情報漏洩対策とは何か ―企業が知るべき原因・リスク・防止策の全体像―

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情報漏洩対策は、単にウイルス対策ソフトを入れたり、アクセス制限を強めたりするだけでは不十分で、「何が漏れるのか」「なぜ起きるのか」「起きたときに何が起きるのか」「どう防ぐのか」を分けて整理することが重要です。なぜならば、実際の情報漏洩は不正アクセスのような外部からの攻撃だけでなく、誤送信や設定不備、委託先での事故など、日常業務の延長線上で発生することが少なくないためです。

個人情報保護委員会は、漏えい等事案への対応体制の整備や定期的な点検、見直しの必要性を示しており、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)でも企業の情報セキュリティ対策を経営課題として継続的に進める必要があるとしています。本記事では、情報漏洩対策の全体像や基本的な考え方について整理します。

情報漏洩がなぜ起きるのか、実際の原因や事例については以下の記事で詳しく解説しています。
「情報漏洩はなぜ起きるのか ―企業で多い原因と最新事例から見るリスクの実態―」

情報漏洩とは何か

情報漏洩とは、本来アクセス権限を持たない第三者に、企業が保有する情報が意図せず、あるいは不正に渡ってしまうことを指します。ここでいう情報には、顧客情報や従業員情報のような個人情報だけでなく、営業秘密、契約情報、設計情報、認証情報、メール本文、取引先とのやり取り、さらにはクラウド上で扱う業務データまで含まれます。

個人情報保護委員会が公表している「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」でも、個人データの漏えい等を防ぐために安全かつ適切な管理措置を講じるための内容が示されており、企業にとって情報漏洩は法務、経営、現場運用のすべてに関わる問題です。

近年、情報漏洩がより起こりやすくなっている背景には、業務のデジタル化が急速に進んだことがあります。クラウドサービスやSaaSの利用拡大により、データは社内サーバだけでなく外部環境にも分散して保存・共有されるようになりました。その結果、設定不備や共有範囲の誤りが事故の起点になる場面が増えています。

さらに、委託先や外部サービスを含めたサプライチェーン全体で情報を扱うことが当たり前になり、自社だけを守っていればよい時代ではなくなっています。経済産業省でも国内外のサプライチェーンでつながる関係者への目配りの必要性を明記しており、IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」でもサプライチェーンや委託先を狙った攻撃が上位に挙げられています。

情報漏洩が企業に与える影響

情報漏洩が起きた企業に生じる大きな影響は以下のとおりです。

信用低下

まず生じるのは、信用の低下です。漏洩した情報の件数や内容だけでなく、「管理が甘い企業ではないか」「再発防止ができるのか」といった不信感が、顧客や取引先、株主、採用候補者にまで広がります。情報セキュリティ事故は単発のITトラブルではなく、企業の信頼基盤そのものを揺るがす経営リスクとして扱う必要があります。経済産業省およびIPAが公開している「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0」でもサイバーリスクを経営者が主導して把握し、組織的に対処すべき課題として位置付けています。

損害賠償・対応コストの増大

漏洩の可能性が判明した後には、事実関係の調査、影響範囲の特定、本人通知、関係機関への報告、公表、問い合わせ対応、再発防止策の策定など、多くの業務が短期間に発生します。個人情報保護委員会のガイドラインでも、漏えい等事案の発生時には、調査、本人通知、報告、再発防止策の決定、公表などを行う体制をあらかじめ整備しておくことが求められています。つまり、情報漏洩対策は事故後のためにも必要であり、平時の備えが不十分だと、事故後の負担はさらに重くなります。

事業停止の可能性

さらに、情報漏洩は事業停止リスクにも直結します。不正アクセスやランサムウェア攻撃を伴うケースでは、単なる情報流出にとどまらず、システム停止や業務遅延、取引停止が同時に発生することがあります。

JPCERT/CCが2021年11月に公開した資料「経営リスクと情報セキュリティ  ~ CSIRT:緊急対応体制が必要な理由 ~」の中で、インシデント発生時には対処方針の決定、問題解決、収束、再発防止の分析、教育啓発までを含めた緊急対応体制が必要であると整理しています。情報漏洩は「漏れたら終わり」ではなく、「漏れた瞬間から事業継続の問題になる」という視点が重要です。

情報漏洩による影響や損失の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
サイバー攻撃被害コストの真実―ランサムウェア被害は平均2億円?サイバー攻撃のリスク評価で“事業停止損害”を可視化

情報漏洩が起きる主な原因

情報漏洩の原因として最も見落とされやすいのが、人的ミスです。宛先の誤送信、ファイルの添付ミス、書類の紛失、権限設定の誤り、持ち出しルール違反などは、特別な攻撃を受けなくても起こります。個人情報保護委員会の年次報告でも、書類の誤交付や紛失、誤送付といった事案が多く見られるとされています。情報漏洩という言葉から外部攻撃を想像しがちですが、実務では人の確認不足やルール運用の甘さが起点になる事故が依然として多いのが実態です。

一方で、近年無視できないのが不正アクセスによる情報漏洩です。個人情報保護法サイバーセキュリティ連絡会が公表した資料「不正アクセス発生時のフォレンジック調査の有効活用に向けた着眼点」(令和8年1月16日)でも、不正アクセス被害は近年多発しており、同委員会が受け付ける不正アクセスによる漏えい等報告件数も増加していると明記しています。また、「令和6年度個人情報保護委員会 年次報告」では、SaaS事業者への不正アクセスが多数の利用企業に影響した事案の影響も含まれるものの、不正アクセス由来の報告件数が大きく増えたことが示されています。この点は、企業が自社環境だけでなく、利用中のサービスや委託先のセキュリティ状況も確認しなければならないことを意味します。

