脆弱性の意味を正しく理解する―種類・悪用リスク・企業が取るべき対策

Share

Security NEWS TOPに戻る
バックナンバー TOPに戻る

脆弱性の意味を正しく理解する―種類・悪用リスク・企業が取るべき対策アイキャッチ画像

「脆弱性(ぜいじゃくせい)」という言葉を見かけても、正確な読み方や意味を知らない方も多いかもしれません。特にITやセキュリティの分野ではよく使われる専門用語ですが、近年では一般的なニュースや記事でも登場するようになってきました。本記事では、脆弱性の正しい意味、よくある誤解、攻撃との関わり、企業が取るべき対策までを体系的に整理し、分かりやすく解説します。

脆弱性とは何か?

「脆弱性(ぜいじゃくせい)」とは、システム・ソフトウェア・ネットワークなどに潜む“攻撃されやすい弱点”を指す言葉です。サイバー攻撃の多くは、この脆弱性を足がかりにして侵入や情報漏えいを引き起こします。しかし、「脆弱性 意味」「脆弱性とは何か?」と問われると、具体的に説明できない人も少なくありません。

脆弱性の読み方と語源

「脆弱性」は「ぜいじゃくせい」と読みます。

「脆」(ぜい):もろい、こわれやすいという意味
「弱」(じゃく):よわい、力が足りないという意味
「性」(せい):性質や特徴を示します

つまり、「壊れやすく弱い性質」という意味で、セキュリティ分野では“攻撃に利用される欠陥や弱点”を指す言葉として使われます。

脆弱性とは?意味をさらに深く解説

脆弱性とは、不正アクセスやコンピュータウイルスなどの攻撃により、その機能や性能を損なう原因となり得るセキュリティ上の問題箇所のことです。英語では 「vulnerability」(「攻撃を受けやすいこと」の意) と呼ばれます。

IT分野では、システムやソフトウェアに存在するセキュリティ上の弱点を意味します。たとえば、プログラムの不備や設定ミスなどにより、外部から不正アクセスを許してしまうような状態が「脆弱性」です。

脆弱性の多くは、「プログラムの設計ミスやコーディングミスなどによるバグ」になります。バグが存在せず正しく動作するプログラムやWebアプリケーションであっても、設計者が想定しないやり方で機能が悪用され、 結果としてサイバー攻撃が成立する場合には、その「悪用されうる機能設計」が脆弱性とみなされます。

脆弱性が攻撃の入口になる理由

攻撃者はまず「侵入できる弱点がないか」を探します。この弱点こそが脆弱性です。例えば、

  • 公開された脆弱性のパッチを適用していない
  • 古いプログラムを長期間放置している
  • 不要なサービスやポートを開けたまま

といった状態は、攻撃者に「ここから入れる」と示しているようなものです。実際、多くのサイバー攻撃は “脆弱性の悪用” から始まっています。

脆弱性が多く報告されるソフトウェアに共通する特徴

脆弱性が数多く報告されているのは、一体どんなソフトウェアでしょう。ひとつ共通することは「ユーザが多い」ということです。たとえば、皆さんがこのサイトをご覧になっているWebブラウザ、そのWebブラウザが動作するMicrosoft WindowsなどのOS、ビジネスでよく使われるPDFファイルを扱うAdobe Acrobat、WebサーバソフトのApache、データベースアプリケーションのMySQLなどです。いずれも、全世界に膨大な数のユーザを持つソフトウェアであり、規模のインパクトという点から、攻撃者にとって極めて魅力的、いわば人気があるのです。かつ、このようなソフトウェアでは、開発元において、脆弱性を早期に発見し、修正プログラムの公開、所定機関への報告を迅速に行う必要性が高いことから、報告件数が当然ながら多くなる傾向がみられます。

ここまでの説明でお気づきかもしれませんが、「脆弱性が多く報告されている」ことは必ずしも「品質が悪い」ことを意味するのではありません。脆弱性が存在してもそのことが報告・公表されていなければ、「脆弱性がある」とは認知されないわけです。

脆弱性を放置するとどうなる?企業への影響

脆弱性をそのままにしておくと、次のような重大なリスクがあります。

  • 重要情報(顧客情報・社員情報・機密情報等)の漏えい
  • サイバー攻撃(ランサムウェア攻撃等)を受けるリスク
  • サービス停止や業務停止リスク

特に近年は、脆弱性を狙った攻撃が高度化し、攻撃者が自動的に弱点を探索するツールも普及しています。「気づいたら侵入されていた」というケースも少なくありません。

脆弱性を突かれた場合のリスク

悪意のある第三者によって脆弱性を突かれてしまった場合、問題箇所の悪用、コンピュータ内部データ(情報)の盗取・改竄・削除、また他のコンピュータへの同様の悪事が可能になります。その結果、不正アクセスや自動的に動作させるウイルスやボットに感染する恐れもあります。また、システムやサービス全体という視点からは、設定に関して何らかの誤りがある場合など、設定ミスが脆弱性とみなされます。たとえば、ポートの開放に関する設定、権限管理、AWSをはじめとするクラウドサービスの設定ミスがセキュリティ事故を招いた例は枚挙に暇がありません。

脆弱性を悪用したセキュリティ事故は日々発生しています。SQAT.jpでは以下の記事でも取り上げていますので、ぜひあわせてご参考ください。

● 「定期的な脆弱性診断でシステムを守ろう!-放置された脆弱性のリスクと対処方法-
● 「備えあれば憂いなし!サイバー保険の利活用

企業が実施すべき脆弱性対策

脆弱性対策の基本的な考え方としては、システムの欠陥をつぶし、脆弱性を無くすこと(「攻撃の的」を無くすこと)が最も重要です。企業での実践方法としては以下の項目があげられます。

修正パッチの適用


衣服等の破れを補修する「継ぎ当て」や傷口に貼る「絆創膏」のことを英語で「パッチ(patch)」と言いますが、脆弱性を修正するプログラムも「パッチ」と呼ばれます。修正プログラムを適用することは「パッチをあてる」と言われたりします。パッチをあてることにより、システムに影響が及ぶ場合があります。適用にあたっては事前に調査を行い、必要に応じて十分な検証を実施してください。なお、自組織で開発したシステムに関しては、必ずテスト環境を用意し、パッチ適用による整合性チェックを行いましょう。

ソフトウェアやOSの定期的なアップデート

アップデートされた最新バージョンでは既知の脆弱性や不具合が修正されていますので、後回しにせずに更新を行うようにしてください。

セキュアプログラミングで脆弱性を作りこまない体制に

自組織で開発したソフトウェアやWebアプリケーション等の場合は、サービスが稼働する前の上流工程(開発段階)から、そもそも脆弱性を作り込まない体制を構築することが大切です。

また、テレワーク環境では、以上の項目に加え、クライアントサイドでのパッチ適用が適切に行われているかをチェックする体制を構築することも重要です。また、シャドーITの状況把握も厳格に実施する必要があります。

「IT部門が知らないサービスを勝手に利用され、結果として脆弱性の有無について未検証のクライアントソフトやブラウザプラグインが使われていた」という事態は防がねばなりません。

脆弱性情報はWebサイトでチェックできる

脆弱性は、さまざまなソフトウェアやプラットフォームで日々発見されています。そうした情報は、多くの場合、ソフトウェアやプラットフォーム提供元のWebサイトに掲載されます。
少なくとも、自組織で利用している主要なプラットフォームに関しては、緊急性が高い脆弱性が出現していないかどうかを、提供元のWebサイトで定期的にチェックするとよいでしょう。

JVNを利用した脆弱性情報の正確な情報収集と活用法

一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターとIPA(独立行政法人情報処理推進機構)では、公表された脆弱性情報を収集して公開するサービス「JVN(Japan Vulnerability Notes)」を共同運営しています。日本で利用されている大半のソフトウェアの脆弱性の情報は、このサイトでチェックできます。

脆弱性情報ソースと活用

インシデントやゼロデイの発生情報については、セキュリティ専門のニュースサイト、セキュリティエバンジェリストのSNSなどからも情報をキャッチできます。

情報の裏取りとして、セキュリティベンダからの発表やtechブログ等を参照することもと重要となります。攻撃の影響範囲や危険度を確認するには、Exploitの有無を技術者のPoC検証ブログやNVD等で確認することも有効です。

ツールを使って脆弱性を見つける

脆弱性を発見するためのソフトウェアは「チェックツール」「スキャンツール」「スキャナ」などと呼ばれます。以下に、代表的なものをご紹介しましょう。有償、無償のさまざまなツールが提供されていますので、機能や特徴を知り、ニーズに合致するものを試してみてはいかがでしょうか。

  有償ツール 無償ツール
Webアプリケーション向けAppScan、Burp Suite、WebInspect など OWASP ZAP など
サーバ、ネットワーク向け Nessus(一部無償)、nmap など Nirvana改弐、Vuls など

「脆弱性診断」サービスで自組織のソフトウェアの脆弱性を見つける

上記でご紹介したツールを使えば、脆弱性のチェックを自組織で行うことが可能です。しかし、前述の通り、「脆弱性が存在するのに報告されていない」ために情報がツールに実装されていないソフトウェアも数多くあります。また、一般に広く利用されているソフトウェアであれば次々に脆弱性が発見、公開されますが、自組織で開発したWebアプリケーションの場合は、外部に頼れる脆弱性ソースはありません。さらに、実施にあたっては相応の技術的知識が求められます。そこで検討したいのが脆弱性診断サービスの利用です。脆弱性の有無を確認するには、脆弱性診断が最も有効な手段です。

脆弱性診断サービスでは、システムを構成する多様なソフトウェアやWebアプリケーション、API、スマホアプリケーション、ネットワークなどに関し、広範な知識を持つ担当者が、セキュリティ上のベストプラクティス、システム独自の要件などを総合的に分析し、対象システムの脆弱性を評価します。組織からの依頼に応じて、「自組織で気付けていない脆弱性がないかどうか」を調べる目的のほか、「脆弱性に対して施した対策が充分に機能しているか」を検証する目的で実施することもできます。

対策が正常に機能しているかの検証を含めた確認には専門家の目線をいれることをおすすめしています。予防的にコントロールをするといった観点も含め、よりシステムを堅牢かしていくために脆弱性診断をご検討ください。

脆弱性との共存(?)を図るケースもある

最後に、診断で発見された脆弱性にパッチをあてることができないときの対処法をご紹介しましょう。

まず、「パッチを適用することで、現在稼働している重要なアプリケーションに不具合が起こることが事前検証の結果判明した」場合です。このようなケースでは、システムの安定稼働を優先し、あえてパッチをあてずに、その脆弱性への攻撃をブロックするセキュリティ機器を導入することで攻撃を防ぎます。セキュリティ機器によって「仮想的なパッチをあてる」という対策になるため、「バーチャルパッチ」とも呼ばれます。

また、脆弱性が発見されたのがミッションクリティカルなシステムではなく、ほとんど使われていない業務アプリであった場合は、脆弱性を修正するのではなく、そのアプリ自体の使用を停止することを検討できるでしょう。これは、運用によってリスクを回避する方法といえます。

なお、前項でご紹介した脆弱性診断サービスの利用は、脆弱性に対して以上のような回避策をとる場合にも、メリットがあるといえます。発見された脆弱性について、深刻度、悪用される危険性、システム全体への影響度といった、専門サービスならではのより詳細な分析結果にもとづいて、対処の意思決定を行えるためです。

