラクティスにもとづいた設定の見直しと、第三者機関による定期的なセキュリティチェックを受けることです。自組織において適切な対策を実施し、セキュリティリスクを最小限に抑えましょう。

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    事例でみるクラウドサービスのセキュリティ
    -クラウドサービスのセキュリティ2-

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    クラウドサービスの利用は利便性などのメリットがある一方で、セキュリティリスクも伴います。サイバー攻撃の被害に遭った場合、データの漏洩やサービス停止に追い込まれてしまうなどのリスクがあります。実際、国内外でもクラウドサービス(SaaS)のセキュリティ設定ミスなどを原因としたセキュリティインシデントが発生しており、その影響は深刻です。本記事では、クラウドサービスの利用時におけるセキュリティリスク、具体的なインシデント事例、サプライチェーンでのセキュリティについて解説します。

    クラウドサービス利用時のセキュリティリスク

    クラウドサービスの利用が拡大する一方で、組織を脅かす要因(脅威)や様々なリスクが存在します。

    【要因(脅威)】

    • 不正アクセス:クラウド上のデータやシステムに対する未承認のアクセスは、企業情報の漏洩や改竄につながる可能性があります。
    • サイバー攻撃:DDoS攻撃やマルウェアの拡散は、サービスの停止やデータの破壊を引き起こすことがあります。
    • 内部不正:従業員や内部関係者が意図的に不正行為を行うケースがあり、これは情報の盗難や破壊に直結します。
    • 設定/管理の不備:アクセス権限の設定ミスやセキュリティパッチの適用漏れは、攻撃者にとって格好の侵入経路となります。

    【リスク】

    • 情報漏洩:クラウド上に保存されたデータが外部に流出することです。不正アクセスやサイバー攻撃、内部不正によって機密情報が漏洩すると、企業の信用が大きく損なわれ、顧客や取引先との信頼関係が崩壊する危険性があります。
    • 情報改竄(消失・破壊):クラウド上のデータが不正に改竄されたり、消失・破壊されたりすることです。サイバー攻撃や内部不正が原因でデータの整合性が失われると、業務運営に重大な支障をきたし、最悪の場合、ビジネスの継続が困難になることもあります。
    • システム停止:クラウドサービス自体が停止するリスクです。DDoS攻撃や設定/管理の不備によってシステムがダウンすると、サービス提供が一時的に停止し、顧客対応や取引が滞ることになります。これにより、企業の収益に直接的な影響を与え、長期的なビジネス成長にも悪影響を及ぼす可能性があります。

    クラウドサービスのセキュリティインシデントの例

    近年、クラウドサービスのセキュリティに関する設定が十分でなかったために、意図せず、クラウドサービスで管理している機密情報を無認証状態で外部に公開してしまい、機密情報を漏洩させてしまった事例が相次いで報告されています。以下に、国内で実際に発生したインシデントを例に挙げ、その原因、被害状況などを紹介します。

    日本国内のクラウドセキュリティインシデントの報告事例(2023年)

    報告年月 業種 原因 概要
    2023年12月 総合IT企業 設定ミス 利用するクラウドサービス上で93万5千人以上の個人情報を含むファイルが公開設定となっており、閲覧可能な状態だった*15
    2023年6月 地方公共団体 設定ミス 利用するクラウドによるアンケートフォームの設定ミスにより、申込者の個人情報が漏洩していた。*2
    2023年5月 自動車メーカー 設定ミス 関連会社が運用するクラウド環境に設定ミスがあり、管理委託する顧客約215万人分に係る情報が、外部より閲覧可能な状態だった。*3
    2023年4月 空調
    設備メーカー
    不正アクセス 利用するクラウド型名刺管理サービスで従業員になりすました不正アクセスが確認され、約2万件の名刺情報が第三者に閲覧された可能性*4

    2023年5月に公表された国内自動車メーカーの事例について判明した内容は以下のとおりです。顧客に関する情報が、長いものでは約10年もの間、外部から閲覧可能な状態となっていました。

    公表日 外部から閲覧された
    可能性のある情報
    対象 閲覧可能になっていた期間
    5月12日 車載端末ID、車台番号、車両の位置情報、時刻 2012年1月2日~2023年4月17日の間、該当サービスを契約していた約215万人 2013年11月6日~2023年4月17日
    5月12日 法人向けサービスで収集されたドライブレコーダー映像 (非公開) 2016年11月14日~2023年4月4日
    5月31日 車載端末ID、更新用地図データ、更新用地図データ作成年月 該当サービスに契約した顧客、および該当サービス契約者のうち、2015年2月9日~2022年3月31日の間に、特定の操作を行った顧客 2015年2月9日~2023年5月12日
    5月31日 住所、氏名、電話番号、メールアドレス等 日本を除くアジア・オセアニア 2016年10月~2023年5月

    本件に対しては個人情報保護委員会からの指導が入り、2023年7月には同社より以下に示した再発防止策が明示されています。サプライチェーンである委託先関連会社とも共有され、管理監督すると公表されました。自社のみならず、委託先についてもクラウド設定にセキュリティ上の不備がないか注意する必要があります。

    • 技術的安全管理措置の強化
    • 人的安全管理措置の徹底
    • 機動的な委託先管理のための見直し

    また、2023年12月7日、スマホアプリなどを提供している国内総合IT企業が、Googleドライブで管理していた一部ファイルが外部から閲覧可能な状態だったと公表しました。ファイルへのリンクを知っていれば、誰でもインターネット上でアクセス可能な状態だったといいます。インシデントの原因は、Googleドライブの閲覧範囲の公開設定を「このリンクを知っているインターネット上の全員が閲覧できます」にしていたことで、設定がされてから6年以上もの間、閲覧可能な状態となっていました。