さらに、委託先やサプライチェーン経由の漏洩リスクも大きくなっています。自社では適切に管理していても、外部ベンダー、運用委託先、クラウドサービス事業者、グループ会社のいずれかに弱点があれば、そこが侵入口になります。

情報漏洩がなぜ起きるのか、実際の原因や事例については以下の記事で詳しく解説しています。
「情報漏洩はなぜ起きるのか ―企業で多い原因と最新事例から見るリスクの実態―」

委託先や外部サービスを経由したリスクについては、サプライチェーン攻撃の記事も参考になります。
サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

企業が取るべき情報漏洩対策

企業の情報漏洩対策は、技術対策、運用対策、組織・体制整備の三層で考えると整理しやすくなります。

技術対策

アクセス制御、認証強化、ログ取得、暗号化、端末管理、バックアップ、脆弱性対応などが含まれます。ただし、技術対策だけでは事故を防ぎきれません。たとえばアクセス制御の仕組みがあっても、権限付与の運用が曖昧であれば過剰権限が残り、ログを取っていても見直されなければ不審な操作に気付けません。

運用対策

運用対策として重要なのは、ルールを定めることではなく、現場で守られる状態をつくることです。個人情報保護委員会は、安全管理措置として、組織的、人的、物理的、技術的な観点での対応を示しています。これは裏を返せば、教育や承認手続、持ち出し管理、点検、監査、見直しまで含めて初めて情報漏洩対策になるということです。従業員教育を年一回実施しただけで対策済みとは言えず、権限棚卸しやルールの実効性確認が継続して回っているかが問われます。

組織・体制整備

事故が起きたときに誰が判断し、誰が調査し、誰が報告し、誰が公表を担うのかを曖昧にしないことも重要です。個人情報保護委員会のガイドラインは、漏えい等事案の発生時に備えた報告連絡体制や対応体制の整備を求めています。また、JPCERT/CCは、緊急対応、分析、普及啓発、注意喚起、演習を含めた機能の必要性を示しています。情報漏洩対策は、製品導入の話ではなく、事故前提で回る組織づくりの話でもあります。

具体的な情報漏洩対策や運用のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「企業の情報漏洩対策 すぐに実践できる防止策と運用のポイント」

まず何から始めるべきか

情報漏洩対策を強化したい企業が最初にやるべきことは、新しいツールを入れることではなく、「現状把握」です。どの情報を、どこで、誰が、何の目的で扱っているのかが見えていなければ、守るべき対象も優先順位も定まりません。

IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」でも、情報資産を洗い出し、台帳化し、重要度に応じて管理することが実践の出発点として示されています。情報漏洩対策は、漠然とした不安に対して製品を足していくのではなく、自社の重要情報と業務フローを見える化するところから始めるべきです。さらにそのうえで、優先順位付けも必要になります。すべてを同じ強さで守るのではなく、情報漏洩時の影響が大きい情報、外部共有が多い情報、委託先を含めて扱われる情報、インターネット経由でアクセスされる情報から順に見直すほうが実務的です。また、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0」でも、リスクの識別と変化に応じた見直しの重要性が示されています。情報漏洩対策は一度整えたら終わりではなく、事業環境や利用サービスの変化に応じて見直し続ける運用そのものが重要です。

どの対策を優先すべきかについては、脆弱性管理の考え方が重要になります。以下の記事もあわせてぜひご覧ください。
脆弱性管理とは?企業が行うべき脆弱性管理の基本と実践手順【2026年版】

まとめ

情報漏洩対策とは、個人情報や機密情報が外部に漏れるのを防ぐための技術、運用、組織的な取り組み全体を指します。実際の情報漏洩は、人的ミス、不正アクセス、設定不備、委託先事故など複数の原因で発生し、企業には信用低下、対応コスト増大、事業停止といった深刻な影響をもたらします。だからこそ、企業は「攻撃を防ぐ」だけでなく、「漏れてしまう前提で備える」視点を持たなければなりません。重要なのは、守るべき情報を把握し、優先順位を付け、技術対策と運用対策と体制整備を一体で進めることです。公的ガイドラインでも、体制整備、点検、監査、教育、報告連絡体制の重要性が繰り返し示されています。情報漏洩対策は、担当者任せの部分最適ではなく、企業全体で継続的に回すべき経営課題です。

具体的な情報漏洩対策や運用のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「企業の情報漏洩対策 すぐに実践できる防止策と運用のポイント」

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IPA情報セキュリティ10大脅威2026にみる、AI時代のサイバーリスク

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近年、生成AIをはじめとするAI技術の進展により、組織におけるAIの活用は急速に広がっています。本記事では、IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」の内容をもとに、AIの利用をめぐるサイバーリスクについて整理するとともに、企業に求められる対応の方向性について解説します。

IPA「情報セキュリティ10大脅威」速報版の記事はこちら。「AIの利用をめぐるサイバーリスク」以外の脅威の項目についても知りたい方は、こちらもぜひあわせてご覧ください。
【速報版】情報セキュリティ10大脅威 2026 -脅威と対策を解説-

はじめに

業務効率の向上や新たな価値創出の手段として、多くの企業がAIの導入を進めています。一方でAI利用に伴うリスクについても、十分な注意が求められています。こうした状況を反映して、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」において、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」という脅威が初めてランクインし、3位に位置付けられました。