まとめ:脆弱性を理解することが攻撃対策の第一歩

「脆弱性とは何か?」を正しく理解することは、サイバー攻撃に備えるうえで最も基本かつ重要なステップです。脆弱性は放置すれば攻撃者にとって“格好の入口”となり、情報漏えいやサービス停止など重大な被害を招きかねません。自社システムの安全性を確保するためにも、日頃から更新・診断・運用の見直しを行い、脆弱性を適切に管理することが求められます。

関連情報

● 脆弱性診断の必要性とは?ツールなど調査手法と進め方

Webアプリケーション脆弱性診断バナー

Security NEWS TOPに戻る
バックナンバー TOPに戻る

資料ダウンロードボタン
年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
お問い合わせボタン
サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

Security Serviceへのリンクバナー画像
BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
セキュリティ緊急対応のバナー画像

サイバーレジリエンスとは何か―ランサムウェア時代の企業が取るべき対策と実践ガイド
第1回:サイバーレジリエンスの重要性:攻撃を前提とした“事業を守る防御”とは

Share

Security NEWS TOPに戻る
バックナンバー TOPに戻る

サイバーレジリエンスとは何か  第1回:サイバーレジリエンスの重要性

攻撃されても事業を継続できる力「サイバーレジリエンス」を解説。シリーズ第1回では、2025年のランサムウェア攻撃の事例をもとに、従来の防御型セキュリティの限界を整理。攻撃を前提とした強靭な防御策や、技術・人・組織を融合させた総合的な情報セキュリティ体制の重要性を解説します。

サイバーレジリエンスの必要性が高まる背景

2020年代半ばにおいては、「情報セキュリティ」という言葉が単なる防御策やリスク回避という意味合いを超えて、新たな時代へと突入しました。その象徴的な出来事が、2025年秋に発生したアサヒグループHDへのランサムウェア集団Qilin(キリン)によるサイバー攻撃です。日本を代表する食品・飲料メーカーが標的となり、情報システムの停止、新商品の発売延期、受注や出荷業務の停滞、さらに決算発表の延期にまで発展したこの事件は、社会全体に深刻な影響をもたらしました。この出来事は、従来型の「守るための情報セキュリティ」だけでは不十分であり、「サイバーレジリエンス」、すなわち「攻撃を受けても事業を継続するための強さ」が必要不可欠であることを多くの日本企業に示しました。

サイバーレジリエンスとは何か

サイバーレジリエンスとは、米国NISTなどが提唱している、「攻撃を受けても迅速に回復し、事業運営を継続できる能力」のことです。情報セキュリティにおいても、技術対策の積み重ねだけでは完璧な防御は難しく、ランサムウェアAPT(Advanced Persistent Threat) のような高度な攻撃に突破される可能性は常に存在します。そのため、企業はどのように復旧し、どのように事業を再開するかに知恵を絞り、BCP(事業継続計画)やリスク評価のサイクルの中にサイバーレジリエンスを組み込むことが不可欠となっています。

2025年、ランサムウェア市場で主要な犯罪ビジネス「RaaS」

QilinによるアサヒGHDへの情報セキュリティ上の課題は多様です。同グループは「RaaS(Ransomware as a Service)」、すなわち攻撃ツールやノウハウを提供しビジネス化したモデルを採用しており、技術力が高くない実行者でも大規模な攻撃を行える点が脅威となっています。実際の攻撃手法としては、フィッシングメールやVPNの脆弱性を突いた侵入が多く、内部侵入後は認証情報の窃取や水平展開、情報漏洩と二重脅迫が展開されます。アサヒGHDでは、27GB以上、9300ファイルに及ぶ機密情報が流出し、従業員の個人情報が公開されるリスクも現実化しました。復旧には数ヶ月を要すると見込まれています。

企業が取るべき防御と対応の考え方

情報セキュリティを考える際、システムに侵入されないことを前提にする従来のアプローチは、もはや限界を迎えています。特に製造業など基幹産業では、デジタルシフトによりサイバー攻撃の影響範囲が拡大しつつあります。今求められているのは、ゼロトラストモデル、EDR・XDR、オフラインバックアップを中心とした多層防御、現実の攻撃を想定したインシデント対応計画、従業員教育や情報共有を含めた総合的な情報セキュリティ体制です。技術だけでは乗り越えられない脅威に備え、組織のガバナンスと人材育成が融合した「組織としてのレジリエンス」が、真の競争力となり、顧客や関係者からの信頼にも直結します。

組織としてのレジリエンスと競争力への影響

企業・組織としてサイバーレジリエンスを高めるためには、下記の要素が重要です。

  • リスク評価と資産洗い出しによる保護対象の明確化
  • インシデント対応計画(IRP)と定期的な訓練による実践力の強化
  • 速やかに復旧できるバックアップ体制と、復旧目標(RTO/RPO)の設計
  • 技術と人、両面からの多層防御策(EDR、MFA、多層アクセス制御など)と、従業員への情報セキュリティ教育・組織のガバナンス強化と、早期発見
  • 報告を促す風通しの良い社内文化

Qilin事件を機に、多くの日本企業は情報セキュリティ戦略を再構築し、「攻撃を防ぐ」だけでなく「攻撃されても事業継続できる」レジリエンス思考へのシフトを迫られています。サイバー攻撃の高度化と社会的インパクトは、すでに企業の枠を超え、日本社会全体の重要課題となっています。「情報セキュリティ」と「サイバーレジリエンス」が両軸として不可分であることを、今こそ再認識すべき時代に突入しています。

次回、第2回では、QilinによるアサヒGHD攻撃の詳細と、技術的・組織的インパクト、企業が得るべき教訓について、さらに深く掘り下げます。


―第2回へ続く―

【参考情報】

【関連ウェビナー開催情報】
弊社では12月3日(水)14:00より、「【最新事例解説】Qilin攻撃に学ぶ!組織を守る“サイバーレジリエンス強化のポイント”喫緊のランサムウェア被害事例からひも解く ― 被害を最小化するための“備えと対応力”とは?」と題したウェビナーを開催予定です。最新のランサムウェア被害事例をもとに、攻撃の実態と被害を最小化するための具体的な備えについて解説します。ぜひご参加ください。詳細・お申し込みはこちら

サイバーインシデント緊急対応

セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
SQAT緊急対応バナー

Security NEWS TOPに戻る
バックナンバー TOPに戻る

ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年11月26日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「クラウド設定ミスが招く情報漏洩リスク -今こそ取り組むべき「クラウドセキュリティ設定診断」の重要性-
  • 2025年12月3日(水)14:00~15:00
    【最新事例解説】Qilin攻撃に学ぶ!組織を守る“サイバーレジリエンス強化のポイント”喫緊のランサムウェア被害事例からひも解く ― 被害を最小化するための“備えと対応力”とは?
  • 2025年12月10日(水)14:00~15:00
    【最短7営業日で報告書納品】短納期で実現するWeb脆弱性診断の新提案-SQAT® with Swift Delivery紹介セミナー
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    世界で多発するゼロデイ攻撃とは?Apple・Google・Ciscoを襲った脆弱性の実態と対策

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ゼロデイ攻撃とは?Apple・Google・Ciscoを襲った脆弱性の実態と対策アイキャッチ画像

    2025年9月、世界各地で「ゼロデイ脆弱性」を悪用したサイバー被害が相次ぎました。ゼロデイ攻撃とは、まだ修正プログラム(パッチ)が公開されていない未知の脆弱性を突く攻撃であり、検知や防御が極めて困難です。今、ゼロデイ攻撃は誰にとっても避けて通れないサイバーリスクとなっているのです。本記事では、最新のゼロデイ攻撃の事例、被害の傾向、そして今すぐ取るべき対策について解説します。ゼロデイ脆弱性の脅威を正しく理解し、被害を防ぐための第一歩にしましょう。

    世界各地でゼロデイ脆弱性が続発

    2025年9月、世界中でゼロデイ脆弱性をめぐる一連のサイバー攻撃が相次いで報告されました。ゼロデイ脆弱性とは、ソフトウェアやOSに潜む修正前のバグ、つまり開発元ですら把握していない段階で第三者によって悪用される脆弱性のことであり、攻撃者は一般公開前・パッチ適用前にこれを利用して侵入や情報搾取、システム乗っ取りを仕掛けます。2025年9月には、AppleのiPhoneやiPad、GoogleのAndroid端末、CiscoルーターやVPN装置、SAPやAdobe、SonicWallなど多岐にわたるプロダクトが標的となりました。

    Apple・Googleのゼロデイ脆弱性が顕在化

    Apple関連では、「CVE-2025-43300」「CVE-2025-55177」という画像解析に関するゼロクリック型脆弱性が公表され、iPhoneやiPadが世界的な攻撃対象になりました。Apple社は直ちに150ヶ国以上のユーザーへ警告通知を送り、Lockdown Modeの利用を強く推奨しました。実際に攻撃が検知された端末も多く、海外では医療機関や金融サービスを狙った“標的型ゼロデイ攻撃”の発生も確認されています。

    Android端末でも深刻な脆弱性(CVE-2025-38352など)が確認されており、カーネルやランタイム部分の権限誤取得によって、スマートフォンが遠隔操作される事例が増加しました。Chromeブラウザでもゼロデイ脆弱性が発見され、公式パッチのリリースを急いだ流れがあります。これらの技術情報は国際的なセキュリティ速報サイトや公式ベンダーのアドバイザリが一次情報となっており、日々関係者向けに更新されています。

    ビジネスシステムも標的に

    さらに、Windowsのファイル圧縮ソフトWinRARでは「CVE-2025-8088」の脆弱性が報告され、悪意を持ったファイル一つでシステム内部に侵入されるリスクが浮上しました。Citrix NetScalerにおいてはリモートコード実行(RCE)を許す「CVE-2025-7775」、企業内パスワード管理ツールPasswordstateでもゼロデイ攻撃による被害が発生しています。こうしたビジネス系システムでは、管理画面だけで全システムが乗っ取られる危険性が顕在化しており、複数企業が業務停止・復旧対応に追われています。

    ゼロデイ攻撃の基本的な流れ

    ゼロデイ攻撃の基本的な流れは、メール・Web・ファイルアップロードなどを入り口として、権限昇格の脆弱性を突き、最終的に情報搾取や遠隔操作へと至るという流れです。特に企業ユーザーはパッチ適用・監視強化・多層防御など、従来型のセキュリティ運用だけでは防ぎきれない時代に直面しています。一般のエンドユーザーも自らが使うスマートフォンやタブレットがゼロデイ脆弱性を抱えている可能性を念頭に、定期的なアップデートや公式情報の取得を習慣化する必要があります。

    ゼロデイ脆弱性は誰もが直面する脅威

    ゼロデイ脆弱性は一部の大企業だけの問題ではありません。個人が使うアプリやデバイスにもリスクが存在し、誰もが常に脅威に晒される現状が2025年の特徴です。正確な情報源に基づき、自分自身と組織の防御体制を早急に見直すことが求められているのです。

