脆弱性診断の必要性とは?ツールなど調査手法と進め方

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「脆弱性診断の必要性とは?」アイキャッチ画像

企業が施すセキュリティ対策は広範かつ複雑になっています。外部からのサイバー攻撃や、内部での情報の持ち出しなど、セキュリティの脅威が多様化しているためです。企業が保護すべき情報、アプリケーション、機器の種類・数などが拡大していることも理由に挙げられます。

「脆弱性診断」ではアプリケーションやサーバ、ネットワークに、悪用できる脆弱性がないかを診断します。本記事では、ライフサイクル別にどんな診断が必要か、ツール診断と手動診断、ペネトレーションテストとの違いなどを解説します。

脆弱性診断とは

脆弱性診断とは、企業・組織のシステムに内在するセキュリティ上の既知の欠陥(=脆弱性)を特定する検査です。

脆弱性とは、システムやソフトウェアに存在するセキュリティ上の弱点を指します。
→「脆弱性の意味を正しく理解する―読み方・具体例・種類をわかりやすく解説

Webアプリケーション、スマホアプリケーション、サーバ、ネットワークなど診断対象により様々な脆弱性診断があります。セキュリティ上の問題点を可視化することで、情報漏洩やサービス停止等のセキュリティ事故を防ぐために、どのような対策を実施すればよいか検討するのに役立ちます

脆弱性のリスクについてはこちらの関連記事もあわせてご参照ください。
BBSec脆弱性診断結果からみる― 脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとは ―
定期的な脆弱性診断でシステムを守ろう!-放置された脆弱性のリスクと対処方法-
既知の脆弱性こそ十分なセキュリティ対策を!
今、危険な脆弱性とその対策―2021年上半期の診断データや攻撃事例より―

脆弱性診断の必要性

情報資産を守るため

CIA説明画像

情報のセキュリティの3要素、「機密性」「完全性」「可用性」を守るためにも、脆弱性診断は必要な理由の一つです。


「機密性」…限られた人だけが情報に接触できるように制限をかけること。
「完全性」…不正な改ざんなどから保護すること。
「可用性」…利用者が必要なときに安全にアクセスできる環境であること。


これらの要素を適切に満たすことが、情報セキュリティを担保する上では欠かせないものとなります。

情報セキュリティ事故を未然に防ぐため        

攻撃者より先にシステムに隠れた脆弱性を検出して対策することで、攻撃や事故発生の確率を下げることができます。ひとたび個人情報やクレジットカード情報の漏えい事故が発生すれば、さまざまな対応・復旧費用や対策工数の発生は避けられません。ブランドの毀損や企業イメージの低下も招きます。

サービス利用者の安心のため

パソコンやインターネットを補助的に利用していた昔と異なり、現在はWebサービスやアプリケーションそのものが利益を生み出しています。生活や経済がネットワークなしに成り立たない現在、脆弱性診断などのセキュリティ対策は、事業を継続しサービス利用者の安心を守るため、欠かせないものとなっています。

脆弱性診断の種類

診断対象により、さまざまな脆弱性診断サービスがあります。まず、企業が開発したWebアプリケーションが挙げられます。問合せや会員登録といった、入力フォームの入出力値の処理、ログイン機能の認証処理などに対して、幅広く網羅的に脆弱性診断が行われます。

次に、そのWebアプリケーションを実行するサーバやネットワーク機器、OSやミドルウェアに脆弱性がないか検査するプラットフォーム診断があります。

アプリケーションの脆弱性診断には、既知の攻撃パターンを送付して対象システムやソフトウェアの挙動を確認する「ブラックボックステスト」という方法があります。 「ブラックボックステスト」では、実装時における脆弱性は検出できますが、そもそもプログラムの設計図であるソースコード中に存在する脆弱性を網羅的には検査することには適していません。

この場合、ソースコード開示のもと「ソースコード診断」する方法が有効です。「ソースコード診断」は「ブラックボックステスト」に対して 「ホワイトボックステスト」とも呼ばれます。また、「ソースコード診断」はさらに、プログラムを実行しないで行う「静的解析」と、実行して行う「動的解析」に分類できます。

ソースコード診断についてはこちらの記事もあわせてご参照ください。
ソースコード診断の必要性とは?目的とメリットを紹介

そのほか、近年増加の一途をたどるスマホアプリケーションIoT機器を対象とした脆弱性診断もあります。

脆弱性診断画像

(株式会社ブロードバンドセキュリティのサービス分類に基づく)

脆弱性診断とペネトレーションテストの違い

脆弱性診断とペネトレーションテストは、双方とも脆弱性などを検出する点では似ていますが、目的と方法が少し異なります。脆弱性診断は既知の脆弱性を網羅的に検出することを目的としています。

ペネトレーションテストは、「侵入テスト」の名前のとおり、疑似的なサイバー攻撃を仕掛けてセキュリティ対策の有効性を評価するために実施します。技術的アプローチだけでなく、対象となる組織の構成や、業務手順、ときには物理的な施設の特徴すら加味して、攻撃シナリオを作成する「レッドチーム演習」と呼ばれるテストを実施することもあります。

シナリオに沿ってペネトレーションテスターが攻撃を実行し、システムに侵入できるか、ターゲットとする資産(多くは知的財産)にたどり着くことができるかどうかなどをテストします。ペネトレーションテストは脆弱性診断と比べて、技術力はもちろん、より幅広い見識やセンスが求められます。

脆弱性診断のやり方(方法)

脆弱性診断にはツールを使って自動で診断する「ツール診断」とエンジニアが診断する「手動診断」があります。

ツール診断

「ツール診断」では、セキュリティベンダーが、商用または自社開発した脆弱性診断ツールを用いて脆弱性を見つけ出します。脆弱性診断ツールと呼ばれるコンピュータプログラムを実行して、その応答から脆弱性を検知していくもので、自動診断とも呼ばれます。機械的に不正なHTTPリクエストを送り付ける疑似攻撃を行いますが、クラッカーによる攻撃とは異なり、あくまでも 脆弱性を見つけ出すことが目的であるため、システムを破壊することはありません。

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ツール診断は機械的な検査であるため、過検知や誤検知なども含まれることが多く、その結果は担当者が補正することで正確な情報が得られます。比較的手軽に行えることから、開発段階で実施されることも多い診断です。また、定期的な簡易診断として用いることで、コストを低減しつつ最新の状態を保つことができるといった利用方法もあります。

脆弱性診断ツールとは

脆弱性診断ツールには、たとえばWebアプリケーション診断の場合に、検査コードと呼ばれる不正なHTTPリクエストを送信し 擬似攻撃するプログラムがあります。

手動診断

技術者がプロキシツールを介してWebブラウザでサイトにアクセスした際に発生するリクエストを書き換える形で、脆弱性を確認する方法です。ツール診断と比べ検査項目も広く、また細かな検査ができるのが特徴です。

手動診断は、経験と専門性を持つ技術者によって実施され、機械的な判断では見落としてしまう画面遷移・分岐にも対応できるメリットがあります。発見した脆弱性の再現手順や、最新動向を加味した対策方法などを提示してくれるのも、手動診断ならではの特徴と言えます。

ツール診断と手動診断は、どちらが優れていると比較するものではありません。それぞれの特長を生かし、予算に合わせて組み合わせることで、コストパフォーマンスを発揮できるでしょう。

脆弱性診断サービスの流れ

セキュリティベンダーに脆弱性診断を依頼する際は、まず 診断する範囲を決めます。組織にとって重要度が高い部分、すなわちサイバー攻撃を許してはいけないシステムやサーバ、Webアプリケーションを選定します。

診断が終了するとベンダーからレポートが提供され、報告会が行われることもあります。レポートに記載された脆弱性には深刻度などがスコア化されていることもあります。内容に応じて優先度をつけて、脆弱性をふさぐ必要があります。

チームによる診断・分析・保守画像

継続的なセキュリティ対策の実施を

脆弱性診断は一度実施したらそれで終わり、というものではありません。脆弱性診断により発見された問題に対し対策を実施することで、より堅牢なシステム・環境・体制を構築することができます。

重要なのは、システムライフサイクルの各フェーズで、適切な診断を実施し、洗い出されたセキュリティ上の問題に優先順位をつけて、ひとつひとつ対処することです。診断ツールの検討に関しては自組織の環境やシステム特性に合わせたものを選定し、継続的なセキュリティ対策に有効活用できるようにしましょう。

まとめ

企業の情報システムが複雑かつ大規模になった現在、カード情報や個人情報・機密情報を狙う内外からの脅威に対して、企業もさまざまな予防手段を打っていく必要があります。情報システムやそれを取り巻く環境・体制が堅牢であるかどうかを検査、評価する方法として「脆弱性診断」があります。

・脆弱性診断とは企業・組織のシステムに内在するセキュリティ上の既知の欠陥(=脆弱性)
 を特定する検査
・Webアプリケーション、スマホアプリケーション、サーバ、ネットワークなど診断対象により様々な脆弱性診断がある
・脆弱性診断を実施し洗い出されたセキュリティ上の問題に優先順位をつけて、ひとつひとつ対処することが重要である


公開日:2020年5月23日
更新日:2026年3月11日

編集責任:木下

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脆弱性の意味を正しく理解する―読み方・具体例・種類をわかりやすく解説

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脆弱性の意味を正しく理解する―種類・悪用リスク・企業が取るべき対策アイキャッチ画像

脆弱性とは、システムやソフトウェア、ネットワークなどに存在する「セキュリティ上の弱点」を指します。この弱点を攻撃者に悪用されると、不正アクセスや情報漏えいなどのサイバー攻撃につながる可能性があります。この言葉の意味を正しく理解することは、サイバーセキュリティを理解するうえで非常に重要であり、企業や組織が安全にシステムを運用するためには、脆弱性を早期に発見し、適切に対策することが重要です。本記事では、脆弱性の正しい意味、サイバー攻撃との関わり、企業が取るべき対策までを体系的に整理し、分かりやすく解説します。

脆弱性とは何か?