なぜいま「AIの利用」が脅威として注目されるのか

IPA「情報セキュリティ10大脅威」は、前年に発生した社会的影響の大きい事案等をもとに選定されたものであり、順位は単純に危険度の高さを示すものではありません。しかし、AI利用に関するリスクが新たに選出されたことは、企業や組織におけるAI活用の拡大と、それに伴う課題の顕在化を示すものといえるでしょう。

2026年3月12日に公開された、IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」解説書では、AIは有用なツールである一方で、十分な理解がないまま利用した場合、情報漏洩や権利侵害といった問題につながる可能性があると指摘されています。特に、生成AIへの入力内容が外部に取り扱われることによる機密情報の漏洩や、生成された情報の正確性を確認せずに業務に利用することによって発生するトラブルなど、従来の情報システム利用とは異なる観点でのリスクが挙げられています。 また、AIは利用者の裾野が広く、専門的な知識がなくても活用できるという特性を持っています。そのため、組織として利用状況を把握しきれないまま、個人単位で業務利用が進むケースも想定されます。このような利用形態は、管理の行き届かないリスク、いわゆるシャドーITに類似した問題を引き起こす可能性があります。

AI利用をめぐる主なリスク

IPAはAIの利用拡大に伴い、いくつかの代表的なリスクが指摘しています。これらは、AIの技術そのものというよりも、その利用方法や特性に起因するものが多い点が特徴です。

  • 情報漏洩リスク
  • 誤情報生成リスク(ハルシネーション)
  • サイバー攻撃の高度化リスク
  • 利用実態の把握困難(シャドーAI)
  • 権利侵害リスク

生成AIへの入力内容に起因する情報漏洩

クラウドサービスとして提供されるAIに対し、機密情報を入力することで、意図せず外部に情報が送信される可能性があるというリスクです。

AIの出力結果に関するリスク

対話型AIは実在しない情報を生成する(=ハルシネーション)場合があり、このことを十分に理解せずに利用すると、誤った判断や誤情報発信につながるおそれがあります。

AIの悪用によるサイバー攻撃の高度化

AIを活用することで、攻撃の効率化や手口の巧妙化が進む可能性があります。さらに、組織における利用実態の把握が難しい点も重要なリスクです。

シャドーAIのリスク

個人単位でAIサービスを利用されてしまうことで、組織の目の届かない範囲での利用が発生する可能性があります。

著作権侵害などの権利問題

AIの利用に関する理解不足により、著作権侵害などの権利問題が生じる可能性も指摘されています。

AI利用において想定される主な事例

AI利用に伴うリスクは、特別な環境でのみ発生するものではなく、日常業務の中で自然に発生し得るものです。例えば業務の効率化を目的として、従業員が個人で利用している生成AIサービスを業務に活用するケースが考えられます。メール文面の作成や資料作成の補助としてAIを利用する延長で、社内資料の内容や顧客情報をそのまま入力してしまうことがありえます。生成AIはクラウド上で動作しており、入力した内容はサービス側で処理されます。場合によっては、入力内容がサービスの改善や学習に利用されることもありえます。この点を十分に理解しないまま利用すると、機密情報を外部サービスに送信してしまうことになり、情報漏洩につながるおそれがあるのです。

また、対話型AIの回答をそのまま精査せずに業務に利用してしまうことで問題に発展する可能性もあります。調査や資料作成の過程でAIが生成した情報を十分に確認せずに利用した結果、ハルシネーションの内容を含んだまま社内外に共有してしまうといった事態が起こり得ます。このように、AI利用に伴うリスクは特定の専門領域に限らず、日常業務の延長線上で発生する点に特徴があります。

組織における課題

AIの利用が広がる一方で、組織としてこれらのリスクを適切に管理することにはいくつかの課題があります。

社内でのAI利用の促進とルールの策定のバランス

まず、AI利用に関するルールやガイドラインの整備が追いついていない点が挙げられます。現場での利用が先行する中で、組織としての利用方針が明確でない場合、統一的な管理が難しくなります。また、利用状況の把握が困難であることも大きな課題です。クラウド型のAIサービスは個人単位で容易に利用可能なため、組織として誰がどのように利用しているかを正確に把握することが難しくなります。実際には、想定以上に広範囲で利用が進んでいるケースも少なくありません。さらに、ポリシーを整備しても現場に浸透しないという課題もあります。AIは業務効率の向上に直結するため、利便性を優先してルールが守られないケースや、現場ごとに独自の運用が行われるといった状況も発生し得ます。加えて、AI利用と既存のセキュリティ対策との間にギャップが生じる点も課題です。従来のセキュリティ対策は想定していなかった利用形態が増えることで、管理や統制が追いつかない場面が生じる可能性があります。さらに、利用者への教育不足も課題の一つです。AIの特性やリスクに関する教育や周知が十分でないために、組織として意図しない利用が広がり、統制が効かなくなるおそれがあります。

このように、AIの活用においては、ルール整備や利用状況の把握といった基本的な対応に加え、実際の運用における課題も踏まえた継続的な対応が求められます。

企業が取るべきアクション

AIの利用に伴うリスクに対応するためには、個別の技術対策にとどまらず、組織としての管理と運用の整備が重要となります。AI利用に関しては、ルール整備や教育、基本的なセキュリティ対策の徹底といった観点での対応が求められています。