    【参考情報】

    BBSecでは

    サイバーインシデント緊急対応

    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年11月12日(水)14:00~15:00
    なぜ今“脆弱性診断”が必要なのか?実績データで見る検出傾向とサービス比較
  • 2025年11月26日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「クラウド設定ミスが招く情報漏洩リスク -今こそ取り組むべき「クラウドセキュリティ設定診断」の重要性-
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    マルウェアとウイルスの違いとは?種類・特徴・感染経路をわかりやすく解説

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    近年、サイバー攻撃はますます高度化し、企業や個人を狙った被害が増えています。その中心的な脅威が「マルウェア」と呼ばれる悪意あるソフトウェアです。しかし、「マルウェアとウイルスの違いがわからない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、両者の違いをわかりやすく解説し、代表的な種類や感染経路、被害事例、そして防ぐための対策まで詳しく紹介します。

    マルウェア(malware)とは?意味と基本的な仕組み

    マルウェアとは、「Malicious(マリシャス=悪意のある)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語で、コンピュータやネットワークに害を与える悪意のあるプログラムの総称です。具体的には、ユーザの意図しない動作を引き起こし、情報の窃取や破壊、システムの乗っ取りなどを目的とするプログラムを指します。代表的なものにコンピュータウイルス(=ウイルス)、ワーム、トロイの木馬、スパイウェア、ランサムウェアなどがあります。

    マルウェアは、メールの添付ファイルや不正なWebサイト、ソフトウェアの脆弱性などを通じて感染し、個人情報の漏洩や金銭的被害、業務妨害など深刻な問題を引き起こす可能性があります。そのため、日常的なセキュリティ対策が非常に重要です。

    マルウェアとウイルスの違い

    マルウェアは、悪意のあるソフトウェアの総称で、コンピュータウイルスはその一種です。ウイルスは自己複製し、他のプログラムやファイルに感染して広がる特徴を持つのに対し、マルウェアには様々な種類があり、必ずしも自己複製しません。つまり、全てのウイルスはマルウェアですが、全てのマルウェアがウイルスというわけではありません。マルウェアは、より広範な脅威を指す用語です。

    比較項目マルウェアコンピュータウイルス
    定義悪意のあるソフトウェア全般マルウェアの一種
    自己複製しないものもある自己複製する
    感染方法メール・Web・USBなど多様他ファイルやプログラムに感染
    代表例ワーム、トロイの木馬、ランサムウェアなどMichelangelo、ILOVEYOUなど

    主なマルウェアの分類

    1. ウイルス
      コンピュータウイルスは、自己複製する悪意のあるプログラムです。ユーザがプログラムやファイルを実行することで動作し、自己複製して他のプログラムやファイルに感染します。感染したファイルが開かれるたびに広がり、データの破壊やシステムの動作不良を引き起こします。ウイルスは通常、ファイルやプログラムを破壊する目的で作成され、感染拡大によるシステムの停止を引き起こす可能性があります。
    2. ワーム
      ワームは、自己複製する悪意のあるプログラムです。ユーザの操作なしに、ネットワークの脆弱性を利用して感染したコンピュータからネットワーク内の他のコンピュータに拡散し、ネットワークの帯域を消費してシステムのパフォーマンス低下や停止を引き起こすことがあります。ワームはウイルスと異なり、ホストプログラムを必要としません。特に企業や大規模ネットワークに対して深刻な脅威です。
    3. トロイの木馬
      トロイの木馬は、通常のソフトウェアやファイルに見せかけてユーザにインストールさせる悪意のあるプログラムです。ユーザのコンピュータに侵入したあと、何かのトリガーが起こった場合に、バックドアの作成や情報窃取などを自動的に実行します。自己複製能力はありませんが、一度実行されると重大な被害をもたらす可能性があります。

    マルウェアの主な種類と特徴

    マルウェアにはいくつか種類があります。以下に代表的なマルウェアの特徴をご紹介します。

    ランサムウェア

    ランサムウェアは、ユーザのデータやファイルを暗号化し、アクセスを不能にするマルウェアです。サイバー攻撃者は暗号化されたデータやシファイルの暗号化解除と引き換えに、身代金の支払いを要求します。攻撃者は、データの復元やアクセスの回復のために身代金を要求します。「Ransom(ランサム=身代金)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせた造語で、これが名称の由来です。多くの場合、身代金は暗号通貨で支払うことが要求され、支払ったとしてもデータが復元される保証はありません。このため、ランサムウェアは組織にとって非常に深刻な脅威となっています。

    近年、二重脅迫型の攻撃も増加しており、支払いに応じなければデータを公開すると脅迫されます。被害者は重要データへのアクセスを失い、業務停止や金銭的損失に直面します。感染経路には、メール添付ファイル経由、VPN経由、リモートデスクトップ接続経由など様々なものがあります。

    スパイウェア

    スパイウェアは、ユーザの個人情報を収集し、ユーザが意図しないうちに外部に送信するマルウェアです。収集するデータには、キーロガーやスクリーンキャプチャー機能を持つものもあり、パスワードやクレジットカード情報などを窃取します。スパイウェアは、一般的に無意識のうちにインストールされることが多く、主にダウンロードしたソフトウェアや悪意のあるリンクを介して広がります。正規ソフトウェアに偽装して侵入することが多いため、検出が困難です。感染してしまうと、個人のプライバシー侵害だけでなく、企業の機密情報漏洩にも繋がる危険性があります。

    スケアウェア

    スケアウェアとは、虚偽のセキュリティ警告を表示し、無駄なソフトウェアを購入させる詐欺的なソフトウェアです。実際にはセキュリティ問題がないにもかかわらず、感染していると偽り、解決策として高額なソフトウェアをすすめます。ユーザの不安を煽り、冷静な判断を妨げることにより、被害を拡大させるのが特徴です。

    アドウェア

    アドウェアは、ユーザの同意なしに広告を表示するソフトウェアです。主にウェブブラウザにインストールされ、ポップアップ広告やバナー広告を表示します。ユーザのオンライン行動を追跡し、広告のターゲティングに利用することもあります。アドウェアそのものは必ずしも悪意があるわけではありませんが、システムのパフォーマンス低下やプライバシー侵害の原因となることがあります。一部のアドウェアは悪質な広告を表示し、マルウェアの配布を促すこともあります。

    ファイルレスマルウェア

    ファイルレスマルウェアは、ディスク上にファイルを残さずに、システムのメモリやプロセスに直接感染するマルウェアです。これにより、従来のウイルス対策ソフトウェアでは検出しにくくなります。ファイルレスマルウェアは、通常、システムの脆弱性を利用して実行され、バックドアとして機能することが多いです。

    トロイの木馬のタイプ

    マルウェアの分類の一つである「トロイの木馬」は動作によりいつくかのタイプに分けることができます。

    • ダウンローダー型:一見無害にみえるファイルを通じてマルウェアをダウンロードし感染させます。
    • ドロッパー型:侵入後に複数のマルウェアを一度にシステムにダウンロードし、展開します。
    • バックドア型:攻撃者がシステムに不正アクセスするための裏口を作り、遠隔操作や情報窃取を行います。
    • キーロガー型:ユーザのキーボード入力を記録し、パスワードなどの個人情報を盗み取ります。
    • パスワード窃盗型:システムやアプリケーションに保存されているパスワードを探索し、盗み出します。
    • プロキシ型:感染したPCをプロキシサーバとして使い、他のシステムへの攻撃を隠蔽します。
    • ボット型:感染したPCをボットネットの一部として使用し、大規模なDDoS攻撃などに利用します

    マルウェア感染による被害と企業リスク

    マルウェアに感染することで、次のような被害が発生します。

    • 情報漏洩:個人情報や機密データが攻撃者に盗まれ、企業の信用や顧客の信頼が損なわれます。
    • Webサイトの改ざん:攻撃者が不正なコードを埋め込み、訪問者を悪意あるサイトにリダイレクトさせたり、偽情報を掲載したりすることで、Webサイト利用者に被害を与えます。
    • PC動作不能:マルウェアがシステムを破壊・損傷し、PCやサーバが動作不能に陥り、業務が停止するリスクがあります。
    • デバイスの乗っ取り:マルウェアがデバイスを遠隔操作可能な状態にし、攻撃者が不正操作などの行為を実行します。
    • 金銭損失:ランサムウェアなどの攻撃により、身代金の支払いを強要され、システムの復旧コストや顧客対応などにより多額の金銭的な損害が発生します。

    マルウェアの主な感染経路と予防策

    マルウェアの感染経路としては、大きくわけて以下のようなものが挙げられます。

    ・メール

    マルウェアの感染経路として最も一般的なのがメールです。特に「フィッシングメール」と呼ばれる手法で、信頼できる企業やサービスを装ったメールが送られてきます。受信者がメール内のリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりすると、マルウェアが自動的にダウンロードされ、システムに侵入します。これにより、個人情報の盗難やランサムウェアの感染が発生することがあります。メールのリンクや添付ファイルを開く前に、その送信元が信頼できるかを必ず確認することが重要です。

    ・Webサイト

    不正なWebサイトもマルウェアの感染源となります。特に不正な広告やフィッシングサイトなどは、利用者がサイトを訪れただけでマルウェアが自動的にダウンロードされることがあります。これを「ドライブバイダウンロード攻撃」と呼びます。また、信頼できるWebサイトであっても、第三者によって改ざんされている可能性があるため、Webサイトを利用する際は、最新のウイルス対策ソフトによるスキャンの実行、ブラウザのセキュリティ設定を適切に行うことなどが重要になります。

    ・ファイル共有ソフト

    ファイル共有ソフトを使用することも、マルウェア感染のリスクを高めます。ユーザがダウンロードしたファイルにマルウェアが含まれていることが多く、特に海賊版ソフトウェアや違法に共有されたコンテンツには注意が必要です。これらのファイルを実行すると、システムが感染し、データが破壊されたり、外部に漏洩したりする可能性があります。正規のソフトウェアやコンテンツを使用し、不明なファイルはダウンロードしないことが推奨されます。

    ・外部ストレージ(USBメモリ)

    外部ストレージ(USBメモリ)は、便利である反面、マルウェアの感染経路としても広く利用されています。感染したUSBメモリをパソコンに挿入すると、システムにマルウェアが拡散し、企業内ネットワーク全体に影響を及ぼすこともあります。USBメモリを使用する際は、信頼できるデバイスのみを使用し、不必要に他人のUSBメモリを挿入しないように注意する必要があります。また、ウイルススキャンを行ってから使用することが推奨されます。

    ・クラウドストレージ

    ユーザがマルウェアに感染したファイルをアップロードし、他のユーザがそれをダウンロードすることで、マルウェア感染が広がることがあります。また、クラウドサービス自体がハッキングされることで、全てのクラウドサービス利用者に影響が及ぶ可能性もあります。クラウドストレージを利用する際は、アップロードするファイルの安全性を確認し、適切なアクセス制限と二要素認証などのセキュリティ対策を講じることが重要です。

    マルウェア感染を防ぐための基本対策

    • OS・ソフトウェアを常に最新状態に更新する
    • 信頼できないメール・リンク・添付ファイルを開かない
    • セキュリティソフトを導入し、リアルタイム保護を有効化する
    • 定期的にバックアップを取り、復旧体制を整える
    • 社員教育を実施し、セキュリティリテラシーを向上させる

    まとめ

    マルウェアは、コンピュータやネットワークに悪影響を与える悪意のあるプログラムの総称です。代表的なものには、コンピュータウイルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェア、ランサムウェアなどがあります。

