侵入前提でのセキュリティ対策のポイント
-サイバー攻撃への対策3-

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サイバー攻撃の被害から自組織を守るためにはどのような対策をとればよいのか?まずは何から実施すればよいのか?今回の記事では、基本的なセキュリティ対策の考え方から、業界別のセキュリティ対策のポイントやガイドラインを紹介しつつ、リスクを最小化するために有効なセキュリティ対策のポイントを解説いたします。

企業のためのセキュリティ対策

管理・経営者に向けた基本対策

・標的型攻撃メール訓練の実施
・定期的なバックアップの実施と安全な保管(別場所での保管推奨)
・バックアップ等から復旧可能であることの定期的な確認
・OS、各種コンポーネントのバージョン管理、パッチ適用
・認証機構の強化
 (14文字以上といった長いパスフレーズの強制や、適切な多要素認証の導入など)
・適切なアクセス制御および監視、ログの取得・分析
・シャドーIT(管理者が許可しない端末やソフトウェア)の有無の確認
・攻撃を受けた場合に想定される影響範囲の把握
・システムのセキュリティ状態、および実装済みセキュリティ対策の有効性の確認
・CSIRTの整備(全社的なインシデントレスポンス体制の構築と維持)

また、セキュリティ対策の実践にはガイドラインの活用もおすすめです。ガイドラインがまとめられた背景には業界別のセキュリティ課題があることがわかります。今回いくつかガイドラインを紹介するにあたり、業界別のセキュリティ対策のポイントに触れます。

業界別セキュリティ対策のポイント

「自動車」「医療」「教育」の各業界に着目してみます。各業界のガイドラインがまとめられた背景および目的から、各業界のセキュリティに係る課題がわかります。

自動車  自動車産業全体のサイバーセキュリティ対策のレベルアップや対策レベルの効率的な点検を推進
医  療医療情報システムの安全管理や情報通信の技術の利用に関する法律等への対策
教  育教育情報セキュリティポリシーの考え方および内容について解説

各ガイドラインでは、それぞれの業界における以下のような業務について、外部ネットワークとの接続に言及しています。この外部ネットワークと接続するシステムが、各業界におけるセキュリティ対策のポイントといえるでしょう。

自動車  ITインフラ環境や工場等の制御システムをはじめとして企業が管理する多くの情報システム
医  療外部の医療機関等や患者自身などと医療情報の共有や連携、医療情報の外部保存を行うシステム
教  育学校ホームページや教職員によるメールの活用、学習活動に使用されるシステム

各業界のセキュリティガイドラインの紹介

自動車

自動車産業サイバーセキュリティガイドライン V2.0
工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドラインVer 1.0

医療業界

厚⽣労働省における医療機関のサイバーセキュリティ対策にかかる取組について
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン
医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン

教育業界

教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン

まずはリスクの可視化を

サイバー攻撃への対策において、いまや完璧な防御を望むのは困難となっています。こうした脅威への対策における重要なポイントは3つあります。

「攻撃・侵入される前提」で取り組む

侵入への対策
目的:システムへの侵入を防ぐ
  侵入後の対策
目的:侵入された場合の被害を最小化する
・多要素認証の実装 ・不要なアカウント情報の削除(退職者のアカウント情報など)
・公開サーバ、公開アプリケーションの脆弱性を迅速に発見・解消する体制の構築
・VPNやリモートデスクトップサービスを用いる端末
・サーバのバージョン管理(常に最新バージョンを利用) ・ファイアウォールやWAFによる防御 など 
  ・社内環境におけるネットワークセグメンテーション
・ユーザ管理の厳格化、特権ユーザの限定・管理(特にWindowsの場合)
・侵入検知(IDS/IPSなど)、データバックアップといった対策の強化
・SIEMなどでのログ分析、イベント管理の実施
・不要なアプリケーションや機能の削除・無効化
・エンドポイントセキュリティ製品によるふるまい検知の導入
対策の有効性の確認方法
・脆弱性診断
・ペネトレーションテスト
  ・ペネトレーションテスト

侵入を前提とした多層防御が重要

「多層防御」対策を立てる前提として、情報資産の棚卸しも重要です。

情報資産とは
企業や組織などで保有している情報全般のこと。顧客情報や販売情報などの情報自体に加えて、ファイルやデータベースといったデータ、CD-ROMやUSBメモリなどのメディア、そして紙の資料も情報資産に含まれます。
(総務省「安心してインターネットを使うために 国民のためのサイバーセキュリティサイト」より引用)

組織内に存在する情報に関し、機密とするもの、公知であってよいものを分類し、それらがどこに格納されて、どのように利用されているかを可視化した上で、防御の対応をする機器・人・組織といったリソースを適切に振り分けて防御する仕組みを構築することが求められます。

これにより、システムへのマルウェアの侵入等の早期発見にも繋がり、事業活動の継続を左右する重要情報へのアクセスを遮断することで、万一侵入を許しても被害を最小限に抑えられます。

信頼できる第三者機関の脆弱性診断サービスを実施

企業として実施できるサイバー攻撃への対策として、信頼できる第三者機関による脆弱性診断が挙げられます。第三者の専門家からの診断を受けることで、現状の問題点や対応の優先順位などリスクを可視化することができるため、早急に効率よく対策を実施するのに役立ちます。

サイバー攻撃手法は日々更新されており、さらに取引先や子会社などを含むサプライチェーンを踏み台にした攻撃など、どんなにセキュリティ対策を実施していても自組織のみではインシデント発生を防ぎきれないのが実情です。脆弱性診断の定期的な実施といった基本的なセキュリティ対策を行うとともに、万が一インシデントが発生してしまった場合の備えとして信頼できる第三者の専門企業に相談することをおすすめします。

まとめ

管理者や経営者へ向けた基本的なセキュリティ対策の実施項目として、標的型攻撃メールの訓練実施、定期的なバックアップ及びその保管、オペレーティングシステムやアプリケーションのバージョン管理、強固な認証メカニズムの導入、適切なアクセス制御と監視、シャドーITの監査、想定される攻撃の影響範囲の理解、システムのセキュリティ状況の定期的な確認、および全社的なインシデントレスポンス計画の策定と維持等が挙げられます。

さらに、自動車、医療、教育各業界に特有のセキュリティ課題と、それに対応するための業界別ガイドラインを紹介しています。これらのガイドラインは、特に外部ネットワークに接続されるシステムのセキュリティ強化に注目しています。

また、サイバー攻撃への対策として、侵入を前提とした多層防御、情報資産の可視化を推奨します。これにより、万が一侵入を許してしまった場合でも、被害を最小限に留めることが可能です。また、信頼できる第三者機関による脆弱性の定期的な診断を実施することも有効です。

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