  1. AIの利用に関するルールやガイドラインの整備
    どのような用途でAIを利用してよいのか、入力してよい情報の範囲、利用してはならない行為などを明確に定めることで、利用に伴うリスクを一定程度抑制することが可能となります。
  2. 利用状況の把握と管理
    AIサービスは個人単位でも容易に利用できるため、組織としてどのように利用されているかを把握し、必要に応じて管理の対象とすることが重要です。これにより、管理の行き届かない利用、いわゆるシャドーAIの発生を抑制することが期待されます。
  3. AI利用者への教育
    AIの特性やリスクについて正しく理解させることで、生成結果の確認や適切な情報の取り扱いといった基本的な行動を促すことができます。技術的な制御だけでなく、利用者の理解を前提とした運用が不可欠です。
  4. 基本的なセキュリティ対策の徹底・見直し
    認証の適切な運用や情報管理の強化といった既存の対策は、AI利用においても引き続き基盤となるものです。その上で、AIの利用が業務に広く組み込まれる中では、従来の対策だけでは対応しきれない場面も想定されるため、AI利用を前提としたセキュリティの見直しや再設計が必要となる可能性もあります。

このように、AIの安全な活用には、ルール、管理、教育、AIを前提とした基本的なセキュリティ対策といった複数の観点からの継続的な取り組みが重要です。

AI時代に求められるセキュリティ支援

こうした課題に対応するためには、組織単独での取り組みだけでなく、専門的な支援の活用も有効です。以下のようなセキュリティ支援の例が挙げられます。

  • セキュリティ診断・リスクアセスメント
    AI利用に伴うリスクを把握するためのセキュリティ診断やリスクアセスメントが重要となります。現状の利用状況や潜在的なリスクを可視化することで、適切な対策の検討につなげることができます。
  • 運用監視体制の強化
    AIの利用状況を継続的に監視し、問題の早期発見や対応を行う体制を整備することで、リスクの低減が期待されます。
  • AI利用ガイドライン策定支援
    組織の実態に即したルールを整備し、現場で実際に運用可能な形に落とし込むことが求められます。

さいごに

「情報セキュリティ10大脅威 2026」において、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が新たにランクインしたことは、AI活用の拡大と、それに伴う課題の顕在化を示すものといえます。AIに関するリスクは、新たな技術そのものに起因するというよりも、その利用方法や理解不足に起因する側面が大きい点が特徴です。そのため、対策としては、ルール整備や利用状況の把握、教育といった組織的な対応に加え、基本的なセキュリティ対策を継続して実施することが重要となります。

また、IPAが示す通り、10大脅威の順位は危険度の高さを示すものではなく、自組織の状況に応じて適切にリスクを評価し、優先順位を定めて対策を講じることが求められます。 AIの活用は今後さらに進むことが想定されますが、その利便性を最大限に活かすためにも、リスクを正しく理解し、組織として適切に管理・運用していくことが重要です。


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本記事では、生成AIの利用に伴うサイバーリスクと、企業への影響について整理しました。AIの活用が進む一方で、情報漏えいや誤利用、統制の難しさといった課題が現実のものとなっています。では、こうしたリスクは実際にどのように悪用され、どのような攻撃として現れているのでしょうか。2026年4月15日に開催のウェビナーでは、生成AIを悪用した具体的な事例をもとに、サイバー脅威の実態と防御戦略を詳しく解説します。リスクの「背景」だけでなく、「実際に何が起きるのか」を理解したい方は、ぜひご参加ください。

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IPA 情報セキュリティ10大脅威からみる
― 注目が高まる犯罪のビジネス化 ―

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瓦版vol.20アイキャッチ画像(犯罪ビジネスとハッカーのイメージ写真)

近年、サイバー犯罪はビジネス化が危惧されています。これまで高度な技術をもつ人だけが実行できていたサイバー攻撃も、攻撃のための情報がサービスとして公開されていたり、ツールを活用したりすることで、誰でも容易に実行することが可能となっています。犯罪のビジネス化が進む世の中で我々が対抗できる手段はあるのでしょうか。本記事では、注目される犯罪のビジネス化としてRaaSやDDoS攻撃などのビジネスモデルをご紹介しつつ、サイバー攻撃に備えるにはどのような手段をとればいいのか、という点について解説いたします。

「犯罪のビジネス化」が「情報セキュリティ10 大脅威」に5年ぶりのランクイン

2023年1月25日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は「情報セキュリティ10大脅威 2023」(組織・個人)を発表しました。組織編の脅威に2018年を最後に圏外となっていた「犯罪のビジネス化(アンダーグラウンドサービス)」が再びランクインしました。

アンダーグラウンドサービスとは、サイバー攻撃を目的としたツールやサービスを売買しているアンダーグラウンド市場で取引が成立し、経済が成り立つサービスのことです。これらのツールやサービスを悪用することで、攻撃者が高度な知識を有していなくとも、容易にサイバー攻撃を行うことが可能となります。そのため、ランサムウェアやフィッシング攻撃といったサイバー攻撃がますます誘発され、脅威となるのです。

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2023」(2023年3月29日)組織向け脅威

ランサムウェアをサービスとして提供するRaaS(Ransomware-as-a-Service)

勢いを増しているサイバー犯罪のビジネスモデルとしてRaaS(Ransomware-as-a-Service)があります。RaaSとはランサムウェアが主にダークウェブ上でサービスとして提供されている形態のことで、RaaSを利用した攻撃者は、得た身代金の何割かを開発者に取り分として渡す仕組みになっていて、そうやって利益を得ていることなどがあります。