    主な分類として、自己複製し他のファイルに感染するウイルス、ネットワークを通じて拡散するワーム、正常なソフトウェアに偽装するトロイの木馬があります。その他の種類には、データを暗号化して身代金を要求するランサムウェア、個人情報を収集するスパイウェア、偽のセキュリティ警告を表示するスケアウェア、不要な広告を表示するアドウェア、ファイルを残さずにメモリ上で動作するファイルレスマルウェアなどがあります。

    マルウェアは主にメール、不正なWebサイト、ファイル共有ソフト、外部ストレージ、クラウドストレージなどを通じて感染します。感染すると、情報漏洩、Webサイトの改ざん、システムの動作不能、デバイスの乗っ取り、金銭的損失などの被害が発生する可能性があります。マルウェアに感染すると深刻な被害を受け、企業に大きな影響を与えるため、適切なセキュリティ対策の実施が必要です。

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    マルウェアの対策-マルウェア感染を防ぐための基本のセキュリティ対策のポイント-

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    マルウェアの脅威は年々増大しており、企業・組織への影響は計り知れません。本記事では、マルウェアの具体的な被害事例を紹介し、感染時の症状や対処法について解説します。そして、セキュリティ対策の基本とマルウェア対策の基本的な考え方を押さえ、日々進化するサイバー脅威から自組織を守るために必要な知識を、わかりやすく解説していきます。

    マルウェア被害事例

    ウイルスの事例

    マルウェア「Emotet」による感染被害

    マルウェア「Emotet」は主にメールを介して広がり、その被害が深刻化しています。感染経路は、悪意のあるメールの添付ファイルやリンクを開くことにより、ユーザのPCに感染します。Emotetは巧妙な手口で、正規のメールを装うことで信頼性を高め、受信者に警戒させないようにします。感染後、企業や個人のPC内の情報が盗まれ、さらに他のマルウェアをダウンロードさせることもあります。関連企業では、業務停止やデータ流出による経済的損失が報告されています。特に日本国内の企業においても影響が広がり、国内通信事業者を含む複数の企業が注意喚起を行っています。

    ワームの事例

    ランサムウェアWannaCryによる感染被害

    2017年に大規模な被害をもたらしたランサムウェア「WannaCry」は、Microsoft Windowsの未修正の脆弱性を悪用することで、世界中のコンピュータに急速に拡散しました。この脆弱性は、アメリカ国家安全保障局(NSA)が開発したとされるハッキングツールから漏洩したもので、WannaCryはこれを利用して無差別にシステムに侵入しました。攻撃の手口は、感染したコンピュータのファイルを暗号化し、被害者に身代金の支払いを要求するものでした。支払いはビットコインで行われることが多く、支払われない場合、ファイルは復号されずに失われると脅迫されました。社会への影響は甚大で、病院、学校、企業、政府機関など、世界中の数十万台のコンピュータが影響を受けました。特に医療機関では、患者の記録へのアクセスが妨げられ、治療に支障を来たす事態も発生しました。WannaCryは、サイバーセキュリティの重要性と、ソフトウェアの更新の必要性を広く認識させる契機となりました。

    トロイの木馬の事例

    GooglePlayのAndoroidアプリからマルウェア感染

    2021年11月、Google Playに登録されたアプリにバンキング型トロイの木馬が含まれていることが判明しました。このマルウェアは認証情報や金融情報を盗むことを目的とし、30万台以上の端末に影響を与えました。攻撃者は、最小限のフットプリント(アプリ稼働時に要するメモリ容量)でアプリを登録し、ドロッパー(マルウェアを感染させるプログラム)の存在を隠蔽、ダウンロード後のアップデートでマルウェアを展開するという手口を用いていました。感染経路は公式ストアからのダウンロード後のアップデートであり、完全な防御は困難とされています。影響を受けたアプリはすでに削除されています。

    PCがマルウェアに感染したら

    マルウェアに感染したときの症状には以下のようなものがあります。

    感染したときの症状

    パソコンの動作が遅い

    マルウェアに感染すると、システムリソースを過剰に消費するため、通常のタスクでもパソコンの動作が遅くなることがあります。これにより、プログラムの起動やファイルの読み込みが時間を要し、全体的なパフォーマンスが低下します。

    予期しないフリーズやクラッシュ

    マルウェアはシステムファイルを破壊したり、重要なプロセスを妨害したりすることで、突然のフリーズやクラッシュを引き起こします。これにより、作業中のデータが失われるリスクが高まります。

    原因不明のストレージ容量の減少

    マルウェアが悪意のあるプログラムをインストールし、大量のファイルをダウンロードするなど、ストレージ容量を消費します。突然、ストレージ容量が急激に減少する場合は感染が疑われます。

    迷惑なポップアップ

    アドウェアやスパイウェアなどのマルウェアは、感染後、ブラウザやデスクトップに不審なポップアップ広告を頻繁に表示させます。さらにブラウザを使用していない時でも突然表示されるため、ユーザの作業を妨げます。多くの場合、これらの広告は不適切な内容や詐欺的なオファーを含んでおり、クリックすると別のマルウェアに感染するリスクがあります。正規のウェブサイトを装った偽のポップアップにも注意が必要です。

    ポップアップによるエラーメッセージ

    マルウェアは偽のエラーメッセージを表示し、ユーザを混乱させることがあります。これらのメッセージは、実際のシステムエラーのように見えますが、偽のソフトウェアのダウンロードや個人情報の入力を促す悪意のあるプログラムを含むものです。正規のエラーメッセージとの区別が難しいため、ユーザが誤ってクリックしてしまい、別のマルウェアへの感染や情報漏洩のリスクが高まります。

    偽のウイルス警告が出力される

    突然、偽のウイルス警告が表示されることがあります。これらの警告は、ユーザを騙して不正なウイルス対策ソフトを購入させたり、さらなるマルウェアをインストールさせたりする目的で行われます。

    セキュリティ設定が変更される

    マルウェアは、システムのセキュリティ設定を無断で変更することがあります。これにより、ファイアウォールが無効化されたり、ウイルス対策ソフトが停止されたりすることで、さらに感染が拡大する恐れがあります。

    不審なソーシャルメディア投稿がされる

    感染した場合、マルウェアはユーザのアカウントにアクセスし、不審な投稿を自動的に行うことがあります。これにより、友人やフォロワーにウイルスが拡散されるリスクがあります。

    プログラムが同意なしに実行、終了される

    マルウェアは、ユーザの許可なくプログラムを起動したり、逆に正常なプログラムを強制終了させたりすることがあります。これにより、システムの安定性が損なわれます。

    不審なアプリケーションが表示される

    デスクトップやアプリケーションリストに見覚えのないソフトウェアが突然現れることがあります。これらはマルウェアによって密かにインストールされたものである可能性が高いです。

    ファイルがランダムに消える

    マルウェアはシステム内のファイルを破壊または削除することがあります。特に重要なファイルが意図せず消失する場合は、感染が疑われます。

    インターネット使用量の原因不明の増加

    突然のインターネット使用量の増加は、バックグラウンドでマルウェアが不正な通信を行っているサインかもしれません。これにより、インターネット速度が低下することもあります。

    スマホがマルウェアに感染したら

    スマホがマルウェアに感染したときの症状には以下のようなものがあります。

    バッテリー消費が激しい

    スマートフォンにマルウェアが感染すると、バックグラウンドで悪意のあるプロセスが常時稼働し続けるため、バッテリーの消耗が通常よりも急激に進むことがあります。頻繁な充電が必要になる場合、感染を疑うべきです。

    広告や警告のポップアップ表示

    感染後、ブラウザやアプリ内で不審な広告や偽の警告が頻繁に表示されることがあります。これらのポップアップは、別のマルウェアのインストールや詐欺サイトへの誘導を目的としています。

    アプリが頻繁に落ちる

    マルウェアは、システムリソースを過度に使用したり、アプリに悪影響を与えたりすることで、アプリが頻繁にクラッシュする原因となります。通常なら安定して動作するアプリが急に不安定になる場合、感染が疑われます。

    動作が重くなる

    マルウェアによるシステムリソースの過剰な消費やバックグラウンドでの不正な活動により、スマホ全体の動作が遅くなることがあります。アプリの起動や画面の切り替えが遅延する場合、注意が必要です。

    データ使用量の増加

    マルウェアは、不正なデータ通信をバックグラウンドで行うことがあり、その結果としてデータ使用量が急増することがあります。特にWi-Fiではなくモバイルデータを使用している場合、この症状は顕著です。

    カメラが勝手に起動

    スマホに感染したマルウェアは、ユーザが意図しないうちに勝手にカメラを起動し、写真や動画を撮影することがあります。この不審な動作は、プライバシーの侵害につながる重大なリスクです。

    身に覚えのない支払い請求が届く

    マルウェアは、ユーザの意図しないうちに高額なアプリやサービスを購入させることがあります。その結果、身に覚えのない請求が発生し、金銭的な被害が発生することがあります。

    感染した場合の対処法

    もしマルウェア感染したことが明らかであるならば、どのような対処をすればよいのでしょうか。速やかに対処すべきこととして以下のようなものがあげられます。

    マルウェアの検出

    マルウェア感染が疑われる場合、まずはウイルス対策ソフトを使用してシステム全体をスキャンし、マルウェアの存在を検出します。このスキャンは、感染の早期発見に繋がり、被害の拡大を防ぐために非常に重要です。定期的なスキャンとリアルタイムの監視が、予防と早期対応に不可欠です。

    ネットワークの遮断

    感染が確認された場合、まずネットワークから切り離すことが重要です。これは、マルウェアが他のデバイスに感染を広げ、外部に情報を送信したりするのを防ぐためです。ネットワークからの切断は、さらなる被害の拡大を防ぐための第一歩となります。

    感染源の特定

    メールの添付ファイル、ダウンロードしたアプリ、怪しいリンクなど、感染経路を突き止めることで、今後の再発を防ぐことが可能です。このプロセスは、同じ手口による再感染を防ぐために非常に重要です。

    マルウェア検出ツールによる削除

    検出されたマルウェアを専門の削除ツールで完全に除去します。ウイルス対策ソフトや専用のマルウェア削除ツールを使用することで、安全かつ確実にマルウェアを駆除し、システムを正常な状態に戻します。

    セキュリティ対策の基本

    セキュリティ対策の取り組みには、基本的なセキュリティ対策こそが効果的であるという前提に立って、今一度自組織のセキュリティを見直すことが重要です。

    セキュリティ基本10項目

    • 標的型攻撃メール訓練の実施

    標的型攻撃メール訓練は、従業員のセキュリティ意識向上と実践的なスキル習得に効果的です。訓練では、攻撃メールを模倣したシナリオを用いて、従業員が疑わしいメールを識別し、適切に対応するスキルを養います。定期的な訓練実施により、従業員のセキュリティ意識が継続的に高まり、実際の攻撃に対する組織の耐性が強化されます。また、訓練後のフィードバックやセキュリティ教育との組み合わせにより、より効果的な対策が可能になります。

    • 定期的なバックアップの実施と安全な保管(別場所での保管推奨)

    ランサムウェアによる被害からデータを保護するために、オフラインバックアップ(データだけを独立して磁気テープ・ストレートなどで物理的に隔離しておくこと)をサーバに行うことがおすすめです。バックアップの頻度や保管場所を見直し、最新の情報が常に保存されるようにすることが重要です。