    クラウドサービスの設定ミスでセキュリティインシデントが多発している原因の一つとして考えられるのが、クラウドサービスを利用している企業や組織が対応すべき情報セキュリティ対策が曖昧になっていることです。クラウドサービス事業者とクラウドサービスユーザはお互いにクラウドサービスに対する責任を共有する「責任共有モデル」を多くの場合採用しています。しかし、実際にはクラウドサービス利用者側でのセキュリティの当事者意識が低いというケースが散見され、そのために設定ミスによるインシデントが多発していると考えられます。

    サプライチェーンにおけるクラウドサービスのセキュリティ

    クラウド上でソフトウェアを提供するサービス「SaaS」の利用が拡大するにともない、セキュリティに関するインシデントが多く報告されています。IPA(情報処理推進機構)が2023年7月に公開した「クラウドサービス(SaaS)のサプライチェーンリスクマネジメント実態調査」によると、セキュリティインシデントの主な原因として、クラウドサービス事業者のセキュリティ対策の不足や、利用者側のセキュリティ意識の欠如が挙げられています。また、サプライチェーン全体のセキュリティ管理の不備も大きな課題となっています。特に、クラウドサービスの利用状況の可視性が低く、インシデント発生時の対応が遅れることが、被害を拡大させる要因となっています。

    さらに、同調査では、セキュリティ対策の強化が急務であるとする回答が多く寄せられました。具体的な対策としては、クラウドサービス提供者との連携強化、セキュリティ教育の徹底、サプライチェーン全体のセキュリティ監査の実施などが求められています。特に、サプライチェーン全体でのセキュリティ基準の統一と、インシデントが発生した際、迅速に対応ができる体制の構築が重要であると強調されています。

    今回のアンケート調査の結果は、サプライチェーン全体でのセキュリティ意識の向上と、具体的な対策の実行が不可欠であることを示しています。

    まとめ

    クラウドサービスの利用が拡大する一方で、様々なセキュリティリスクが存在します。主な脅威としては、不正アクセス、サイバー攻撃、内部不正、設定や管理の不備が挙げられます。これらの脅威により、情報漏洩、情報改竄、システム停止といったリスクが生じる可能性があります。

    クラウドサービスのセキュリティインシデントの例として、日本国内での具体的な事例が報告されています。例えば、総合IT企業では設定ミスにより93万5千人以上の個人情報が閲覧可能となっていたり、地方公共団体や自動車メーカーでは設定ミスにより申込者や顧客の個人情報が漏洩したりする事態が発生しています。

    クラウドサービスのセキュリティインシデントの主な原因としては、クラウドサービス事業者のセキュリティ対策の不足や、利用者側のセキュリティ意識の欠如が指摘されています。セキュリティ対策の強化が急務であり、クラウドサービス提供者との連携強化、セキュリティ教育の徹底、サプライチェーン全体のセキュリティ監査の実施などが求められています。特に、サプライチェーン全体でのセキュリティ基準の統一と、インシデントが発生した際には、迅速な対応ができる体制の構築が重要です。

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    クラウドサービスとは
    -クラウドサービスのセキュリティ1-

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    現代のビジネス環境では、利便性や柔軟性などのメリットがある、クラウドサービスの利用が急速に広がっています。クラウドサービスは、インターネットを通じて提供される様々なサービスです。本記事では、クラウドサービスの基本概念から提供形態、さらにクラウドサービスの種類やクラウドサービスを利用することで得られるメリットについて解説します。

    クラウドサービスとは

    クラウドサービスとは、インターネット環境で提供される様々なサービスのことを指します。利用者は自宅や外出先から、インターネットなどのネットワークを介してクラウドサービスにアクセスします。

    クラウドサービスとはイメージ画像
    出典:経済産業省「クラウドサービスとは?

    クラウドという名称は、ネットワークの模式図上で、インターネットなどの外部ネットワークを雲(Cloud)のような形状で表現していたことに由来しています。ひとつの雲で表されますが、実際には複数のサーバ機器やネットワーク機器で構成され、サーバにはサービスに必要なソフトウェアが導入されています。

    従来、コンピュータのハードウェアやソフトウェアは利用者が自ら保有・管理していましたが、クラウドサービスは、物理的なサーバや設備を利用者側で管理する必要がなく、利用者が必要なときに必要な分だけリソースを利用できるため、柔軟性が高く、コスト効率にも優れています。代表的な形態には、ソフトウェアを提供するSaaS、プラットフォームを提供するPaaS、インフラを提供するIaaSの3種類があります。

    クラウドサービスの提供形態

    クラウドサービスは、パブリッククラウドとプライベートクラウドという提供形態に分かれます。それぞれの特性を理解し、企業のニーズに合ったクラウドサービスを選択することが重要です。

    パブリッククラウド

    クラウド事業者が同じアプリケーションや環境を利用者に提供し、利用者が共有して使用する形態。初期費用が不要で、運用管理もクラウド事業者に任せることが可能です。パブリッククラウド(クラウド事業者)の内、特に世界的にシェアの高い3大クラウドと言われているのが以下のクラウド事業者です。