「脆弱性(ぜいじゃくせい)」とは、システムやソフトウェア、ネットワークなどに存在する「セキュリティ上の弱点」や「欠陥」のことです。この弱点が存在すると、攻撃者に悪用されることで、不正アクセス、情報漏洩、マルウェア感染、サービス停止といったサイバー攻撃の被害につながる可能性があります。

脆弱性の多くは、「プログラムの設計ミスやコーディングミスなどによるバグ」になります。バグが存在せず正しく動作するプログラムやWebアプリケーションであっても、設計者が想定しないやり方で機能が悪用され、 結果としてサイバー攻撃が成立する場合には、その「悪用されうる機能設計」が脆弱性とみなされます。

企業では、こうした脆弱性を早期に発見するために「脆弱性診断」を実施することが重要です。→「脆弱性診断の必要性とは?ツールなど調査手法と進め方

脆弱性診断は、システムやアプリケーションに存在するセキュリティ上の欠陥を特定し、対策につなげるための検査です。

しかし、いざ「脆弱性 意味」「脆弱性とは何か?」と問われると、具体的に説明できない人も少なくありません。

脆弱性の読み方と語源

「脆弱性」は「ぜいじゃくせい」と読みます。

「脆」(ぜい):もろい、こわれやすいという意味
「弱」(じゃく):よわい、力が足りないという意味
「性」(せい):性質や特徴を示します

つまり、「壊れやすく弱い性質」という意味で、ITセキュリティ分野では“攻撃に利用される欠陥や弱点”を指す言葉として使われます。また英語ではvulnerability(バルネラビリティ=「攻撃を受けやすいこと」の意)と呼ばれます。

脆弱性の代表例

脆弱性はさまざまな原因によって発生します。ここでは代表的な脆弱性の例を紹介します。

ソフトウェアの脆弱性

ソフトウェアのプログラムに不具合があると、それが脆弱性となる場合があります。例として、

  • 入力値の検証不足
  • バッファオーバーフロー
  • SQLインジェクション

などが挙げられます。このような不具合を攻撃者が悪用すると、データベースの情報が盗まれたり、システムが乗っ取られたりする可能性があります。

これらの代表的なWebアプリケーションのセキュリティリスクは、OWASP Top10として国際的な指標としてまとめられています。
→ 「OWASP Top10 2025:2021版からの変更点と企業が取るべきセキュリティ強化ポイント

OWASP Top10はWebアプリケーションの代表的なセキュリティリスクをまとめた国際的なガイドラインです。

設定ミスによる脆弱性

システムの設定が適切でない場合も脆弱性の原因になります。代表的な例として

  • 管理画面がインターネットに公開されている
  • デフォルトパスワードのまま運用している
  • 不要なポートが開放されている

などが挙げられます。こうした設定ミスは攻撃者にとって侵入の入り口となることがあります。

設計上の問題による脆弱性

システムの設計段階に問題がある場合、構造的な脆弱性が発生することがあります。

例えば

  • 認証機能の設計ミス
  • 権限管理の不備
  • セッション管理の問題

などです。設計段階の脆弱性は、後から修正するのが難しい場合も多く、開発段階からのセキュリティ対策が重要になります。

脆弱性が攻撃の入口になる理由

攻撃者はまず「侵入できる弱点がないか」を探します。この弱点こそが脆弱性です。例えば、

  • 公開された脆弱性のパッチを適用していない
  • 古いプログラムを長期間放置している
  • 不要なサービスやポートを開けたまま

といった状態は、攻撃者に「ここから入れる」と示しているようなものです。実際、多くのサイバー攻撃は “脆弱性の悪用” から始まっています。

ここまでの説明でお気づきかもしれませんが、「脆弱性が多く報告されている」ことは必ずしも「品質が悪い」ことを意味するのではありません。脆弱性が存在してもそのことが報告・公表されていなければ、「脆弱性がある」とは認知されないわけです。

脆弱性が悪用されるとどうなる?

脆弱性が攻撃者に悪用されると、企業や組織に大きな被害をもたらす可能性があります。代表的な被害をご紹介します。

  • 重要情報(顧客情報・社員情報・機密情報等)の漏洩
  • サイバー攻撃(ランサムウェア攻撃等)を受けるリスク
  • サービス停止や業務停止リスク

特に近年は、脆弱性を狙った攻撃が高度化し、攻撃者が自動的に弱点を探索するツールも普及しています。「気づいたら侵入されていた」というケースも少なくありません。

脆弱性を悪用したセキュリティ事故は日々発生しています。SQAT.jpでは以下の記事でも取り上げていますので、ぜひあわせてご参考ください。

● 「定期的な脆弱性診断でシステムを守ろう!-放置された脆弱性のリスクと対処方法-
● 「備えあれば憂いなし!サイバー保険の利活用

脆弱性を防ぐための対策

脆弱性を放置すると、重大なセキュリティ事故につながる可能性があります。脆弱性対策の基本的な考え方としては、システムの欠陥をつぶし、脆弱性を無くすこと(「攻撃の的」を無くすこと)が最も重要です。企業での実践方法としては以下の項目があげられます。

修正パッチの適用

衣服等の破れを補修する「継ぎ当て」や傷口に貼る「絆創膏」のことを英語で「パッチ(patch)」と言いますが、脆弱性を修正するプログラムも「パッチ」と呼ばれます。修正プログラムを適用することは「パッチをあてる」と言われたりします。パッチをあてることにより、システムに影響が及ぶ場合があります。適用にあたっては事前に調査を行い、必要に応じて十分な検証を実施してください。なお、自組織で開発したシステムに関しては、必ずテスト環境を用意し、パッチ適用による整合性チェックを行いましょう。

ソフトウェアやOSの定期的なアップデート

アップデートされた最新バージョンでは既知の脆弱性や不具合が修正されていますので、後回しにせずに更新を行うようにしてください。

セキュアプログラミングで脆弱性を作りこまない体制に

自組織で開発したソフトウェアやWebアプリケーション等の場合は、サービスが稼働する前の上流工程(開発段階)から、そもそも脆弱性を作り込まない体制を構築することが大切です。

また、テレワーク環境では、以上の項目に加え、クライアントサイドでのパッチ適用が適切に行われているかをチェックする体制を構築することも重要です。また、シャドーITの状況把握も厳格に実施する必要があります。

「IT部門が知らないサービスを勝手に利用され、結果として脆弱性の有無について未検証のクライアントソフトやブラウザプラグインが使われていた」という事態は防がねばなりません。

脆弱性情報はWebサイトでチェックできる

脆弱性は、さまざまなソフトウェアやプラットフォームで日々発見されています。そうした情報は、多くの場合、ソフトウェアやプラットフォーム提供元のWebサイトに掲載されます。
少なくとも、自組織で利用している主要なプラットフォームに関しては、緊急性が高い脆弱性が出現していないかどうかを、提供元のWebサイトで定期的にチェックするとよいでしょう。

JVNを利用した脆弱性情報の正確な情報収集と活用法

一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターとIPA(独立行政法人情報処理推進機構)では、公表された脆弱性情報を収集して公開するサービス「JVN(Japan Vulnerability Notes)」を共同運営しています。日本で利用されている大半のソフトウェアの脆弱性の情報は、このサイトでチェックできます。

脆弱性情報ソースと活用

インシデントやゼロデイの発生情報については、セキュリティ専門のニュースサイト、セキュリティエバンジェリストのSNSなどからも情報をキャッチできます。

情報の裏取りとして、セキュリティベンダからの発表やtechブログ等を参照することもと重要となります。攻撃の影響範囲や危険度を確認するには、Exploitの有無を技術者のPoC検証ブログやNVD等で確認することも有効です。

ツールを使って脆弱性を見つける

脆弱性を発見するためのソフトウェアは「チェックツール」「スキャンツール」「スキャナ」などと呼ばれます。以下に、代表的なものをご紹介しましょう。有償、無償のさまざまなツールが提供されていますので、機能や特徴を知り、ニーズに合致するものを試してみてはいかがでしょうか。

  有償ツール 無償ツール
Webアプリケーション向け AppScan、Burp Suite、WebInspect など OWASP ZAP など
サーバ、ネットワーク向け Nessus(一部無償)、nmap など Nirvana改弐、Vuls など

「脆弱性診断」サービスで自組織のソフトウェアの脆弱性を見つける

上記でご紹介したツールを使えば、脆弱性のチェックを自組織で行うことが可能です。しかし、前述の通り、「脆弱性が存在するのに報告されていない」ために情報がツールに実装されていないソフトウェアも数多くあります。また、一般に広く利用されているソフトウェアであれば次々に脆弱性が発見、公開されますが、自組織で開発したWebアプリケーションの場合は、外部に頼れる脆弱性ソースはありません。さらに、実施にあたっては相応の技術的知識が求められます。そこで検討したいのが脆弱性診断サービスの利用です。脆弱性の有無を確認するには、脆弱性診断が最も有効な手段です。

脆弱性診断サービスでは、システムを構成する多様なソフトウェアやWebアプリケーション、API、スマホアプリケーション、ネットワークなどに関し、広範な知識を持つ担当者が、セキュリティ上のベストプラクティス、システム独自の要件などを総合的に分析し、対象システムの脆弱性を評価します。組織からの依頼に応じて、「自組織で気付けていない脆弱性がないかどうか」を調べる目的のほか、「脆弱性に対して施した対策が充分に機能しているか」を検証する目的で実施することもできます。

対策が正常に機能しているかの検証を含めた確認には専門家の目線をいれることをおすすめしています。予防的にコントロールをするといった観点も含め、よりシステムを堅牢かしていくために脆弱性診断をご検討ください。脆弱性を防ぐためには、ソフトウェア更新や設定の見直しだけでなく、定期的なセキュリティ診断を行うことが重要です。

特に企業のシステムでは、脆弱性診断に加えて、実際の攻撃を想定したペネトレーションテストを実施することで、セキュリティ対策の有効性を確認することができます。
→「ペネトレーションテスト(侵入テスト)とは?