ランサムウェアが増加している理由についてはSQAT.jpでは以下の記事でご紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。
ランサムウェア攻撃に効果的な対策‐セキュリティ対策の点検はできていますか?‐

図1:Raasビジネスを利用した攻撃の一例

Raasビジネスを利用した攻撃の一例画像

昨今のランサムウェア攻撃の特徴として、ランサムウェア攻撃により行われる脅迫は暗号化したデータを復旧するための身代金の要求に加えて、支払わなければ奪取したデータを外部に公開するといった二重の脅迫から、さらに支払うまでDDoS攻撃(※)を行うといった三重の脅迫から、さらにはそれでも支払いを拒否された場合には、盗んだ情報をオークションで売られてしまうといった事態に発展するなど、より被害が拡大しています。
※DDoS攻撃・・・多数の発信元から大量のデータを送り付けることでサーバを停止させる攻撃のこと。

図2:データの暗号化+データの公開+DDos攻撃による三重脅迫

データの暗号化+データの公開+DDos攻撃による三重脅迫画像

また、従来のランサムウェアの攻撃の手口は不特定多数に対して無差別に行うばらまき型と呼ばれる手法でしたが、近年では攻撃手法が多様化しています。以下の表は攻撃手法と事例です。

年月攻撃手法事例
2020/6標的型ランサムウェア攻撃 国内自動車メーカーの社内システムが、EKANSの攻撃を受け、日本を含む各国拠点で一時生産停止に陥るなど大きな被害を受ける。
2022/1USBデバイスを使用した
ランサムウェア攻撃
米国で攻撃者が官公庁や有名販売サイトを装い、パソコンに接続することでランサムウェアを感染させる細工を施したUSBデバイスを送付。2021年8月には運輸および保険業界の企業、11月には防衛産業企業に送られており、FBIが注意喚起を行う*1
2022/10サプライチェーン攻撃に
よるランサムウェア感染
2022年10月の大阪府の病院を狙った事例では、同病院へ給食を提供している委託事業者のサービスを通じて、ネットワークに侵入された可能性が高いと報道があった。

取り上げた事例の詳細について、SQAT.jpでは以下の記事でご紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。
2022年6月の事例:「ランサムウェア最新動向2021 ―2020年振り返りとともに―
2022年10月の事例「拡大するランサムウェア攻撃!―ビジネスの停止を防ぐために備えを―

このように、被害者が身代金の要求により応じやすくなるような脅迫に変化し、また攻撃手法も多様化することにより、攻撃の巧妙化によって高い収益をあげられることから、今後もランサムウェア攻撃は続くことでしょう。その背景には攻撃の実行ハードルを下げるRaaSの存在があることが考えられます。

フィッシング攻撃やDDoS攻撃もサービス化へ

フィッシング攻撃とは、有名企業等になりすますなどして偽装したメールやSMSにより、本物そっくりの偽サイトに誘導したり、悪意ある添付ファイルを実行させようとしたりするサイバー攻撃です。このフィッシング攻撃により、マルウェアを使った重要情報の奪取や、ランサムウェアの感染拡大などを行う事例*2も確認されています。

2022年11月から感染が再拡大しているマルウェア「Emotet」も、この手口を利用することで拡大しました。Emotetに感染し、メール送信に悪用される可能性がある.jpメールアドレスの数は、Emotetの感染が大幅に拡大した2020年に迫る勢いとなっています。

図3:Emotetの攻撃例イメージ図

Emotetの攻撃例イメージ図画像

フィッシング攻撃もサービス化が進んでいます。2022年9月、米国のResecurity社はダークウェブにおいて二要素認証を回避する新たなPhaaS(Phishing-as-a-Service)が登場したと発表しました。このPhaaSは「EvilProxy」と命名され、二要素認証による保護を回避する手段として、「リバースプロキシ」と「クッキーインジェクション」を使用し、被害者のセッションをプロキシング(代理接続)するというものです。このような複雑な仕組みの攻撃がサービス化されたことにより、今後フィッシング攻撃がますます活発化することが考えられます。

「EvilProxy Phishing-As-A-Service With MFA Bypass Emerged In Dark Web」図
出典:Resecurity「EvilProxy Phishing-As-A-Service With MFA Bypass Emerged In Dark Web」より弊社和訳

そのほかにも、直近では米国で定額料金を支払うことで代行してDDoS攻撃を行うサービス「DDoS攻撃代行サブスクリプションサービス」を提供するサイトの運営者が逮捕される事件*3がありました。DDoS攻撃を行う目的は「金銭目的」「嫌がらせ」「抗議の手段」「営利目的」など攻撃者の背景によって異なります。逮捕に至ったこのサービスでは2000人以上の顧客を抱えており、これまでに20万件以上のDDoS攻撃を実行したと報道がありました。ここからみえてくるのは、様々な事情を抱えた攻撃者にとって、「求められているサービス」であったということです。

犯罪ビジネスサービス利用者の標的にならないために

ここまでランサムウェアやフィッシング等のサイバー攻撃がビジネス化されている例をみてきました。このように犯罪に使用するためのサービスは、アンダーグラウンド市場で取引され、これらを悪用したサイバー攻撃が行われるというビジネスモデルが存在しているのです。サービスを利用するだけで、高度な知識をもたない攻撃者であっても、容易にサイバー攻撃を行えることから、犯罪のビジネス化は今後さらに進み、特にランサムウェア攻撃やフィッシング攻撃は活発化することが考えられます。

これらの犯罪ビジネスサービス化の拡大により増えることが想定されるランサムウェア攻撃とフィッシング攻撃に対して、攻撃を行う機会を与えないために以下のような基本的な対策が有効でしょう。