    ・AWS(Amazon Web Service)
     2006年開始の老舗クラウド。圧倒的なサービス種類の豊富さと拡張性の高さを誇る。
    ・Microsoft Azure
     機能が多く、WindowsやMicrosoft OfficeなどのMicrosoft製品との親和性が高い。
    ・GCP(Google Cloud Platform)
     Googleがクラウド上で提供するサービス群。GmailやYouTube基盤として実績あり。

    プライベートクラウド

    企業や組織が自社専用のクラウド環境を構築し、社内やグループ会社に提供する形態。プライベートクラウドにはさらに二つのタイプがあります。

    1. オンプレミス型
      自社内でインフラの構築を行い、データセンターで運用します。カスタマイズ性が高いのが特徴です。ITリソースを完全にコントロールできるため、機密性の高いデータを扱う企業に向いています。ただし、初期投資と維持費用が高く、専門のITスタッフが必要です。
    2. ホスティング型
      外部のクラウド事業者が社内専用のクラウド環境を提供します。自社での管理負担を軽減しつつ、セキュリティとカスタマイズ性を確保できます。オンプレミス型よりもコスト効率が良く、運用管理はクラウド事業者に依存するため、企業のリソースを他の業務に集中できます。

    クラウドサービスの主な種類

    企業や組織で多く使われるクラウドサービスには、主に3つの種類があります。

    IaaS(Infrastructure as a Service)

    IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で、利用者が選択したスペックやOSに合わせた、仮想的なマシン(インフラ)を提供します。利用者側で必要なアプリケーションをさらにインストールするなどして、用途に合わせてカスタマイズできます。AWS、Microsoft Azure、Google Compute Engineなどが代表的なサービスの例です。

    PaaS(Platform as a Service)

    PaaSは「Platform as a Service」の略称で、IaaSが提供する仮想マシンに加え、上位のミドルウェアを含め提供するプラットフォームです。PaaSは開発者にインフラの管理をせずにアプリケーションの構築、テスト、デプロイ、管理を行える環境を提供します。これにより、開発者はインフラの複雑な設定やメンテナンスから解放され、開発に集中できます。AWSのElastic Beanstalk、Google App Engine、Microsoft AzureのApp Servicesなどが代表的なサービスの例です。

    SaaS(Software as a Service)

    SaaSは「Software as a Service」の略で、クラウド上でソフトウェアを提供するサービスです。ユーザはソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネットを介してアクセスするだけで利用できます。SaaSの利点は、どこからでもアクセスできること、常に最新のソフトウェアを利用できること、そしてメンテナンスやアップデートがプロバイダーによって管理されることです。Google Workspace、Microsoft Office 365、Salesforce、Dropbox、Zoomなどが代表的なサービスの例です。SaaSは手軽さとコスト効率の高さから、企業で幅広く利用されています。

    クラウドサービスの特徴

    クラウドサービスには5つの特徴があります。

    1. 柔軟なリソース管理:システムの拡張・縮小が迅速に行えます。必要なときに必要なリソースを追加・削減することが可能です。
    2. オンデマンド・セルフサービス:ユーザ自身でWeb画面からシステム設定ができ、必要なサービスやリソースを自由に変更できます。
    3. リソースの共有:複数のユーザが同じリソースを共有することで、コストの最適化が図れます。
    4. 従量課金制:サービス利用量を常に計測し、使った分だけ支払う仕組みで、コストを抑えることができます。
    5. 場所を問わないアクセス:インターネットさえあれば、どこからでもアクセスでき、リモートワークや外出先での利用が可能です。

    クラウドサービス利用のメリット

    企業や組織などでクラウドサービスの利用が飛躍的に進んだ主な理由には、以下のような効果があることが挙げられます。これらはパブリッククラウド上でクラウドサービスを提供する側からみた恩恵ですが、結果的に、利用するユーザ側のメリットにもつながります。

    ※主要なパブリッククラウド事業者を利用した場合の標準的なメリットであり、利用するサービスや契約内容により異なる場合があります。

    まとめ

    クラウドサービスは、インターネットを介して提供される様々なサービスの総称です。利用者は自宅や外出先から、インターネットなどのネットワークを介してクラウドサービスにアクセスします。クラウドという名称は、ネットワークの模式図で外部ネットワークを雲のように描いたことに由来します。

    従来のコンピュータハードウェアやソフトウェアは利用者が自ら管理していましたが、クラウドサービスでは物理的なサーバや設備を管理する必要がなく、必要な時に必要な分だけリソースを利用できるため、柔軟性が高く、コスト効率にも優れています。代表的な形態には、ソフトウェアを提供するSaaS、プラットフォームを提供するPaaS、インフラを提供するIaaSの3種類があります。

    クラウドサービスの提供形態は、パブリッククラウドとプライベートクラウドに分かれます。パブリッククラウドは、クラウド事業者が提供する共用のクラウド環境で、初期費用が不要で運用管理を任せることができます。主要なパブリッククラウド事業者には、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform (GCP)があります。プライベートクラウドは、企業や組織が自社専用のクラウド環境を構築し、オンプレミス型とホスティング型の2タイプがあります。

    クラウドサービスの利用は、迅速性・柔軟性、コスト抑制、高い利便性、高い可用性などのメリットがあり、これらが利用するユーザ側の利便性向上につながっています。

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    前倒しで対処 -セキュリティを考慮したソフトウェア開発アプローチ「シフトレフト」とは-

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    シフトレフトとは、より早期の段階でセキュリティに関する問題に対処する、ソフトウェアの開発や運用の考え方です。ソフトウェアの開発工程の各フェーズにおいてセキュリティが組み込まれていないと、後工程での手戻りが発生し、修正コストもかかってしまいます。本記事では、シフトレフトによるメリットや開発におけるセキュリティ対策の実施例について解説いたします。

