記録破りのDDoS攻撃!サイバー脅威の拡大と企業が取るべき対策とは?

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近年、DDoS攻撃の規模と頻度が急激に増加しており、企業や組織にとって無視できない脅威となっています。特に、2024年第4四半期には、過去最大規模となる5.6テラビット毎秒(Tbps)のDDoS攻撃が確認され、サイバー攻撃の新たな段階へと突入したことがわかりました。この攻撃は、わずか80秒間で1万3,000台以上のIoTデバイスを利用して実行され、Cloudflare社のDDoS防御システムによって自動的に検出・ブロックされました。

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DDoS攻撃の増加と進化する手口

2024年第4四半期には、Cloudflare社が軽減したDDoS攻撃の件数が690万件にのぼり、前四半期比16%、前年比83%の増加を記録しました。さらに、1Tbpsを超える大規模攻撃の件数は前四半期比で1,885%も増加し、これまで以上に大規模な攻撃が常態化しつつあります。

HTTP DDoS攻撃では、既知のボットネットによる攻撃が全体の73%を占め、11%は正規のブラウザを装った攻撃、10%は疑わしいHTTPリクエストによる攻撃でした。ネットワーク層(L3/L4)攻撃では、SYNフラッド(38%)、DNSフラッド(16%)、UDPフラッド(14%)が主要な手法として確認されています。また、Miraiボットネットの亜種による攻撃が特に顕著であり、2024年第4四半期には、この攻撃手法の使用頻度が131%も増加しました。

企業が直面するDDoS攻撃のリスクとは?

DDoS攻撃がもたらす影響は多岐にわたります。最も直接的な被害は、システムのダウンによる業務停止であり、企業の信用低下や顧客離れにつながる可能性があります。また、近年増加している「ランサムDDoS攻撃(Ransom DDoS)」では、攻撃を受けた企業が身代金の支払いを要求されるケースが増えています。2024年第4四半期には、Cloudflare社の顧客でDDoS攻撃を受けた顧客のうち、12%が身代金の支払いを求められ、前年同期比で78%の増加を記録しました。

業界別にみると、通信業界が最も多くの攻撃を受け、次いでインターネット関連業界、マーケティング・広告業界が標的となっています。特に、金融業界は依然としてサイバー犯罪者にとって魅力的なターゲットとなっており、資金詐取を目的とした攻撃が増加しています。

DDoS攻撃から企業を守るための対策

DDoS攻撃の脅威が拡大するなか、企業は効果的な防御策を講じる必要があります。特に、以下のような対策が推奨されます。

  1. 常時オンのDDoS防御システムの導入
    DDoS攻撃の多くは短時間で発生するため、人間の対応では間に合わないケースが多いです。自動検知・防御機能を備えたDDoS対策ソリューションを導入することで、攻撃を迅速に無力化できます。
  1. ネットワーク層とアプリケーション層の両方を保護
    DDoS攻撃には、L3/L4(ネットワーク層)攻撃とL7(アプリケーション層)攻撃があります。両方の層に対する防御対策を講じ、ファイアウォールやWAF(Web Application Firewall)を活用することが重要です。
  1. ゼロトラストアーキテクチャの採用
    攻撃者の侵入を最小限に抑えるために、ゼロトラストモデルを導入することも有効です。認証・認可プロセスを強化し、アクセス制御を厳格化することで、不正なトラフィックを遮断できます。
  1. クラウドベースのDDoS対策の活用
    オンプレミスのDDoS対策はコストが高く、攻撃の規模が拡大するにつれて対応が難しくなります。クラウドベースのDDoS防御サービスを活用することで、スケーラブルなセキュリティ対策を実現できます。
  1. 定期的な脆弱性診断とインシデント対応計画の策定
    攻撃のリスクを最小限に抑えるために、定期的なセキュリティ監査を実施し、DDoS攻撃を想定したインシデント対応計画を策定することが不可欠です。特に、SLA(サービスレベルアグリーメント)を明確にし、攻撃発生時の対応フローを事前に決めておくことが重要です。

今後のDDoS攻撃トレンドと企業が取るべきアクション

DDoS攻撃は今後さらに巧妙化し、大規模化すると予想されています。特に、AIを活用したボットネット攻撃や、IoTデバイスを悪用した攻撃が増加する見込みです。さらに、特定の企業や業界を標的とした「高度な標的型攻撃(APT)」の手法がDDoS攻撃にも応用される可能性があります。

企業は、単に防御するだけでなく、プロアクティブなセキュリティ戦略を採用し、攻撃を未然に防ぐ体制を構築する必要があります。DDoS攻撃はもはや一部の企業だけの問題ではなく、あらゆる業界にとって喫緊の課題となっています。

常に最新の脅威情報を把握し、効果的な防御策を講じることで、企業のシステムとデータを守ることができます。DDoS攻撃のリスクを最小限に抑えるためには、今すぐ適切な対策を実施することが求められるでしょう。


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    長期休暇中のセキュリティ対策
    ―休暇を狙って猛威をふるうランサムウェアやフィッシング攻撃:増加傾向と対策―

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    長期休暇(前・中・後)に企業や個人がサイバー攻撃の標的になりやすくなる理由は、多岐にわたります。本記事では、長期休暇に増加する主なサイバー攻撃のタイプを紹介し、地域別および産業別の影響について触れ、企業や個人がサイバー攻撃に備えるための対策方法について解説します。これにより、読者がより安心して長期休暇を過ごせるために役立つ情報提供となれば幸いです。