ランサムウェア対策

■定期的なバックアップの実施と安全な保管
 (物理的・ネットワーク的に離れた場所での保管を推奨)
 ⇒バックアップに使用する装置・媒体は、バックアップ時のみパソコンと接続
 ⇒バックアップに使用する装置・媒体は複数用意する
 ⇒バックアップから復旧(リストア)可能であることの定期的な確認
■OSおよびソフトウェアを最新の状態に保つ
■セキュリティソフトを導入し、定義ファイルを常に最新の状態に保つ
■認証情報の適切な管理(多要素認証の設定を有効にするなど) など

フィッシング対策

■ソフトウェアを最新にするなどパソコンやモバイル端末を安全に保つ
■従業員教育を行う
 ⇒不審なメールやSMSに注意する
 ⇒メールやSMS内に記載されたURLを安易にクリックしない
 ⇒メールやSMSに添付されたファイルを安全である確信がない限り開かない
■標的型攻撃メール訓練の実施 など

なお、セキュリティ対策は一度実施したらそれで終わりというものではありません。サイバー攻撃の手口は常に巧妙化し、攻撃手法も進化し続けているためです。脆弱性診断を定期的に行うなど、継続してサイバー攻撃に備えていくことが必要です。また、セキュリティ対策を実施した後も、侵入される可能性はないのか、万が一感染した場合はその影響範囲はどの程度かといった現状把握を行い、実装したセキュリティ対策の有効性を確認することが大切です。

BBSecでは以下のようなご支援が可能です。 お客様のご状況に合わせて最適なご提案をいたします。

<侵入前・侵入後の対策の有効性確認>

BBSecでは、第一段階に侵入を防ぐ対策を行い、第二段階にもし侵入されてしまった場合に被害を最小化する対策を行うことで、多層防御を実現する、「ランサムウェア対策総点検+ペネトレーションテスト」の組み合わせを推奨しています。

※外部サイトにリンクします。

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IPA情報セキュリティ10大脅威にみるセキュリティリスク―内在する脆弱性を悪用したゼロデイ攻撃とは―

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サイバー空間と「ゼロデイ攻撃」「Log4j」のイメージ図

修正パッチが公開される前に、パッチ未適用な状態のソフトウェアやアプリの脆弱性を悪用するゼロデイ攻撃。その脆弱性の数は2021年の年間で前年比約2倍というデータもあることから、警戒が必要になってきています。ゼロデイ攻撃は完全に防ぎきることはできませんが、いまできうる対策としてはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、ゼロデイ攻撃の概要と直近のApache Log4jの脆弱性について紹介しつつ、最善策としてとりうる備えと対策についてご案内いたします。

「情報セキュリティ10大脅威 2022」に
新たに「修正プログラムの公開前を狙う攻撃(ゼロデイ攻撃)」がランクイン

2022年1月27日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」の2022年版を発表しました。そのうち、「組織」における脅威の注目すべき点として、昨年8位だった「インターネット上のサービスへの不正ログイン」に替わるかたちで、新たに「修正プログラムの公開前を狙う攻撃(ゼロデイ攻撃)」が7位にランクインしていることがあげられます。

IPA情報セキュリティ10大脅威(組織編)
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2022
(2022年8月29日)組織向け脅威
ゼロデイ攻撃の増加(グラフ)
出典:ZER0-DAY.cz tracking project「Zero-day vulnerability 2006-2022(comparison)

ゼロデイ攻撃
修正プログラムが提供される前の、修正パッチ未適用なソフトウェアやアプリの脆弱性(ゼロデイ脆弱性)を悪用した攻撃。2021年は前年と比較して、ゼロデイ脆弱性が約2倍に増加したとするデータもあり、警戒が必要である。ゼロデイ攻撃の場合、修正プログラムが提供された時点ですでに攻撃が行われているため、脆弱性対策に加え、外部からの侵入を検知/防御する機器を導入するなどの備えが重要となる*4

Apache Log4jの脆弱性

特にインパクトが大きかった修正パッチ未適用の脆弱性として、2021年末に話題となったApache Log4jの脆弱性(Log4Shell)があります。常に新しい攻撃手法を探求し続けている攻撃者たちは、すぐにこの重大な脆弱性を悪用し始めました。そして、12月から1月にかけて、Log4Shellを悪用した攻撃として、仮想通貨採掘マルウェアや「Mirai」などのボットネットやバックドアでの悪用、さらには「Conti」などのランサムウェアグループによる攻撃転用が確認されています。

Log4Shellの脆弱性概要説明(リスク・影響度・対象製品等)

Log4Shell
Javaのログ出力ライブラリであるApache Log4jの深刻な脆弱性。悪用された場合、任意のコードをリモートから実行される恐れがある。すでに世界中で大規模な脅威を及ぼしており、IPA等からもアラートが発表されている。Apache Log4jは広く使われているJavaのログ出力ライブラリであるため、本脆弱性は影響範囲が非常に大きいことが特徴となる。Javaの普及度合いについて情報セキュリティ会社の米Cybereasonは「Apacheソフトウェア財団製プログラムは世界のWebサーバの3分の1が使っている」*2としている。