    シフトレフト(Shift Left)とは

    セキュリティにおける 「シフトレフト(Shift Left)」 とは、より早期の段階でセキュリティに関する問題に対処する、ソフトウェアの開発や運用の考え方です。元々この概念は仕様を満たしているか等の検証に対するソフトウェアテストのジャンルで使われていた言葉ですが、近年セキュリティの世界で注目されています。

    ソフトウェア開発の主要工程である「設計」→「開発」→「検証」→「運用」の各プロセスは、計画書や図などで、通常左から右に向けて記載されます。図の左側(レフト)、すなわち時間軸の早い段階で脆弱性を作り込まない対策を施した開発を行えば、セキュリティリスクを低減させるだけでなく、品質向上、期間短縮、トータルコスト低減などの効果があります。

    セキュアなWebアプリケーション開発を推進する国際NPO「OWASP(Open Web Application Security Project)」もシフトレフトを推奨しており、Googleをはじめとする先進IT企業ではこの考え方を採用したシステム開発を行っています。

    シフトレフトの考え方

    シフトレフトの考え方では開発工程からセキュリティ診断を組み込むことで、スケジュールに与える影響を最小限に、また計画的かつ定期的に実施頂くことで費用面、人材面のコストを抑えつつセキュリティの堅牢性向上を見込むことができます。

    「要件定義」や「設計」等の上流工程の段階からシステム運用までの各フェーズで、セキュリティへの配慮を取り入れることが、より安全なシステムを構築するうえで重要となります。

    セキュリティを開発の最終段階で対応したのではすでに遅く、開発プロセスの全フェーズにおいて常にセキュリティ上の課題を先取りして解決しながら進めることが、テストやリリースといった最終段階での手戻りを防ぎ、結果的にトータルコストの削減と品質の向上に寄与します。

    「シフトレフト」と「セキュリティ・バイ・デザイン」「DevOps」「DevSecOps」との違い・関係

    シフトレフトと関連する言葉に、「セキュリティ・バイ・デザイン」「DevOps(デブオプス)」「DevSecOps(デブセックオプス)」などがあります。

    「セキュリティ・バイ・デザイン(SBD:Security by Design)」とは、開発の企画・設計段階からセキュリティを考慮することです。

    「DevOps(デブオプス)」は、ソフトウェア開発チーム(Developer)と運用チーム(Operations)が互いに協力し合い、ソフトウェアとサービスのクオリティを向上させます。「DevSecOps(デブセックオプス)」は、開発チームと運用チームに、セキュリティチーム(Security)が加わり、セキュリティを含めトータルコストを低減しつつ、さらなるクオリティ向上を実現する仕組みです。

    セキュリティ・バイ・デザインは概念、DevSecOpsは体制運用、そしてシフトレフトは工程管理の考え方ですが、いずれも、事故やトラブルが起こってから、あるいは脆弱性が見つかってから、といった事後対応のセキュリティ対策ではなく、事前対応、すなわち前倒しで実践する点で一致しています。

    シフトレフトによって向上する品質

    たとえば、ビルを建てた後になってから、建物の基礎部分に問題が見つかったら改修は容易ではありません。また、社会的な信頼も大きく損なうことでしょう。ソフトウェアも同じで、問題発見が早いほど、改修に必要な労力、費用、時間は少なくてすみますし、信用失墜の危険性も軽減できます。

    リリース直前の脆弱性診断でWebアプリケーションに脆弱性が発見されたら、手戻り分のコストがかかるだけではなく、リリース日の遅れや、機会損失の発生を招き、ステークホルダーのビジネスにまで影響を及ぼしかねません。シフトレフトの考え方でセキュリティに配慮しながら開発を進めれば、こうしたリスクを低減でき、ソフトウェアの信頼度が高まります。

    シフトレフトによるトータルコスト低減メリット

    セキュリティに配慮せず開発を行えば、短期的にはコストを抑え、開発期間を短くすることができるでしょう。しかし、リリース後の運用過程で、もしサイバー攻撃による情報漏えいや知的財産の窃取などが起こったら、発生した損失や対応費用など、長期的に見たコストはより大きくなるでしょう。

    こうしたトータルコストの低減効果こそ、シフトレフトによるセキュアな開発および運用の真骨頂です。

    シフトレフトとは、発生しうるトラブルに事前に備えるということです。病気にならないように運動をしたり、食生活に気をつけたりといった、ごくごくあたりまえのことです。

    つまり、これまでのソフトウェア開発は、その当たり前をやっていなかったとも言えます。シフトレフト、セキュリティ・バイ・デザイン、 DevSecOpsという言葉がいろいろな場面で見られるようになったことは、開発現場が成熟してきた現れでもあります。今後、こういった開発プロセスが新常識となっていくことでしょう。

    シフトレフトを普及させた裁判の判決とは

    ここで、セキュリティ視点でのシフトレフトの考え方を日本に普及させるきっかけのひとつになったとされる、2014年の、ある裁判の判決をご紹介します。

    とある企業の開発依頼で納品されたオンラインショッピングのシステムに、SQLインジェクションの脆弱性があったことで、不正アクセスによる情報漏えい事故が発生しました。依頼した企業は、開発会社がセキュリティ対策を怠っていたことを債務不履行として提訴、東京地方裁判所がそれを認め、開発会社に約2200万円の損害賠償支払いを命じました( 平成23年(ワ)第32060号 )。ただし、全面的に開発会社の落ち度としたわけではなく、発注会社側が責務を果たしていない点については、相当程度の過失相殺を認めています。