    長期休暇中にサイバー攻撃が増えやすい理由

    長期休暇、特に年末年始やゴールデンウィーク、お盆休み、シルバーウイークなど、大型連休中にはサイバー攻撃が増加する傾向にあります*1。これは以下の理由によるものです。

    • 企業のセキュリティ体制が手薄になる
    • 個人ユーザによるオンラインショッピング利用やSNS投稿が増える
    • 攻撃者が休暇中のユーザの油断を狙う

    主なサイバー攻撃タイプ

    長期休暇中に増加する主なサイバー攻撃には以下のようなものがあります。

    • フィッシング攻撃
      個人を狙って特別セールやイベントを装った偽のメールやウェブサイトが増えます。
    • ランサムウェア攻撃
      企業のセキュリティ体制が弱まる時期を狙って、データを人質に取る攻撃が行われます。
    • DDoS攻撃
      オンラインサービスの需要が高まる時期に、サービスを妨害する攻撃が増加します。

    参考:解説動画 アナリストが語る「今月のセキュリティトピック」2024年7月版
    攻撃・インシデント関連(再生時間:13:23)
    「国内大手出版グループに大規模サイバー攻撃」

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    地域別の傾向

    サイバー攻撃は世界中で発生しますが、特定の地域では休暇期間中に攻撃が顕著に増加することがあります。

    北米やヨーロッパ:クリスマスシーズンに攻撃が増加
    アジア:旧正月期間中に攻撃が増加
    日本:ゴールデンウィーク、お盆休み、シルバーウィーク、年末年始

    産業別の影響

    長期休暇中のサイバー攻撃は、特定の産業により大きな影響を与えることがあります。

    小売業:オンラインショッピングの増加に伴い、顧客データを狙った攻撃が増加
    金融サービス:年末の取引増加期に狙われやすい
    旅行・観光業:休暇予約情報を狙った攻撃が増加

    長期休暇(前・中・後)の対策

    長期休暇前

    • 緊急連絡体制の確認をする
      委託先企業を含めた緊急連絡体制や対応手順を確認します。
    • 機器接続ルールを確認する
      社内ネットワークへの機器接続ルールを確認し、遵守します。
    • 使用しない機器の電源OFFにする
      長期休暇中に使用しないサーバ等の機器は電源をオフにします。
    • データのバックアップをとる
       重要データのバックアップを行い、ランサムウェア攻撃に備えます。
    • セキュリティソフトを更新する
      セキュリティソフトの定義ファイルを最新の状態に更新します。

    長期休暇中

    • 持ち出した機器やデータの管理
      自宅等に持ち出したパソコン等の機器やデータを厳重に管理します。
    • SNS投稿の定期的に確認する
      行楽等の外出前や外出先でのSNS投稿に注意し、不在を知られないようにします。
    • 偽のセキュリティ警告の表示の確認
      ウェブサイトの閲覧中に表示される偽の警告に注意し、操作しないようにします。
    • 不審なメールやURLが届いていないかどうか確認する
      メールやショートメッセージ(SMS)、SNSでの不審なファイルやURLに注意します。

    長期休暇明け

    • 修正プログラムを適用する
      長期休暇中に公開された修正プログラムを適用します。
    • 定義ファイルを最新の状態に更新する
      セキュリティソフトの定義ファイルを最新の状態に更新します。
    • ウイルスチェックを実施する
      持ち出していた機器等のウイルスチェックを行います。
    • 不審なメールが届いていないかどうか確認する
      長期休暇明けはメールがたまっています。不審なメールには特に注意が必要です。

    企業のリスク管理

    企業が長期休暇中にリスク管理を徹底するためには以下のような対策が必要です。

    • 緊急連絡体制の確認
      委託先企業を含めた緊急連絡体制や対応手順を確認します。
    • サーバやネットワーク機器の脆弱性対策
      自組織のシステムに内在する脆弱性を可視化し、リスク状況を把握したうえで、セキュリティ対策を講じます。
    • アカウント管理
      アカウントのアクセス権限を確認し、不要なアカウントを削除します。
    • 従業員への周知
      パスワードの強化、管理の徹底を従業員に周知徹底します。

    個人の注意点

    個人が長期休暇中に注意すべき点は以下の通りです。

    • SNS投稿
      行楽等の外出前や外出先でのSNS投稿に注意し、不在を知られないようにします。
    • 偽のセキュリティ警告
      ウェブサイトの閲覧中に表示される偽の警告に注意し、操作しないようにします。
    • パソコンの初期化
      ウイルスに感染した疑いがある場合はパソコンの初期化を検討します。
    • フィッシングサイト対策
      フィッシングサイトで情報を入力してしまった場合は、パスワードの変更、カード会社への連絡等を行います。

    長期休暇中のサイバー攻撃に備えるために

    長期休暇中は、サイバー攻撃のリスクが高まるため、事前の対策が重要です。緊急連絡体制の確認や使用しない機器の電源オフ、データのバックアップなどを徹底することで、リスクを最小限に抑えることができます。休暇中も持ち出した機器やデータを厳重に管理し、SNS投稿に注意するなどの対策を講じることで、サイバー攻撃から自分を守ることができます。休暇明けには、修正プログラムの適用やウイルスチェックを行い、最新のセキュリティ状態を維持することが大切です。この企業も個人も、適切な対策を講じて安全な長期休暇を過ごしましょう。

    関連リンク

    独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「長期休暇における情報セキュリティ対策

    ランサムウェア感染リスク可視化サービス デモ動画

    またサービスのデモンストレーション動画を公開中です。こちらも併せてご覧ください。

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