    • バックアップ等から復旧可能であることの定期的な確認

    バックアップが確実に復旧可能であることを確認するため、定期的にリカバリーテストを実施します。これにより、実際の復旧作業時に問題が発生しないことを保証し、緊急時に迅速かつ確実なデータ復旧が可能となります。また、テスト結果を文書化し、必要に応じて復旧手順の改善を図ります。このような確認作業を怠ると、いざという時にデータ復旧が困難になるリスクが高まります。

    • OS、各種コンポーネントのバージョン管理、パッチ適用

    システムの脆弱性を悪用する攻撃を防ぐためには、OSやソフトウェアコンポーネントの最新バージョンへの更新・パッチ適用の実施をすることが必要不可欠です。定期的なパッチ適用とバージョン管理により、サイバー攻撃のリスクを大幅に軽減できます。特にゼロデイ攻撃のリスクを軽減するためには、普段からの脆弱性関連情報収集やバージョン更新が求められます。

    • 認証機構の強化(14文字以上といった長いパスフレーズの強制や、適切な多要素認証の導入など)

    認証の強化は、サイバー攻撃から組織を守るための基本的な対策です。単純なパスワードではなく、長く複雑なパスワードにし、さらに多要素認証(MFA)を導入することを推奨します。多要素認証はパスワードに加え、物理トークンや生体認証などの認証要素を用いることで、不正アクセスされるリスクを低減します。これにより、アカウントのセキュリティが飛躍的に向上します。

    • 適切なアクセス制御および監視、ログの取得・分析

    システム内の情報やリソースへのアクセスを厳格に管理し、適切なアクセス制御を行うことは、内部からの不正行為を防ぐために重要です。また、システムの稼働状況やアクセスログを定期的に取得し分析することで、異常な挙動を早期に検知できます。

    • シャドーIT(管理者が許可しない端末やソフトウェア)の有無の確認

    シャドーITは、組織のセキュリティポリシーに反する可能性があり、脆弱性やデータ漏洩の原因となることがあります。定期的な監査や従業員への教育を通じて、シャドーITの存在を確認し、適切な対策を講じることが重要です。

    • 攻撃を受けた場合に想定される影響範囲の把握

    サイバー攻撃を受けた際に、どのような影響が組織に及ぶかを事前に把握しておくことは重要です。影響範囲を明確にすることで、インシデント発生時の対応計画を具体化し、迅速な対策を講じることが可能になります。システム全体の依存関係や業務の優先度を考慮し、被害を最小限に抑えましょう。

    • システムのセキュリティ状態、および実装済みセキュリティ対策の有効性の確認

    定期的にシステムのセキュリティ状態を確認し、現在のセキュリティ対策が有効に機能しているかを確認することが効果的です。脆弱性診断やペネトレーションテストを実施することで、システムの弱点を特定し、自組織の状況に適した対応の実施が可能になります。

    • CSIRTの整備(全社的なインシデントレスポンス体制の構築と維持)

    CSIRT(Computer Security Incident Response Team)は、サイバー攻撃やインシデント発生時に迅速かつ適切な対応を行うための専門チームです。CSIRTの整備は、全社的なセキュリティ体制を強化し、インシデント発生時の被害を最小限に抑えるために不可欠です。定期的な訓練とシミュレーションを通じて、CSIRTの対応力を維持し、常に最新の脅威に対応できる体制を整えます。

    インシデント対応計画の策定

    インシデント対応計画の策定は、企業がサイバー攻撃や情報漏洩などの緊急事態に迅速かつ効果的に対応するために不可欠です。計画には、インシデント発生時の対応手順、責任者の明確化、コミュニケーション手段の確保、影響評価、そして復旧手順が含まれます。計画は定期的に見直し、訓練を行うことで、実際のインシデント時にスムーズに対応できる体制を整えることが重要です。

    マルウェア対策の基本的な考え方

    不意に襲い来るマルウェアの被害を防御、あるいは最小限にとどめるためには、普段から基本的なマルウェア対策を講じることが重要です。以下のような例が挙げられます。

    あらゆるマルウェアからシステムを守るために、組織内で汎用的な対策を確認しておきましょう。

    まとめ

    マルウェアは、Emotet、WannaCry、トロイの木馬など様々な形態で存在し、主にメールやウェブサイトを介して感染します。これらは個人情報や金融データの窃取、システムの暗号化、身代金要求などを目的としています。感染の症状には、パソコンの動作遅延、予期せぬフリーズ、ストレージ容量の減少、不審なポップアップの表示などがあります。スマートフォンでは、バッテリー消費の増加、アプリのクラッシュ、データ使用量の急増などが見られます。セキュリティ対策としてあげている基本的な10項目を組み合わせ、定期的な見直しと訓練を行うことで、セキュリティ対策の効果を高めることができます。またインシデント対応計画を策定や、マルウェア対策の基本的な取り組みを普段から実施し、サイバー攻撃のリスクに備えることが、組織全体のセキュリティを強化するために不可欠です。

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    サイバーセキュリティとは-情報セキュリティとの違いと目的・対策・重要性を解説-

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    サイバーセキュリティとは-情報セキュリティとの違いと目的・対策・重要性_アイキャッチ画像

    サイバーセキュリティとは、インターネットやデジタル技術を利用する社会で欠かせない「防犯」の仕組みです。情報セキュリティとの違いを正しく理解し、その目的や重要性を把握することは、セキュリティ担当者だけでなくすべての利用者に求められます。本記事では、サイバーセキュリティの基本から具体的な対策、最新トレンドまでをわかりやすく整理し、日常業務や企業活動に活かせる実践的なポイントを解説します。

    サイバーセキュリティという言葉を初めて耳にすると、多くの人が「何か難しそう」「専門家向けでは?」と思ってしまうかもしれません。しかし、インターネットやスマートフォンを使って日常生活を送る現代において、サイバーセキュリティは私たちにとっても実は身近な存在です。

    サイバーセキュリティとは?日常とのつながり

    たとえば、「情報セキュリティ」という言葉の通り、サイバーセキュリティは個人や企業が保有する情報を、外部の攻撃や内部の不正から守るためのあらゆる取り組み——つまり「デジタル社会の防犯」と言ってもいい存在です。特別なものではなく、日々のネット利用やデバイス操作そのものがサイバーセキュリティと密接に関わっているのです。現代はスマートフォンやパソコンだけでなく、テレビや冷蔵庫までがネットにつながる”IoT社会”。SNSでのコミュニケーションやオンラインショッピング、各種アプリの利用など、「サイバー空間」と呼ばれるインターネットの世界は生活の一部になっています。この便利さの裏には、見えないサイバー攻撃のリスクが潜んでいます。ここを知ることが、サイバーセキュリティへの第一歩です。

    サイバー攻撃とは何か

    サイバー攻撃とは、インターネットやネットワークを通じてコンピュータやスマートフォンなどのデバイス、Webサービスなどに損害を与える行為を指します。ニュースでは「ウイルス」「マルウェア」「フィッシング詐欺」「ランサムウェア」「不正アクセス」などの言葉が頻繁に登場しますが、これらはすべてサイバー攻撃の一種です。たとえば、フィッシング詐欺 は本物そっくりの偽メールや偽サイトに誘導し、パスワードやクレジットカード情報を盗み取る手口です。マルウェアは悪意をもったプログラムで、感染することで大切なデータの流出や端末の壊滅的な損害につながります。ランサムウェアは、データを人質に身代金を要求する攻撃手法です。

    攻撃名主な手口被害の特徴主な被害対象
    マルウェア感染メール添付や危険なサイトからのダウンロード情報漏洩、コンピュータの乗っ取り、不正操作個人・企業全般
    フィッシング詐欺偽サイトや偽メールで認証情報取得ID・パスワード盗難、金銭的被害個人ユーザー、ネットバンキング利用者
    ランサムウェアメール・ウェブ経由で感染しデータ暗号化し身代金要求データ利用不可能、金銭的要求、業務停止企業・医療機関・自治体等
    不正アクセス弱いパスワードや設定ミスを悪用機密情報の漏洩、なりすまし被害企業システム・個人サービスアカウント

    サイバーセキュリティの目的

    サイバーセキュリティの目的は、単に攻撃を防ぐことにとどまりません。情報セキュリティの3要素、「機密性」「完全性」「可用性」を合わせて「CIA」と呼びます。つまり「誰にでも見せていい内容か」「内容が改ざんされていないか」「必要な時に使えるか」を守り抜くことこそ、サイバーセキュリティの本懐です。たしかな一次情報によれば、この三要素は、世界中でセキュリティを考えるときの共通する普遍的な指針となっています。このCIAを守るためには、実に幅広い知識と対応策が必要とされます。企業だけでなく、個人が日々の生活でできるセキュリティ対策もたくさん存在します。

    要素概要リスク例
    機密性 (Confidentiality)許可された人だけが情報にアクセスできる状態を保つ情報漏洩、不正閲覧
    完全性 (Integrity)情報が正しく保たれ、改ざんされていない状態を維持データの改ざん、不正操作
    可用性 (Availability)必要な時に情報やシステムが利用できる状態を保つシステム障害、サービス停止

    なぜサイバーセキュリティが重要なのか

    インターネットに依存する現代社会では、サイバー攻撃の被害はもはや特殊な例ではありません。たとえば、企業で情報漏洩が起きれば信用失墜や巨額賠償の問題が発生します。個人の場合でも、SNSの乗っ取りやネットショッピングでの不正利用、クレジットカード情報の流出など、誰もが被害者になりかねません。さらに、近年は、サプライチェーン攻撃ゼロデイ攻撃など、従来の対策では防ぎきれない高度な手口も拡大。セキュリティ対策のトレンドや法規制(サイバーセキュリティ基本法GDPRなど)の最新動向をしっかりと抑えることも必須となっています。

    こうした被害や課題を正しく理解するためにも、具体的な被害事例や判例、世界的な潮流は表にまとめて学ぶことが効果的です。業界団体や行政機関(総務省やIPAなど)が公開している公的なデータやレポートを活用することで、サイバーセキュリティに対する理解を深めることができます。

    サイバーセキュリティにおける基本対策

    「何をすればいいのか?」と悩む方に向けて、まずは日常生活で実践できる初歩的な対策からスタートするのが推奨されます。総務省が示す三原則は、すぐにでも始められる実践的なセキュリティ対策の例です。

    1. ソフトウェアは常に最新版に保つ
    2. 強固なパスワードの設定と多要素認証の活用
    3. 不用意なメール・ファイルを開かない、アプリをインストールしない

    これらに加え、「ウイルス対策ソフトの導入」「ネットショッピングサイトのURL確認」「Wi-Fiルーターの設定見直し」「スマートフォンのOSアップデートの定期的な実施」なども効果的です。企業で働く場合は、「アクセス権限の制御」「重要データのバックアップ」「ログ管理」など、さらに高度な対策が求められます。こうした対策の具体例や実践ポイントは、図表やチェックリスト形式でまとめると自己点検にも役立ちます。セキュリティ対策チェック表や安全なパスワードの選び方、多要素認証の設定ガイド等の図解は、初心者が最初に取り組むべき項目を可視化できるため推奨されます。