    この判決は、これまで技術者がいくらセキュリティの必要性を説いても首を縦に振らなかった、セキュリティよりも利益を重視していた「開発会社の経営管理層」と、セキュリティよりもコストと納期を重視していた「発注者」の考えを変えるインパクトを持っていました。

    将来事故が起こらないよう、トータルコストを抑えセキュリティに配慮した開発を行う有効な方法としてシフトレフトが採用されたのは、ごく自然なことといえるでしょう。

    シフトレフトに基づく開発におけるセキュリティ対策の実施例

    シフトレフトに基づく開発におけるセキュリティ対策の実施例は以下のとおりです。

    ●セキュリティ・バイ・デザイン
    まず、セキュリティ・バイ・デザインの考え方に基づいて、企画・設計段階からセキュリティを考慮しましょう 。

    ●セキュアな開発環境
    開発は、脆弱性を作り込まないようにするフレームワークやライブラリなど、セキュアな開発環境を活用して行います。

    ●ソースコード診断
    開発の各段階で、プログラムコードに問題がないかを適宜検証するソースコード診断を実施します。

    ●脆弱性診断
    もし、どんなセキュリティ要件を入れたらいいかわからなくても、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)などの専門機関がいくつもガイドラインを刊行しています。「このガイドラインを満たすような開発を」と依頼して、それを契約書に記載しておけばいいでしょう。ガイドラインの中身を完全に理解している必要はありません。

    リリース前や、リリース後の新機能追加等の際には、必ず事前に脆弱性診断を行います。また、脆弱性が悪用された場合、どんなインシデントが発生しうるのかを、さらに深く検証するペネトレーションテストの実施も有効です。

    シフトレフト視点での発注の仕方

    シフトレフトは主に開発者側の考え方です。では、ソフトウェア開発を依頼する発注者はどうすればいいのでしょうか。

    まず、発注の際には必ずセキュリティ要件を入れましょう。納品されたシステムやWebアプリケーションにセキュリティの問題が発見された際に対応を要求しやすくなります。

    もしそれによって見積額が上がったら、トータルコストのこと、シフトレフトというこれからの新常識のことを思い出していただきたいと思います。

    ・安全なウェブサイトの作り方(IPA)
    https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity.html

    シフトレフトの実現に向けて

    とはいえ、今回ご紹介したシフトレフトの考え方が社会に広く普及するまでには、もう少し時間がかかりそうです。

    システムライフサイクルの早い工程(シフトレフト)でのセキュリティ対策の実施例の一つに、「ソースコード診断」があります。

    実装工程でソースコードに作り込んでしまった脆弱性を検出するのが、「ソースコード診断」です。ソースコード診断では、他の種類の脆弱性診断では検出しづらい潜在的な脆弱性を、
    開発ライフサイクルのより早い工程で洗い出すことが可能です。他の脆弱性診断に先駆けて実施されるべき診断と言えます。

    セキュアコーディングを実践しつつ、ソースコード診断を効率的に行うためには、自動診断ツールを利用するのも有効です。静的コード解析を行うソースコード診断ツールの選定においては、以下のような点がポイントとなるでしょう。

    SQAT.jp を運営する株式会社ブロードバンドセキュリティが、リリース直前のWebサービスに脆弱性診断を行うと、山のように脆弱性が発見されることがあります。

    その脆弱性の中には、2014年の裁判で開発会社の債務不履行とされたSQLインジェクションのような、極めて重大なものが含まれていることも多くあります。

    業界が成熟し、シフトレフトによるセキュリティ対策が実践されていけば、脆弱性診断というサービスの位置づけ自体が将来変わることすらあるかもしれません。たとえば自動車のような、安全規格に基づいて設計製造された製品における出荷前の品質チェック、あるいは監査法人による会計監査のように、「きちんと行われている前提」で実施する広義のクオリティコントロール活動の一環になるかもしれません。

    SQAT.jp は、そんな未来の到来を少しでも早く実現するために、こうして情報発信を行い続けます。

    まとめ

    ・シフトレフトとは上流工程でセキュリティを組み込み、トータルコストを抑えるという考え方
    ・セキュリティを考慮せずにWebサービスを開発し提供するのは、たとえるなら建築基準法を考慮せずにビルを建ててテナントを入居させるようなもの
    ・セキュリティをコストととらえ費用を惜しむと、将来的により高い出費を余儀なくされる可能性がある
    ・シフトレフトによるセキュリティ対策には、セキュリティ・バイ・デザイン、セキュリティ要件の明示、セキュアな開発環境、早期段階から適宜に実施する各種セキュリティ診断等がある

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    IPA 情報セキュリティ10大脅威 2024を読み解く
    -サイバー脅威に求められる対策とは-

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    暗い青にセキュリティの鍵マークが浮かんでいるイメージ

    2024年1月24日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は「情報セキュリティ10大脅威 2024」(組織編)を公表しました。各脅威が自身や自組織にどう影響するかを確認することで、様々な脅威と対策を網羅的に把握できます。多岐にわたる脅威に対しての対策については基本的なセキュリティの考え方が重要です。本記事では、脅威の項目別に攻撃手口や対策例をまとめ、最後に組織がセキュリティ対策へ取り組むための考え方について解説いたします。

    注目するべきは「ランサムウェアによる被害」「内部不正による情報漏えい等の被害」

    注目するべきは「ランサムウェアによる被害」「内部不正による情報漏えい等の被害」イメージ
    出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
    情報セキュリティ10大脅威 2024」(2024年1月24日)組織向け脅威