脆弱性との共存(?)を図るケースもある

最後に、診断で発見された脆弱性にパッチをあてることができないときの対処法をご紹介しましょう。

まず、「パッチを適用することで、現在稼働している重要なアプリケーションに不具合が起こることが事前検証の結果判明した」場合です。このようなケースでは、システムの安定稼働を優先し、あえてパッチをあてずに、その脆弱性への攻撃をブロックするセキュリティ機器を導入することで攻撃を防ぎます。セキュリティ機器によって「仮想的なパッチをあてる」という対策になるため、「バーチャルパッチ」とも呼ばれます。

また、脆弱性が発見されたのがミッションクリティカルなシステムではなく、ほとんど使われていない業務アプリであった場合は、脆弱性を修正するのではなく、そのアプリ自体の使用を停止することを検討できるでしょう。これは、運用によってリスクを回避する方法といえます。

なお、前項でご紹介した脆弱性診断サービスの利用は、脆弱性に対して以上のような回避策をとる場合にも、メリットがあるといえます。発見された脆弱性について、深刻度、悪用される危険性、システム全体への影響度といった、専門サービスならではのより詳細な分析結果にもとづいて、対処の意思決定を行えるためです。

脆弱性に関するよくある質問



▼脆弱性とは簡単にいうと何ですか?




▼脆弱性とバグの違いは何ですか?




▼脆弱性と脅威の違いは?


まとめ

「脆弱性とは何か?」を正しく理解することは、サイバー攻撃に備えるうえで最も基本かつ重要なステップです。脆弱性は放置すれば攻撃者にとって“格好の入口”となり、情報漏えいやサービス停止など重大な被害を招きかねません。自社システムの安全性を確保するためにも、日頃から更新・診断・運用の見直しを行い、脆弱性を適切に管理することが求められます。

関連情報

● 脆弱性診断の必要性とは?ツールなど調査手法と進め方

公開日:2020年7月20日
更新日:2026年3月11日

編集責任:木下


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緊急パッチ適用の判断基準 ―業務影響を抑えるにはどうすべきか―

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緊急パッチ適用の判断基準:業務影響を抑えるにはどうすべきかアイキャッチ画像

脆弱性情報が公開されると、「これは緊急で対応すべきか」「業務に影響が出ても今すぐ当てるべきか」と判断に迷う場面は少なくありません。本記事では、企業が緊急パッチ対応を判断する際に押さえるべき考え方と、業務影響を抑えながら対応するための実務的な基準を整理します。

緊急パッチとは何か

緊急パッチとは、一般的に被害が急速に拡大する可能性がある脆弱性に対して、迅速な適用が求められる更新を指します。

緊急対応が本当に必要なケース

次の条件が重なる場合、即時の緊急パッチ適用を優先すべきでしょう。

  • 外部公開されており、第三者が認証なしでアクセスできる
  • すでに攻撃事例や攻撃コード(PoC)が公開されている
  • 悪用された場合、業務停止や情報漏えいに直結する

このようなケースでは、業務影響よりも被害拡大を防ぐことを優先する判断が必要になります。

様子見や計画対応が許容されるケース

一方で、次のような条件であれば、即時のパッチ適用が必須でない場合もあります。

  • 内部ネットワーク限定で利用されている
  • 該当機能が業務上使われていない
  • 一時的な設定変更や回避策でリスクを下げられる
  • 影響範囲が限定的で、検証なし適用のリスクが高い

このような場合は、この場合、影響範囲を確認したうえで、計画的な対応とする判断も現実的といえます。

業務影響を考慮した判断のポイント

緊急パッチ対応では、技術的な危険度だけでなく、次の視点も欠かせません。

  • パッチ適用によるサービス停止の可能性
  • 業務時間帯への影響
  • 切り戻し(ロールバック)が可能か
  • 利用部門への影響や調整コスト

「セキュリティ上正しい」判断と「業務として現実的」な判断のバランスを取ることが重要です。

緊急パッチ適用の運用フロー(例)

実務では、次のような流れで判断すると整理しやすくなります。

  1. 脆弱性の概要把握
    対象システム、影響範囲、攻撃条件を確認
  2. 自社環境への影響評価
    公開範囲、利用状況、業務影響を整理
  3. 暫定対応の検討
    設定変更やアクセス制御で回避できるか
  4. 適用タイミングの決定
    即時/夜間/定例メンテナンスなどを判断

このように段階的に考えることで、判断の属人化を防ぐことができます。

緊急パッチ適用の判断は、単独で行うものではありません。
脆弱性対応の優先順位:脆弱性対応全体の考え方―全体の中での位置づけ
CVSSスコア:技術的な深刻度の把握
本記事:実務での最終判断

これらを総合的に判断した結果、より合理的な対応が可能になります。

まとめ

緊急パッチ適用で重要なのは、“急ぐべきかどうかを正しく判断すること” です。

  • 攻撃されやすさと影響度を確認する
  • 業務影響とリスクを比較する
  • 回避策や段階対応も選択肢に入れる

この視点を持つことで、緊急パッチ対応は場当たり的な作業ではなく、管理されたセキュリティ運用に変わるのです。


次に読むべき記事

サイバーインシデント緊急対応

セキュリティインシデントの再発防止や体制強化を確実に行うには、専門家の支援を受けることも有効です。BBSecでは緊急対応支援サービスをご提供しています。突然の大規模攻撃や情報漏洩の懸念等、緊急事態もしくはその可能性が発生した場合は、BBSecにご相談ください。セキュリティのスペシャリストが、御社システムの状況把握、防御、そして事後対策をトータルにサポートさせていただきます。

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CVSSスコアの正しい使い方 ―脆弱性対応の判断にどう活かすべきか―

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脆弱性対応を検討する際、多くの担当者が参考にする指標が CVSSスコアです。しかし、CVSSは正しく理解して使わなければ、かえって判断ミスを招いてしまう原因になります。本記事では、CVSSスコアの基本的な考え方と、企業の脆弱性対応判断にどう活かすべきかを整理します。

CVSSスコアとは何か

CVSS(Common Vulnerability Scoring System)は、脆弱性の深刻度を数値で表すための共通指標です。多くの場合、0.0〜10.0のスコアで示され、数値が高いほど深刻とされます。

【深刻度(例)】

  • 低(Low)
  • 中(Medium)
  • 高(High)
  • 緊急(Critical)

重要なのは、CVSSは「脆弱性そのものの性質」を評価する指標であり、個々の企業環境を前提としていないという点です。本来の目的は、脆弱性の危険度を関係者間で共通認識として共有することにあります。

CVSSスコアが「分かりやすいが危険」な理由

CVSSは便利な指標ですが、これだけで対応の優先順位を決めるのは危険です。なぜならCVSSは自社環境を前提にしておらず、その脆弱性が実際に攻撃されるかどうかを保証していないためです。同じCVSSスコアでも、「インターネットから誰でもアクセスできるWebサービス」と「内部ネットワークでしか使われていない管理系システム」では、実際のリスクは大きく異なります。CVSSは「脆弱性そのものの性質」を示すものであり、「自社にとっての危険度」そのものではないことを理解しておく必要があります。

CVSSを構成する3つの要素

CVSSは主に次の3要素で構成されています。

  1. ベーススコア
    脆弱性が持つ本質的な深刻度を表します。多くの脆弱性情報で表示されるのがこのスコアです。
  2. Temporalスコア
    攻撃コード(PoC)の公開状況や対策情報の有無など、時間とともに変化する要素を反映します。
  3. Environmentalスコア
    実際の利用環境や影響度を考慮したスコアです。企業の判断に最も近いのはこの要素ですが、実際には十分に使われていないことが多いのが実情です。

CVSSスコアだけで判断してはいけない理由

CVSSスコアが高くても、必ずしも「今すぐ対応すべき」とは限りません。例えば、内部ネットワーク限定で利用されている、認証が必須で、悪用難易度が高い、該当機能が実際には使われていない、などの場合、実際のリスクは限定的です。逆に、CVSSスコアが中程度でも、「インターネットから直接アクセス可能」「既に攻撃事例が出ている」「業務停止に直結する」といったケースでは、優先度は高くなります。

脆弱性対応判断におけるCVSSの正しい位置づけ

CVSSスコアは、次のように使うのが現実的です。

候補の洗い出し:スコアが高い脆弱性を把握する
自社環境への当てはめ:実際の優先順位は「利用状況 × 公開範囲 × 業務影響」で決める
対応方法の検討:即時対応か、回避策か、計画対応かを判断