    セキュリティ対策チェックリストの例

    以下はチェックリストの一例です。実際に運用する際には業務や使用しているシステムに合わせてより細かく作成していく必要があります。

    やるべきこと重要度対応状況
    OSやアプリの定期的なアップデート実施/未実施
    ウイルス対策ソフトの導入・更新実施/未実施
    強固なパスワード設定と多要素認証の利用実施/未実施
    不用意なメールや添付ファイルを開かない実施/未実施
    バックアップの定期実施実施/未実施
    ネットワーク機器の初期設定見直し実施/未実施
    従業員向けセキュリティ教育・研修実施/未実施

    サイバーセキュリティと情報セキュリティの違い

    初学者からよくある質問の一つが「サイバーセキュリティと情報セキュリティは同じですか?」という点です。情報セキュリティは、あらゆる情報(紙媒体、物理的なデータも含む)を対象にしますが、サイバーセキュリティは特にインターネットやデジタル技術が関与する電子的な情報・デバイス・システムにフォーカスしています。つまり、インターネットやIT機器を使って情報をやり取りする現代において、サイバーセキュリティの重要性は年々増しています。サイバー攻撃に対応するためには、技術だけでなく利用者の意識も不可欠です。

    サイバーセキュリティの最新トレンド

    2025年現在、ゼロトラストモデルEDRSOCMFA(多要素認証)など新しいサイバーセキュリティ技術・サービスの導入が進んでいます。AI技術の進化により、攻撃側・防御側ともに手法が高度化し、サイバー攻撃事例、セキュリティインシデント、情報漏洩等のニュースが増加傾向にあります。また、テレワークの普及やIoT機器の急増は新たなセキュリティリスクを生み出しつつあり、最新のサイバーセキュリティ関連キーワード(ゼロデイ、サプライチェーン、ランサムウェア、フィッシング、VPN、SOC、EDR)は、入門段階から意識して覚えておくべきです。 こうした最新動向は、企業サイト、行政レポート、業界ニュースなど一次情報を出す信頼できる媒体で確認することを強く推奨します。

    サイバーセキュリティの相談窓口・一次情報へのアクセス

    一歩踏み込んで「どこに相談すればいいの?」と感じたら、総務省やIPA(情報処理推進機構)など、一次情報を発信している公的機関の情報を閲覧することからはじめてみましょう。また今皆様が記事を読んでいる弊社SQAT.jpサイトをはじめとした、サイバーセキュリティ情報を扱ったWebサイトから一次情報を確認するのも一つの手段です。独自の見解や推測ではなく、根拠となるニュースリリース、ガイドライン、最新動向をもとに判断するのが大切です。また、さらに一歩踏み込んで対策を始めていきたい、指針がほしいと思ったらセキュリティベンダーを頼ってかかりつけ医のように利用してみてはいかがでしょうか。

    BBSecでは

    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

    サイバーインシデント緊急対応

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    まとめ:誰もが守るべきデジタル時代の「防犯」

    サイバーセキュリティは社会のインフラを守る防犯意識に他なりません。スマートフォン、パソコン、ネットショッピングやSNSなど身近な存在を守るために、まずは基礎を知り、簡単な対策から一歩踏み出してみることが重要です。専門家の世界だけでなく、どなたでも役立つ情報を、身の回りのことからオンラインサービスの使い方まで、生活目線で学ぶ姿勢がセキュリティレベルの向上につながります。今後もサイバー攻撃や新しいリスクは進化を続けますが、一次情報に基づいた正しい知識をもとに、日々小さな工夫から実践を積み重ねていくことこそ、自身と社会を守る最良の方法です。サイバーセキュリティは難しいものではなく、まずは「知る」「見直す」「具体的に始める」―その小さな一歩から、身近な世界に安心と安全をもたらすことができるでしょう。

    【参考情報】


    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年10月22日(水)14:00~15:00
    ランサムウェア対策セミナー2025 ~被害を防ぐための実践的アプローチ~
  • 2025年10月29日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「フィッシング攻撃の最新脅威と被害事例〜企業を守る多層防御策〜
  • 2025年11月5日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「SQAT®ペネトレーションテスト実演付き!-攻撃の“成立”を見極めるペネトレーションテストとは-
  • 2025年11月12日(水)14:00~15:00
    なぜ今“脆弱性診断”が必要なのか?実績データで見る検出傾向とサービス比較
  • 2025年11月26日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「クラウド設定ミスが招く情報漏洩リスク -今こそ取り組むべき「クラウドセキュリティ設定診断」の重要性-
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    セキュリティインシデントの基礎から対応・再発防止まで
    第3回:セキュリティインシデントの再発防止と体制強化

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    セキュリティインシデントの再発防止と体制強化_アイキャッチ画像

    セキュリティインシデントの対応を終えた後に重要なのは、同じような被害を再び起こさないための再発防止と組織全体の体制強化です。インシデントは一度発生すると、企業の信頼や経済的損失に直結します。したがって、単なる原因修正だけでなく、システムや運用、組織文化まで含めた包括的な改善策が求められます。本記事では、再発防止策の具体的手法や、セキュリティ体制強化のポイント、従業員教育や定期的な訓練の重要性について解説します。

    インシデントは「発生して終わり」ではない

    セキュリティインシデントは発生して終わりではなく、組織にとって重要な学習の機会でもあります。再発防止策の基本は、まず原因を正確に特定し、その根本的な要因を排除することです。技術的な脆弱性の修正だけでなく、運用ルールや業務プロセス、アクセス管理、ログ監視体制の見直しなど、組織全体の改善が求められます。特に、多くのインシデントは単一の要因ではなく、複数の小さな問題が重なって発生するため、広い視野での分析と対応が不可欠です。また、再発防止策は一度実施して終わりではなく、定期的な評価と改善サイクルを回すことで、組織のセキュリティ体制を継続的に強化できます。これにより、同じ種類の被害が繰り返されるリスクを大幅に低減できるのです。

    再発防止こそが最重要課題

    再発防止を確実にするためには、組織全体のセキュリティ体制を明確に整備することが不可欠です。具体的には、インシデント対応チーム(CSIRT)を設置し、平常時から役割分担を明文化しておくことで、発生時の混乱を最小限に抑えられます。例えば、技術担当者は原因調査や封じ込めを、法務担当者は法的リスクの確認や外部報告を、広報担当者は顧客や取引先への情報発信を、それぞれ責任範囲を明確にして迅速に対応します。また、経営層も意思決定や資源配分の役割を担い、全社的な支援体制を構築することが重要です。このような体制を事前に整えておくことで、インシデント発生後の対応スピードが向上し、被害の拡大や二次的な損失を防ぐことができます。

    再発防止のためのアプローチ

    従業員教育と意識向上

    セキュリティインシデントの再発防止には、従業員一人ひとりの意識向上が欠かせません。技術的対策や体制整備だけでは、人的ミスや不注意による情報漏洩、誤操作を完全に防ぐことはできません。そのため、定期的なセキュリティ教育や訓練を通じて、最新の脅威や攻撃手法、社内ルールの理解を深めることが重要です。例えば、フィッシングメールの疑似演習やパスワード管理の強化、情報取り扱いに関するケーススタディを行うことで、従業員の行動が組織全体のセキュリティ強化につながります。さらに、教育や訓練の効果は一度きりではなく、継続的に評価し改善していくことが求められます。このように、人的要因への対応を組み込むことで、組織全体の防御力が大きく向上します。

    セキュリティポリシーの定期的な見直し

    再発防止策を有効に機能させるためには、定期的な監査と評価が不可欠です。導入したセキュリティ対策や運用ルールが実際に遵守されているか、効果があるかを定期的に確認することで、弱点や改善点を早期に発見できます。例えば、アクセス権限やログ管理の運用状況をチェックする内部監査、脆弱性診断やペネトレーションテストなどの技術的評価を組み合わせることで、組織全体の安全性を客観的に評価できます。また、監査や評価の結果をもとに改善策を実行し、PDCAサイクルを回すことで、インシデント再発のリスクを継続的に低減することが可能です。このプロセスをルーチン化することで、組織はインシデントに強い体制を築くことができるようになります。

    セキュリティ対策の継続的強化

    再発防止には、組織全体の運用や体制強化だけでなく、セキュリティ対策の継続的な見直しも重要です。脆弱性の発見やパッチ適用、アクセス制御の見直し、ファイアウォールやIDS/IPSなどのセキュリティ機器の設定確認は、常に最新の脅威に対応するために欠かせません。また、クラウドサービスやモバイル端末など、新たなIT資産を導入する際も、初期設定のセキュリティ強化や監視体制の整備を行う必要があります。さらに、ログ監視やアラート機能の精度向上、異常検知の自動化など、セキュリティ対策を継続的に見直すことで、インシデントの早期発見と被害拡大防止が可能となります。技術面の強化は、組織の防御力を底上げし、再発リスクを大幅に低減する基盤となります。

    インシデント発生後の振り返り(ポストモーテム)

    インシデント対応が一段落した後は、必ず振り返り(ポストモーテム)を行い、再発防止策の精度を高めることが重要です。具体的には、発生原因、対応のスピードや手順の適切さ、情報共有の精度、関係者間の連携状況などを詳細に分析します。この振り返りによって、改善すべき運用上の課題や技術的な弱点が明確になり、次回以降の対応力向上につながります。また、振り返りの結果は、社内マニュアルや教育資料に反映させることで、組織全体の知見として蓄積されます。さらに、経営層への報告を通じて資源や方針の見直しにも活用することで、組織全体のセキュリティ文化を強化し、インシデント再発リスクを大幅に低減できます。

    まとめ

    セキュリティインシデントは発生して終わりではなく、発生後の対応や改善こそが組織の安全性を左右します。本記事では、再発防止策の基本、組織体制の強化、従業員教育、定期的な監査、技術的対策の継続的強化、そしてポストモーテムによる振り返りまで、包括的な対策のポイントを解説しました。これらを継続的に実施することで、インシデントの再発リスクを大幅に低減し、企業の信頼性と業務継続性を確保できます。次回以降も、組織全体でセキュリティ力を高める取り組みが重要です。

    BBSecでは

    セキュリティインシデントの再発防止と体制強化は、組織の安全性を高めるために不可欠です。BBSECでは、インシデント発生時に迅速かつ効果的に対応できる体制構築を支援する「インシデント初動対応準備支援サービス」を提供しています。このサービスでは、実際のインシデント発生時に参照可能な対応フローやチェックリストの作成をサポートし、組織の対応力を強化します。さらに、インシデント対応訓練を通じて、実践的な対応力を養うことも可能です。詳細については、以下のリンクをご覧ください。

    https://www.bbsec.co.jp/service/evaluation_consulting/incident_initial_response.html
    ※外部サイトにリンクします。

    【参考情報】


    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    【連載一覧】

    第1回:セキュリティインシデントとは何か?基礎知識と代表的な事例
    第2回:セキュリティインシデント発生時の対応 ─ 初動から復旧まで

    サイバーインシデント緊急対応

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年10月22日(水)14:00~15:00
    ランサムウェア対策セミナー2025 ~被害を防ぐための実践的アプローチ~
  • 2025年10月29日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「フィッシング攻撃の最新脅威と被害事例〜企業を守る多層防御策〜
  • 2025年11月5日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「SQAT®ペネトレーションテスト実演付き!-攻撃の“成立”を見極めるペネトレーションテストとは-
  • 2025年11月12日(水)14:00~15:00
    なぜ今“脆弱性診断”が必要なのか?実績データで見る検出傾向とサービス比較
  • 2025年11月26日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「クラウド設定ミスが招く情報漏洩リスク -今こそ取り組むべき「クラウドセキュリティ設定診断」の重要性-
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    今さら聞けない脆弱性とは-基礎から学ぶ脆弱性管理と効果的な脆弱性対策ガイド-

    Share
    今さら聞けない脆弱性とは-基礎から学ぶ脆弱性管理と効果的な脆弱性対策ガイド-アイキャッチ画像

    インターネットや情報システムの世界でよく耳にする「脆弱性」という言葉。普段の生活ではあまり使わないため、聞いたことはあっても正確に説明できないという方は少なくありません。特に近年はサイバー攻撃や情報漏洩のニュースが多く報じられるため、脆弱性という言葉はますます身近になってきました。しかし、「脆弱性とは一体何なのか」「個人や組織としては何をすればいいのか」と問われると、答えに詰まってしまう人も多いはずです。本記事では、初心者の方にも理解しやすいように、脆弱性の基本的な意味から具体的な事例、そして個人や組織が取るべき対策までを解説します。これからサイバーセキュリティの学びを始めたい方にとって、理解の入り口となる内容を目指しました。

    脆弱性とは何か?