Log4Shellへの備え
Log4Shellの影響範囲は非常に広いため、2013年以降にリリースされているシステムやソフトウェアなどでJavaを利用している場合は、影響を受けている可能性を前提に対応することが望まれる。影響を受ける製品情報についてはNCSC-NL(オランダ国家サイバーセキュリティセンター)が、GitHubに影響有無を公開しているので、それを参考にするのも有効である。またLog4Shell関連の情報は変化が早いことも特徴である。今日対応できていたものが、明日には対応できていない可能性もあるため、しばらくのあいだ情報収集を欠かさず、影響を受ける製品を使用している場合は、ベンダ情報にしたがってアップデートやワークアラウンドを実施するなどの対策が必要である。情報収集の際には、最新情報をベンダやJPCERT/CC等の信頼できる機関のソースを参照してもらいたい。

Log4Shellを悪用したマルウェアによる攻撃事例

① 仮想通貨マイナーをインストールするマルウェア「Kinsing」による攻撃
  PCにインストールされてしまうと、個人情報を盗み取られるだけでなく、
  CPUやメモリの計算リソースを勝手に使い込まれ、端末の処理速度を低下させ、
  最終的に故障させてしまう恐れがある *3
② 新たなランサムウェアファミリー「Khonsari」による攻撃
  WindowsのCドライブを除くすべてのファイルが暗号化され、開封しようとすると、
  身代金支払い要求の記載されたメモ帳が開かれてしまう*4
③ ランサムウェアファミリー「Conti」による攻撃
  VMware vCenter Server標的にした攻撃において、初期アクセスで侵入されたのち、
  Log4shellによって、ネットワーク上でランサムウェアを横展開されてしまう*5

ゼロデイ攻撃への対策と備え

サイバー攻撃は近年ますます洗練化・巧妙化しています。また、それに応じて日々新たな脆弱性が発見されており、いつ・だれが攻撃のターゲットになってもおかしくありません。そんな中、増加の兆しを見せているゼロデイ脆弱性を悪用した攻撃は、内在する脆弱性を狙った攻撃のため、実際に攻撃され、インシデントが起こってからでないと自組織のシステムが攻撃されていること自体に気づきにくいという特性があります。

では、この攻撃による被害を未然に防ぐために、どのような対策をとればいいのでしょうか。重要なポイントは、「自システムの状態を知り、必要な対策をとる」ということです。ゼロデイ攻撃は完全に防ぎきることは難しい攻撃です。しかし、事前に対策することで、被害をあってしまった場合の被害を小さくすることは可能です。これにはまず、基本的なセキュリティ対策の実施をすることが前提となります。脆弱性の最新情報を収集し、セキュリティ更新プログラムのアップデートを行うことをはじめ、マルウェア対策にはEDR(Endpoint Detection and Response)による監視も推奨されます。組織の端末を24時間365日体制で監視し、インシデント発生時の初動対応まで実施できるようにしましょう。そのうえで、原因や侵入経路、被害状況などを把握することで、実際に被害にあってしまった場合でも、被害を最小限にすることが可能となります。

Webサイトの脆弱性対策について、SQAT.jpでは以下の記事でご紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。
中小企業がサイバー攻撃の標的に!Webサイトのセキュリティ対策の重要性 ―個人情報保護法改正のポイント―

Log4Shellなどの深刻な脆弱性を検知するためには、企業等が提供する脆弱性スキャンツールを使用し、リスクを可視化することも重要です。また、安全性を維持するために定期的に診断を実施することも考え方の一つです。これにより、日々変化する脅威に対するシステムのセキュリティ状態を確認できるため、適時、適切な対策を実施することが可能となります。信頼できるセキュリティベンダ・専門家のサポートを検討するとよいでしょう。

BBSecでは

当社では以下のようなご支援が可能です。

脆弱性を悪用した攻撃への備え~自システムの状態を知る

本記事で紹介した「Log4Shell」のような脆弱性は日々新しい脆弱性や関連するアップデートが確認されています。こうした状況の備えとして、BBSecが提供する、デイリー自動脆弱性診断「Cracker Probing-Eyes®」では、シグネチャの見直しを弊社エンジニアが定期的に行っており、ツール診断による脆弱性の検出結果を、お客様側での簡単な操作で、日々確認、即時に適切な対応をすることが可能になります。新規設備投資不要で、コスト削減にもつながります。

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弊社診断エンジニアによる、より広範囲で網羅的な診断を検討している方は、手動で診断する、「SQAT®脆弱性診断サービス」がおすすめです。

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攻撃を受けてしまった場合の対策の有効性の確認

完全に防ぎきることは難しくても、「攻撃・侵入される前提の取り組み」を行うことで、攻撃を受けてしまった場合にも被害を最小化する対策をする、「多層防御」が重要です。詳しくは「APT攻撃・ランサムウェア―2021年のサイバー脅威に備えを―」をご確認ください。

SQAT® ペネトレーションテスト」では実際に攻撃者が侵入できるかどうかの確認を行うことが可能です。「ランサムウェア対策総点検」で発見したリスクをもとに、実際に悪用可能かどうかを確認いたします。

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産業制御システムセキュリティのいまとこれからを考える

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SQAT® Security Report 2020年春夏号

今やIoTシステムや制御系システムのセキュリティの問題は、経済的な損害だけでなく、社会的信用の失墜につながりうるものとの認識が一般的になりつつあります。特に、2020年はオリンピック・パラリンピックという国際的な大型イベントを控えており、大規模なサイバー攻撃が予想されます。こうしたイベント時に狙われる制御システムは、電気・ガス・水道や空港設備といったインフラ施設、石油化学プラントなどの制御システムなどがあげられます。