CVSSが高い脆弱性は、「詳細に確認すべき候補」として扱うのが適切です。

CVSSスコアを見るときのチェックポイント

実務では、CVSSスコアに加えて以下を確認します。これらを組み合わせることで、「今すぐ対応すべきか」「計画対応でよいか」の判断材料が見えてきます。

  • 攻撃条件は現実的か(認証不要/公開範囲)
  • 攻撃コード(PoC)は出回っているか
  • 悪用された場合の影響はどこまで及ぶか
  • 一時的な回避策でリスクを下げられるか

CVSSとあわせて確認すべき情報

CVSSだけでなく、次の情報もあわせて確認することが重要です。

  • 実際の攻撃事例や観測情報
  • ベンダーのアドバイザリ内容
  • 自社システム構成・利用実態
  • 業務影響や復旧にかかるコスト

これらを総合的に見ることで、自社にとっての“本当の優先度”が見えてきます。

本記事は、脆弱性対応全体の考え方を整理した
脆弱性対応の優先順位と判断基準|すべてを今すぐ直す必要はあるのか?
の中で、CVSSという判断材料を深掘りした位置づけです。 CVSSはあくまで道具の一つであり、最終判断は全体像を踏まえて行う必要があります。

まとめ:CVSSは「判断を助ける指標」として使う

CVSSスコアは非常に便利ですが、万能ではありません。「CVSSは優先順位判断の補助として使い、スコアだけで判断を出さない」「自社環境を考慮する」「攻撃されやすさ × 影響度」で判断する」―この考え方を持つことで、脆弱性対応の精度は大きく向上します。

脆弱性対応全体の判断基準については、
脆弱性対応の優先順位と判断基準―限られたリソースでリスクを下げる考え方 の記事で詳しく解説しています。

次の記事は…
緊急パッチ適用の判断基準 ―業務影響を抑えるにはどうすべきか―

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サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―

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サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―アイキャッチ画像

サプライチェーン攻撃は、もはやIT部門だけで完結する問題ではありません。委託先や外注先が原因で情報漏えいが発生した場合でも、最終的に問われるのは企業としての説明責任と経営判断です。顧客や取引先にとって重要なのは原因の所在ではなく、どのように向き合い、被害を最小化し、再発を防ぐのかという姿勢です。本記事では、サプライチェーン攻撃がなぜ経営リスクと直結するのか、そして経営層が押さえるべき判断ポイントを整理します。

サプライチェーン攻撃の基本的な仕組みや特徴については、以下の記事で整理しています。 「サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―」

情報漏えいは現場だけの問題では終わらない

情報漏えいが起きたとき多くの経営者が最初に口にするのは、「それはIT部門の問題ではないのか」という言葉です。確かに、直接的な原因はシステムの設定ミスや不正アクセスかもしれません。しかし近年増えている事故の多くは、自社ではなく委託先や外注先、外部サービスを起点として発生しています。このとき、経営層は否応なく判断を迫られます。それは技術的な是非ではなく、企業としてどう向き合うのかという判断です。

サプライチェーン攻撃は経営リスクそのものである

サプライチェーン攻撃とは、標的企業を直接狙うのではなく、その周囲にある取引先や委託先を踏み台に侵入する攻撃です。この攻撃が厄介なのは、「自社は直接何もしていない」という状況でも、結果として責任を問われる点にあります。顧客や取引先から見れば、「原因が委託先かどうか」よりも「自分の情報が守られたのか」の方が重要だからです。つまり、サプライチェーン攻撃はITリスクであると同時に、信頼・ブランド・事業継続に直結する経営リスクなのです。

なぜ経営が関与しなければならないのか

サプライチェーンリスクは、現場だけではコントロールしきれません。委託の判断、外注範囲の決定、契約条件の承認、事故時の公表方針。これらはいずれも、最終的には経営判断に行き着きます。現場がどれだけ対策を講じていても、「便利だから」「コストが安いから」という理由でリスクの高い委託が選ばれていれば、事故の可能性は高まります。経営が関与しないままでは、リスクの全体像を誰も把握していない状態が生まれてしまいます。

「委託先が原因」は経営の言い訳にならない

実際の事故対応でよく見られるのが、「原因は委託先でした」という説明です。しかしこの説明は、社外に対してはほとんど意味を持ちません。なぜなら、委託という判断をしたのは自社であり、その責任は発注元にあると見なされるからです。ここで経営判断を誤ると、

  • 説明が後手に回る
  • 対応が場当たり的になる
  • 結果として「誠実さがない」という評価を受ける

といった事態につながります。

委託先のセキュリティをどこまで確認すべきかについては、以下の記事も参考になります。
委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか ―サプライチェーン攻撃を防ぐ実務判断―

経営が押さえるべき3つの視点

経営層が理解すべきなのは、個々の技術的対策ではありません。重要なのは、「どこにどれだけのリスクがあるのか」という構造です。

  1. どこにリスクが集中しているか
    どの業務を外部に委託しているのか。
  2. 委託範囲とアクセス権の把握
    委託先は、どの情報にアクセスできるのか。
  3. 事故発生時の意思決定フロー
    問題が起きたとき誰が、どの順番で、何を判断するのか。

この全体像を把握できていなければ、事故発生時に冷静な判断はできません。

サプライチェーン事故で問われるのは“初動”

経営にとって最も重要なのは、事故が起きた後の最初の判断です。責任の所在を明確にすることよりも先に、被害が拡大していないか、説明すべき相手は誰か、どのタイミングで何を伝えるかを判断する必要があります。この初動で迷いが生じるのは、平時に「委託先が原因だった場合」を想定していないからです。サプライチェーン攻撃が増えている今、外部起因の事故を前提にした意思決定フローを持っているかどうかが、企業の明暗を分けます。

具体的な初動対応の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
サプライチェーン攻撃で委託先が原因の情報漏えい時に企業が取るべき初動対応とFAQ

技術より先に、経営としての姿勢が見られている

情報漏えい後、世間が注目するのは「どんな高度なセキュリティを使っていたか」ではありません。それよりも、

  • 状況を正しく説明しているか
  • 被害者に向き合っているか
  • 再発防止に本気で取り組んでいるか

といった姿勢が評価されます。これらはすべて、経営の判断とメッセージにかかっています。

まとめ:サプライチェーン攻撃は経営のテーマである

サプライチェーン攻撃は、IT部門だけの課題ではありません。委託という経営判断、事故時の説明責任、企業としての信頼維持。そのすべてが絡み合う、典型的な経営リスクです。 だからこそ、「技術的な話は分からないから任せる」ではなく、「全体像を理解したうえで判断する」という姿勢が、これからの経営には求められます。

BBSecでは

経営視点でサプライチェーンリスクを整理するために

サプライチェーンリスクは、現場任せにすると見えなくなり、経営だけで考えると実態が分からなくなります。BBSecでは、技術と経営の間に立ち、委託先や外注先を含めたサプライチェーン全体を整理し、経営判断につながる形でリスクを可視化する支援を行っています。 「どこにリスクがあるのか分からない」「事故が起きたとき、判断できるか不安だ」そう感じた段階で整理しておくことが、結果的に最もコストの低い対策になります。

【参考情報】

  • NIST(米国国立標準技術研究所),Cybersecurity Supply Chain Risk Management C-SCRMhttps://csrc.nist.gov/projects/cyber-supply-chain-risk-management
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    サプライチェーン攻撃で委託先が原因の情報漏えい時に企業が取るべき初動対応とFAQ

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    委託先や外注先が原因で情報漏えいが起きた場合、「自社は何をすべきか」「どこまで責任を負うのか」といった判断に迷う企業は多くあります。本記事では、サプライチェーン攻撃が疑われる際の初動対応の考え方や、公表判断、委託先との連携のポイントを整理します。あわせて、企業担当者が抱きやすい疑問をFAQ形式でまとめ、実務で迷わないための視点を提供します。

    委託先や外注先を起点としたサプライチェーン攻撃の全体像や、なぜこのような事故が起きるのかについては、以下の記事で整理しています。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    「原因は委託先です」で終わらない現実

    情報漏えいが発覚したとき調査の結果として、「原因は委託先・外注先でした」と判明するケースは、近年珍しくありません。しかし実務の現場では、その事実が分かった瞬間に新たな問題が生じます。それは、「では自社は何をすべきなのか」「どこまで責任を負うのか」という判断です。委託先が原因であっても、情報の管理主体が自社である以上、初動対応を誤れば被害は拡大し、企業の信用は大きく損なわれます。サプライチェーン攻撃が増えている今、外部起因の情報漏えいを前提とした初動対応を理解しておくことは、企業にとって不可欠になっています。

    初動対応で最も重要なのは「切り分けを急がない」こと

    情報漏えいの疑いが出た直後、多くの現場で起きがちなのが、原因の切り分けを急ぎすぎることです。「本当に漏えいしているのか」「どこから漏れたのか」「委託先の責任なのか」といった点を早く確定させたくなるのは自然な反応です。しかしこの段階で重要なのは、責任の所在を断定することではありません。まず優先すべきなのは、被害が現在も拡大している可能性があるかどうかを見極め、必要に応じて影響範囲を止める判断をすることです。委託先が関係している場合でも、自社システムとの接点や連携は一時的に見直す必要があります。この判断が遅れると、被害が広がり続けるリスクがあります。

    サプライチェーン攻撃は経営リスクでもあります。経営視点で整理した記事はこちら。
    サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―

