TLSバージョンとは?TLS1.3までの違いと非推奨バージョンのリスクを解説

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インターネット上で安全な通信を実現するために使われている「TLS(Transport Layer Security)」。2024年6月19日には、情報処理推進機構(IPA)より「TLS暗号設定ガイドライン」第3.1.0版が公開されています。本記事では、TLSの各バージョンの違いや、それぞれの特徴、使用が推奨されていないバージョンのリスクについて解説します。

ガイドラインの主な内容

IPA「TLS暗号設定ガイドライン」第3.1.0版は電子政府推奨暗号の安全性の評価プロジェクト「CRYPTREC」が作成したWebサーバでのTLS暗号設定方法をまとめたガイドラインです。TLSサーバの構築者や運用者が適切なセキュリティを考慮して暗号設定を行うための指針として提供されています。

IPA/NICTの本ガイドラインでは、「高セキュリティ型」、「推奨セキュリティ型」、「セキュリティ例外型」(安全性上のリスクを受容してでも継続利用せざるを得ない場合の設定基準)という3つの設定基準が提唱されています。

  • 高セキュリティ型: TLS 1.3およびTLS 1.2を使用し、強い暗号スイートのみを利用。
  • 推奨セキュリティ型: 一般的に推奨される設定で、セキュリティとアクセス性のバランスが取れています。
  • セキュリティ例外型: TLS 1.3~TLS 1.0のいずれかで、アクセス性を確保しますが、セキュリティの強度は低下します。

(※セキュリティ例外型での設定内容は2029年度を目途に終了予定のため、速やかに推奨セキュリティ型への移行が推奨されます)

設定要求: 各設定基準に応じた具体的なプロトコルバージョンや暗号スイートの要求設定が示されています。これには、遵守項目と推奨項目が含まれ、安全性を確保するために満たすべき要件が詳細に説明されています。

チェックリスト: TLSサーバの構築者や運用者が設定を実施する際に利用できるチェックリストも用意されており、設定忘れを防ぐためのガイダンスを提供します。

TLSバージョンの利用率

ChromeやFirefoxなどの主要ブラウザ(クライアント)においては、2020年上半期をもってTLS 1.0/1.1が無効化され、相互接続の互換性維持目的でTLS 1.1以下をサポートするメリットは既になくなっています。加えて、常時HTTPS化という世界的な流れの中では、TLS 1.0/1.1が利用可能なWebサイトは「安全でない」とみなされる場合もあるでしょう。なお、SSL Pulseによる調査では、TLS 1.3の普及率は70.1%、TLS 1.2は99.9%にのぼっています(2024年5月時点のデータより)

TLSバージョンの利用率
出典:https://www.ssllabs.com/ssl-pulse/

最も普及しているのはTLS 1.2ですが、複数のプロトコルバージョンをサポートしている場合、サーバとブラウザの両者が使用可能なバージョンのうち、新しいものから優先的に使用するのが標準的なTLSの設定です。TLS 1.3およびTLS 1.2を有効にし、バージョンが新しいものから順に接続の優先度を高く設定してください。

TLS 1.3の導入のメリットと課題については以下の記事もあわせてご参照ください。
https://www.sqat.jp/kawaraban/19215/

また、IPA「TLS暗号設定ガイドライン」第3版からはプロトコルのバージョンだけでなく暗号スイートについても見直しが行われ、TLS 1.2に対してはPFS(Perfect Forward Secrecy)を有する鍵交換方式(ECDHE、DHE)を含む暗号スイートのみの使用が強く推奨されています。PFSは、2013年のスノーデン事件をきっかけにその重要性が認識され普及が進んだ暗号化技術です。TLS 1.3では、既定でPFSを有する鍵交換方式のみが採用されており、今後、鍵交換方式が満たすべき標準になると考えられます。

まとめ

TLS暗号設定ガイドラインは、TLS通信における安全性考慮したセキュリティ設定基準を設けています。これにより、TLSサーバの構築者や運用者が実際の商業的背景やシステム要件に応じた適切な設定を行うための根拠を提供します。

本ガイドラインで提唱されている3つの設定基準(「推奨セキュリティ型」「高セキュリティ型」「セキュリティ例外型」)は、各種国際的標準(NIST SP800/PCI DSSv4.0/OWASP ASVS等)の指針に対応したものであり、準拠への取り組みや、暗号設定における今後のセキュリティ対策を検討する上でも役に立ちます。ぜひ参照されることをお勧めします。

関連情報

● 量子コンピュータの実用化と耐量子暗号の標準化動向

●2019年下半期 カテゴリ別脆弱性検出状況

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