    サイバーセキュリティにおける脆弱性とは、コンピュータやネットワーク、ソフトウェアなどに存在する思わぬ欠陥や弱点のことを指します。プログラムの設計ミスや設定の甘さ、想定されなかった挙動などが原因で発生し、それを悪用されると本来守られるべき情報やシステムが攻撃者に狙われてしまいます。 もっと身近な言葉に例えるなら、家のドアに鍵をかけ忘れた状態や、窓の鍵が壊れている状態が「脆弱性」です。そこに泥棒(ハッカー)がやって来れば、侵入や盗難のリスクが高まります。つまり脆弱性そのものは「危険ではあるがまだ被害が起きていない不備」であり、攻撃者に利用されて初めて実際の被害につながるのです。

    脆弱性が生まれる原因

    脆弱性は無意識のうちに生まれることが多く、その理由は多岐にわたります。代表的な要因には以下が挙げられます。

    • ソフトウェアの開発過程における設計ミスやバグ
    • サーバーやOSのセキュリティ設定の不備
    • 古いシステムやソフトウェアを更新せずに使い続けること
    • 想定していなかったユーザーからの入力や操作
    • 利用するプログラムやライブラリに潜む欠陥

    実際、ソフトウェア開発は非常に複雑で、数百万行にも及ぶプログラムコードから成る場合もあります。そのため、すべてのバグや欠陥を完全に排除することは事実上困難です。

    脆弱性の代表的な種類

    脆弱性にはいくつも種類があり、攻撃手法によって分類されます。初めて耳にする方でもわかりやすい代表例を挙げてみましょう。

    SQLインジェクション

    ウェブアプリケーションにおける入力欄に悪意のあるデータベース命令文を仕込む手法で、見せてはいけない情報が外部に漏れてしまう危険があります。

    クロスサイトスクリプティング(XSS)

    ウェブサイトに不正なスクリプトを埋め込んで、閲覧者のブラウザ上で実行させる攻撃。利用者のIDやパスワードが盗まれる危険があります。

    バッファオーバーフロー

    プログラムに想定していない長さのデータが入力されることで、メモリ領域が壊され、攻撃者に任意のコードを実行されるリスクがあります。

    セキュリティ設定不備

    セキュリティ機能が有効化されていなかったり、不要なポートが開いたままになっていたりするケースも脆弱性の一つです。

    脆弱性が悪用されるとどうなるのか

    実際に攻撃者が脆弱性を利用すると、さまざまな被害につながります。たとえば以下のようなケースです。

    • クレジットカード番号や個人情報の漏洩
    • 社内ネットワークが侵入されて業務停止
    • 顧客の信頼を失い、企業のブランドに大打撃
    • 勝手に改ざんされたWebサイトが利用者をウイルス感染させる

    こうした被害は一度起きると回復に莫大なコストがかかり、企業経営に深刻な影響を与えます。近年報じられる情報漏洩事件の多くは、既知の脆弱性を放置していたことが原因とされています。

    脆弱性対策として実施すべきこと

    脆弱性はゼロにはできないため、いかに早く気づき、適切に対応するかが重要です。個人利用者と企業の立場で考えられる基本的な対策を見てみましょう。

    個人ができること

    • OSやソフトウェアを常に最新バージョンに保つ
    • ウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルを更新する
    • 怪しいリンクやメールの添付を開かない
    • 強固なパスワードや多要素認証を利用する

    企業がすべきこと

    • 脆弱性診断やペネトレーションテストを定期的に実施する
    • セキュリティパッチが公開されたら速やかに適用する
    • 社内従業員へのセキュリティ教育を徹底する
    • ログ監視や侵入検知システムの導入で不審な挙動を早期発見する

    脆弱性とセキュリティ文化

    技術的な対策も重要ですが、それ以上に「セキュリティを日常的に意識する文化づくり」が欠かせません。脆弱性は人間のちょっとした油断や不注意からも生まれます。更新通知を無視したり、利便性を優先してセキュリティを後回しにしたりすると、そこに必ず隙が生まれるのです。 政府や専門機関が公表する脆弱性関連情報に目を通す習慣をつけるのも効果的です。たとえば国内では独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が脆弱性関連情報を提供しており、日々の最新情報をチェックできます。

    これからの脆弱性対策

    今後はクラウドサービスやIoT機器の普及によって、脆弱性の範囲はさらに広がります。冷蔵庫やカメラ、工場の制御システムなど、私たちの生活に直結するモノがすべてインターネットにつながる時代となりつつあります。その一つひとつが脆弱性を抱えていた場合、想像以上に深刻なリスクが広がる可能性があるのです。そこで重要になってくるのが「ゼロトラスト」の考え方です。これはすべてのアクセスを信頼しないという前提に立ち、システムを多層的に守ろうとするセキュリティモデルで、近年世界中の企業が導入を進めています。

    まとめ

    脆弱性とは「情報システムやソフトウェアに存在する欠陥や弱点」であり、その多くは放置されることでサイバー攻撃に悪用され、大規模な被害を引き起こす可能性があります。重要なのは、脆弱性をゼロにすることではなく、発見されたときに迅速に対応し、常に最新の状態を保つことです。 セキュリティ対策は専門家だけの仕事ではありません。個人ユーザも企業の一員も、日々の小さな行動が大きなリスク回避につながります。これまで「脆弱性」という言葉だけを知っていた方も、これを機に身近な問題として捉え、今日から個人や組織としてできる対策を一つずつ取り入れていきましょう。

    【脆弱性対策および脆弱性管理に関する情報収集サイト・資料】


    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年10月8日(水)14:00~15:00
    ウェビナー参加者限定特典付き!
    ソースコード診断で実現する安全な開発とは?脆弱性対策とDevSecOps実践
  • 2025年10月22日(水)14:00~15:00
    ランサムウェア対策セミナー2025 ~被害を防ぐための実践的アプローチ~
  • 2025年10月29日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「フィッシング攻撃の最新脅威と被害事例〜企業を守る多層防御策〜
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    セキュリティインシデントの基礎から対応・再発防止まで
    第2回:セキュリティインシデント発生時の対応 ─初動から復旧まで

    Share
    セキュリティインシデント発生時の対応アイキャッチ画像

    セキュリティインシデントは、発生した瞬間から組織に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、どれほど迅速かつ的確に対応できるかが被害の拡大を防ぐ鍵となります。特に初動対応の遅れは、情報漏洩の範囲拡大やシステム停止の長期化といった二次被害を招きかねません。本記事では、セキュリティインシデントが発生した際に組織が取るべき対応を、初動から原因調査、復旧、そして報告体制まで段階的に解説します。

    インシデント対応が遅れると被害が拡大する―「初動対応」の重要性

    セキュリティインシデントが発生した際、最初に求められるのは「被害の拡大を防ぐこと」です。具体的には、該当システムのネットワーク接続を遮断する、影響範囲を限定する、ログを確保して証拠を保存するといった行動が挙げられます。ここで重要なのは、焦ってシステムを完全に停止させたり証拠を消去したりしてしまわないことです。例えば、感染が疑われるPCを慌てて初期化すると、攻撃経路やマルウェアの痕跡といった重要な調査情報を失うことになり、後続の対応が困難になります。そのため、インシデント発生時には「まず拡大防止と証拠保全を優先する」という基本原則を徹底する必要があります。初動段階での判断ミスが、被害規模や復旧にかかる時間を大きく左右するのです。

    セキュリティインシデント対応の基本フロー

    社内連携と報告体制

    セキュリティインシデントが発生した際、技術的な対応と同じくらい重要なのが「社内連携と報告体制」です。現場担当者が異常を検知した場合、直属の上司や情報システム部門への迅速な報告はもちろん、経営層へのエスカレーションルートを明確にしておくことが不可欠です。さらに、インシデント対応を一部門だけに任せるのではなく、法務・広報・総務など関連部門との連携が欠かせません。例えば、法務部門は法的リスクの確認や外部機関への届出判断を担い、広報部門は顧客や取引先への適切な情報発信を行います。これらが連携できていないと、組織全体としての対応が後手に回り、混乱や信頼失墜を招く恐れがあります。そのため、平常時から「誰が・どのタイミングで・誰に報告するか」を明文化したインシデント対応計画を整備しておくことが重要です。

    被害範囲の特定

    セキュリティインシデントが発生した際に、初動対応で重要なのが「被害範囲の特定」です。単なる障害や一時的な不具合と、外部からの不正アクセスやマルウェア感染といったインシデントを明確に区別する必要があります。具体的には、ログの解析やネットワーク監視、ユーザ報告などを通じて、侵入経路や影響を受けたシステム、漏洩が疑われる情報を洗い出します。この段階で誤った判断を下すと、被害を過小評価して対応が遅れたり、逆に過大評価して不要な混乱を招いたりするリスクがあります。そのため、迅速かつ客観的に状況を評価できる仕組みを整えておくことが欠かせません。

    被害の封じ込め・拡大防止

    被害範囲を特定した後は、被害の「封じ込め」が必要です。これは、インシデントの拡大を防ぎ、さらなる被害を最小限に抑えるための重要なプロセスです。例えば、侵害を受けたサーバをネットワークから切り離す、攻撃者が利用したアカウントを即座に無効化する、通信を一時的に遮断するなどの対応が考えられます。ただし、封じ込めの方法を誤ると、証拠が失われたり、攻撃者に異変を察知されて活動を隠蔽されたりする恐れもあります。そのため、封じ込めの対応はセキュリティチーム内で役割を明確にし、優先順位を付けて慎重に進めることが求められます。

    原因調査・ログ解析・フォレンジック調査

    封じ込めが完了した後は、インシデントの原因を突き止める「原因調査」が不可欠です。攻撃者がどのように侵入したのか、どの脆弱性を悪用したのか、内部関係者の過失や不正が関与していないかなど、多角的な視点から調査を進める必要があります。ログ解析やフォレンジック調査を通じて、攻撃経路や被害状況を正確に把握することが求められます。この段階で調査が不十分だと、再発防止策が不完全となり、再び同様の被害を招く可能性が高まります。そのため、外部のセキュリティ専門家の協力を得るケースも少なくありません。