    またそもそも、なぜ取引先や委託先を経由した攻撃は発見が遅れやすいのか、その背景を理解しておくことも重要です。
    なぜ取引先経由で情報漏えいが起きるのか ―国内で相次ぐサプライチェーン攻撃の実態―

    委託先との連携は「確認」ではなく「事実の共有」から始める

    初動対応において、委託先への連絡は避けて通れません。ただしここで重要なのは、相手を問い詰めることではなく、事実を正確に共有することです。どの情報に異常が見られたのか、いつ頃から兆候があったのか、現時点で分かっていることと分かっていないことを整理し、共通認識を作ることが先決です。感情的なやり取りや責任追及は、この段階では状況を悪化させるだけになりがちです。委託先が保有しているログや調査状況を早期に把握できるかどうかは、その後の対応スピードを大きく左右します。

    社内では「技術対応」と「説明責任」を同時に考える

    外部起因の情報漏えいが疑われる場合、社内では複数の視点で同時に動く必要があります。システム部門やセキュリティ担当は技術的な影響範囲の確認を進める一方で、法務や広報、経営層は対外的な説明の準備を始めなければなりません。このとき、「原因が委託先だから自社は関係ない」という認識で対応が遅れると、結果的に説明責任を果たせなくなります。実際には、顧客や取引先から見れば、委託先かどうかは本質的な問題ではなく、「自分の情報がどうなったのか」が最も重要だからです。

    公表判断は“事実が揃うまで待つ”ほど危険になる

    情報漏えいの公表タイミングは非常に難しい判断です。しかし、すべての事実が揃うまで何も発信しない、という判断はリスクを高めることがあります。特に外部起因の場合、委託先側の調査に時間がかかり、自社で状況を完全に把握できない期間が発生しがちです。その間に情報が外部に漏れたり、第三者から指摘されたりすると、「隠していた」という印象を与えてしまいます。現時点で分かっている事実と、調査中であることを切り分けて伝える姿勢が、結果的に企業の信頼を守ることにつながります。

    契約内容は「事後」ではなく「初動」で効いてくる

    委託先が原因の情報漏えいでは、契約内容が初動対応に大きく影響します。インシデント発生時の報告義務や対応範囲が明確であれば、調査や情報共有をスムーズに進めることができます。一方で、契約にそうした取り決めがなく、対応が委託先任せになってしまうと、自社として判断すべき情報が集まらず、対応が後手に回ります。このとき初めて「契約を見直しておけばよかった」と気づく企業も少なくありません。

    初動対応をスムーズに行うためには、平時から委託先・外注先のセキュリティをどこまで確認しておくべきかを整理しておく必要があります。
    委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか ―サプライチェーン攻撃を防ぐ実務判断―

    まとめ:初動対応で問われるのは“原因”より“姿勢”

    委託先が原因で情報漏えいが起きた場合、企業が最初に問われるのは、誰が悪いかではありません。どれだけ早く状況を把握し、被害拡大を防ぎ、関係者に誠実に向き合ったかという姿勢です。外部起因のインシデントは、今後さらに増えていくと考えられます。だからこそ、「委託先が原因だったらどうするか」を平時から想定しておくことが、最大の初動対策になります。

    サプライチェーン攻撃は、予防・管理・初動対応のいずれか一つだけでは防ぎきれません。全体像を理解し、実態を知り、現実的な確認と備えを重ねていくことが重要です。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    FAQ



    ▼サプライチェーン攻撃とは何ですか?




    ▼サプライチェーン攻撃は大企業だけの問題ですか?




    ▼委託先が原因で情報漏えいが起きた場合、自社に責任はありますか?




    ▼委託先のセキュリティはどこまで確認すべきですか?




    ▼セキュリティチェックシートを回収すれば十分ですか?




    ▼委託先が多すぎて管理しきれない場合はどうすればいいですか?




    ▼情報漏えいが疑われたとき、最初にやるべきことは何ですか?




    ▼委託先への連絡はどのタイミングですべきですか?




    ▼事実がすべて分かるまで公表しない方が良いですか?




    ▼契約書でセキュリティ対策はどこまで決めるべきですか?




    ▼サプライチェーン攻撃は完全に防げますか?




    ▼サプライチェーンリスク対策で最も重要な考え方は何ですか?




    ▼サプライチェーン全体を考えた対策を進めるには


    BBSecでは

    委託先が関係する情報漏えいでは、自社だけで完結する対応はほとんどありません。複数の関係者が絡むからこそ、事前の整理や体制づくりが結果を大きく左右します。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、サプライチェーン全体を前提としたインシデント対応体制の整理や、外部起因の事故を想定した初動対応の支援を行っています。「起きてから考える」のではなく、「起きる前提で備える」ことが、これからの企業に求められる姿勢です。もし、委託先を含めた情報管理やインシデント対応に不安を感じている場合は、一度立ち止まって体制を見直すことが、将来のリスクを減らす確かな一歩になるでしょう。

    【参考情報】

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    委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか ―サプライチェーン攻撃を防ぐ実務判断―

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    サプライチェーン攻撃のリスクを前に、「委託先のセキュリティはどこまで確認すべきなのか」と悩む担当者は少なくありません。すべてを完璧に把握することは現実的ではない一方、感覚的な判断だけではリスクを見逃します。本記事では、扱う情報や業務内容に応じて、委託先・外注先のセキュリティをどのような視点で確認すべきかを整理します。無理のない管理と判断の考え方を解説します。

    どれだけ事前に確認していても、サプライチェーン攻撃のリスクを完全にゼロにすることはできません。実際に情報漏えいが疑われた場合の初動対応については、次の記事で解説しています。
    委託先が原因の情報漏えい時に企業が取るべき初動対応とFAQ

    「委託しているだけ」で安心してはいけない時代

    業務の効率化や専門性の確保のために、システム開発や運用、データ処理を外部に委託することは、今や多くの企業にとって当たり前になっています。しかし近年、こうした委託先や外注先を起点とした情報漏えい・不正アクセス、いわゆるサプライチェーン攻撃が国内でも相次いでいます。自社のシステムが直接攻撃されていなくても、委託先のセキュリティ対策が不十分であれば、自社の情報や顧客データが流出してしまう可能性があります。この現実を前に、「委託先のセキュリティはどこまで確認すべきなのか」という疑問を持つ担当者は少なくありません。

    委託先のセキュリティ確認が難しい理由

    委託先のセキュリティ対策を確認しようとしても、多くの企業が途中で手が止まります。その理由は、単純に「何を基準に見ればよいか分からない」からです。専門的なセキュリティ対策をすべて理解し、技術的な実装レベルまで確認するのは現実的ではありません。一方で、「大手だから大丈夫」「実績があるから安心」といった感覚的な判断だけでは、リスクを見逃してしまいます。重要なのは、完璧を求めることではなく、リスクを把握できる状態にすることです。

    委託先や外注先を狙ったサプライチェーン攻撃の全体像については、以下の記事で整理しています。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    まず確認すべきは「どんな情報を預けているか」

    委託先のセキュリティを考えるうえで、最初に整理すべきなのは「委託先がどの情報に触れられるのか」という点です。個人情報や顧客データ、認証情報、社内システムへのアクセス権限など、委託内容によってリスクの大きさは大きく変わります。扱う情報の重要度が高いにもかかわらず、委託先の管理体制を十分に把握していない場合、その委託はサプライチェーン攻撃の入口になりかねません。逆に言えば、情報の性質と範囲を明確にするだけでも、確認すべきポイントは自然と絞られてきます。

    セキュリティ対策は「実施しているか」より「管理しているか」

    委託先に対してセキュリティ対策の実施の有無を尋ねると、多くの場合「対策しています」という回答が返ってきます。しかし本当に重要なのは、個々の対策の有無ではなく、それらが継続的に管理・運用されているかどうかです。たとえば、アクセス権限が適切に管理されているか、退職者や不要になったアカウントが放置されていないか、インシデントが発生した際の対応ルールが決まっているか。こうした運用面の確認は、技術的な専門知識がなくても行うことができます。

    契約書に書かれていないリスクが最も危険

    多くの情報漏えい事故では、インシデント発生後に「契約上どうなっているのか」が問題になります。ところが実際には、委託契約の中でセキュリティに関する取り決めが曖昧なケースは少なくありません。事故が起きた際の報告義務や対応範囲、再委託の可否、責任分界点などが明確になっていなければ、被害対応が遅れ、結果として自社の信用を大きく損なうことになります。委託先のセキュリティ確認は、技術的な話だけでなく、契約と運用の問題でもあるという点を見落としてはいけません。

    すべてを監査するより「リスクを前提に備える」

    委託先すべてを同じレベルで詳細に監査するのは、現実的ではありません。だからこそ重要なのは、委託内容や扱う情報に応じてリスクを整理し、必要な確認と対応を段階的に行うことです。また、どれだけ確認をしていても、インシデントが起きる可能性をゼロにすることはできません。そのため、「起きない前提」ではなく、「起きたときにどう対応するか」を含めて考えることが、サプライチェーンリスク対策の本質と言えます。

    まとめ:委託先のセキュリティ確認は経営リスク管理の一部

    委託先や外注先のセキュリティ確認は、単なるチェック作業ではありません。それは、自社の情報資産や顧客からの信頼を守るための、重要なリスク管理の一環です。技術的な専門知識がなくても、「どんな情報を預けているのか」「誰が、どこまでアクセスできるのか」「問題が起きたとき、どう連絡が来るのか」といった視点を持つだけで、サプライチェーンリスクは大きく下げることができます。

    サプライチェーン攻撃は経営リスクでもあります。経営視点で整理した記事はこちら。
    サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―