    2024年1月24日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、情報セキュリティにおける脅威のうち、2023年に社会的影響が大きかったトピックを「情報セキュリティ10大脅威 2024」として公表しました。ここではその分析と解説、そして対策について述べていきます。

    まず注目すべき点として挙げられるのが、1位の「ランサムウェアによる被害」(前年1位)と3位の「内部不正による情報漏えい等の被害」(前年4位)です。

    「ランサムウェア感染」および「内部不正」は、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が発表している「2023セキュリティ十大ニュース」でも選考委員全員が関連事案をノミネートしたとされており、脅威の重大性が伺えます。

    そのほかの部分に目を向けると、脅威の種類は前年と変化はありませんでしたが、大きく順位が変動しているものがいくつかあります。これについては脅威を取り巻く環境が日々変動していることを反映していると考えられます。特に4位から3位に順位を上げた「内部不正による情報漏えい等の被害」と、9位から6位に順位を上げた「不注意による情報漏えい等の被害」について、どちらも人間に起因するところが大きい脅威であることは、注目に値するでしょう。

    「情報セキュリティ10大脅威 2024」 注目の脅威

    10大脅威の項目のうち、今回の記事では注目すべき脅威として、まず1位・3位・6位の脅威を取り上げて解説します。

    1位「ランサムウェアによる被害」

    ランサムウェアとは、「Ransom(身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語であり、感染したパソコンに特定の制限をかけ、その制限の解除と引き換えに金銭を要求するといった挙動をするマルウェアです。

    2017年5月12日に発生したランサムウェア「WannaCry(ワナクライ)」によるサイバー攻撃では、世界中で過去最大規模の被害が発生し、日本でも感染が確認され、国内大手企業や組織等にも被害があったことを覚えてらっしゃる方も多いでしょう。近年では、より悪質な二重の脅迫(ダブルエクストーション)型のランサムウェアによる被害が拡大しており、国内の医療機関が標的となって市民生活に重大な影響を及ぼした事案や、大手自動車メーカーのサプライチェーンをターゲットとしたサイバー攻撃も発生しています。

    <攻撃手口>

    • メールから感染させる
    • Webサイトから感染させる
    • 脆弱性を悪用しネットワークから感染させる
    • 公開サーバに不正アクセスして感染させる

    関連事例
    2023年7月にランサムウェア感染により国内物流組織の全ターミナルが機能停止するというインシデントが発生しており、重要インフラ(他に代替することが著しく困難なサービスを提供する事業が形成する国民生活および社会経済活動の基盤とされるもの)へのサイバー攻撃の重大性を世に知らしめる結果となりました。またこの事例においては既知の脆弱性が悪用されたとの報道もあります。こちらは7位「脆弱性対策情報の公開に伴う悪用増加」についてもご参照ください。

    1位「ランサムウェアによる被害」
    出典:警察庁(令和5年9月21日)「令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」 P.20
    3 ランサムウェア被害の情勢等 (2)企業・団体等におけるランサムウェア被害 より
    【図表21:ランサムウェア被害の企業・団体等の業種別報告件数】

    3位「内部不正による情報漏えい等の被害」

    「内部不正による情報漏えい等の被害」は、組織の従業員や元従業員など関係者による機密情報の漏えい、悪用等の不正行為のことで、組織に不満を持つ者や不正に利益を得ようとする者等により、機密情報や個人情報が第三者に不正に開示されることを指します。組織の社会的信用の失墜、損害賠償や顧客離れによる売上の減少といった金銭的被害、官公庁からの指名入札停止等による機会損失等、甚大な損害につながる恐れがあります。IPAの調査によると、中途退職者による情報漏えいだけでなく、現職従業員等の情報リテラシーやモラルが欠如しているために起こる不正事案も多く報告されています。

    内部不正に関してはIPAより「組織における内部不正防止ガイドライン」が作成され、現在改訂版第5版(2022年4月改定)が公開されています。改定ポイントの1番目に、内部不正による情報漏えいが事業経営に及ぼすリスクについての経営者に向けたメッセージの強化が挙げられています。こちらのガイドラインも参照し、経営者リーダーシップの元、必要な対応の実施を進めていただくことをおすすめします。

    <攻撃手口>

    • アクセス権限の悪用
    • 在職中に割り当てられたアカウントの悪用
    • 内部情報の不正な持ち出し

    関連事例
    2023年10月に大手通信会社の元派遣社員による約900万件の顧客情報が流出したというインシデントがありました。このケースでは2013年7月頃から10年にわたり、自治体や企業など59組織の顧客情報が持ち出され、第三者に流通させていた*5とのことで、影響は広範囲に及んだものと考えられます。

    3位「内部不正による情報漏えい等の被害」
    攻撃の手口(例)

    6位「不注意による情報漏えい等の被害」

    「不注意による情報漏えい等の被害」は3位の「内部不正による情報漏えい等の被害」と同様の人的要因による脅威です。代表的なものとしては「メールの誤送信」などが挙げられますが、これも細かく原因を見ていくと、メールアドレスの入力ミス、入力場所のミス、送信先アドレスのスペルミス、アドレス帳からの選択ミス、送信してはいけないファイルを勘違いして添付してしまう、送信者が気づかずに社外秘などの情報を伝達してしまうなど、原因は多岐にわたります。