    復旧対応

    原因が特定された後は、システムやサービスの復旧作業に移ります。ただ単に停止したサービスを再開させるのではなく、原因を取り除き、安全性を確認したうえで再稼働することが重要です。例えば、脆弱性が悪用されていた場合はセキュリティパッチを適用し、不正アクセスで改竄されたデータがあればバックアップから復旧します。また、復旧の際には「段階的な再開」を意識することが推奨されます。いきなり全システムを戻すのではなく、優先度の高いシステムから順に稼働させ、監視を強化しながら正常性を確認することで、再度の障害発生や攻撃再開のリスクを軽減できます。

    関係者への報告・情報共有

    復旧作業と並行して、関係者への適切な報告や情報共有も欠かせません。セキュリティインシデントは自社だけの問題ではなく、取引先や顧客、さらには規制当局にまで影響が及ぶ可能性があります。そのため、影響範囲を正確に把握したうえで、必要な関係者に迅速かつ誠実に情報を提供することが求められます。特に個人情報漏洩が発生した場合、法令やガイドラインに従った報告が義務付けられているケースも多く、対応を怠れば法的リスクや企業の信頼失墜につながります。また、社内向けの情報共有も重要であり、従業員が不安や誤情報に惑わされないよう、明確なメッセージを発信する体制を整えることが望まれます。

    再発防止策の検討

    インシデント対応の最終段階は、再発を防ぐための改善策を講じることです。単に原因を修正するだけでなく、組織全体のセキュリティ体制を見直す機会として活用することが重要です。例えば、脆弱性管理の仕組みを強化する、アクセス制御のルールを見直す、ログ監視やアラートの精度を高めるなど、技術的な改善が挙げられます。また、従業員へのセキュリティ教育や定期的な訓練を実施し、人為的なミスや不注意を減らす取り組みも効果的です。さらに、インシデント対応の流れを記録し、振り返り(ポストモーテム)を行うことで、今後同様の事態が発生した際に迅速かつ適切に対処できる体制を構築できます。

    BBSecでは

    セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスも提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

    サイバーインシデント緊急対応

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    まとめ

    本記事では、セキュリティインシデントが発生した際に組織が取るべき対応を、初動から原因調査、復旧、関係者への報告、そして再発防止まで段階的に解説しました。インシデント対応は単なる技術的作業ではなく、社内連携や外部機関との調整、法令遵守、そして企業全体の信頼維持といった広範な要素が関わります。特に初動対応の速さや正確さは被害の拡大を防ぐ鍵となるため、日頃からの対応体制の整備や訓練が欠かせません。次回第3回では、インシデントの発生を未然に防ぐ取り組みや、組織全体でのセキュリティ強化策について詳しく解説し、実践的な予防策のポイントを紹介します。


    ―第3回へ続く―

    【参考情報】


    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年10月8日(水)14:00~15:00
    ウェビナー参加者限定特典付き!
    ソースコード診断で実現する安全な開発とは?脆弱性対策とDevSecOps実践
  • 2025年10月22日(水)14:00~15:00
    ランサムウェア対策セミナー2025 ~被害を防ぐための実践的アプローチ~
  • 2025年10月29日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「フィッシング攻撃の最新脅威と被害事例〜企業を守る多層防御策〜
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像

    セキュリティインシデントの基礎から対応・再発防止まで
    第1回:セキュリティインシデントとは何か?基礎知識と代表的な事例

    Share

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    セキュリティインシデントとは何か?基礎知識と代表的な事例アイキャッチ画像

    近年、企業や組織を取り巻くサイバー攻撃はますます巧妙化しており、「セキュリティインシデント」が発生した場合、情報漏洩や不正アクセスなどによって、金銭的損失だけでなく企業の信用失墜にも直結します。本記事では、セキュリティインシデントの定義や種類、実際に発生した事例を取り上げ、その影響とリスクを理解するための基礎知識を解説します。

    セキュリティインシデントの定義

    セキュリティインシデントとは、情報システムやネットワークにおいて、情報のセキュリティの3要素、「機密性」「完全性」「可用性」を脅かす事象の総称です。具体的には、不正アクセスや情報漏洩、マルウェア感染、サービス運用妨害(DoS)攻撃などが含まれます。近年はクラウドやリモートワークの普及により、攻撃対象や被害の範囲が広がり、セキュリティインシデントの発生リスクは増大しています。国内外で大規模な事件が相次いで報道されるなか、インシデントの発生はもはや大企業に限られた問題ではなく、中小企業や自治体、教育機関に至るまで幅広い組織が直面しています。そのため、経営層から現場担当者に至るまで、セキュリティインシデントへの理解と備えが求められているのです。

    セキュリティインシデントの種類(例)

    一口にセキュリティインシデントといっても、その内容は多岐にわたります。代表的なものとしては、まず「不正アクセス」が挙げられます。攻撃者が外部からシステムに侵入し、機密情報を窃取したり改竄したりするケースです。次に「マルウェア感染」があります。ウイルスやランサムウェアなどの悪意あるソフトウェアにより、データが暗号化され業務が停止する被害が増えています。また、従業員による「内部不正」も見逃せません。権限を持つ社員が意図的に情報を持ち出すケースや、誤操作による情報流出が問題化しています。さらに「情報漏洩」や「サービス停止(DoS/DDoS攻撃など)」も、企業活動を直撃する深刻なインシデントです。このようにセキュリティインシデントは外部攻撃だけでなく、内部要因やシステム障害など多面的に発生し得るため、幅広い視点での備えが不可欠です。

    実際に発生した主なセキュリティインシデント事例

    セキュリティインシデントは国内外で日々多発しています。この表は2025年8月から9月にかけて発生した主要な国内インシデント事例をまとめたものです。ランサムウェア攻撃や不正アクセスによる被害が多く、特に製造業や重要インフラへの影響が深刻化している傾向が見られます。

    被害報告日被害企業概要主な原因影響範囲
    2025年9月国内ガス・電力会社人為的ミスLPガス検針端末の紛失顧客情報6,303件の漏洩等のおそれ*1
    2025年9月国内デジタルサービス運営委託事業者個人情報漏洩受講状況管理ツールへの登録作業ミスリスキリングプログラム受講者1名の個人情報が他の受講者1名に閲覧可能に*2
    2025年9月国内食料品小売業個人情報漏洩サーバへの第三者からの不正アクセス企業情報及び個人情報が流出した可能性*3
    2025年9月委託事業者操作・管理ミスオペレーターの利用者情報取り違い高齢者の見守り・安否確認が行われず*4
    2025年9月国内オフィス機器販売会社個人情報漏洩第三者による不正アクセスカード支払い顧客の情報漏洩の可能性*5
    2025年8月ハウステンボス株式会社システム障害第三者による不正アクセス一部サービスが利用できない状況に*6
    2025年8月国内電力関連会社不正ログインリスト型攻撃(複数IPアドレスから大量ログイン試行)ポイント不正利用444件*7
    2025年8月国内機器メーカー企業不正アクセス海外グループ会社を経由した第三者の不正アクセス一部サービス提供停止(8月16日復旧)*8
    2025年8月医療用メーカー企業マルウェア感染システムのランサムウェア感染2日間出荷停止、その後再開*9
    2025年8月国内建設事業者マルウェア感染システムのランサムウェア感染海外グループ会社の一部サーバが暗号化*10
    2025年8月国内外郭団体乗っ取り第三者による一部メールアドレスの乗っ取り迷惑メール送信元として悪用*11
    2025年8月暗号資産交換事業者クラウド設定ミス顧客データ移転作業中のクラウド設定ミス海外メディアの報道で発覚、アクセス制限不備*12
    2025年8月国内銀行元従業員による情報の不正取得出向職員による電子計算機使用詐欺アコムから出向の元行員が逮捕・懲戒解雇*13
    2025年8月国内病院個人情報不正利用委託職員が診療申込書から電話番号を不正入手LINEで患者に私的メッセージを送付*14
    2024年12月国内総合印刷事業者マルウェア感染VPNからの不正アクセス(パスワード漏洩または脆弱性悪用)複数のサーバが暗号化される被害*15

    これらの事例は「セキュリティインシデントは特定の大企業だけの問題ではない」という現実を示しており、規模や業種にかかわらず備えが不可欠であることを強調しています。

    セキュリティインシデントが企業に与える影響

    セキュリティインシデントが発生すると、企業は多方面に深刻な影響を受けます。最もわかりやすいのは、システム停止や情報漏洩に伴う金銭的損失です。業務が一時的に止まることで売上が減少し、復旧作業や調査にかかる費用も膨大になります。さらに、顧客情報や取引先情報が流出すれば、企業の信頼性が大きく揺らぎ、契約解除や取引停止に直結する可能性があります。また、個人情報保護法や業界ごとのセキュリティ基準に違反すれば、法的責任や行政処分を受けるリスクも高まります。株式市場に上場している企業であれば、セキュリティインシデントの公表によって株価が急落するケースも少なくありません。このように、単なるシステム障害にとどまらず、企業経営全体に打撃を与える点がセキュリティインシデントの恐ろしさといえます。

    まとめ

    本記事では、セキュリティインシデントの定義や種類、実際に発生した事例、そして企業に及ぼす影響について解説しました。改めて強調すべきは、セキュリティインシデントは大企業だけでなく、中小企業や自治体、教育機関などあらゆる組織にとって現実的な脅威であるという点です。しかも一度発生すると、金銭的損失だけでなく、顧客や取引先からの信頼低下、法的リスク、社会的信用の失墜といった連鎖的な被害を引き起こします。こうした背景から、セキュリティインシデントを「発生してから考える」姿勢ではなく、「発生する前提で備える」姿勢が求められています。次回は、実際にインシデントが発生した際にどのような対応が必要なのか、初動から復旧までの流れを詳しく解説します。

    【参考情報】


    ―第2回へ続く―

    サイバーインシデント緊急対応

    サイバーセキュリティ緊急対応電話受付ボタン
    SQAT緊急対応バナー

    Security NEWS TOPに戻る
    バックナンバー TOPに戻る

    ウェビナー開催のお知らせ

  • 2025年10月1日(水)13:00~14:00
    2025年10月Windows10サポート終了へ 今知るべきサポート切れのソフトウェアへのセキュリティ対策ガイド
  • 2025年10月8日(水)14:00~15:00
    ウェビナー参加者限定特典付き!
    ソースコード診断で実現する安全な開発とは?脆弱性対策とDevSecOps実践
  • 2025年10月22日(水)14:00~15:00
    ランサムウェア対策セミナー2025 ~被害を防ぐための実践的アプローチ~
  • 2025年10月29日(水)13:00~14:00
    【好評アンコール配信】「フィッシング攻撃の最新脅威と被害事例〜企業を守る多層防御策〜
  • 最新情報はこちら


    資料ダウンロードボタン
    年二回発行されるセキュリティトレンドの詳細レポート。BBSecで行われた診断の統計データも掲載。
    お問い合わせボタン
    サービスに関する疑問や質問はこちらからお気軽にお問合せください。

    Security Serviceへのリンクバナー画像
    BBsecコーポレートサイトへのリンクバナー画像
    セキュリティ緊急対応のバナー画像