    委託先の確認だけでは、サプライチェーン攻撃を完全に防ぐことはできません。どのような経路で攻撃が起き、なぜ発見が遅れるのかを理解しておくことも重要です。
    なぜ“取引先経由”で情報漏えいが起きるのか 国内で相次ぐサプライチェーン攻撃の実態

    BBSecでは

    サプライチェーン攻撃への対策では、「何となく不安だが、どこから手を付ければいいか分からない」という声を多く聞きます。外部接点が増えた現代では、勘や経験だけでリスクを把握するのは難しくなっています。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、外部委託先や連携サービスを含めたセキュリティリスクの可視化や、運用・体制面まで踏み込んだ支援を行っています。サプライチェーン全体を前提とした評価や改善を進めることで、「自社は大丈夫」という思い込みによるリスクを減らすことが可能です。もし、自社のサプライチェーンリスクに少しでも不安を感じているのであれば、一度立ち止まって全体を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

    【参考情報】

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    サイバー攻撃リスク評価を投資判断に活かす:コストから経営戦略へ転換する方法

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    サイバーセキュリティ対策を単なるコストとして捉えている限り、企業は本質的な防御力を高めることができません。サイバー攻撃リスク評価は、被害コストを可視化し、投資対効果を示すことで、経営判断を支える重要なツールになります。近年では、取引条件や企業価値評価の一部としてリスク管理体制が問われるケースも増えています。本記事では、リスク評価を経営戦略やセキュリティ投資にどう活かすべきか、その考え方と実践ポイントを解説します。

    本記事で扱う「投資判断としてのサイバー攻撃リスク評価」は、リスク評価の全体像を理解していることが前提となります。評価の考え方や具体的な進め方については、以下の記事で整理しています。こちらもあわせてぜひご覧ください。
    サイバー攻撃リスク評価の進め方:見えない脅威を可視化するプロセスと実践

    なぜ今、サイバー攻撃リスク評価が経営戦略に必要なのか

    サイバー攻撃の脅威は劇的な進化と拡大を続けています。日本の経営現場でもセキュリティ投資を「将来の不確定損失への保険」として扱う潮流は根強く残っていました。しかし今や、サイバー攻撃リスク評価とサイバー攻撃の被害とコストの具体的な計算なしには本気の経営戦略も企業価値向上も語れません。デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する2026年以降、強固なサイバーセキュリティ体制が顧客からの信頼・安定的なサービス・市場競争力の三本柱になる現実を、多くの企業が既に体感し始めています。

    被害コストを起点に考える投資対効果

    これまで企業の経営層がセキュリティ対策費をコスト、いわば”掛け捨ての保険”と見なしていたのは、具体的な被害像や金額イメージが掴めなかったことが大きいでしょう。しかしランサムウェアの急増に象徴されるように、ひとたびサイバー攻撃がヒットすれば、全国で数億円規模のダメージが企業や組織を襲います。一度の攻撃でシステムが10日間停止し、数千万~数億円の売上機会が消失、追加の訴訟・通知・見舞金対応費が膨れ上がる実例も後を絶ちません。サイバー攻撃 被害 コストを具体的な数字で算定し、いかに戦略的に投資配分するか。—この問いへ本質的に向き合う企業のみが、次の時代へ生き残ると言えます。

    このような投資対効果の考え方は、実際にどの程度の被害コストが発生しているのかを把握して初めて成立します。
    サイバー攻撃被害コストの真実―ランサムウェア被害は平均「2億円」?サイバー攻撃のリスク評価で“事業停止損害”を可視化

    サイバー攻撃リスク評価を「共通言語」にする

    実際、経営層を動かすには共通言語としてのリスク評価が不可欠です。たとえば担当者が「EDRソリューション導入予算が欲しい」と要望しても、テクニカルな言葉だけでは決裁は通りません。しかしリスク評価とコスト算定を示し、「現状では年間18%の確率で直接被害2億円が発生します。今回の500万円投資で、その確率が2%まで低減し、被害コスト回避インパクトは桁違いです」と数値根拠に基づき説明すれば、経営トップの意思決定を導けます。セキュリティ投資は、単なる損失回避のコストではなく、企業価値や信用、レジリエンス(回復力)向上の“収益性ある施策”として位置付けるべき新時代に来たのです。

    AI時代に求められるリスク評価サイクルの高速化

    サイバー攻撃リスク評価の精度・スピードはAIの登場によって質的な転換点を迎えています。Hornetsecurity社の調査レポートによれば、サイバー攻撃側は生成AIによる偽装メールや未知マルウェア作成など、かつてない速度と精度で攻撃を自動化しているとのデータもあります。実際、前年度比でマルウェア混入メールは131%増加というショッキングな統計も出ています。これに対抗すべく、防御側にもAI型EDRや脅威インテリジェンス、リスク評価自動化プラットフォームの導入が相次いでおり、もはや従来の手動&記憶頼み、年1回の見直しだけでは攻防サイクルに全く追いつかないのが現実です。セキュリティは攻めのIT、新たな事業基盤であるという認識転換が急務です。

    サプライチェーンリスク評価が企業価値を左右する

    また、近年問題化しているのがサプライチェーン全体のリスク管理です。大手・中小を問わず、委託や取引先からの情報漏洩・部品供給ストップが自社の市場シェアやサービスそのものに致命的な影響を及ぼします。実際、IPAや警察庁など複数の一次資料も、サイバー攻撃リスク評価を取引条件に組み込み、委託先企業を定量的に監査する流れの重要性を強調しています。既存市場では、リスク評価を実施していない企業は受託から外されるリスクも急上昇しているのです。安全なサプライチェーン網の維持こそが、新たな事業参入や大型受注の“入場パス”となりつつあります。

    レジリエンス(回復力)を軸にした経営判断

    最後に、サイバー攻撃対策で企業が真に目指すべきゴールは「レジリエンス=回復力の獲得」です。全ての攻撃を100%阻止するのは不可能である。—この冷徹な現実を受け容れ、発生時に致命的な被害コストだけは外さない仕組みを整える、そしていざインシデント発生時には準備したBCP(事業継続計画)やプレイブックに即し、冷静かつ迅速に被害最小化策を実行できる現場文化を育てること。その強靭さこそが不確実なデジタル経済を生き残る最大の武器となります。

    こうしたレジリエンス重視の経営判断も、場当たり的に行うことはできません。前提となるのは、自社の資産・脅威・影響度を整理したサイバー攻撃リスク評価です。
    サイバー攻撃リスク評価の進め方:見えない脅威を可視化するプロセスと実践

    おわりに:リスク評価を投資サイクルに組み込む経営へ

    繰り返しますが、恐怖や煽りでは企業は変わりません。正確なリスク評価と客観的な投資対効果を土台に、合理的判断によるサイバー攻撃対策投資を経営に実装すること。このサイクルだけが、激変する2026年以降の未来で貴社・貴組織の持続可能な価値創造を支える唯一の道なのです。

    サイバー攻撃リスク評価を経営に活かすためには、まず自社の現状を正しく把握することが不可欠です。具体的な評価プロセスや実践手順については、以下の記事で詳しく解説しています。
    サイバー攻撃リスク評価の進め方:見えない脅威を可視化するプロセスと実践

    【参考情報】


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    ビジネスメール詐欺(BEC)の脅威と企業に求められる対策 -2026年最新の脅威と対策ガイド-

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    ビジネスメール詐欺(BEC)の脅威と企業に求められる対策 -2026年最新の脅威と対策ガイド-アイキャッチ画像

    近年、企業を狙った巧妙な「ビジネスメール詐欺(BEC: Business Email Compromise)」が世界的に急増しています。本記事では、BECの概要や実際の被害事例、典型的な手口と最新動向について解説し、企業が取るべき対策と今後の備えとして必要な社内体制づくりについて提言します。

    ビジネスメール詐欺(BEC)とは何か

    ビジネスメール詐欺(BEC)」とは、巧みに偽装した電子メールを企業の従業員に送りつけ、経理送金などの不正行為を実行させる詐欺手口です。攻撃者は取引先や経営者になりすまして「請求書の振込先が変更になった」「至急資金を用意してほしい」といったメールを送り、社員を信用させて偽の口座へ送金させます。その名の通りBusiness E-mail Compromise(=”ビジネス Eメール詐欺”)の頭文字を取って「BEC(ベック)」とも呼ばれます。一般的なマルウェア添付型メールとは異なり、ビジネスメール詐欺のメールにはマルウェア添付や明らかな不審リンクがない場合も多く、一見「通常の業務メール」に見える点が非常に厄介です。

    ビジネスメール詐欺(BEC)の特徴

    ビジネスメール詐欺は高度なソーシャルエンジニアリング(巧妙な人為的なだまし)の一種であり、技術的手口と心理的誘導を組み合わせて実行されます。攻撃者はターゲット企業や関係者について徹底的に調査し、社員の権限や性格、役職に至るまで把握します。その上で「海外出張中の社長」を装って部下に緊急送金を命じたり、「取引先担当者」を装い請求書の振込口座変更を通知したり、あるいは「秘密裏の相談」を持ちかけて警戒心を解き、相手に疑う隙を与えないよう仕向けます。このようにBECは人間の認知・判断の隙を突いて金銭を騙し取る巧妙な詐欺であり、IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威」でも毎年TOP10入りするなど極めて深刻な脅威です。

    ビジネスメール詐欺の手口と最近の傾向

    独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による注意喚起などで紹介されているBECの典型的な手口は、大きく以下の5タイプに分類されます。