    対策としては、社外に送信されるメールのフィルタリングや、添付ファイルのアクセス制限といったシステム側からの対策のほか、リテラシー教育の実施といった従業員等へのケアも重要となります。またメールの誤送信以外にも、クラウドの設定ミスや生成AIに機密情報を入力してしまうといった事例も起きており、こちらも注意が必要です。

    <要因>

    • 取り扱い者の情報リテラシーの低さ
    • 情報を取り扱う際の本人の状況
    • 組織規程および取り扱いプロセスの不備
    • 誤送信を想定した偽メールアドレスの存在

    関連事例
    2023年は、マイナンバーに他人の健康保険証情報や口座情報が紐づけられてしまうといった、マイナンバー関係のインシデントが相次いで発生しました。これを受け、デジタル庁は6月2日に「マイナンバー情報総点検本部」を設置*2し、マイナンバーに関する手続きの総点検を実施しました。点検対象となった約8200万件のうち、紐づけが間違っていた件数が約8400件あったと発表しました。その主な原因は、①目視と手作業による入力の際のミス、②各種申請時にマイナンバーの提出が義務化されておらず、提出がなかった場合の紐づけを氏名と性別だけで行っていた、③申請書に誤ったマイナンバーが記載されていた、④本人と家族のマイナンバーを取り違えた、と結論付けています。

    引き続き警戒が必要な脅威

    2位「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」

    サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃は、セキュリティ対策が手薄な関連企業や取引先企業を経由して、標的とする企業へ不正侵入をするサイバー攻撃です。攻撃手段としてランサムウェアやファイルレス攻撃などの様々な手段を用います。

    日本の会社は約9割を中小企業が占めており、大企業の関連会社、取引先企業の中には中小企業が多数あります。中小企業では大企業ほどセキュリティ対策にコストや人を費やすことができず、どうしてもセキュリティは手薄になりがちです。そのため、サプライチェーン攻撃が大きな問題となっているのです。

    <攻撃手口>

    • 取引先や委託先が保有する機密情報を狙う
    • ソフトウェア開発元や MSP(マネージドサービスプロバイダ)等を攻撃し、標的を攻撃するための足掛かりとする

    4位「標的型攻撃による機密情報の窃取」

    標的型攻撃とは、明確な意思と目的を持った攻撃者が特定の企業・組織・業界を狙って行うサイバー攻撃を指します。不特定多数の相手に無差別にウイルスメールやフィッシングメールを送信する攻撃とは異なり、特定の企業・組織・業界をターゲットにし、明確な目的を持って、保有している機密情報の窃取や、システム・設備の破壊・停止をする攻撃が行われます。長時間継続して行われることが多く、攻撃者が標的とする組織内部に数年間潜入して活動するといった事例もあります。

    <攻撃手口>

    • メールへのファイル添付やリンクの記載
    • Webサイトの改ざん
    • 不正アクセス

    5位「修正プログラムの公開前を狙う攻撃(ゼロデイ攻撃)」

    ゼロデイ攻撃とは、修正プログラム提供前の脆弱性を悪用してマルウェアに感染させたり、ネットワークに不正に侵入したりする攻撃です。セキュリティ更新プログラムが提供されるよりも早く攻撃が仕掛けられるため、ソフトウェア利用者には脅威となります。また、通常ではサポートが終了した製品には更新プログラムの提供はないため、使用を続ける限り“常にゼロデイ攻撃の脅威にさらされている”ということになります。サポートが終了した製品を継続利用している組織や個人は、サポートが継続されている後継製品への速やかな移行が必要です。

    <攻撃手口>

    • ソフトウェアの脆弱性を悪用

    「修正プログラムの公開前を狙う攻撃(ゼロデイ攻撃)」について、SQAT.jpでは以下の記事で解説しています。
    こちらもあわせてご覧ください。
    IPA情報セキュリティ10大脅威にみるセキュリティリスク―内在する脆弱性を悪用したゼロデイ攻撃とは―

    7位「脆弱性対策情報の公開に伴う悪用増加」

    ソフトウェアやハードウェアの脆弱性対策情報の公開は、脆弱性の脅威や対策情報を製品の利用者に広く呼び掛けることができるメリットがありますが、一方で、攻撃者がその情報を悪用して、当該製品への脆弱性対策を講じていないシステムを狙って攻撃を実行する可能性があります。近年では脆弱性関連情報の公開後から、攻撃が本格化するまでの時間も短くなってきています。

    修正パッチや回避策が公開される前に発見されたソフトウェアの脆弱性をゼロデイ脆弱性と呼びますが、修正プログラムのリリース後から、実際に適用されるまでの期間に存在する脆弱性は「Nデイ脆弱性」と呼ばれます。ソフトウェアの管理が不適切な企業は、対応されるまでの時間が長くなるため、被害に遭うリスクが大きくなります。

    8位「ビジネスメール詐欺による金銭被害」

    ビジネスメール詐欺は、巧妙な騙しの手口を駆使した偽のメールを組織・企業に送り付け、従業員を欺いて送金取引に関わる資金を詐取する等の金銭被害をもたらす攻撃です。ビジネスメール詐欺では、経営幹部や取引先などになりすましたメールが使われることがありますが、攻撃の準備として、企業内の従業員等の情報が狙われたり、情報を窃取するウイルスが使用されたりします。

    <攻撃手口>

    • 取引先との請求書の偽装
    • 経営者等へのなりすまし
    • 窃取メールアカウントの悪用
    • 社外の権威ある第三者へのなりすまし
    • 詐欺の準備行為と思われる情報の窃取