平成三十年4月にはサイバーセキュリティ戦略本部から「重要インフラにおける情報セキュリティ確保に係る安全基準等策定指針(第5版)」が公表されたものの、「サイバーセキュリティに係る保安規程・技術基準等」については未整備の業界も多く、省令の改正や国としてのガイドライン等の策定が急ピッチで進められています。こうした中、「IoTシステムや制御システムのセキュリティ」は、事業継続計画(BCP)において想定すべき主要なリスクの一つであり、経営責任が問われる課題として捉える必要があります。

産業制御システムのセキュリティとは? その現状

従来、製造業の制御系システムはインターネットに接続されていない独立系システム、いわゆる閉鎖系システムであるために安全と考えられてきましたが、近年状況が変化してきています。一般的に、OT(Operational Technology)のライフサイクルは10~20年と、ITに比べ長く、さらにシステムが停止することなく稼働し続けること(可用性)が最も重視されるため、装置自体の脆弱性が発見されたとしてもすぐに交換できません。パッチを当てるにしても操業を計画的に停止する必要があることなどから、ファームウェアやエンベデッドOS(産業用機械などに内蔵されるコンピュータシステムを制御するためのOS)のアップデートにUSBを使用するケースも少なくありません。しかし検疫体制が甘く、そこから感染してしまったという事例もあります。
さらに最近、利便性を考え制御系システムでもエンベデッドOSとしてWindowsやLinuxを採用されることが増えてきましたが、それらの端末がインターネットに接続されていることから、標的型攻撃などの脅威にさらされる機会が増えるという皮肉な結果を生んでいます(図1参照)。

図1 制御システムの進化とセキュリティ

出典:日経 xTECH EXPO オープンシアター講演資料
情報システムのようにはいかない制御システムのセキュリティ ~サイバー攻撃手法から見る制御セキュリティ対策~」IPA セキュリティセンター 福原 聡

制御システムのセキュリティと一般的な企業の情報システムとは、その対象や優先度が大きく異なり、またセキュリティの基本であるCIA(機密性・完全性・可用性)の優先度も大きく違うため、単純にWebアプリケーションやネットワークのセキュリティ対策を当てはめるわけにはいきません。特に制御システムで優先されるリスク管理項目は「人命」「環境」であり、リアルタイム性も求められるのが大きな特徴です(表1参照)。

表 1 産業制御システムと情報システムの違い

制御システムのインシデントでは2017年に起きたランサムウェア「WannaCry」が記憶に新しいでしょう。政府・病院・工場などのシステムに侵入し、コンピュータのストレージが暗号化されて身代金を要求された事件です。また、2019年にはランサムウェア「LockerGoga」により世界40ヶ国のコンピュータがサイバー攻撃を受け、ノルウェーのアルミ生産会社では、生産システムとオフィスITシステムが感染したため、手動生産に切り替えての操業を余儀なくされ、生産が大幅に減速されました。同じく、2019年の7月には南アフリカのヨハネスブルグで電力会社のプリペイド供給システムがサイバー攻撃により停止し、顧客が電力を購入できなくなる事態が発生しました。

産業制御システムのセキュリティフレームワーク

前述のように、OTはライフサイクルが長く、セキュリティよりも可用性が重視されるので、制御システムのアップデートもベンダが実施することが多いのですが、最新の脆弱性情報がOT担当者とIT担当者の間でスムーズに連携されず、結果として対策が不十分になっていることが散見されます。そもそも、IoTシステムや制御システムのセキュリティはフレームワークの違いもあり、専門家の知見によるリスクアセスメントが欠かせません。

汎用的な標準・基準として、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に対してCSMS(サイバーセキュリティマネジメントシステム)と呼ばれている制御システムセキュリティ基準 IEC62443-2-1がありますが、当社では、近年のサイバー攻撃の動向や脅威を踏まえた上で、独自に開発したフレームワークを使用しています。IEC62443に加え、NIST(米国標準技術研究所)のセキュリティガイドラインであるNIST SP800-82および53、IPAのガイドラインなどをベースとしています。(図2、表2参照)

図 2 産業制御システムのセキュリティフレームワーク
表2 BBSecの産業制御システム向けリスク評価項目例

事業継続のためにできること

冒頭にあげた「重要インフラにおける情報セキュリティ確保に係る安全基準等策定指針(第5版)」において、定期的な情報セキュリティリスクアセスメントの実施、サイバー攻撃の特性を踏まえた対応計画の策定などが求められています。

これらの重要インフラのシステムには先にみたように、一般的な情報システムのセキュリティ対策では対応できない部分も多くあります。まずはセキュリティリスクを可視化し、脆弱性があることを認識することが重要です。その上で脅威を最小化する方策を検討する必要があります。

可用性と人命・環境への配慮という2つの命題を実現するためにも、OT担当者とIT担当者が連携し、セキュリティの専門家を交えてセキュリティ体制を構築・運用していくことが欠かせません。当社では制御システムのリスクアセスメントをはじめ、CSIRT構築、セキュリティオペレーションセンターによる監視、ケースによってはセンターからのオペレーションで防御するところまでお手伝いしています。対策についても一般的なセキュリティ対策の提案だけでなく、装置の交換やエンベデッドOSのバージョンアップが難しい場合のリスク低減策もご提案いたします。

制御システムセキュリティのリスクアセスメントは、情報セキュリティ対策の第一歩である現状把握を行い、現状を踏まえた上で、セキュリティリスクに対する今後の対策を考えるためのファーストステップです。セキュリティ専門家の知見でこそできることがあります。事業継続のためにもまずはリスクアセスメントからはじめてはいかがでしょうか。

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