    ・取引先との請求書の偽装
    ・経営者等へのなりすまし
    ・窃取メールアカウントの悪用
    ・社外の権威ある第三者へのなりすまし
    ・詐欺の準備行為と思われる情報の詐取

    なお、この分類は、米国政府系機関のIC3(Internet Crime Complaint Center:インターネット犯罪苦情センター)の定義によるものであり、IPA以外にも、多くのセキュリティ機関で使用されているものです。実際の攻撃では、これら複数の手口を組み合わせて巧妙に仕掛けられるケースもあります。例えば「詐欺の準備行為と思われる情報の詐取」で社内情報を下調べした上で「取引先との請求書の偽装」+「経営者等へのなりすまし」で請求書詐欺を行う、といった具合です。また攻撃者はメール送信元を偽装する際、本物のドメインに一文字追加するなど判別しづらい偽アドレスを使うため、受信者が違和感を持ちにくい工夫がされています。

    ビジネスメール詐欺実行のプロセス

    ビジネスメール詐欺の背後では、攻撃者が入念な準備を重ねています。典型的な実施プロセスは下記の通りです。

    1.標的とする企業の選定
    2.フィッシング、マルウェア感染などのサイバー攻撃による電子メールアカウント乗っ取り
    3.乗っ取った電子メールアカウントを用いた情報の収集・分析
     例:
     ・組織図や人事情報
     ・意思決定者や経理担当者などのキーパーソンの氏名・役職・権限・業務管掌
     ・企業の業務プロトコルや各種社内規定、企業文化
     ・毎月の経理処理のスケジュール
     ・主要取引先の担当者氏名・役職・権限、取引の詳細
     ・ターゲット候補に関する情報
     (性格や気質、言葉遣いの癖、趣味やプライベート、出張・休暇情報など)
    4.ターゲット、攻撃シナリオの決定
     例:経理担当者A氏をターゲットにし、大口取引先B社の経理担当者C氏になりすます
    5.詐欺ドメインの取得
     例:大口取引先B社とよく似たドメインの取得、メールサーバの設定 他
    6.なりすましメール送信
     例:A氏に対し、C氏を装った電子メールを送信
    7.攻撃成功
    (なりすましであることに気づかれることなく、メールの内容にもとづく行動を起こさせる)
     例:A氏がなりすましメールの指示通りに、攻撃者の口座へ入金処理を実施

    例えば、決裁者が出張中で不在のタイミングを狙い撃ちし、その間隙に乗じて部下に大量送金を依頼するなど、周到にシナリオが練られています。ターゲットを絞り込み時間をかけて攻撃するため、1件あたりの被害額は莫大になる傾向があります。

    生成AIを利用したメール文面の巧妙化

    近年の大きな傾向の特徴の一つとして、生成AIの普及によるメール文面の巧妙化があります。当初BECは英文メールで海外取引のある企業が狙われるケースが目立ちました。しかし2022年以降の生成AIの普及により、日本語の文面も非常に自然で巧妙になってきています。生成AIは、単に文章を作成するだけでなく、ターゲット企業の業界用語や社内の言い回し、文化的なニュアンスまで学習し、極めて説得力のあるメールを作成します。例えば、製造業の企業に送られるメールには業界特有の専門用語が適切に使われ、金融機関に対しては金融規制に関する正確な知識を踏まえた内容が含まれます。これにより、従業員が不自然な表現という従来の判断基準で詐欺を見抜くことは極めて困難になっています。

    さらに、生成AIは多言語対応も容易にしました。攻撃者は英語、日本語、中国語、韓国語など、ターゲットに応じて完璧な言語でメールを作成できるため、「海外取引がない企業は安全」という考えは完全に通用しなくなっています。

    ビジネスメール詐欺の被害事例

    実際にビジネスメール詐欺による被害は国内外で多発しており、日本国内でも被害が急増しています。

    2017年末に大手企業で数億円規模の被害が発生し注目が集まり、その被害総額は2023年末時点で全世界累計約554億ドル(約8兆円)を超え、2024年には生成AIの普及により攻撃が前年比1,760%増加する*1 など、脅威は加速度的に拡大しています。1件あたりの平均被害額は13万7,000ドル(約2,000万円)に達し*2、高額案件では467万ドル(約6億8,000万円)の被害も報告されています*3

    LINE誘導型CEO詐欺

    特に2025年の年末以降に急増しているのが、経営者を装って従業員に「LINEグループを作成してほしい」とメールで依頼し、QRコードの送信を求めるというLINE誘導型CEO詐欺の手口です。この攻撃はURLリンクが含まれないため、従来のセキュリティツールでは検知が困難です。具体的な被害報告例は下表の通りです。

    被害公表日 概要
    2025年12月27日 北海道函館市の企業で約4,980万円の被害が報告*4
    2026年1月7日 長野県飯田市の企業で2,950万円の被害*5
    2026年1月20日 東京都内の組織14件で計6億7,000万円の被害*6

    LINE誘導型攻撃の実態については以下の記事でも解説しています。あわせてぜひご覧ください。
    【注意喚起】「業務上の理由で…」そのメール、本当に上司ですか?―年末年始を狙うLINE誘導型ソーシャルエンジニアリングの実態

    ビジネスチャットツールでのなりすまし詐欺

    ビジネスメールだけでなくChatworkやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットツールでのなりすまし詐欺も増加しており、攻撃の多様化が進んでいます。2026年1月には、Chatworkが公式に注意喚起を発表し、「経営者を装った不審なコンタクト申請」が多発していることを警告しました*7 。この攻撃では、攻撃者が社長や役員の名前とプロフィール写真を使用してアカウントを作成し、従業員にコンタクト申請を送ります。承認されると、「緊急の案件で手が離せない」「機密事項なので他言無用」といったメッセージで信頼を築き、最終的に送金指示や機密情報の提供を求めます。チャットツールが標的となる理由として、従業員の警戒心の低さやセキュリティ設定の甘さなどがあります。

    2026年のBECトレンド予測:進化する脅威への備え

    ビジネスメール詐欺は、技術の進歩とともに急速に進化を続けています。2026年に向けて、企業が警戒すべき最新トレンドをご紹介します。

    AIによる攻撃の高度化

    生成AI技術の普及により、ビジネスメール詐欺は劇的に進化しています。2024年第2四半期の調査では、フィッシングメールの約40%がAI生成コンテンツであると特定されており*8、この割合は今後さらに増加すると予測されています。従来は不自然な日本語表現で見破れた詐欺メールも、現在ではネイティブレベルの完璧な多言語メールが簡単に生成可能です。

    さらに深刻なのが、AI音声合成技術による「電話確認」の突破です。ディープフェイク音声により経営者の声を高精度で模倣できるため、従来の対策である「電話での本人確認」も無力化される恐れがあります。2026年はこの攻撃がさらに洗練されることが予想されます。

    攻撃対象の拡大

    ビジネスメール詐欺の戦場はメールからチャットツールへ拡大しています。2026年1月にはChatworkが公式に注意喚起を発表し、Microsoft Teams、Slack、LINEなどでのなりすまし詐欺が急増しています。また、実際に取引先企業のアカウントを侵害して攻撃する「VEC(Vendor Email Compromise:ベンダーメール詐欺)」が2023年から2024年にかけて66%増加したという報告もあります*9。VECは正規のアカウントから送信されるため検知が極めて困難で、自社だけでなくサプライチェーン全体のセキュリティ対策が必要です。

    日本特有の課題

    日本企業の最大の課題はDMARC導入の遅れです。2026年1月の日本経済新聞の報道によれば、最も効果的な「拒否」設定を行っているのはわずか15%(米欧は約60%)にとどまっています。また、東京だけでなく長野、北海道、新潟など全国各地で被害が発生しており、地方企業におけるセキュリティ意識や専門人材の不足という地域格差も深刻な問題となっています。

    攻撃者は防御の弱い企業を優先的に狙うため、日本企業は早急な対策強化が求められています。

    ビジネスメール詐欺に企業が取るべき対策

    ビジネスメール詐欺の被害を防ぐには、「技術」「人」「プロセス」の三位一体となった多面的な対策が求められます。

    技術的対策

    メール認証技術の導入が最優先です。SPF、DKIM、特にDMARC「拒否」設定を実装し、なりすましメールを受信前にブロックしましょう。また、全従業員への多要素認証(MFA)導入を推進し、アカウント乗っ取りを防止しましょう。

    メール認証技術(SPF・DKIM・DMARC)の導入ポイントについては、以下の記事でも解説しています。あわせてぜひご覧ください。
    「ソーシャルエンジニアリング最前線【第4回】企業が実践すべきフィッシング対策とは?」
    フィッシング対策に重要なメール認証技術とは?SPF・DKIM・DMARCの導入ポイント

    基本的なセキュリティ対策の強化
    ウイルス対策・不正アクセス対策・OSの更新・IDやパスワードの管理・二要素認証の採用など、一般的なセキュリティ対策は、ビジネスメール詐欺実行のプロセスの「フィッシング、マルウェア感染などのサイバー攻撃による電子メールアカウント乗っ取り」にも有効です。

    人的対策

    定期的なセキュリティ研修で、BECの最新手口を全社員に周知します。擬似BEC攻撃メールによる訓練を実施し、不審なメールを見抜く力を養成しましょう。メールだけでなく、Chatwork、Slack、Microsoft Teamsなどチャットツールでのなりすまし対策教育も重要です。

    プロセスの再構築

    振込先口座の変更や高額送金の指示がメールで来た場合、必ず事前登録された電話番号に直接確認する社内ルールを徹底します(メール本文の連絡先は使用しない)。複数人承認制を義務化し、LINEやTeamsのアカウント情報を求められた場合も同様に電話確認を必須とします。

    ビジネスメール詐欺の脅威は、技術の進歩とともに進化を続けています。企業は、「自社は大丈夫」という楽観的な見方を捨て、常に最新の脅威情報にアンテナを張り、継続的に対策をアップデートする姿勢が求められます。

    ビジネスメール詐欺ではどこまで自社の情報を集められるのか?