    9位「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」

    2020年新型コロナウイルス対策として急速なテレワークへの移行が求められ、自宅等社内外からVPN経由での社内システムへのアクセス、Zoom等によるオンライン会議等の機会が増加しました。こうしたテレワークの業務環境に脆弱性があると、社内システムに不正アクセスされたり、Web会議をのぞき見されたり、PCにウイルスを感染させられたりする恐れがあります。

    テレワークのために私物PCや自宅ネットワークの利用、VPN等のために初めて使用するソフトウェアの導入等、従来出張用や緊急用だったシステムを恒常的に使っているというケースでは、セキュリティ対策が十分であるかの確認など、特に注意が必要です。

    <攻撃手口/発生要因>

    • テレワーク用製品の脆弱性の悪用
    • テレワーク移行時のまま運用している脆弱なテレワーク環境への攻撃
    • 私有端末や自宅のネットワークを利用

    10位「犯罪のビジネス化(アンダーグラウンドサービス)」

    犯罪に使用するためのサービスやツールがアンダーグラウンド市場で取引され、これらを悪用した攻撃が行われています。攻撃手法は、脆弱性の悪用やボットネットによるサービス妨害攻撃、ランサムウェアの感染など攻撃者が購入したツールやサービスによって多岐にわたります。

    攻撃に対する専門知識に詳しくない者でもサービスやツールを利用することで、容易に攻撃を行えるため、サービスやツールが公開されると被害が広がる恐れがあります。ランサムウェアやフィッシング攻撃を含め、様々なサイバー攻撃の高度化や活発化の原因にもなっている脅威です。

    <攻撃手口>

    • ツールやサービスを購入し攻撃
    • 認証情報を購入し攻撃
    • サイバー犯罪に加担する人材のリクルート

    「犯罪ビジネス化(アンダーグラウンドサービス)」について、SQAT.jpでは以下の記事で解説しています。
    こちらもあわせてご覧ください。
    IPA 情報セキュリティ10大脅威からみる― 注目が高まる犯罪のビジネス化 ―

    脅威への対策

    世の中には今回ご紹介したIPA「情報セキュリティ10大脅威」以外にも多数の脅威が存在し、脅威の種類も多岐にわたりますが、セキュリティ対策の取り組みには、基本的なセキュリティ対策こそが効果的であるという前提に立って、今一度自組織のセキュリティを見直すことが重要です。

    セキュリティ基本10項目

    • 標的型攻撃メール訓練の実施
    • 定期的なバックアップの実施と安全な保管(別場所での保管推奨)
    • バックアップ等から復旧可能であることの定期的な確認
    • OS、各種コンポーネントのバージョン管理、パッチ適用
    • 認証機構の強化(14文字以上といった長いパスフレーズの強制や、適切な多要素認証の導入など)
    • 適切なアクセス制御および監視、ログの取得・分析
    • シャドーIT(管理者が許可しない端末やソフトウェア)の有無の確認
    • 攻撃を受けた場合に想定される影響範囲の把握
    • システムのセキュリティ状態、および実装済みセキュリティ対策の有効性の確認
    • CSIRTの整備(全社的なインシデントレスポンス体制の構築と維持)

    組織全体で対策へ取り組みを

    サイバー攻撃は手口がますます巧妙化し、手法も進化を続けています。基本対策を実践するのはまず当然として、被害前提・侵入前提での対策も考える必要があります。

    侵入への対策
    目的:システムへの侵入を防ぐ
      侵入後の対策
    目的:侵入された場合の被害を最小化する
    ・多要素認証の実装 ・不要なアカウント情報の削除(退職者のアカウント情報など)
    ・公開サーバ、公開アプリケーションの脆弱性を迅速に発見・解消する体制の構築
    ・VPNやリモートデスクトップサービスを用いる端末
    ・サーバのバージョン管理(常に最新バージョンを利用) ・ファイアウォールやWAFによる防御 など 
      ・社内環境におけるネットワークセグメンテーション
    ・ユーザ管理の厳格化、特権ユーザの限定・管理(特にWindowsの場合)
    ・侵入検知(IDS/IPSなど)、データバックアップといった対策の強化
    ・SIEMなどでのログ分析、イベント管理の実施
    ・不要なアプリケーションや機能の削除・無効化
    ・エンドポイントセキュリティ製品によるふるまい検知の導入

    リスクの可視化をすることで実際にどこまで被害が及ぶのかを把握し、実際に対策の有効性を検証したうえで、企業・組織ごとに、環境にあった対策を行い、万が一サイバー攻撃を受けてしまった場合でも、被害を最小限にとどめられるような環境づくりを目指して、社員一人一人がセキュリティ意識を高めていくことが重要です。

    BBSecでは

    当社では様々なご支援が可能です。お客様のご状況に合わせて最適なご提案をいたします。sqat.jpのお問い合わせページよりお気軽にお問い合わせください。後日営業担当者よりご連絡させていただきます。

    SQAT脆弱性診断

    BBSecの脆弱性診断は、精度の高い手動診断と独自開発による自動診断を組み合わせ、悪意ある攻撃を受ける前にリスクを発見し、防御するための問題を特定します。Webアプリケーション、ネットワークはもちろんのこと、ソースコード診断やクラウドの設定に関する診断など、診断対象やご事情に応じて様々なメニューをご用意しております。

    ペネトレーションテスト

    「ペネトレーションテスト」では実際に攻撃者が侵入できるかどうかの確認を行うことが可能です。脆弱性診断で発見したリスクをもとに、実際に悪用可能かどうかを確認いたします。

    ウェビナー開催のお知らせ