    ビジネスメール詐欺は「ターゲットについて調べに調べたうえで実行される」と述べました。相手を欺くために練りに練られたメールを、最も攻撃に弱いと見立てたターゲットに送る。それがターゲットの元に届いてしまったとき、その後できる対策は決して多くはありません。

    そこで求められるのが、前述したビジネスメール詐欺実行のプロセスの、なるべく早期の段階にフォーカスした対策です。具体的には、2および3のフェーズ、すなわち「電子メールアカウントが乗っ取られて攻撃のための情報が収集、分析される」段階を想定してセキュリティ課題を抽出し、対策を立てることをおすすめします。「シフトレフト」に関する記事で言及しているように、対策は、プロセスの前段階であればあるほど効果的です。

    株式会社ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、標的型攻撃への対策として開発された「SQAT® APT」というサービスを提供しています。本サービスでは、攻撃が成功した場合、「社内の情報がどこまで収集されてしまうのか」、「どこまで侵入を許してしまうのか」、「何を知られてしまうのか」、といった点を把握できるようになっており、ビジネスメール詐欺対策としても威力を発揮します。

    もっともうま味のある成果を狙って、もっとも弱いところを突いてくる。それがビジネスメール詐欺です。起こりうる被害を可視化して対策を立て、早い段階で攻撃の芽を摘みましょう。

    G-MDR®

    サイバー攻撃への防御を強化しつつ、専門技術者の確保や最新技術への投資負担を軽減します。
    https://www.bbsec.co.jp/service/mss/gmdr.html
    ※外部サイトにリンクします。

    エンドポイントセキュリティ

    組織の端末を24/365体制で監視。インシデント発生時には端末隔離等の初動対応を実施します。
    https://www.bbsec.co.jp/service/mss/edr-mss.html
    ※外部サイトにリンクします。

    インシデント初動対応準備支援

    拡大するサイバーセキュリティの脅威に対応するために今すぐにでも準備すべきことを明確にします。

    https://www.bbsec.co.jp/service/evaluation_consulting/incident_initial_response.html
    ※外部サイトにリンクします。

    まとめ

    • ビジネスメール詐欺(BEC)は取引先や上司を装った偽メールで社員を欺き、不正送金等を行わせる犯罪であり、高度に人の心理の弱みを突くソーシャルエンジニアリング攻撃の一種です。
    • 攻撃者はメールアカウント乗っ取りなど技術的手段も駆使しつつ、企業や従業員に関する綿密な事前調査を行い、練り込んだシナリオで標的を信じ込ませます。
    • 発生すると被害額が極めて大きくなりやすく、企業規模・業種を問わず警戒が必要です。
    • ビジネスメール詐欺の被害を防ぐには、メール詐欺に焦点を合わせた多面的な対策(技術・プロセス・教育)を実施することが効果的です。

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    なぜ取引先経由で情報漏えいが起きるのか ―国内で相次ぐサプライチェーン攻撃の実態―

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    なぜ取引先経由で情報漏えいが起きるのか ―国内で相次ぐサプライチェーン攻撃の実態―アイキャッチ画像

    近年、「自社に不正アクセスはなかったのに情報が漏えいした」という状況が増えています。その多くは、取引先や委託先、外部サービスを経由したサプライチェーン攻撃が原因です。本記事では、なぜこうした“取引先経由”の情報漏えいが起きやすいのか、国内で実際に起きている事例や背景をもとに整理します。攻撃の構造を理解することで、見えにくいリスクに気づく視点を持つことができます。

    こうしたリスクを前提に、委託先や外注先のセキュリティをどこまで確認すべきか悩む企業も少なくありません。実務の判断ポイントについては、以下の記事で整理しています。
    委託先・外注先のセキュリティはどこまで確認すべきか

    自社が原因でなくても、情報漏えいは起きてしまう時代

    近年、「自社システムに不正アクセスはなかった」と説明される情報漏えい事故が国内で相次いでいます。調査を進めると原因は自社ではなく、取引先や外部サービスを経由した不正アクセスだった、というケースが少なくありません。こうした攻撃はサプライチェーン攻撃と呼ばれ、いま日本企業にとって最も現実的なセキュリティリスクの一つになっています。特にSaaSや外部委託、API連携が当たり前になった現在、このリスクは業種や企業規模を問わず存在します。

    サプライチェーン攻撃とは何か

    サプライチェーン攻撃とは、標的となる企業そのものではなく、取引先・委託先・連携している外部サービスを踏み台に侵入する攻撃手法です。サプライチェーン攻撃の全体像や基本的な考え方については、以下の記事で整理しています。あわせてぜひご覧ください。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    なぜ今、国内でサプライチェーン攻撃が増えているのか

    背景にあるのは、企業活動のデジタル化と外部依存の加速です。業務効率化のためにSaaSを導入し、外部ツールとAPIで連携し、専門業務を外注することは、今や珍しいことではありません。一方で、こうした外部接点が増えるほど、攻撃者にとっての「侵入口」も増えていきます。特に、委託先や小規模ベンダーでは十分なセキュリティ対策が取られていないケースもあり、結果としてそこが狙われやすくなります。さらに最近では、認証情報の使い回しや権限設定のミスを自動的に探し出す攻撃手法も増えており、従来型の対策だけでは気づかないうちに侵入されるリスクが高まっています。

    国内で実際に起きているサプライチェーン攻撃の特徴

    国内で報告されているサプライチェーン攻撃の多くには共通点があります。それは、自社システムが直接破られたわけではなく、正規の連携機能や委託先のアクセス権限が悪用されている点です。そのため、ログを見ても不正アクセスだと気づきにくく、発覚までに時間がかかることがあります。結果として、数万件から数十万件規模の個人情報や顧客データが流出して初めて問題が表面化する、という事態につながります。サプライチェーン攻撃が怖いのは、まさにこの「想定外の経路」から被害が発生する点にあります。

    サプライチェーン攻撃の国内事例や攻撃手口については、以下の記事でも解説しています。こちらもあわせてぜひご覧ください。
    事例から学ぶサプライチェーン攻撃 -サプライチェーン攻撃の脅威と対策2-

    サプライチェーン攻撃が企業にもたらす影響

    この種の攻撃によって発生するのは、単なるシステムトラブルではありません。個人情報漏えいによる顧客からの信頼低下、取引先との関係悪化、場合によっては契約違反や損害賠償の問題に発展することもあります。近年では、「原因が委託先にあった」と説明しても、情報管理責任そのものは発注元企業にあると判断されるケースが増えています。サプライチェーン攻撃は、企業の信用そのものを揺るがすリスクだと言えるでしょう。

    企業が今すぐ考えるべきサプライチェーン対策

    まず重要なのは、自社がどのような外部サービスや委託先とつながっているのかを正確に把握することです。意外と、過去に導入したまま使われていないSaaSや、誰が管理しているのか分からない連携設定が残っていることも少なくありません。そのうえで、外部サービスや委託先に付与している権限が本当に必要最小限になっているかを見直す必要があります。「業務上便利だから」という理由で広い権限を与えたままにしていると、それがそのまま攻撃経路になってしまいます。また、技術的な対策だけでなく、委託契約や運用ルールの見直しも欠かせません。インシデント発生時の報告義務や再委託の条件、セキュリティ対策状況の確認方法などを明確にしておくことで、リスクを大きく下げることができます。

    まとめ:サプライチェーン全体を見る視点が不可欠に

    サプライチェーン攻撃は、もはや一部の大企業だけの問題ではありません。外部サービスを利用し、業務を委託し、クラウド連携を行っている企業であれば、規模に関係なく直面する可能性があります。重要なのは、自社のシステムだけを見るのではなく、自社を取り巻くサプライチェーン全体をどう管理するかという視点です。そこに目を向けない限り、同様の事故は今後も繰り返されるでしょう。

    また、これらの事故は経営判断とも直結します。
    サプライチェーン攻撃と経営責任 ―委託先が原因でも問われる企業の判断とは ―


    こうした実態を踏まえると、サプライチェーン攻撃は個別対策だけでは防ぎきれません。委託先や外部サービスを含めた全体像を把握し、どこにリスクが集中しているのかを整理する視点が不可欠です。
    サプライチェーン攻撃とは ―委託先・外注先リスクから情報漏えいを防ぐ全体像―

    BBSecでは

    サプライチェーン攻撃への対策では、「何となく不安だが、どこから手を付ければいいか分からない」という声を多く聞きます。外部接点が増えた現代では、勘や経験だけでリスクを把握するのは難しくなっています。ブロードバンドセキュリティ(BBSec)では、外部委託先や連携サービスを含めたセキュリティリスクの可視化や、運用・体制面まで踏み込んだ支援を行っています。サプライチェーン全体を前提とした評価や改善を進めることで、「自社は大丈夫」という思い込みによるリスクを減らすことが可能です。もし、自社のサプライチェーンリスクに少しでも不安を感じているのであれば、一度立ち止まって全体を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

    【参考情報】


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